RACING

北海道から全国へ、そして世界へ!
子供たちへ「希望」と「勇気」を与えるために走り続けたい。

2018.12.21 Fuji Champion Race Series 2018 FCR VITA & KYOJO CUP Rd.3 RACE REPORT

Fuji Champion Race  VITA-01 Rd.3

Fuji Champion Race  KYOJO CUP Rd.3

開催日時(FCR-VITA):2018年10月6日(土)

開催日時(KYOJO CUP):2018年10月7日(日)

開催地:富士スピードウェイ(静岡)

ドライバー(FCR-VITA):佐藤 元春

(KYOJO CUP):高橋 純子

マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機

参戦クラス:FCR-VITA、KYOJO CUP

天候(FCR-VITA):予選/雨、決勝/曇り

(KYOJO CUP):予選/曇り、決勝/曇り

路面予選(FCR-VITA):予選/ウエット、決勝/ドライ

(KYOJO CUP):予選/曇り、決勝/曇り

佐藤 元春 予選:16/21位 決勝:リタイア

高橋 純子 予選:10/10位 決勝:10/10位
2018年も10月に入り、今シーズンのFCR(Fuji Champion Race)及びKYOJO CUPは早くも3戦目を迎えた。

VITA-01クラスのエントリーはこれまで同様に佐藤が、KYOJO CUPには高橋純子がエントリーした。

これまで原因不明のパワー不足に悩まされ続けてきた今シーズンの富士でのレース。今回もハンデを背負った状態ながらベストを尽くすべく、

レース3日前より練習を重ねるため現地入りしていた。

DAY1> 104日(木) 
練習走行

この日の一本目となる8:10からの走行枠に備え、Koshido Racingの各メンバーは前日に現地入りしていた。

このレースウィークでは、CAR GUYスーパーカーレースに佐藤とともに参戦する平中克幸選手も同日に駆けつけ、VITAのセッティングに協力してくれた。

天候は雨、路面もヘビーウエット。第1戦、第2戦に続き、今回も強い雨に見舞われている。

気温は18.7℃で湿度は79%。全部で6本の走行枠が設定されており、まずは平中選手がコースイン。今回の富士は、610号機だけでなく、カウルレスの310号機も持ち込み、双方で試走することとなった。

その後の枠では佐藤が試走したが、氷上を走っているような感覚でブレーキが踏めないとコメントを残している。

通常でもシビアな挙動のVITAであるが、ヘビーウエットでしかも富士スピードウェイのような高速コースともなれば、それはより顕著なものとなってドライバーに返ってくる。

一枠間をおき、10:10より再び佐藤がコースイン。雨は上がっていたものの、路面は依然としてウエットである。

走っている間に徐々にハーフウエットに移行していき、タイムを2分4秒12まで短縮した。同走行枠では他チームのVITAも走行していたが、路面が濡れていると離されることはない。

しかし、一旦乾きはじめるとパワー差が直接的に影響し、追走が困難になっていた。

次走行枠では平中選手がドライブ。100R での挙動は安定しているが、スロットルを戻し過ぎるとリアが出るといった状況。

また、4速へのシフト時に異音が出るとのことで、本レースウィークでの懸念が増える結果となった。

午前中最後の走行枠は高橋がドライブ。コンディションは一部ウエット部分があるもの

の、ほぼドライとなっていた。タイムは2分7秒台から徐々に詰めていき、最終的には

4秒台後半と佐藤同様に詰め、今回の610号機のフィーリングを確かめていた。

この日は高橋の練習走行が終了したのち、ピット内にてエンジン載せ替え作業が行われた。

 

練習走行結果
佐藤 元春:2’04.12
高橋 純子:2’04.81
DAY2> 105日(金) 

公式練習走行

 

曇天ながら前日、断続的に降り続いた雨はあがり、路面はドライコンディションが維持された。換装されたエンジンに今度こそはと期待を寄せつつ、スロットルを開ける右足にも力が入る。

しかし、依然として感覚的にパワーは変わらない。タイムも最高速も、これまでのエンジンと大差はなかった。
午後からは、第1戦で車両提供を受け、その後も懇意にしている#32 チームBe:Flatの鶴賀選手に610号機のテスト走行を依頼した。

鶴賀選手はFCR-VITAにおいて毎戦上位入賞している実力者である。

正味10周し、得られた感触としては、ステアリングレスポンスは良好でインフォメーションもしっかり伝わる。

グリップ感もあり、ブレーキも強く踏んでいける、といった好感触であった。ただ、セッティングはよく決まっているが、ストレートが絶望的に遅い。

パワーさえあれば2分0秒フラットは狙えるとのコメントを残していた。コントロール性は良好で、スロットルを開けていられる時間も長いとのことから、いかに直線区間や低速からの立ち上がりでロスしているかがわかる。

 

公式練習走行結果
佐藤 元春:2’04.620

DAY3> 106日(土) 
FCR-VITA
公式予選(825845

気温は21.2℃、湿度89%。前日一度は持ちなおした天候は、本戦を迎えたこの日、朝からまた不安定な空模様を呈していた。

予想通り、予選の直前になって振り出す雨。しかも雨脚はますます強くなり、予選開始時にはすっかりウエットコンディションへと変貌していた。

新エンジンへの換装は期待通りの結果が得られなかったものの、佐藤はあくまでも現状の中で結果を出すことに拘り、マシンへと乗り込む。

 

富士スピードウェイはホームコースである十勝に比べてエスケープが広く、またアスファルト舗装されているため安心して攻められる。

しかし速度ものる分、挙動を乱した時に姿勢が大きく崩れがちである。特にミッドシップでウエットコンディションともなれば、多少雑にスロットルを戻したりブレーキを引きずったりすると、たちどころに慣性が働いてスピンモーションに陥る。
攻めれば攻めるほどにシビアなコントロールが求められることになるが、パワーによるハンデを打ち消すため、佐藤はそんな領域で戦うことを強いられていた。

スピンを喫しつつも、与えられた時間を目一杯使ってアタックを続ける。

記録は2分27秒161で14番手につけた。しかしながらピットロードでの速度違反があり、2グリッド降格のペナルティが課せられ、決勝は16グリッドからのスタートとなった。

 

 

FCR-VITA決勝(1245~)

いつものように、ピットアウトの時点からタイヤの熱入れに余念がない佐藤。

シグナルブラックアウトで3,000rpmからのクラッチミートは絶妙に決まり、610号機は路面を蹴って前に出る。スタートで3台の前に出た佐藤はアウト側から1コーナーへ進入。

イン側で競り合うライバルたちを静観し、コカ・コーラコーナーへはすぐ前を行く#10 チームテツヤRn-S A VITAのHayashi選手をピタリとマークしながらアプローチしていく。

その後の100Rでも引き続きアウト側から仕掛けていったが、ここでインから数台に抜かれ、ミドルラインで行き場を失っていた#55 Raise UPタマノVITAの堀内選手にアウト側のラインを塞がれ、余儀なくコース外に退避。

それでも失速を最小限に抑え、続くダンロップコーナーに差し掛かった時、さらに堀内選手がラインを塞ぐようにインに飛び込んできたところ、右フロントにヒットされてしまう。相手はスピンし、佐藤は順位を大きく下げてしまったが、即戦線復帰。

しかし、ダンロップコーナーを立ち上がったところで左フロントホイールハウス内から白煙が上がり始める。

ヒットされたのは右前側面からであるが、その衝撃でフロントカウルにずれが生じ、左側でタイヤが干渉していた模様。これを目にした佐藤は即減速し、レクサスコーナーの外側にマシンを停止させた。翌日、KYOJO CUPを控えており、大事を取っての判断。FCR-VITA第3戦は幕を閉じた。
DAY3> 106日(土) 
KYOJO CUP
公式予選(845905

前日の接触の影響はそれほど大きくなく、カウルの一部とホイールの損傷で収まっていた。

各部を確認の上、610号機は走行に問題ない状況でKYOJO CUPの日を迎えることができた。
気温は22.8℃、湿度80%。路面はドライコンディション。コースインした高橋は、練習走行のプラス1~2秒のタイムで周回し始める。

ホームストレートではライバルたちに次々に抜かれていくが、どのセクターにおいてもタイムのばらつきは少なく、安定した走りを見せていた。

ストレートスピードにおける差を縮めようと常に攻め込み、熱の入っていないタイヤを上手くグリップさせながらアンダーステアやオーバーステアと戦い続ける高橋。

 

 

 

予選終了時刻が迫る中、挙動の乱れも少なくなり、セッション後半2分5秒台をマークし始めたところで終了。最終的な記録は2分5秒835となった。

 

KYOJO CUP決勝(12:30~ 10LAP)

 

気温は25℃。やさしい日差しの中、決勝の時間を迎える。笑顔でチームクルーとの握手を交わしたのち、高橋はスタートの時刻を待つ。

フォーメーションラップを終え、改めてグリッドへ向かう。

スタートは3,000rpmにてクラッチミート。1速でリアタイヤをやや空転させたものの順当に加速し、順位変動や混乱なく各車1コーナーに飛び込んでいく。

高橋はイン側からのスタートであったがラインをアウト側に振り、1コーナー立ち上がりでクロスラインを狙う。

しかし、610号機の立ち上がりの鈍さが足枷となり、ポジションアップはならず。

その後もコーナー進入の度に前との距離を縮めるが、立ち上がりでおいていかれるという状況を繰り返す。

レース開始2周目までは他のライバルたちに食らいついていたが、ホームストレートを2回も通過すればその差は大きく開き、もはやスリップストリームも使えぬ状態となっていた。

しかし、前との距離が空いても攻めの姿勢を崩さない高橋。7周目には1コーナーでスピンを喫したが、それ以外は大きく失速するようなミスもなく、予選同様に全セクターにおいて安定したタイムをマークしていた。

前日のトラブルの影響もなく、10周を無事完走し、レースを終えた。

 

~レース後、チームオーナーコメント~

今年は富士スピードウェイでの結果が思わしくなく、万全の準備で臨んだが、他のマシンと比べてストレートエンドの速度が8~10km/h遅いという状態が続いており、予選・決勝ともその原因がわからないままでのアタックとなりました。

ただ、今あるマシンで、持てる力の限り走ってひとつでも上の順位を目指すべく、全開でアタックしました。その結果、予選は16位でした(タイム計測上は14位)。その順位でも決勝では何が起こるかわからないため、ベスト10入りを目指して、後ろから一台一台追いかけようと思い、集中してスタートラインに立ちました。

クラッチミートそしてシフトアップが上手くいき、スタートで2台の前に出ることができ、前車に接近した状態で1コーナーを駆け抜け、その後のコカ・コーラコーナー、100R、アドバンコーナーと順調にクリアしていく思いでしたが、100Rを抜けたところの左ヘアピンで並走していたライバルとの接触があり、白煙を吹いているのが見えたため、自分としてはマシンを守ること、翌日のKYOJO CUPを高橋純子さんに問題ない状態で走ってもらいたかったため、やむなくリタイアという形を選びました。

リザルトを残せなかったことは非常に残念ではありましたが、チームとしてKYOJO CUPを完走させるという目的は達成できたので、自分の判断は間違っていなかったと思っています。

11月に最終戦が残っていますので、これまでのうっ憤を晴らすべく、全力で戦ってきたいと思います。

 

Koshido Racing 佐藤 元春

 

 

2018.11.08 北海道クラブマンカップレース2018 特別戦VITA-01 RACE REPORT

北海道クラブマンカップレース特別戦 TOKACHI 3時間耐久レース VITA-01

開催日時:2018年9月2日(日)

開催地:十勝スピードウェイ(北海道)

ドライバー
#610:佐藤 元春、石崎 竜一朗
#310:久保 拓也、大島 雄一郎
#712:竹谷 和浩、中川 隆吾
#777:大島 良平、市川 篤

マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機、310号機、712号機、777号機

参戦クラス:北海道クラブマンカップレース VITA-01クラス

天候:予選/晴れ、決勝/晴れ
路面:予選/ドライ、決勝/ドライ

#610  予選:2/19位(Dr.:佐藤 元春)  決勝1/19位
#310  予選:10/19位(Dr.:久保 拓也)  決勝6/19位
#712  予選:7/19位(Dr.:中川 隆吾)  決勝:9/19位
#777  予選:4/19位(Dr.:大島 良平)  決勝:7/19位

 

北海道クラブマンカップ第3戦から2週間が経過した9月2日。早くも3時間耐久レースとなる
特別戦が開催された。
例年、この特別戦は本州からの遠征もあり、いつもの北海道クラブマンカップよりも参加台数・
ドライバーともに多く、賑やかな様相を見せる。天候には恵まれ、練習日から晴れが続き、
路面もドライが維持された。
今回のKoshido Racingのドライバーラインナップは、チームオーナーでありエースである佐藤元春
と、今シーズン第2戦より連戦参戦している石崎竜一朗がタッグを組んで610号機に搭乗。310号
機、712号機は昨年の耐久戦同様で、大島雄一郎・久保拓也組が前者に、竹谷和浩・中川隆吾組が
後者をドライブした。

310号機 大島 雄一郎 ・ 久保 拓也

712号機 竹谷 和浩 ・ 中川 隆吾

777号機には、今期レギュラードライバーの大島良平に加え、夏のSUN耐参戦以来となる市川が
起用された。

777号機 大島 良平 ・ 市川 篤

<DAY1> 8月31日(金) 練習走行

佐藤、石崎、久保、中川、市川は公式練習日のさらに前日から十勝入りしていた。この日の気温は
23~24℃。例年であればまだまだ残暑の厳しい時期であるが、盆を過ぎ、北海道は少しずつ涼しく
なりつつある。レースの中でも耐久という長丁場においては、ヒトにもクルマにも大きな負荷を
与えるが、双方にとって優しい気候へと変わりつつあった。

今回610号機は試験的にフロントカウルを替えての走行となった。ホームストレートでの終速や
水温等、これまで使用していたカウルに比べてどのように変化するのかを実証する試みである。
まだ何の装飾も施されていない真っ白なカウルが、より一層試験走行であることを彷彿させる。

試験的にカウルを替えて走行する610号機。
しかしながら今シーズン使用しているエンジンのポテンシャルが今ひとつであるため、十勝
スピードウェイでの走行ではそれほど顕著な差は見られなかった。タイム的には佐藤・石崎両
ドライバーとも1分34秒台前半をマークしており、コンディションが整えば33秒台を安定して刻む
ことは可能と思われる。
久保は昨年のこの耐久戦で乗って以来、一年ぶりのVITAとなった。しかし、それをまったく感じ
させない走りで容易く1分34秒台にのせてくるあたりは、さすがモータースポーツ経験豊富な彼
ならではといえよう。全体的に概ね35秒台で周回し、安定した走りを見せている。決勝ではレース
巧者ならではの展開や駆け引きが楽しみである。
中川は第3戦に続いての耐久エントリー。前回のレースでは突如振り出した雨をものともせず、
自らの順位を押し上げる隙のない走りを見せた。VITAでは絶対的な練習時間が不足しているにも
かかわらず、ラストの一周できっちりと1分34秒半ばをマーク。こちらも決勝での活躍が期待
された。
市川は今回がVITA初乗りとなる。模索しながら走り続け、マシンの特性を掴むべく周回を重ねた。
これまで箱車での走行経験しかなかったが故に、その動きのシビアさに翻弄され続けていた。
走行の合間に他のドライバーたちのアドバイスを受け、脚回りの動かし方、タイヤの使い方、
ラインの取り方など、課題クリアに向けてひたすらに取り組んだ。

練習走行結果
佐藤 元春:1’34.120
石崎 竜一朗:1’34.184
久保 拓也:1’34.857
中川 隆吾:1’34.637
市川 篤 :1’36.406

<DAY2> 9月1日(土) 特別スポーツ走行(55分間×3本)

この日も天候は良好。設定される走行枠はいつとも同じように3本であるが、1単位55分と長く設け
られ、午後からの走行枠となっている。今回の耐久レースは2輪も開催されることになっており、
午前中は2輪の練習枠に充てられていた。天候は晴れ。午後からといえど気温の上昇は穏やかで
22.1℃。湿度は70%台。この日からは310号機の大島雄一郎と712号機の竹谷も合流し、練習走行に
励む。

今年は春に一度練習走行でVITAに乗っているが、実践は今回が久々となる大島雄一郎。今回の
セッティングに身体を慣らすべくコースイン。ミスなくまとめ、淡々と周回していく。
前日に比べて混走車種も多くなり、クリアラップがなかなか取れない状況になっている中、
1分36~37秒台をコンスタントに刻み続け、310号機の動きに自身の感覚を合わせていった。

走行開始を控え、集中する大島雄一郎。

一方の竹谷はレギュラードライバーとして参戦しているだけあり、乗り出して間もなく1分35秒台
に入れてくる。実は今回、712号機はセッティングの異なる310号機とカウルをチェンジして臨んで
いるが、これによりマシンの挙動はややピーキーな方向となった。しかし向きを変えるスピードは
上がっており、竹谷はこれに即時対応。むしろこれまでのセッティングよりも良い感触を掴んで
おり、早々に自分のものとしていた。第3戦は出場できていなかったが、それをハンデと感じさせ
ない走りで34秒台を記録し、練習走行を終えた。


左コーナーをシビアなラインで抜けていく竹谷。

前日入り組は混走車の増加やコースコンディションの変化からか、それぞれ若干タイムを落として
いた。この日は練習走行の途中でコース上に多量にオイルが撒かれ、スピンやオーバーランする
車両があちらこちらで続出。ただでさえピーキーなVITAは、オイルにのると一気に姿勢が乱れ、
ほぼコントロール不能に陥ってしまう。間もなくコース閉鎖され石灰処理がなされたが、今度は
その石灰が多量に舞い上がり、視界がほとんどきかない状態になっていた。
最終的に610号機の佐藤・石崎がそろって前日のコンマ3~4秒落ち、712号機の中川、310号機の
久保もコンマ8秒落ちの結果となった。777号機の市川はスピンを喫しつつも、マシンへの慣れと
前日のアドバイスが活き、タイムを徐々に短縮。最終コーナー立ち上がりでのアンダーステアが
気になっていたため、エンジニアの熊崎にリアの減衰調整を依頼し、1分35秒台へと更新した。

練習走行結果
佐藤 元春:1’34.457
石崎 竜一朗:1’34.592
大島 雄一郎:1’36.588
久保 拓也:1’36.680
竹谷 和浩:1’34.903
中川 隆吾:1’35.491
市川 篤 :1’35.791

<DAY3> 9月2(日)
予選(10:30~10:55)

レース当日、この日も好天に恵まれ、予選前の気温は20.6℃、湿度54%。
都合がつかず、練習走行に参加できなかった777号機の大島良平がようやく合流。

準備も早々に、予選時間を練習走行に充て、かつそのままアタックを担当することとなった。
いつものクラブマンカップに比べると出走台数が多く、クリアがとりにくい。そんな状況にもかか
わらず普段通りのペースでタイムを詰めていく大島良平。コースイン2周目より安定的に1分35秒台
前半にのせ、3周目には34秒台半ばをマーク。その後も34秒台で周回し続け、予選4番手につけた。
前日にリアの減衰を調整していたが、フィーリングとしては良かったとコメントを残している。
610号機は佐藤が予選を担当。コースイン後すぐに34秒台を連発し、さらなるタイム短縮をうかがう。

ほぼ同ペースで走る#7 NAMS楽しく走ろう.com制動屋と#77 モレキュール☆渚オートVITAと熾烈
なタイム争いを展開し、この3台は揃って33秒台へとタイムを詰めていく。最終的に佐藤は2番手の
タイムを記録したが、トップの差は僅か0.03秒。そして後車との差も0.03秒。いかに拮抗した戦い
であったかがわかる。
310号機は大島雄一郎、久保の両ドライバーがドライブ。最初に大島雄一郎が走り、37~38秒台
にて周回する。セッティングはそのままにドライバーチェンジ。時間的に久保に許されたアタック
ラップは4周程度。36秒台前半を記録し、10番手となった。本レースウイークで最初に乗った
セッティングでは34秒台をマークしていたが、現状では決勝で安定したラップを刻むべく、
深追いはしない形で予選を終えた。

712号機はまず竹谷がコースインし、軽く流してタイヤを温める。数周アタックしたのち、中川に
ステアリングを託した。タイヤ内圧を調整し、残された時間が限られる中、アタックに入る中川。
1周目に34秒台をマークするが、その後はクリアラップに恵まれず、結局最初の周に記録したタイ
ムで7番手という予選結果となった。全体の結果では、0.07秒というほんの一瞬に1位から3位まで
がひしめく。決勝での混戦は必至である。

予選結果
610号機(佐藤 元春):1’33.655
310号機(久保 拓也):1’36.134
712号機(中川 隆吾):1’34.785
777号機(大島 良平):1’34.533

 

決勝(14:38~)

気温21.6℃、湿度39%。この耐久レースはいつものスタンディングスタートではなく、ローリング
形式で始まる。スターティングドライバーは610号機が佐藤、310号機が久保、712号機が中川、
777号機は大島良平が担当した。
ドライバーに最高の状態のマシンを提供するため、ピットクルーたちも全力で挑む。

午前中に2輪の耐久レースが開催され、午後からが4輪の時間として組まれている本イベント。
気温の上昇が著しい時間であるが、この時期としては珍しく涼しめ。但し路面温度は高い。
長丁場を控え、タイヤのコンディションには特に気を使う。

耐久でもスプリントでも、レースでは常に緊張を強いられる。決勝コースインを前に、大島良平の
真剣なまなざしからそれが読み取れる。

各車グリッドにつく。ピットクルーたちがドライバーのもとに激励に訪れ、健闘を誓う。

そして3時間の決戦の幕が切って落とされた。
ローリングスタートで大きな混乱もなくレースは進行していく。しかし、数周してそれぞれの
ペースの差が明らかになり、ところどころ離れていたり詰まっていたりと、随所でスプリント
レースさながらの競り合いが展開されている。
712号機の中川は序盤から堅調なペースで前との差を詰めていた。そうしているうちに前走車に
詰まり、自分のペースを落とさざるを得ない状況へ。なんとかして前に出たいという焦りから
前走車を抜きに掛かるが、想定していたラインにのせられずたまらずスピン、コースオフを喫し
てしまう。自力でのコース復帰が困難となり、救援を待つことに。その間に大幅に順位を落とし
てしまうこととなった。
ここでセーフティーカーが入る。610号機はちょうどこの直前にチームクルーより指示を受け、
絶妙なタイミングでピットイン。給油とドライバーチェンジを済ませ、1位でコース復帰する石崎。

その後トップを守り続け、33周目にはファステストとなる1分34秒806を記録する。この時点で2位
の#95 HB☆幸伸建設☆VITA-01とは24秒差。その後も順調にギャップを拡げていった。
310号車は序盤から久保が安定したラップを重ね、トラブルのないレース運びを展開していった。
前述している通り、久保はレース経験が豊富。急遽異なるセッティングへと変更になったマシン
にも順応し、タイムは予選のものをコンマ6秒縮めた。マシンもよい状態で大島雄一郎へとチェン
ジ。こちらもまた予選の記録を1秒以上も上回るペースで周回し、レース後半への望みをつな
いだ。スピンで一時は数周回差をつけられ、クラス最下位となってしまった712号機ではあった
が、レースペース的には竹谷も中川もトップ集団に迫る34~35秒台をコンスタントに刻み続けて
いた。両ドライバーとも現状のセッティングに慣れる時間も十分に確保できないままレースに
臨むこととなったが、こちらの方が好感触を得ており、マシンを手なずけていた。

777号機のファーストドライバーである大島良平は、走り始めこそ本来のペースにのせられなかっ
たものの、7、8周もすれば「らしさ」を取り戻し、35秒台での周回を続けた。それに続くBドラ
イバーの市川も、前日までの練習でつかみかけていたVITAの挙動に少し慣れた様子で、35秒台を
マークする周回が増えていた。
日も傾きつつある中、各車トラブルもなく走行を続けていく。

給油やドライバーチェンジもまた滞りなく行われ、メカニックやクルーの活躍が光る。

610号機はペースを落とすことなくラップし続ける。Vitzとも混走であるため、所々ラインが保
てずペースが乱れることがあるが、佐藤は極力タイムを変動させないよう上手くバックマーカーを
かわしながらVITAを走らせていた。現に第3スティントを26周回しているうち、ペースを乱した
のはたったの2周で、それ以外は概ね34~35秒台をキープしている。これまでの公式戦では自分の
ラインが保てず、余儀なく順位を落とすこともあった佐藤。その時の経験がこのレースで大いに
活かされていた。再び石崎に替わり、60周を超えて610号機と2位#19 十勝レーシングスクール
鬼塚兄弟VITAとは1周差がついていたが、82周目には2位が#77 モレキュール☆渚オートVITAに
変わっていた。依然610号機がトップをキープしているが、こちらが35秒台に対し、#77は34秒台
で周回。ただ、この時点で1分15秒のギャップはある。残り25分、90周を過ぎたところで1分10秒
に縮まる。負けじと石崎も34秒台に入れるが、さらにコンマ2秒削る渚オート77号車。連なって
走行していた時も、ストレートが610号機に比べて格段に速く、インフィールドで詰めてはスト
レートで離されるという状況を繰り返していた。この後さらに1分33秒894の自己ベストを出し、
1分10秒差の戦いが長きにわたって続く。
残り10分を切ってマージンが一時的に縮まったが、なんとかその差を維持し、最終的には1分22秒
の差をつけてトップチェッカーを受けた。
310号機は一時3位を走行していたが、36周目に4位へと後退。前走車とはラップタイムが1秒近く
遅れていた。33周目には6位となるが、終始変わらぬペースを保ち続け、そのままの順位でレース
を終える。しかし、大島雄一郎・久保ともに堅実な走りで4つ順位を押し上げる結果となった。
耐久ではこの安定感こそが求められる大きな要素である。

777号機も大島良平が上位集団に迫るラップタイムを連続してマークし、残り20分のところで前を
行く310号機とは44秒差。

平均的なレースペースにすると1周あたり1~2秒310号車より速く、レース後半には18秒差まで
詰め寄るも、7位でのゴールとなった。
序盤の遅れを取り戻すべく奮闘した竹谷・中川両名は、その後ミスのない走りで少しづつ挽回。
37周目には竹谷が自己ベストをマークし、猛追する。最終的には2台をパスして9位へと順位を上げ
フィニッシュ。しかしチェッカー後にセーフティーカー中の追い越しが判明し、30秒が加算され、
さらに燃料補給作業違反から40秒も加算されてしまう。それでも順位に影響はなかった。

~レース後、チームオーナーコメント~

昨年は平中克幸選手と組んで3時間耐久レースにて見事優勝を飾ることができました。今回はV2を
かけて、若手ルーキーの石崎竜一朗選手とのタッグで臨んだレースでした。本州の遠征組が速い
ことを知っていたので地元の意地を見せてなんとしてでも頂点をとりたいと思って挑みました。
予選アタックは自分が担当し、0.03秒差で2位という結果になりました。1~3位までが非常に僅差
である予選だったので、決勝ではミスをしないことと、チームとしての作戦を上手く絡み合わせて
勝利しようということで臨みました。セーフティーカーが入る直前でピットインできたのも、
チームプレイが功を奏し、上手く意思疎通が図れたことが要因であると思われます。このピット
タイミングで1位に上がることができ、そのままトップを守り続け、チェッカーを受けることが
できたことを非常に嬉しく思いました。これは監督、エンジニア、メカニック、ドライバーが一体
となって戦った結果です。なにより皆様の声援があったおかげでよい結果を残すことができま
した。来年もV3 を目指して頑張りたいと思います。引き続きご声援のほど、よろしくお願いいた
します。

Koshido Racing 佐藤 元春

 

2018.10.11 Fuji Champion Race Series 2018 FCR VITA & KYOJO CUP Rd.2 RACE REPORT

Fuji Champion Race  VITA-01 Rd.2

Fuji Champion Race  KYOJO CUP Rd.2

開催日時(FCR-VITA):2018年8月25日(土)

開催日時(KYOJO CUP):2018年8月26日(日)

開催地:富士スピードウェイ(静岡)

ドライバー(FCR-VITA):佐藤 元春
(KYOJO CUP):高橋 純子

マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機

参戦クラス:FCR-VITA、KYOJO CUP

天候(FCR-VITA):予選/曇り、決勝/曇り
(KYOJO CUP):予選/曇り、決勝/晴れ

路面予選/ドライ、決勝/ドライ–

佐藤 元春 予選:17/20位 決勝15/20位

高橋 純子 予選:11/11位 決勝11/11位

6月の第1戦から2か月、FCR(Fuji Champion Race)は2戦目を迎えた。VITA-01で参戦している
このレース、第1戦の時と同様に翌日にはKYOJO CUPの第2戦も開催された。Koshido Racingから
はFCRにエースドライバーの佐藤が、KYOJO CUPには高橋純子がエントリー。今回も双方を
610号機で挑む。

公式練習日の朝。マネージャーの中川とエンジニアの北嶋・藤巻がセットアップに励む。

<DAY1> 8月24日(金)
公式練習走行(30分間×3本)

この日は午前に2本、午後からは1本練習走行枠が設けられている。天候は雨。 第1戦の公式練習
のときも雨に見舞われたが、今回は強風も吹き荒れ、雨は強くコース上を叩きつけている。
VITAを走らせるには最も過酷な状況である。

強風と大雨に見舞われる富士スピードウェイ

早々に練習走行に入りたい気持ちはあるが、610号機にはすべきことがあった。北海道クラブマン
カップの第3戦の時に抱えていたミッショントラブルを治す時間が与えられないままここに来て
いたため、まずはそれを解決する必要があった。

基本的にエンジンやミッションは各チームで分解することはきないレギュレーションになっており、
第3戦の直後、あらかじめこの日に富士スピードウェイにミッションケースごと届くようオーダー。
午前中に届くことになっていたため、早速ピット内で作業が開始される。

練習走行3枠目を前に作業は完了。ようやく走行できる状態となった。しかし、天候は相変わらず
大雨。それでもサーキット入りしている以上、時間は無駄にはできない。コンディションに捉わ
れることなく、佐藤はいつもと同じようにピットアウトしていく。

全身びしょ濡れになりながら視界も十分に確保されない中、シビアな挙動と戦う。2分25秒弱の
タイムで7周回し、換装されたミッションの感触を確かめ、この日の走行を終える。

公式練習走行結果
佐藤 元春:2’24.91

<DAY2> 8月25日(土)
公式予選(8:45~9:05)

FCR-VITA本戦の日を迎える。前日までの大雨は夜のうちに上がり、路面は一部にセミウエットの
状態を残すが、ほぼドライコンディション。気温は27℃。

特に目立ったトラブルもなく、予定通りにピットアウトし、ミスなく周回を重ねる佐藤。順当に
走行できていれば想定されるタイムに届くはずであったが、タイムに反映されてこない。乗り方の
問題か、確かに前荷重がのっていないと自身で振り返る。もしこのセッティングやドライビング
スタイルのままで走るのであれば、ラインをコンパクトにまとめる必要があったが、ここは
ブレーキを残すことを意識してコーナーに進入することを課題におき、決勝に臨む。
しかし、最もな要因といえるのはストレートスピードに明らかな差があったことであろう。ライ
バルたちがホームストレートにおけるトップスピードで200km/h前後をマークしていたのに対し、
610号機は最速時で195km/h。最速の車両との単純比較で8~10km/hの差がついていた。
富士スピードウェイにおいてこの速度差はもはや致命的である。また、ストレートだけでなく、
セクター1~2で駆け下った高低差を一気に上るセクター3でもトップ集団との差は2秒以上に及び、
大きな差となって現れた。実際、佐藤の感覚としても3、4、5速のエンジンの伸びがないと体感
しており、トルク不足は明白である。KYOJO CUPにも参戦している以上、レギュレーションで
エンジンを各自で分解することはできず、原因が不明であるが故になおさら歯がゆい思いを強い
られていた。最終的なタイムは2分5秒台に留まり、予選アタックを終える。

 

~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~

佐藤 元春

「今回のセッティングが初乗りで、特にコカ・コーラコーナーで余裕がまだある。ヒール
トゥーで減速しすぎてしまっているかもしれない。決勝はすべてのコーナーにおいて詰めて
いきたい」。

 

決勝(12:30~ 10LAP)

予選時とほぼ同様のコンディションが維持されている。路面は完全にドライ。各車スターティング
グリッドにつき、レース開始の時を待つ。

FCR決勝直前、後方からの巻き返しを狙う佐藤。

藤は今回、予選17番手でアウト側のポジション。レースは各車トラブルなくスタートする。佐藤は
上手くクラッチを繋ぎ、絶妙にトラクションをかけるが、2速から3速へのシフトアップに若干
手間取り、ポジションアップはならず。そのまま前走車に1コーナーでアウトから並びかけるが、
ここでも前に出るには至らない。スタート直後の渋滞にのまれ、なかなか自分のラインにのせられ
ず、最初の周は中盤まで我慢の走りを強いられた。
アドバンコーナーにて1台ライバルがスピンし、ポジションをひとつ上げる。その後ダンロップ
コーナーでも同様にひとつポジションを上げ、この時点で15位。レクサスコーナーに差し掛かる
くらいでようやく自身のラインにのせることができ、スムーズな走行が可能となった。

 

1周目の最終コーナーをきれいに脱出し、ホームストレートへ。出口で前走車に食らいつくように
立ち上がる。しかし、スリップストリームに入る体勢を整えていながら、前走者に置いていかれる。
やはりエンジン本来の性能が発揮されていない様子である。
2周目、コカ・コーラコーナーにて1台がスピン。それを回避しようとした直後の1台も姿勢を乱して
いる間にその2台をパス。しかし、佐藤もこれらをかわす際に走行ラインを外す形となり、後方の
1台にパスされた。目まぐるしく順位が入れ替わる今回のレースは常に予断を許さぬ状況が続く。
3周目においてもなおストレートスピードの違いに泣かされる610号機。スリップストリームに入れ
ないとますます前に置いていかれる。それでもインフィールドではポジションを死守する佐藤。
13コーナーで1台スピンしているライバルの横をすり抜け、13位にポジションを上げる。続く4周目
では最終コーナーでインに飛び込まれ、再び14位にダウン。
ストレートで苦渋を飲まされ続けていたが、5周目のホームストレートでも後続に前を行かれて
しまい、ポジション15位となる。パワー差がそれほど影響しないところでは差は開かない。特に
100Rからアドバンコーナーへのアプローチは非常にきれいにまとめており、前走車に確実に
近づいている。7~8周目に入るとタイヤがやや熱ダレを始めたか、リアの粘りがなくなり、
オーバーステアが頻発するようになる。それでも大きく姿勢を乱すことはなく、ポジションを
キープ。スタート時より2つポジションを上げ、15位でフィニッシュした。

以上の結果をもってFCR-VITA第2戦は幕を閉じた。今回は初戦のような大きなトラブルは起こら
なかったものの、マシンコンディションに恵まれず思うような結果が残せずに終了となった。
FCRが終了したのち、夕方に1枠のみKYOJO CUPの練習枠が設けられており、高橋がドライブ。
前戦ではこの練習走行終了間際のエンジンブローにて本戦をリタイアしているため、今シーズン
はほとんど乗れていない状況であった。佐藤のレースを見ていたため、610号機の状態について
把握した上での走行。20分間で9周走行したが、やはり明らかにパワーがなく、タイムは伸びない。

公式練習走行結果
高橋 純子:2’08.08

<DAY3> 8月26日(日)
公式予選(8:50~9:10)
天候は晴れ、路面もドライ。コンディションは良い。しかし肝心なマシンの方は前日の練習走行と
状態は変わっておらず、エンジンは依然としてパワーがない。スリップストリームに入り、抜き
去ってくライバルたちはあっという間に消えていく。また挙動も若干安定しておらず、高橋の
修正舵も多くなる。それでも佐藤同様100Rでは前走車との間合いを一気に詰める姿もあった。

 

4周回したころから挙動も安定し、オーバーステアは見られなくなる。エンジンをミッドシップに
搭載するVITAは、コーナリング中の横Gを適切に処理しなければあっという間にスピンモードに
陥る。高橋は姿勢を大きく変化させないよう絶妙にカウンターステアを当て、横Gをためないよう
にコントロールしていた。逆に、フロント荷重が抜けてしまうと即アンダーステアが顔をのぞか
せる。時折、第3セクターで上手く向きが変わらずステアリングを大きく切り込むこともあり、
その時々で表情を変えるマシンと戦い続けていた。最終的には9周回し、前日の練習走行から1秒半
短縮したところで、予選を終了する。

 

決勝(13:10~ 10LAP)

予選に引き続き天候は晴れている。今回大きなトラブルこそなかったものの、エンジンの調子が
今ひとつで悔しい最後尾スタート。それでも全力を尽くして戦うことに変わりはない。チーム
オーナーの佐藤から激励を受け、スタートの時を待つ高橋。

そしてシグナル点灯、ブラックアウト。ホイールスピンを抑え、絶妙なスタートをみせる高橋。
しかし、前を行くライバルたちもスタートを上手く決め、ポジションはそのままに1コーナーへと
飛び込んでいく。冷えたタイヤと混み合うコースに神経を使いつつ、ひとつひとつコーナーを
クリアしていく。
1周目は第3セクターに入って間もないダンロップコーナーの立ち上がり。前方で競り合う
#10チームテツヤRn-S VITAのYuri Hayashi選手と#13小倉クラッチVITAのおぎねぇ選手が絡み、
10号車がスピン。高橋は間一髪でかわし、ポジションを1つ上げる。しかし、その際にかなりの
減速を強いられ、前との差は大きく開いてしまう。
何とか前との距離を詰めようと2周目以降も攻めた走りを見せる高橋であるが、無理をすれば
するほどオーバーステアを誘発。素早いカウンターステアで毎回スピンギリギリのところを
クリアしていく。100Rのアプローチを変えるなど走行ラインの工夫を試みるが、無理をすれば
挙動が乱れ、前走車との差は開く一方であった。富士スピードウェイでは決定的な打撃となる
エンジンパワー不足が尾を引き、4周目のホームストレートでは一度は前に出た13号車にも前に
行かれてしまう。
その後も歯がゆい思いでレースを続ける高橋であったが、無事に完走しチェッカーを受けた。
予選と順位は変わらず、前との差は17秒という悔しい結果となったが、決して最後まであきらめる
ことなく全力を尽くし、久々のレースを充実したものとした。

 

 

~レース後、チームオーナーコメント~

今年2戦目の富士スピードウェイでのレースになりますが、残念なことにマシンの調子が悪い状態
でのアタックになりました。明らかに4速高回転での伸び、ストレート速度が他のVITAと異なり、
メインストレートや高速コーナーの多い富士スピードウェイでは苦戦を強いられる結果となりま
した。しかし、せっかく遠征してきたこともあり、マシンがどんな状態であれ、その中で最善を
尽くすべくレースに臨みました。予選も決勝も自身としては不本意な結果に終わりましたが、
しっかりと完走し、ジェントルマンドライバーとして相応しい走りができたことは非常に有意義
だったと感じています。
第3戦は10月に行われますが、マシンを最高の状態にもっていき、かつ自分の技術を磨いて富士でも
表彰台を獲得したいと思います。

Koshido Racing 佐藤 元春

 

 

 

 

 

 

2018.09.18 北海道クラブマンカップレース2018 Rd.3 VITA-01 RACE REPORT

北海道クラブマンカップレースRd.3 VITA-01

開催日時:2018年8月19日(日)

開催地:十勝スピードウェイ(北海道)

ドライバー:佐藤 元春(#610)、石崎 竜一朗(#310)、中川 隆吾(#712)、
大島 良平(#777)

マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機、310号機、712号機、777号機

参戦クラス:北海道クラブマンカップレース (VITA-01クラス)

天候:予選/晴れ、決勝/雨⇒曇り

路面:予選/ドライ、決勝/セミウエット⇒ドライ

佐藤 元春  予選:2/14位 決勝9/14位
石崎 竜一朗  予選:1/14位 決勝2/14位
中川 隆吾  予選:8/14位 決勝:5/14位
大島 良平   予選:5/14位 決勝:7/16位

 

真夏の強い日差しも和らぎ、徐々に涼しくなりつつある中、北海道クラブマンカップ 第3戦が
開催された。
本戦も310号車、610号車、777号車のドライバーは第2戦同様であるが、712号車レギュラー
ドライバーの竹谷が今回は参戦できず、代わりに中川がドライブした。

前戦で悔しい結果となった佐藤。今回はセッティングを詰めて臨む。石崎はVITAに大分慣れ、
今回上位入賞が期待される存在となっている。中川は馴染みの712号車であるが、このマシン
では昨年以来の参戦となるため、今回どのように走りを組み立ててくるのかがポイントとなる。
大島良平は、ここ一発のタイムでは上位陣を脅かす存在となってきており、決勝での安定した
走りがきれば表彰台も十分に狙えるところにいる。

<DAY1> 8月15日(水) 練習走行

佐藤は第2戦での走り込み不足とセッティングが詰められていなかったことを受け、レース4日前
から十勝入りしていた。
この日は10時からの走行が可能であったが、当日は雨。セッティングも思うように進まない。
それでも佐藤は黙々と75周にも及ぶ走り込みを終え、ウエットでのVITAの感触を確かめていた。
昨年までのウエットでのタイムと比較すると、確実に縮められている。ドライ・ウエットにかか
わらず、マシンコントロールの幅が広がっていることがわかる。

練習走行結果
佐藤 元春: 1’38.978

<DAY2> 8月16日(木) 練習走行

この日も天候は雨。しかも前日にも増して雨脚は強まっている。マシンコントロールがよりシビ
アになるとともに、オープントップのレーシングカーであるVITAには酷な天候が続く。
前日同様に早い時間からのコースインにて天候を見ながら走行開始としたものの、さすがに
ヘビーウエット路面ではまともに走ることができず、この日は17周で走行を中止した。

練習走行結果
佐藤 元春: 1’49.879

<DAY3> 8月17日(金) 練習走行

この日からは石崎も合流し、練習に挑む。天候はようやく持ち直し、曇り。路面はドライ。気温は
16.6℃で湿度60%。この週末は TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceも併催され、17日はその
練習走行枠も組み込まれる。VITAの走行枠は午後からの2本のみとなる。

 

今回先んじて持ち込んだマシンは310号機と610号機。佐藤・石崎両ドライバーで双方をドライブ
した。セッティングが異なる2台ではあるが、二人ともVITAの動きをよく掴んでおり、どちらの
マシンでも大幅なタイム差はない。

2本目からは水温も上昇して適正値となり、タイムアップしていた。それでもやはり普段乗り慣れ
ている方がタイムの出しやすさに繋がったのか、610号機では佐藤が、310号機では石崎が速い
タイムをマークしていた。

練習走行結果
佐藤 元春 : 1’34.773
石崎 竜一朗: 1’35.205

<DAY4> 8月18日(土) 公式特別スポーツ走行(30分間×3本)

公式練習日を迎える。設定される走行枠はいつも同様に3本。天候は晴れ。気温は21.4℃。
湿度50%台。路面はドライ。
佐藤はこの日、310号機に610号のカウルを換装し、コースイン。前日もドライブしているが、
「面白いセッティング」と感触は良好。まだオーバーに振ってもいける。但し直線は伸びないと
本人。
そして310号の外装を纏った610号機には石崎が搭乗。最初の走行枠では「新品タイヤで食わない」
と手探りでの走行であった。また、4速に入れるときに異音と抵抗があり、いくら丁寧にシフト
しても鳴るとのことで、壊れるのではないかというプレッシャーとの戦いを強いられた。
それでも堅実に1分34秒台をマークしてくるあたりはさすがである。
712号機の中川は、コーナー進入は良いが、スロットル開けたと同時に強いアンダーステアが出る
とのこと。2枠目以降はリアのダンパーを5段硬くして臨む。
777号機を駆る大島良平は、事前にメカニックの熊崎との打ち合わせの上、セッティングを変更
してコースイン。しかし今ひとつプッシュアンダーが消えず、なかなか思うようにタイムが詰め
られない。結果、1分35秒2で頭打ちとなった。悩みながら走り続けていた大島良平であったが、
3本目に4人中唯一タイムを更新。レース当日に向けてよい流れを掴みかけていた。

練習走行結果
佐藤 元春 : 1’34.015
石崎 竜一朗: 1’34.817
中川 隆吾 : 1’35.273
大島 良平 : 1’35.192

<DAY5> 8月19日
予選(9:15~9:35)

天候は曇り。予選前は気温18度、湿度70%。アタックラップ2周目、まず初めに大島良平が
1分33秒台をマーク。その後間髪入れず佐藤も33秒台に叩き込む。続いて石崎が33秒台フラット
でトップタイム。気候的には決してコンディション良好とはいえないが、各ドライバーから
いつもよりタイヤがグリップするとのインプレッションが聞かれた。

各車のタイムアップの背景として、この日併催された86/BRZレースが絡んでいることが関係して
いたのではないかと考えられる。同日に本戦を迎えており、予選走行でコース上に各車のタイヤの
ラバーがのったことで、グリップが増したコースが形成されたと思われる。このレースは車両自体
に差がなく、タイヤ性能が如実に現れる競技だけに、各タイヤメーカーがしのぎを削っている。
それ故にアスファルトに刻まれたラバーもまた強烈にグリップを発揮し、クラブマンカップを走る
車両に大いなる恩恵をもたらしてくれた。最終的に石崎がポールポジションを獲得。佐藤が
2番手で、Koshido Racingがフロントローを独占した。

中川もブレーキングやコーナリングでは躍進を見せるが、ストレートスピードが伸びなかった。
水温63度と低く、本来のエンジンパワーが引き出せていなかったようである。それもそのはず、
予選走行終了後にラジエターのエアインテーク部分が破損していることが判明。VITAは走行風を
まともに受けると、ラジエターにあたる風量が増えてオーバークールになってしまうため、真夏
でもテープ等でマスキングをして調整している。中川の712号機はこの部分の破損によりマスキ
ングの効果が薄れ、ローパワーの状態での走行続けていた。途中普段使わない2速なども使いなが
ら水温上昇を試みたようであったが、状況は改善せず34秒台に留まった。

 

予選結果
佐藤 元春 : 1’33.248
石崎 竜一朗: 1’33.074
中川 隆吾 : 1’34.427
大島 良平 : 1’33.536

 

~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~

佐藤 元春
「自分なりにうまく決めることができた。昨日からリアタイヤの荷重をしっかり意識して練習
して来た。それに合わせたセッティングとし、自分の乗り方も上手くマッチングしたこと予選
の結果を出すことができた。 決勝はチームメイトとのバトルにもなると思うが、トップを目指
して頑張りたい」。

石崎 竜一朗
「路面コンディションが良く、コーナリングスピードが伸びた。その分エンジンの良さを使えた
ことがタイムにつながったと思う。しかしまだ100%の走りではなく、まだまだ伸び代はあるの
で、決勝はその伸び代を生かしてトップで帰ってきたいと思う」。

中川 隆吾
「マシンセッティングはいい方向にきており、前日より乗りやすくなったが、まだ少し減衰を
調整する必要がある。 フロントのインテーク破損により水温が上がらず、パワーがまったく
出ていない。ストレートで前走車のスリップに入っても置いていかれる。それが直れば33秒台
は固いと思う」。

大島 良平
「セッティングが自分に合っている。向きが変わるようになり、コーナリング中の我慢の時間
(空走時間)が減った。昨日に比べて特に上手く走れているという感覚はないが、車速は伸びる。
その分ブレーキングポイントが決まりやすくなったのかもしれない」。

このレースウィークは86/BRZレースとの併催であるが、Koshido Racingのアドバイザーである
平中克幸選手もシリーズ参戦しており、 プロ同士のしのぎを削る争いが観客を魅了した。

VITZレースには清水宏保選手も参戦しており、ピットに訪問された。Koshido Racingの雰囲気も
ひときわ賑やかになる。

決勝(13:30~、12LAP)

予選での好ポジションに胸を躍らせていたのも束の間。決勝コースイン時刻が迫る。
どのレースにおいても同じであるが、ドライバー・エンジニア・メカニック・スタッフ皆が緊張の
面持ちで迎えるこの時間。


決勝コースイン。メカニックやスタッフが真剣な眼差しで各車を見守る。

各車がコースインし始めると同時に、雨がパラパラと落ち始める。公式練習から予選までドライ
路面が維持されていた中での急なコンディションの変化に、関係者たちの不安がよぎる。完全な
ウエット路面に移行しそうな雨の強さではないが、マシンコントロールがシビアになることは
十分に予想できる。そのような中、エンジニアの熊崎より中川にブレーキバランスについてアド
バイスがとぶ。しかし、どの程度の調整幅とするかは本人の感覚次第。これまでの走行経験を
もとに、中川はVITAに備え付けられているバランサーに手をかける。

各車グリッドにつく。佐藤のもとに平中選手も駆けつけてくれた。そして波乱が予想される決勝
レースが幕を開ける。


スタート前の佐藤に、平中選手よりエールが贈られる


決勝前、エンジニアよりアドバイスを受ける中川。

フロントローの2台はいずれもスタートが決まらず、それぞれポジションを2つずつ落とす。路面は
濡れはじめの状態でμが低下。さらに縁石にのると一気に姿勢変化を招いてしまう。

スタートで若干出遅れた佐藤は1周目の2コーナーでイン側についていたものの、アウト側より前を
しめられ、内側にコースアウト。その間に1台にパスされる。その後も6コーナーでアウト側に押し
出され、接触を避けたい一心で後退を余儀なくされる。常に自分の車両を大切に扱う佐藤。他車の
ブロックを前に自分のラインを守れず、そこでリズムを崩し、そのまま失速していく。予選までに
組み立てた自らの走りと詰めてきたセッティングが、スタート直前の雨で裏目に出ていた。
スピン車両の回避や自らもスピンを喫し、7~8位に後退し、最終的に9位でチェッカーを受ける
こととなった。

同じくスタートでライバルの先行を許した石崎は、1周目から#88 OPTech☆東北海道ヤナセの
坂野選手と競り合い、2位のポジションを奪い合う。


坂野・鬼塚両選手をおさえ、前に出る石崎。

ブレーキングでは度々肉薄し、特に1コーナー進入では強烈に間合いを詰め、プレッシャーを与え
続けた。 5周目の1コーナー脱出後にインに並びかけた石崎は、2コーナーで前へ。滑りやすい
路面でも車体を安定させ、その後も前との差を徐々に詰めていく。しかしここで前日練習走行時
から出現していたミッショントラブルが顔をのぞかせる。4速への入れづらさがあり、シフト
アップにもたつく。その影響を受け、トップのさくら眼科十勝スクール 今野選手にストレートで
離される。それでもインフィールドでは空いた差を詰め、チャンスをうかがう。
そんな石崎の懸命な走りとは裏腹に状況はますます悪化。4速へのシフトが困難となってゆく。
最後まで前との距離を詰めていったが届かず、2位でチェッカーを受けた。

予選で5位につけた大島良平は、スタート自体は上手く決めたものの、直後のシフトミスにより
一気に3台に抜かれてしまう。また、1周目の最終コーナーにて雨に濡れたアウト側の縁石に足を
すくわれスピン。最後尾まで順位を落としてしまう。幸いコース内にとどまったためすぐに
復帰し、前走車の追走にかかった。
他車も低μ路に悪戦苦闘しており、前との差はそれほど開いていない。2周目の2コーナーで1台を
パスし、その後も慎重にマシンを走らせる。挙動はシビアで少しでもラフな操作をすると狙った
ラインから外れてしまう。5周目くらいより路面が乾燥し始め、各コーナーの縁石にのっても挙動
を乱すことはなくなった。6周目には前を行く1台がスピンし、さらにポジションを1つ上げる。
残り周回は同じくスピンでポジションを下げた#88の坂野選手に追いつき、バトルが続いた。
しかし抜くまでには至らない。
10周目、再び前走車の1台がスピンを喫している間に前に出てポジションを7位とし、チェッカー
を受けた。

予選をマシントラブルで振るわぬ結果に終わった中川は、決勝レースで健闘をみせる。元々雨に
対して苦手意識のない中川であるが、決勝直前に降った雨に期待を寄せていた。
スタートできれいにトラクションを掛け、上手く車速をのせる。しかし走行ラインを塞がれ、
その間に1台の先行を許した。その後はチームメイトのスピンによりポジションを元に戻す。
周りが滑る路面に挙動を乱す中、中川はきれいにマシン姿勢を保ち、安定したラップを重ねて
いく。ここは出走直前の熊崎のアドバイスの結果が如実に現れる結果となった。3周目には
1コーナーで1台パスし、ポジションを7位にアップ。その後、#3さくら眼科☆OWLwithRS-α01
の古井戸竜一選手と数周にわたり6位をかけて好バトルを演じる。


#3 古井戸竜一選手にコーナー進入で肉薄する中川。

6周目に他車のスピンでポジションをさらにひとつ上げ、7周目からは3周にわたる#61HDC日本平
中自動車の平中繁延選手とのバトルを制し、5位でレースを終えた。

全体を振り返ると、エースドライバーである佐藤の失速や予選時の712号機のトラブルなど、天候
とマシンコンディションに大きく左右される結果となった。石崎の2位表彰台や中川の決勝での
ポジションアップという結果も踏まえると、ここは強みでもあり、今後の課題とすべきところ
でもある。これからのそれぞれの走り込みと各マシンのメンテナンスを万全にしていくことで、
結果を確実なものとしていかなくてはならない。


2位表彰台を獲得した#310 石崎竜一朗。

~レース後、チームオーナーコメント~

レースは決勝の結果がすべてであり、自分としては大変不甲斐ないリザルトで、サポートしてくだ
さった皆様、スポンサー各位、担当してくださったメカニックの皆様に大変申し訳ない気持ちで
いっぱいです。
第2戦の走りがいろいろな意味でうまくいかなかったので、今回はそれを払拭すべく徹底的に練習
しました。自分の走り方を進化させること、またその進化に伴ったセッティングをするという、
この二点を意識してレースウィークを過ごしました。その結果が予選2位という結果につながった
のは非常に嬉しく思います。しかし、決勝のスタートで出遅れ2台の車に先行を許したこと、
バトル中に自分のラインを確保できずに納得いく走りができなかったこと、スピンした車両を
交わすときにアクセルを緩めてしまったこと、それがすべて1ラップ目に起きてしまい、悪い流れ
を引き寄せてしまったことが大きな敗因であると考えます。
予選で一発のタイムを出すことはある程度できるようになってきたので、あとは安定した決勝の
スタート、そして自分のレーシングラインをできる限り確保できるよう意図的に走ること、
これらを意識して次の耐久戦および最終戦を、優勝目指して頑張りたいと思います。

Koshido Racing 佐藤 元春

2018.08.29 WAKO’S cup Rd.2 SUN耐 7時間耐久 RACE REPORT

WAKO’S cup Rd.2 SUN耐 7時間耐久

開催日時:2018年8月5日(日)

開催地:十勝スピードウェイ(北海道)

ドライバー:佐藤 元春、常松 巧、市川 篤
中川 隆吾、石崎 竜一朗、大島 良平

マシン:Koshido Racing Lair DC5(インテグラ タイプR)
Koshido Racing FD3S(RX-7) ※慣らし運転

参戦クラス:25VTECクラス(DC5)
6スタンダードクラス(FD3S)

天候:予選/曇り、決勝/曇り

路面:予選/ハーフウエット、決勝/ドライ

予選(DC5):4/47位(佐藤 元春)   決勝3/47位

 

 

8月に入り、暑さがより厳しくなる中、第1日曜日に耐久シリーズの第2戦であるWako’s SUN耐
7時間耐久レースが十勝スピードウェイにて開催された。

コースは普段ほとんど使われないグランプリコース。とは言っても、いつも走っているクラブ
マンコースに1周1,700mのジュニアコースを合わせて構成されるものである。この二つのコース
が組み合わせられることによって一周は5100mに及び、国内サーキットでは最長の部類に並ぶ。
クラブマンコースとジュニアコースの繋ぎの区間では走り慣れないコーナーも出現するため、
また新たな攻略が必要となるコースである。
今回のエントリー車両は、Lair Factory関川氏によって仕上げられた元S耐車両のDC5と、GNR
RacingによってセッティングされたフルチューンのFD3S。後者はエンジン換装後ほとんど走行
していない状態であるため、今回のレースは慣らし運転が基本となる。

ドライバーラインナップは、Koshido Racingチームオーナー兼エースドライバーである佐藤を
筆頭に、昨年11月のSUN耐でも一緒に戦った常松、恒志堂車両初乗りとなる市川がDC5を担当。
一方の慣らし運転FD3SはKoshido Racingレギュラードライバーの中川、VITA戦のゲストドライ
バーである石崎と大島良平が担当した。


慣らし運転担当のドライバー3名。左から石崎、中川、大島良平

 

<DAY1> 8月4日(土) 練習走行

7月末からの酷暑続きの気候とは打って変わり、この日の気温は22.5℃。時に肌寒さすら感じる。

昨年11月の耐久レースではガス欠とミッショントラブルに見舞われたDC5。練習走行1本目は市川
が走行。まずはLair Factory関川氏よりマシンの特性と注意点について説明を受け、久々のサー
キット走行に身体を慣らすべくピットアウト。初乗りとなるDC5の動きをみつつ、3速の保護と
燃費重視で設けたエンジン回転制限を守りながら徐々にペースを上げる。車は非常に扱いやすく、
デファレンシャルのおかげでグイグイ曲がる。元々S耐車両ということで、他チームの同車種より
100kgほど重いが、それを感じさせない動きに関川氏のセッティングの懐の深さを感じつつ、
周回を重ねていった。


Lair Factory関川氏よりアドバイスを受ける市川。

 

次は佐藤がコースイン。昨年秋の510㎞耐久レースで乗った感覚を取り戻すべく、マシンの調子を
みながら走らせていく。コースイン後の数ラップを様子見に使い、一旦ピットストップ。タイヤ
を変えて再びコースインする。練習走行の傍ら、翌日の決勝で使用するタイヤの熱入れも並行
して行っているこの日の走行。皮むきの終わっていない新品タイヤや中古タイヤを入り交えての
走行となったが、以後すべて2分26~27秒台にてコンスタントに周回を重ねていく。コンディ
ションが変化する中でのこの安定した走りは、エースドライバーならではといえよう。
佐藤に次いでは、こちらも昨年の耐久レース以来のDC5ドライブとなる常松がコースイン。
しかし給油の指示がうまく伝わっておらず、アウトラップからガス欠症状が頻発。数周我慢の
走りを続けたのち、給油を完了して再びコースへ。以前のレポートでも記載しているが、常松は
元々十勝スピードウェイのFRレコードホルダーである。車両がFFに変わってもその定評ある
マシンコントロール精度に変わりはない。佐藤に次ぐ2分26秒台のタイムを連発し、その速さを
見せつけた。

一方のGNR Racing慣らしFD3Sは中川・石崎・大島良平が順当に周回を重ね、この日トータル
28周、距離にして約143kmを走行した。3500回転縛りで最高速は90km/h足らずであるが、元々
のポテンシャルの高さでコーナーリングスピードは非常にレベルの高いところにある。ヘアピン等
の低速コーナーでは、通常アタックしている車両に肉薄する姿が度々見受けられた。

 

本来であればもっと走行距離を伸ばせていたはずであったが、低回転縛りに伴うリスクか、プラ
グの燃料かぶりにより急遽ピットイン。この日はそのまま走行を終えることとなった。

練習走行結果

佐藤 元春: 2’26.021

常松 巧 : 2’26.887

市川 篤 : 2’27.660

 

<DAY2> 8月5日(日)

予選(9:00~9:45)

この日の天候は前日に続く曇りで気温は18.2℃。連日の肌寒い気候となった。
湿度は67%で路面は間もなくドライに移行しそうな様相を呈しているが、予選開始時点では
ハーフウェットからのスタートとなった。SUN耐の予選はフリー走行も兼ねており、各チームの
全ドライバーが交代で乗らなくてはならない。
最初にコースインしたのは市川。前日とは異なる路面コンディションのうえ、47台が一気に
コース上に出たため、慎重にマシンを走らせる。クリアラップが全くとれぬまま3分を回るタイ
ムで周回し、タイヤに軽く熱を入れ2周でピットイン。早々に常松にステアリングを託す。
常松の走行枠でもコース上の混雑状況は変わらない。路面はレコードラインのみ乾いてきている。
常松も2周の走行であったが、他車を巧みにパスし、うち1周を2分28秒2までタイムを詰め、
予選ラストドライバーの佐藤へ。
予選残り時間も少なくなる中、佐藤はアグレッシヴに攻め続ける。アウトラップを終え、次の
アタックラップで2分26秒台をマークすると、次ぐ3周目には2分25秒台を記録。前日の練習走行
より悪条件ばかり揃う中で、しっかりとタイムを更新した。その後は他車に阻まれてタイムを
落としたが、最終的に総合4位の好記録を収めた。
因みにFD3Sは変わらずこの日も慣らし運転に徹していた。それでも予選では5台をおさえ、
42位につけていた。

予選結果

2’25.613(ドライバー:佐藤 元春)

決勝(11:01スタート)

天候は変わらず曇りであるが、路面コンディションはドライが維持されている。湿度は70%と
高めであるが、気温は17.9℃と長丁場を戦うドライバーには優しい気候の中、7時間の幕が開か
れる。今回ドリンクとクールスーツを導入し、熱中症対策は万全を期した。
スタートはローリング形式。スターティングドライバーは佐藤が担当した。メカニックや
スタッフが固唾を呑んで見守る中、セーフティーカーが先導を終えてピットロードへ。緊張感の
高まりとともにグリーンシグナルを待つが、動きがない。そのままシグナルが変わることなく、
スロー走行でスタートラインを超えていく各車。シグナルの不調である。結局仕切り直しとなり、
各車グリッドに整列しなおす。
予定時刻を少し遅れてスタート。グリーンシグナル点灯とともに一斉に咆哮を上げるマシンたち。
どのレースでも同様であるが、スタート直後は各車ライン取りに苦労する。それでも大きな混乱
はなく1コーナーをクリアし、順当にレースは進んでいく。

佐藤は2分25秒台と、予選と変わらぬペースで周回する。コース内には47台ものマシンが混走
しており、グランプリコースといえど決して走りやすいわけではない。そのような中、バック
マーカーを上手く処理し、安定したラップタイムを刻み続ける。スタートから21周を消化し、
セカンドドライバーの市川に交代。
市川はレース経験が浅く、混走には慎重な姿勢。長いレースであり、とにかく接触やマシントラ
ブルを避けるべく走行を続けた。特に昨年11月の耐久でミッショントラブルにより3速を失って
苦戦したという話を受け、7時間を無事に走り切れるよう慎重なシフトを心掛ける。それでも
安定して向きが変えられ、デファレンシャルのおかげで立ち上がりもアンダーステアとは無縁な
DC5に助けられながら、本レースウィークでのベストタイムを1秒ほど更新。予定では20周程度
走行してドライバー交代となっていたが、無線とサインボードのやりとりによって生じた誤解か
ら11周でピットイン。給油を済ませ、サードドライバーの常松へとチェンジする。

佐藤同様、昨年11月に同じマシンで耐久を戦っている常松。その走りは安定を極めていた。前戦
でのガス欠とミッショントラブルにより悔しさを滲ませていた常松は、とにかく車に負荷をかけ
ないよう丁寧に走らせる。しかしこのスティントもまた、コース内は大混雑。バックマーカーを
交わしながらの走行を強いられ続けていた。それでも大幅にペースを落とすことなく、給油により
総合17位まで下がった順位を元の5位まで戻し、24周で佐藤にドライバーチェンジ。
佐藤は1スティント目同様か、それ以上のペースで周回。ベストは予選タイムを上回った。決して
クリアではないコース状況の中で、どのラップも大幅にペースダウンすることなくまとめ上げる。
本スティント開始時に5周あったトップとの差は3周となり15周回で順位を4位に押し上げた。

給油を済ませ、市川にドライバーチェンジ。マシンに慣れてきたためか、1スティント目より各周
のラップタイムのばらつきは少なくなっていた。マシンはトラブルなく、依然として良好な操作
性に安心して周回を重ねる。給油の間に5周回差で5位となったが、15周のスティントで再び4周回
差に戻した。
次は佐藤の本レース最後のスティント。順当に給油を済ませてコースイン。ここではピットイン
による順位変動はなし。レース後半に突入し、マシンも人間も消耗した状態であったが、佐藤は
さらなるハイペースで周回を重ね、ベストタイムを更新。2分24秒台に叩き込む。その最中、
トップのアクアCBシビックが70Rにてクラッシュするというアクシデントにて114周でレースを
終え、これにより順位は3位に繰り上げられた。
昨年ガス欠に泣いたSUN耐。今回それだけは避けたいという思いで給油を予定していたところ、
レッドクロスにて全車スローダウン。幸運にもこのタイミングでちょうど給油に入ることが
できた。順位は落ちたが5位までで食い止められ、最終ドライバーの常松に交代する。

給油にて安全マージンを得たことで、最終スティントはエンジン回転数縛りを解除。DC5本来の
パワーが解き放たれる。前スティントに比べ、全体的に1~2秒早いペースで周回する常松。マシン
も労わりつつ、万全な状態での完走を目指してひた走る。ゴールの時間が刻一刻と迫る中、堅実
な走りで順位をキープ。懸念されたミッショントラブルにも見舞われることなく、無事に140周を
走破し、総合3位で7時間のチェッカーを受けた。

慣らし走行に徹していたRX-7は、この日トラブルなく7時間を完走。112周回にて総合29位で無事
にチェッカーを受けた。ロータリーエンジンながらあくまでも慣らしとして走行し続けていた
結果、燃費がよかったこと、またストレート区間ではゆっくりでありつつもコーナリングは
非常に高いアベレージスピードを保っていたことが大きな要因になったと考えられる。因みに
クラス別では一台のみのエントリーであったため、必然的にクラス優勝となった。


~レース後、チームオーナーコメント~
まずは、メンテナンスを担当してくださったLair Factory関川さん、サポートしてくださった皆様、
ありがとうございました。安心して車に乗ることができ、無事に完走することができました。
順位は3位表彰台という結果で、自分としては立派な結果であると考えてはおりますが、本心と
してはやはり頂点に立ちたかったという思いがあります。 そのためにはより緻密な燃費計算や
ピット作業を煮詰めていかなければならないということを痛感したレースでした。
自身の走りについては、自分のスティントで多々あったオーバーテイクシーンで、クリアであって
もそうでなくてもできる限りタイム差が出ないように走ることを意識して走行しました。コンス
タントにラップを刻むことができたのは自分の大きな成長のひとつであると思います。次回は
11月にも耐久レースがあるので、そこでは総合優勝目指し、皆で力を合わせて臨みたいと思います。

Koshido Racing 佐藤 元春

 

 

 

2018.08.25 北海道クラブマンカップレース2018 Rd.2 VITA-01 RACE REPORT

北海道クラブマンカップレースRd.2 VITA-01

開催日時:2018年7月22日(日)

開催地:十勝スピードウェイ(北海道)

ドライバー:佐藤 元春(#610)、石崎 竜一朗 (#310)、竹谷 和浩 (#712)、
大島 良平(#777)

マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機、310号機、712号機、777号機

参戦クラス:北海道クラブマンカップレース (VITA-01クラス)

天候:予選/晴れ、決勝/晴れ

路面:予選/ドライ、決勝/ドライ

佐藤 元春  予選:8/16位 決勝8/16位
石崎 竜一朗  予選:6/16位 決勝5/16位
竹谷 和浩  予選:9/16位 決勝:7/16位
大島 良平   予選:7/16位 決勝:9/16位

 

初夏の肌寒い日々も過ぎ、北海道はいよいよ本格的な夏季シーズンを迎えた。
今回の北海道クラブマンカップ第2戦は、そんな真夏の酷暑の中で開催された。

今年より4台体制で参戦しているKoshido Racingであるが、310号車のドライバーである大島
雄一郎が前戦に引き続き参戦できず、今回は石崎竜一朗を登用した。
石崎は昨年からレースを始めたルーキーではあるが、今シーズンはスーパーFJの富士シリーズと
茂木シリーズにスポット参戦している。富士シリーズは2戦2勝、茂木シリーズは2戦で2位・3位
それぞれ1回ずつという経歴で、今後が期待される存在である。

                      310号車をドライブする石崎竜一朗。今後の活躍が期待される。

610号車にはいつも通りチームオーナーの佐藤元春、712号車は前戦同様、竹谷和浩が搭乗。
777号にはデビュー2戦目となる大島良平がドライブ。

<DAY1> 7月20日(金)練習走行

佐藤は第1戦の時と同様に公式練習の前日から十勝入りし、マシンセッティング及び練習走行に
励む。今回はまだVITAに慣れていない石崎も同行し、共に練習走行に臨んだ。

この日の走行は13:30からの3枠。天候は晴れだが、昼過ぎということもあり、気温は27度前後で
空気もやや重め。コンディションとしては決して良好とはいえない。
第1戦の練習の際、佐藤はベストで1分32秒台をマークしていたが、この日は40周回し、1分35秒
台後半にとどまる。一方で石崎は、45周する中でVITAの特性を掴み始める。最終的に初回の練習
走行から順調にタイムを縮め、1分35秒台前半まで詰めた。双方、大きなトラブルもなく、練習
走行を終えた。

徐々にVITAに慣れ、思い描いたラインをトレースすべく奮闘する石崎。

 

練習走行結果

佐藤 元春: 1’35.902
石崎 竜一朗: 1’35.288

 

<DAY2> 7月21日(土) 公式特別スポーツ走行(30分間×3本)

この日設定された走行枠は3本。午前中より雲が広がっている。更別の午後は太陽が出てきてい
たが、前日同様空気が重く、湿度68%で気温は28℃。路面はドライ。
今回はメカニック4名体制でサポートスタッフは6名。蒸し暑い中、各々が淡々と準備を進めて
いく。

路温は太陽の熱を吸収し、上昇し続けている。タイヤにもエンジンにもドライバーにも過酷なコン
ディションへと変わっていった。
1本目、石崎が唯一の1分34秒台をマーク。それに続く形で佐藤が1分35秒1、竹谷・大島良平は
1分35秒6。今回2戦目となる大島良平は、佐藤や竹谷の走りやアドバイスを参考に自らの課題を
あげ、それをクリアするべく走行データを解析しながら練習に挑んでいた。コーナー進入のブレー
キリリースを丁寧にすることで、タイヤグリップの縦横比をうまく使うことを意識しながらVITAを
走らせる。しかし、上手く走れている感じはあっても決定的なものは掴めていないという本人の
感触。「上手く走れたと思っていても、単にそれは車速が落ちてきれいなライン取りで曲がれて
いるだけだった」と振り返る。


ロガーデータはドライビングの良し悪しをはっきり映し出してくれる。特にタイヤの使い方を筆頭
に、VITAの走らせ方は実に奥深いものがある。今回777号車を担当するメカニックの熊崎より、
車にどんどんリクエストしないとセッティングの方向性が出てこない。積極的に問いかけていって
ほしいとアドバイスを受け、リアの減衰を調整し、その後に挑んだ。

風はあり、体感上やや涼しげに感じるが、気温はさらに上昇している。一時は70%を超える高湿度
にさらされる中、最終枠はN- ONEやVitzとの混走となる。

改めて外から見比べてみると、VITAとN-ONEやVitzなどのいわゆるハコ車とのコーナリング
スピードの違いは歴然である。一つのコーナーの進入から立ち上がりまでの様子を見ていると、
容易に実感できる。

気温も路面温度も上昇する中、石崎・竹谷・大島良平は相次いでタイムを短縮してくる。唯一
佐藤は1本目のタイムがベストとなったが、自らの走りとセッティングがかみ合わないのか、迷走
している様子がうかがえた。

公式練習走行結果

佐藤 元春 :1’35.105
石崎 竜一朗:1’34.736
竹谷 和浩 :1’35.233
大島 良平 :1’35.391

 

<DAY3> 7月22日(日)

予選(9:50~10:10)

天候は曇り。気温は25.5℃。湿度72%。雲は更別上空から流れてなくなりそうな様相を見せている
が、前日以上に空気が重く感じる。

前日の走行データを入念にチェックし、予選の走りを組み立てる佐藤。

予選前の#610 佐藤 元春

石崎は前日の感触をもとに33秒台を狙う。ライン取りは定まってきたため、あとはVITAの特性に
合わせた走り方を模索するべくメカの藤巻にセッティングについて確認。走り方を再構築して
予選に臨む。

石崎は前日の練習走行でのタイムをコンマ1秒短縮し、1分34秒621。自身が思うようには詰められ
なかったが、チーム内ではトップタイムをマークした。

大島良平は、前日就寝前までデータを入念にチェックしていた成果か、石崎に次ぐタイムで
1分34秒657を記録。僅差でチーム二番手となった。急遽応援に駆けつけてくれた久保氏のアド
バイスと、予選前から課題に向き合う姿勢が結果として結びついている。

竹谷は終始安定した走りで、前日とほぼ同タイムにて予選を終えた。しかし、思い描いていた走り
はできていなかった様子。大きなミスこそないものの、ここ一番でタイムを伸ばす一手が打てず、
本人としては納得できていない。走行ラインを見る限り、コンマ1秒を削りにいく勢いが感じられ
る。決勝では堅実な走りとともに、いつもの竹谷らしい攻めの走りに期待が寄せられた。


左コーナーを限界まで攻める#712 竹谷 和浩

佐藤は前戦のポールポジション獲得時の好調に陰りが生じており、タイムはわずかに短縮したも
のの、伸びが今ひとつ。チーム内では3番手、全体では8番手に甘んじる結果となった。上手く
マッチしない610号車との溝を組めるべく、最後まで自身の走りに向き合い、現状でできる打開策
を考える。

予選結果

佐藤 元春 :1’35.078
石崎 竜一朗:1’34.621
竹谷 和浩 :1’35.225
大島 良平 :1’34.657

一方ライバル勢は、61号車のHDC日本平中自動車の平中選手がエントリー中で唯一1分33秒台を
叩き出し、ポールポジションを獲得。第1戦優勝の88号車 OPTech☆東北海道ヤナセの坂野選手も
それに次ぐ1分34秒フラットを記録し、予選2位につけた。
今回ライバル勢は33秒台から34秒台前半に集中し、激戦が予想される。

 

~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~

佐藤 元春
「練習からいろいろと試行錯誤の連続。迷いがそのまま予選に出てしまった。決勝までに車載
動画で振り返りをしながら、冷静に本来の走りができるように整えたい」。

石崎 竜一朗
「全体的に昨日、一昨日よりも路面温度が低いのでタイヤグリップの感触は良い。しかしステア
リングもブレーキもまだ改善の余地はあり、決勝では意識的に詰めていく」。

竹谷 和浩
「ストレートが遅い。水温(冷却水温度)が低すぎたか。インフィールドはそこそこ上手くまと
められたが、ストレートで帳消しになる感じ。1コーナーの景色がいつもと違う」。

大島 良平
「左コーナーに課題が残るが、デジスパイスのデータを基に修正をかけてきた。これまでは
自覚できるほど4・5コーナーが遅かったが、いろいろとアドバイスを受けてようやく立ち上がり
のスピードものるようになってきた。決勝では堅実に予選順位以上を目指して走りたい」。

 

決勝(14:55~、12LAP)

第1戦同様、レーシングアクシデントにて時間がずれ込み、数十分遅れてのコースインとなった。
気温・路面温度ともに予選時より上昇しており、水温管理に悩む監督とメカニック。

スタート前、いつも通りチームオーナーの佐藤がKoshodo Racingの他3名のVITAに歩み寄る。
互いの無事と健闘を約束すべく声をかけ、がっちりと握手を交わす。
一度コースに出てしまえばライバル同士ではあるが、チーム内での結束は強い。

悔いなく戦うべく互いの意識を高め合う。レースの度に見られるKoshido Racingの儀式である

グリッドに整列したマシンたちは各車きれいにスタートを決めた。本レース最初の1コーナーへは
皆、慎重に飛び込んでいく。VITAもSAURUS Jr.もトラブルなくレースが展開されていく。

佐藤の610号車はスタートでやや失速気味。また他車に比べて向きが変えにくいためか、いつも
より立ち上がりのスロットルを開け始めるポイントが遅い。随所でいつもより一段低いギアを
選択し、前走車についていこうと試みるが、コーナーひとつ抜けるごとに少しずつ間を空けられ
る。レース後半の1コーナーでは、竹谷のインを刺そうと試みるも追い切れず引く場面もあった。
竹谷も後ろを確認しつつ、クリーンなラインで好バトルを見せている。今回佐藤はセッティングが
的中しなかったのか、本レースウィーク全体的に乗れている印象がない。
一方、竹谷は絶妙にスタートを決め、最終コーナー立ち上がりの姿勢もよく、ストレートへも
上手くマシンを前に進めている印象。時期的な要素もあるため車速はそれほど伸びないが、
アグレッシヴにインをうかがいつつ、一周一周をスムーズな走りで繋いでいく。チーム内の他の
VITAに比べてオーバー気味のセッティングであるが、向きが変わらずアクセルオンを待つ佐藤に
対し、立ち上がりはスムーズである。前回の接触で接近戦への苦手意識を吐露していたが、それを
微塵も感じさせないバトルを展開した。


数周目以降は皆ライン取りがシビアになっていく。各コーナーのクリップや立ち上がりでところ
どころ土煙が上がっていた。今回、予選で好調の#61 HDC日本平中自動車の平中選手は、決勝で
は今ひとつマシンに乗れていない印象であった。トラブルを抱えており、特に左コーナーでライ
バル達と比べて明らかに車速が落ちる姿が度々みられており、苦戦している様子が垣間見えた。


普段から安定して速い平中選手の今回の状況から、予選から決勝までトータルで速く走れるコン
ディションをつくることは容易ではないということがわかる。
石崎はスタート直後、慎重に前後の間隔をうかがいながらポジションをキープするも、3周目の
1コーナー進入で竹谷に先行を許す。しかし、5周目の同じく1コーナーにて取り返す。一見すると
4名中最も地味なドライビングで、車載映像でも変化が少なく見えるが、コース幅はいっぱいに
使っており、無駄がないドライビング。挙動は終始安定しており、タイムロスにつながりそうな
動きはない。一、二度ミスはするものの、このあたりはさすが現役ドライバーである。7周目には
大島良平を抜いてチームトップに躍り出る。最後は単独5位でチェッカーを受けた。
大島良平は2周目の8コーナーで一時チーム内トップに躍り出る。マシンの動きもよく、きれいな
ラインをトレースしている。

その後も石崎とサイドバイサイド、テールトゥノーズの好バトルを展開。5周目、前で競り合う
平中選手と鬼塚選手の中に割って入る。6周目の後半で後方の石崎もバトルに加わり、サイドバイ
サイドに。7周目に突入した2コーナー立ち上がりで、大島良平が痛恨のコースアウト。その後の
4コーナーで自身のタイヤについた土に足を取られ、オーバーステアと格闘しているうちに後方の
竹谷に先行を許す。このオーバーステアを最終コーナーまで引きずり、最終コーナーの立ち上がり
で踏めない大島良平は、続く8周目のホームストレートでも佐藤に先行されてしまう。そのまま
9番手でのチェッカーとなった。

今回のレース自体は#11 さくら眼科十勝スクールVITAの今野選手や#3さくら眼科☆OWLwithRS-
a01の古井戸竜一選手、前回優勝の#88 OPTech☆東北海道ヤナセの坂野選手に完全に水をあけられ
る結果となった。チーム内では常に接戦が繰り広げられていたことから、各々のバトルに対する
経験値は大いに獲得できたと思われる。次戦に向けてまた一から出直す姿勢で、上位に食い込める
よう努力を重ねていきたい。

 

~レース後、チームオーナーコメント~

今回、予選・決勝ともに8位という結果を受け、敗因を考察した結果、車と自分の波長が合わな
かったということが原因の一つと考えています。第1戦の時の乗り味や結果がよかったため、その
まま惰性でセッティングしてしまったこと、つまり気温も湿度も路面状況も異なる状況でセッティ
ングに時間を割くことなく、不完全な状態で予選・決勝に挑んでしまったことが最も大きな要因で
あると思います。第1戦では走り込みに十分な時間をとり、メカニックとよく対話して車を仕上げ
たことが成果として表れていました。本来であれば一から車をつくり上げるくらいの気持ちで臨む
べきであったところを今回怠ってしまったことが大きな敗因であり、結果的に前も走れていたから
今回もどうかなるだろうという自分の油断と慢心が大きな差をもたらしたと痛感しています。

第3戦に向けてはより時間をかけて走り込み、車をつくり込んで頂点をとるべく走り込みを重ねて
いきたいと思います。

Koshido Racing 佐藤 元春

 

 

 

 

 

 

 

2018.08.23 Ferrari Racing Days Fuji 2018 RACE REPORT

Ferrari challenge Trofeo Pirelli APAC Rd.4

開催日時(RACE1):2018年6月30日(土)

開催日時(RACE2):2018年7月1日(日)

開催地:富士スピードウェイ(静岡)

ドライバー:佐藤 元春

マシン:Ferrari 488 challenge

参戦クラス:shell

天候:レース1~予選/曇り、決勝/曇り   レース2~予選/曇り、決勝/曇り

路面:レース1~予選/ドライ、決勝/ドライ  レース2~予選/ドライ、決勝/ドライ

レース1~予選:クラス6位/12台(全体11位/35台)

決勝:クラス8位/12台(全体14位/35台)

レース2~予選:クラス8位/13台(全体14位/34台)

決勝:クラス6位/12台(全体10位/34台)

 

 

フェラーリ本社が公式イベントとして世界各国で開催するFerrari Racing Days。そこにワンメイクレース・シリーズフェラーリ・チャレンジ・トロフェオ・ピレリ・アジアパシフィックの第4戦も併催された。今回のレースには39台が参戦。うち日本人ドライバーは過去最多となり、盛り上がりを見せた。

会場となる富士スピードウェイでは、F1チャンピオンシップを戦い抜いた歴代マシンたちのデモ走行や、ラ フェラーリをはじめ、日本へのフェラーリ正規輸入50周年記念で日本顧客のためだけに10台のみ生産が発表されたJ50の展示など、往年のスペシャルモデル達が彩りに華を添えていた。

F40からラ フェラーリまで、歴代スペチアーレが並ぶ

 

日本顧客向け限定10台の超希少なフェラーリJ50

 

今回のレースエントリー車両は納車されて間もない488 challenge。

これまでの恒志堂にはないイエローのカラーリングに、鮮やかなブルーのアクセントデカールによって装飾された車両にて挑む。

2018年の恒志堂の記念カラーになるであろう黄色が眩しい

 

DAY1> 628日(木) オープンプラクティス(50分間×1本、60分間×2本)

 

走行枠は3本。2週間前のFCRの際もウエットコンディションであったが、今回も富士スピードウェイはウエット路面からのスタートとなった。

幸い1本目の走行時間には雨は上がっており、路面は乾きかけている。

周りのチームにはスリックタイヤを選択するところも見受けられるが、まずは慣れる目的でレインを選ぶ佐藤。

ところが、いざ出走というところで赤旗によるコース閉鎖。練習走行枠1本目は1周もできずに終了してしまう。この間にスリックへの変更し、2本目の走行枠を待つ。

 

2本目は路面がほぼドライとなる。2周走行したのち、エアチェックのためピットイン。そこからアタックラップに突入する。

他チームはプロやセミプロが運転または同乗し、直接アドバイスを受ける中、佐藤は自らの経験とセンスを頼りに孤独に戦い続ける。

 

しかし、走行を重ねていく中でステアリングセンターがややずれていることが判明。我慢の走行を強いられる。

その上出走台数が34台と多く、クリアラップがとれぬまま時間が削られていく。

そのような中でも、途中クラス4番手(13台中)、全体では6番手につける佐藤。

クラスはpirelli・shell・shell amの3つに分かれており、佐藤は当初amからスタートと思われていたが、格上のshellクラスからのエントリーとなっている。

走り込みを続ける佐藤であったが、セクター3でのアンダーステアが強く、クルマの向きが変わらない。

このスティントは終始我慢の走りのまま終えることとなる。

走行後、セッティング変更についてエンジニアに相談、アライメント調整とブレーキパッド交換を終え、プラクティス3本目に備える。

因みに本イベントでサーキット入りしているドライバーやスタッフはほとんどが日本人以外であり、

邦人は2割程度。エンジニアとメカニックの会話はすべて英語で交わされている。Koshido Racing担当のメカニックはトニー氏。

佐藤も元々の英語講師としての能力をいかんなく発揮し、走行時の状況を克明に伝えていく。

トニー氏にクルマの動きについて説明する佐藤

3本目、最終コーナーにオイル漏れがあるが、大きな問題はなく全車ラップを重ねている。

後半雨がぱらついてきたが、路面はドライが維持されていた。
アライメント調整の効果か、回頭性は良くなっている。

 

オープンプラクティス走行結果

ベスト:1’45.285(プラクティス②)

DAY2> 629日(金) 

オープンプラクティス(60分間×2本)   フリープラクティス(45分間×2本)

 

オープンプラクティス1本目の走行直前に雨が降り始め、路面はセミウエット。当初10台程度での走行開始となったが、後半になるにつれ台数が増加していく。

3周目にピットインし、ニュータイヤへ交換。相変わらずクリアは取れない状況が続くが、コカ・コーラ及びダンロップ両コーナーでは確実に前との差を詰める佐藤。

タイムを1:45.724まで縮め、1本目を終了する。

 

2本目は雨が降ったりやんだりを繰り返しているが、路面はドライ。但し湿度は90%超えであり、エンジンの伸びは今ひとつのコンディション。

今回の走行枠からプロではなく、レースエントリーしているジェントルマンのみが出走。

佐藤はユーズドタイヤでの走行だが、一時クラストップのタイムを叩き出す。

レースにエントリーしているジェントルマンのみの走行では、一時クラストップに躍り出る。

 

フリープラクティスへと移り、1本目は4周でピットイン。ニュータイヤに交換し、その後タイムを1分44秒台まで詰める。

2本目はウエット路面となり、クラス2位のタイムで全プラクティスを終えた。
フリープラクティス走行結果

ベスト:1’ 44.857(プラクティス①)

DAY3> 630日(土)  RACE1 Trofeo Pirelli 

予選(12:10~ 30分間)

 

天候は曇りながらも、路面は乾いている。前日・前々日のプラクティスでの走行をもとに、この日のマシンの感触を確かめつつコースイン。

2周にわたって自身の身体とマシンを慣らし、ピットイン。タイヤの内圧を調整し、ここ一発のタイムを狙う。ターゲットは1分43秒台。

メカニックと状況を確認し、再コースイン。前走車との間合いは十分に取れている。

アタックラップ1周目、力が入る佐藤。コカ・コーラコーナーにてオーバーステアを誘発してしまい、痛恨のタイムロス。以後は前後をうまく調節し、クリアラップをつくる。

タイヤの摩耗を抑えつつ、次の周に照準を当てる。

2周目、TGRからコカ・コーラ、100Rと、きれいにまとめていく。アドバンコーナーの立ち上がりも上々で、300Rのスピードが乗る。

プラクティスではアンダーステアに悩まされたセクター3もきれいにまとめあげ、現時点でのベストラップをマーク。

ペースはそのままに、アタックラップ3周目。2周目同様、セクター2まできれいにマシンを走らせる。前周よりも速度はのっている。

セクター3に突入し、得意のダンロップコーナーでのブレーキング。前走車との間合いが一気に縮まる。

立ち上がりで挙動を安定させ、13コーナー、レクサスコーナーと順調につなげていき、残すところは最終コーナー。

この時、前走車との距離感としてはベスト。というのもその後に待ち受けるのは日本のサーキット最長といわれるホームストレート。

ここでスリップストリームをうまく使えばタイムはグンと伸びる、そんなイメージで突入した最終コーナー。しかし前走車が侵入でミスし、失速。

後ろについていた佐藤も余儀なく減速を強いられた。大きなチャンスをはらんでいる分、失敗したときの影響もまた多大であるのが最終コーナー。

ここでの失速は痛い。結局アタック2周目がベストとなり、全体11位、クラスは6番手で予選を終える。

この予選でのセクターベストをつなぐと1’44.379と、全クラス中でも上位に食い込めるタイムになることから、決勝での活躍が期待される。
予選タイム:1’44.801

決勝(15:00~ 30分間)

 

35台のフェラーリがホームストレートに並ぶその姿は圧巻である。佐藤は予選に使用したタイヤと同じもので挑む。

本レースはローリングスタートであるが、各車フォーメーションラップから既に所狭しとひしめいている。

シグナル点灯中から前走車より前に出ようとする車両もおり、スタート直後の混乱が容易にうかがえる。

シグナルブラックアウトで一斉に咆哮をあげる488 challenge達。各車スリーワイドないしフォーワイドで1コーナーに飛び込んでいく。

予想通りの大混雑に、外から見ているだけでも恐怖を覚える。佐藤は冷静に前後左右を見極め、隙間に飛び込み、走行ラインを確保。

その後3周にわたって至るところでバトルが繰り広げられていた。

スリップストリームを抜け、前に出てはイン側の狭い間隔に後ろから飛び込んでくるライバル達。全方向に視線を向け、神経をすり減らす周回が続く。
4周目、他車が絡み合い、セーフティーカーが入る。6周にわたってスロー走行が強いられ、10周目で解除。再スタート時点でレースは残り7分。

セーフティーカーが入る前と比べるとやや前後の間隔が空き、危なげな他車とのバトルも上手く避けながらゴールを目指す。

ジャンプスタート、黄旗追い越し、ライン潰しやこじ開けが横行する中、クラッシュは避けたいという思いのもと、

クリーンなレース運びで佐藤は全体14位、クラス別8位という結果で無事にチェッカーを受けた。

出走35台、うち完走29台という荒れたレースとなった。スタート前や黄旗区間での追い越しに関してはペナルティがとり切られていない状況であった。

DAY3> 71日(日)  RACE2 Trofeo Pirelli

予選(11:00~ 30分間)

前日同様曇りではあるが路面はドライコンディション。

エントリーは38台の予定であったが、実際に出走したのは35台。

各車一斉にアタックに入る…が、予選開始直後に赤旗。この日も波乱含みのレースを思わせる滑り出しである。

8分後にリスタート。早くも予選時間の3分の1を消化している。タイムリミットに向かう限られた中で、全車ベストタイムを狙いにいく。

少々台数が減っても依然として混み合っており、クリアラップ獲得が難しい状況。

前日の結果に対して悔しい思いが募る佐藤であったが、なかなか思うような走りができずにいた。

 

本イベントの初日に488 challengeへの初乗りとなった佐藤であるが、マシンへの順応性は高く、4日目のこの日は大きなミスをすることもなかった。

ここはVITAレースでの経験も大きく活きているものと推測される。

全体をきれいにまとめ、最終的に前日のベストのコンマ3落ちで走行。予選通過は全34台で、この日は14位、クラスでは8番手につけた。

予選タイム:1’45.113

 

 

決勝(13:45~ 30分間)

 

天候は午前中の曇りから少しずつ晴れ間がさしているといった状況。

34台のマシンがスタートに備え、各グリッドにつく。ゆっくりとフォーメーションラップがスタートし、各車ホームストレートに戻ってくる。

前日同様に大変な混雑状態。

シグナルブラックアウトで慎重に周囲を確認しつつ、スロットルを開ける佐藤。

1コーナーへはまたもスリーワイドで突入していく。自車の右側には既に2列の車列ができあがっている。

アウトから抜ける走行ラインを描き、イン側の車列をブロックすることなくクリーンに仕掛けるが、容赦なく外に押し出してくるライバル達。

コカ・コーラコーナーでも立ち上がりのラインを塞がれ、車速をのせられないまま100R へ。

富士でのフェラーリレーシングデイズも最終日とあってか、どのドライバーも血気盛んに仕掛けてくる。

オーバースピードでアドバンコーナーに突っ込み、曲がり切れずに飛び出していく車両を横目に、佐藤は慎重にコーナーを立ち上がる。

そして300Rを抜け、ダンロップコーナーへのブレーキングに差し掛かった時、矢のように後方から突っ込んでくる後続車を佐藤は見逃していなかった。

佐藤が目視していたそれは、明らかなオーバースピードで曲がり切ることなく前走車のひしめくコーナーに突っ込んでいく。右サイドに激しくヒットされた車両は成す術もなくコース外にはじき飛ばされてしまった。

あのまま通常通りブレーキングでコーナーに侵入していたら、間違いなくこちらも巻き込まれていただろう。
格式高いフェラーリチャレンジレースであるが、ことアジアパシフィック戦は無謀なドライビングをする選手が多いことから、前日然り完走するだけでもかなりの集中力を要する。佐藤はこのイベントの前からしっかりとリスクマネジメントをしてきた。その結果が如実に現れる形となった。

激しいクラッシュではあったが、ここではセーフティーカーが入ることなくレースは続行された。クラッシュを機に混み合っていた隊列がやや整理され、その後はラインをクロスしながら周囲とのクリーンなバトルを展開していく。得意のダンロップコーナー侵入では、ブレーキングで一気に前走車との間合いを詰める。
ホームストレートではスリップを使い、1コーナーで並びかけるが、ブレーキングで前に出るまでには至らずそのままセクター2へと突入。セクター3で再び差を詰め、またホームストレートで並びかけるというのを繰り返す。サポートスタッフは固唾を呑んで見守る中、好バトルが続く。

こういった展開が何周かにわたって続いた8周目、アドバンコーナー手前で他車同士のクラッシュが発生し、ここでセーフティーカーが入る。

4周にわたる先導走行ののち、12周目で解除。リスタートが切られる。

全車、すっかり間合いが縮まり、再び随所でバトルが繰り広げられていく。今度は大きな混乱もなくクリーンなレースが展開され、そのまま16周を走り切ってチェッカー。
クラス12台中6位、全体では34台中10位という成績となった。因みに日本人の中では2位。荒れたレースを上手くコントロールし、ドライバーも車両も無事に帰還した。
以上の結果でFerrari Racing Days 2018 Fujiは終わった。悔しい結果ではあるが、ドライバーである佐藤もサポートスタッフの面々もよい経験となったことは間違いない。

今回はマシンのセットアップが思うように詰められなかったことと、一部のエントリードライバーの無謀な走行により、無事に走り切ることがなにより難しいレースであった。

~レース後、ドライバーコメント~

今年初めてフェラーリチャレンジレースに出場するにあたって最も意識したことは、メカニックやエンジニアが丁寧に作りこんでくれた車を、きれいな状態のままレースを終えて戻したいというところが大前提としてありました。ジェントルマンドライバーとして走行するにあたり、マナーをしっかり守り、ルールに則ったうえで一つでも上に行けるよう意識してレースを組み立てました。
事前情報として危険な運転をするドライバーがいると聞いていましたが、プラクティスからレース1の予選・決勝、レース2も同様に、動画を見てもそういったドライバーが散見されました。

自分としてはジェントルマンドライバーの見本となるように、危険行為をせずにクリーンなバトルを楽しんで、その中で上位に食い込むというのがこのレースの醍醐味であったと考えています。

ただ、上位陣のレベルは非常に高く、日本人同士のバトルもクリーンで、実戦におけるスキルは向上できたことから、非常に有意義なレースであったと感じています。
プラクティスの時間が非常に長くとれたため、今回のレースが初乗りかつシェイクダウンではありましたが、しっかり体に馴染ませることができました。

プラクティスの中ではクラス2番手までのタイムを出せるようになったので、次回参戦するまでにしっかりセッティングを決めて、トレーニングを重ねることでクラス優勝、もしくは総合での表彰台も目指すことができるという実感はあります。

今後に関しては、まずアフターメンテナンスをしっかり行い、走行動画を確認しつつセッティングを詰めて、次なる走行の準備を進めていきます。
あくまでもジェントルマンドライバーとしての見本となるような走りをすべきであるということを念頭に、次戦に臨みたいと思います。
Koshido Racing 佐藤 元春

 

 

 

 

 

2018.06.29 Fuji Champion Race Series 2018 FCR VITA & KYOJO CUP Rd.1 RACE REPORT

Fuji Champion Race  VITA-01 Rd.1

Fuji Champion Race  KYOJO CUP Rd.1

開催日時(FCR-VITA):2018年6月16日(土)

開催日時(KYOJO CUP):2018年6月17日(日)

開催地:富士スピードウェイ(静岡)

ドライバー(FCR-VITA):佐藤 元春

(KYOJO CUP):高橋 純子

マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機

参戦クラス:FCR-VITA、KYOJO CUP

天候(FCR-VITA):予選/曇り、決勝/曇り

(KYOJO CUP):予選/曇り、決勝/曇り

路面予選/ドライ、決勝/ドライ

 

佐藤 元春 予選:15/23位 決勝13/23位

高橋 純子 予選・決勝:リタイア

 

富士スピードウェイで行われるFCR(Fuji Champion Race)。昨年に引き続き、恒志堂レーシングはFCR-VITAとKYOJO CUPにエントリーする。

今回の第1戦はポルシェカレラカップやインタープロトシリーズとともに、ザ・ワンメイクレース祭として開催されていた。

今回はFCR-VITAとKYOJO CUPをそれぞれ610号機1台で挑み、佐藤と高橋でマシンシェアする形でのエントリー。

 

練習走行の合間にマシンコンディションについて確認しあう佐藤と高橋。

 

DAY1> 615日(金)公式練習走行30分間×2本、20分間×1本)

 

この日は3本の練習走行枠がある。恒志堂レーシングの富士スピードウェイでのレースは雨が多いが、今回もその例に漏れず当面ドライ路面は見込めそうもない状況。

午前中2本の走行枠は、ハーフウエットにて11秒台が現時点でのベスト。しかし、それ以前にストレートの伸びがない。ホームストレートを疾走する他車と比べても明らかに速度が劣っている。

そして迎えた最終走行枠。ここは午前中2本の30分間よりも短く、20分間となる。午前中ぱらついていた雨も上がりかけ、路面も乾き始めていた。17日にKYOJO CUPを控えた高橋のために、前半約三分の一を佐藤が走り、残りを高橋に交代。高橋にとっては公式練習枠で今期初となるVITAでの走行が始まる。

依然としてストレートが伸びないが、ドライコンディションに近づき、周りの車速が上がることで、より自車との速度差が顕著にみられるようになる。そして20分が経過。公式練習の終了を告げるサインが表示され、各車続々とピットに戻ってくる。高橋が駆る610号機もセクター3に入り、残すところを最終コーナーとしたところで事件は起こる。

レクサスコーナーを立ち上がったところで急に白煙を吹き始める610号機。最終コーナーを回った後、程なくして一瞬炎が上がる。そのまま失速しつつピットロードに入るが、恒志堂のガレージにたどり着くことなく力尽きてしまう。

スタッフの手によってピットに戻ってきた610号機を確認すると、エンジンブロックに穴が開いており、クランクシャフトが見えている状況。

原因は何か…佐藤・高橋両ドライバーは、オーバーレブはしておらず、オーバーヒートもない。燃調の問題か…マフラーの焼け方もおかしい。今期導入の新車であるだけに甚だ懐疑的である。

ここでレースを諦めざるを得ないのか…ピット内の誰しもがこのことを頭によぎらせていた。そのような中、今回ピットガレージを共にしており、以前袖ケ浦のVITA耐久戦でお世話になったガレージBe:Flat様より、テスト走行として使用していた35号車を貸していただけることとなった。旧型のエンジンを積むマシンではあるが、これで何とかFCR-VITAのリタイアは免れることとなった。但し、KYOJO CUPは既定のエンジン搭載の車両がないため、残念ながら断念せざるを得ない状況となった。

Be:Flat様のご厚意を受けられることになり、早速外装や足回り、シートなど、限られた時間内で移植できるものを脱着していく。北嶋・藤巻両メカニックによる素早い作業により、夕方には載せ替えが無事に終了した。

因みにVITA-01というマシンは、外装のカウルを容易に交換することが可能である。

 

公式練習走行結果

佐藤 元春:2’06.20

高橋 純子:2’07.30

 

DAY2> 616日(土) 

公式予選(8008:20

雨がパラつく微妙なコンディションだが、路面は乾いている。気温は16.7℃、湿度66%。富士山や周辺の山々に掛かる雲が、天候を刻一刻と変化させる様相をみせている。

前日はウエット路面との対話に終始したが、最終枠でドライになりかけたことで脚まわりのセットを変更していた。本予選ではそれより一段階減衰を下げて臨む。

ドライ路面に移行する中、平中の助言を参考にセッティングを詰める北嶋・藤巻両メカニック。

 

前日とは異なり、エンジンはきちんと廻っている。しかし旧型エンジンによるパワー差は否めない。ストレートで置いていかれる中、佐藤はブレーキングと立ち上がりをうまくまとめ、タイムを縮めていく。

 

結果は2’03.887で、出走23台中15位。

予選後、間髪入れずに走行動画を振り返り、改善点を探る。

~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~

佐藤 元春

「マシンの調子は悪くない。しかし3周目から左ヘアピンコーナーでガス欠症状が出る。Be Flatさんの意向で搭載燃料を最低限に抑えた状態であった。

平中選手より、ダンロップの進入舵角を入れるタイミングについてのアドバイスがあり、決勝はそこを意識し、冷静なレース運びを心掛けたい」。

 

 

決勝(11:00~ 10LAP

正午に近づきつつも依然として肌寒い気候。予選とほぼ変わらないコンディションのまま、決勝は始まる。

トップは2分を切るタイムをマークし、その後も2分フラット~2秒台にライバルがひしめいており、佐藤は厳しい戦いを強いられそうだ。

北海道クラブマンカップの第1戦同様に、しっかりとタイヤに熱を入れ、スタートに備える。グリッドについたのち、チームクルーに囲まれる中で精神を統一する。

シグナル点灯時刻が迫り、チームクルーはピットへ。ここからドライバーは孤独な戦いへと挑んでゆく。

 

レッドシグナル点灯。ブラックアウトで各車一斉にスタート。

佐藤はスタートを決め、一瞬前を行く数台に並びかける。しかし無情にも新旧エンジンのパワー差がのしかかり、せっかくのマージンも即座に削られてしまう。

それでも佐藤はブレーキングからターンイン、立ち上がりまで上手くまとめた走りで前走車に追いすがる。…が、その必死に削った差をストレート区間で消化されるという展開を繰り返す。特にホームストレートでは肉眼でも容易に確認できるほど差が開いていく。毎周ストレート1本だけで1秒半から2秒はあっさりと離される。その上300Rや上りセクションであるセクター3が容赦なく牙を剥き、苦しい戦いが続く。

前が厳しいなら、せめて後方から抜かれることだけはしたくない。そんな思いできっちりとベストな走行ラインに乗せ、ミスなく走り抜いた。今年4月に優勝した袖ケ浦の耐久戦でも、佐藤の堅実な走りは光っていた。

その間に前走車が1台スピンし、グラベルにスタック。ひとつ順位を上げる。

その後も前方グループでバトルしている最中、一台がスピン。復帰に時間を要している間にパスし、13位まで順位を上げ、そのままチェッカーを受けた。

マシンを降りるや否やライバルとのタイム差をチェックする佐藤。悔しさをにじませる。

 

 

以上の結果で2018年のFCR-VITA初戦は終わった。トラブルで思うような結果が残せなかったことに、ドライバーの佐藤も、マネージャーの中川も、チームクルーも悔しい気持ちが隠せない。次戦までにはマシンもセッティングも万全にして臨む所存である。

 

~レース後、チームオーナーコメント~

練習走行中に原因不明のエンジントラブルに見舞われて出走ができないような状況になったところ、Be:Flat様が快くVITAを貸して下さり、レースに出走できたことに心から感謝しています。

改めて関口代表、ドライバーの鶴賀さん、メカニックの皆さんがサポートしてくださったことに御礼を申し上げたいと思います

 

レースではやはり新旧エンジンでのストレートスピードの差は否めず、並走した時の速度差は大きいものでした。決勝ではスタートも上手く決まり、1周目でアウト側が空いていたので、かぶせて前に出ようと試みましたが、3-4速の伸びがなく、良いライン取りができてもかわせない状況で、コーナリングで詰めては離されるという展開が続きました。正直前に追いつくのは困難と感じておりました。

富士は直線も長く、高速コーナーも多いレイアウトなので、やはりトップスピードの差というのはタイムに直結してくるというのを痛感した次第です。

せっかく借りたVITAなので、自分の持てる力の範囲で全力を尽くして走りました。この悔しさを次戦に向けて発揮していきたいと思います。

また、KYOJO CUPも2年目となり、各ドライバーのレベルアップも著しいものでした。しかし、「北海道だから」という言い訳をするつもりはありません。現地に赴いてしっかりセッティングした上で、トップ勢と良いバトルができるように頑張ります。

Koshido Racing 佐藤 元春

Thank You for Be:Flat

 

 

2018.05.25 北海道クラブマンカップレース2018 Rd.1 VITA-01 RACE REPORT

北海道クラブマンカップレースRd.1 VITA-01

開催日時:2018年5月20日(日)

開催地:十勝スピードウェイ(北海道)

ドライバー:佐藤 元春(#610)、中川 隆吾 (#310)、竹谷 和浩 (#712)、大島 良平(#777)

マシン:恒志堂レーシングVITA 1号機、2号機、3号機、4号機

参戦クラス:北海道クラブマンカップレース (VITA-01クラス)

天候:予選/晴れ、決勝/晴れ

路面:予選/ドライ、決勝/ドライ

 

佐藤 元春 予選:1/15位 決勝2/14位

中川 隆吾 予選:7/15位 決勝4/14位

竹谷 和浩 予選:8/15位 決勝:10/14位

大島 良平 予選:9/15位 決勝:5/14位

 

十勝スピードウェイで行われるJAF公式レース、北海道クラブマンカップが今年も開幕した。

昨年まで3台体制で参戦していたKoshido Racingは、2018年第1戦となる今回から新たに一台を加えた4台体制でのエントリー。エースカーの610号車は鮮やかなグリーンのカラーリングが施された新車が投入され、そのシートにはチームオーナーの佐藤元春が座る。

310号車には、大島雄一郎が今戦は不出場の為、昨年の同シリーズ最終戦に引き続き、堅実な走りを見せる中川隆吾がドライブ。

712号車はいつも通り竹谷和浩が担当。そして4号機にはこれまでエースカーとして走行していた1号機が投入され、777号のゼッケンを冠し、公式戦デビューとなる大島良平がドライブした。

予選前、ピット内が最も緊張に包まれる時間である。

777号機を操る大島良平。昨年の初乗りでは見事に乗りこなしていた。

 

DAY1> 518日(金)練習走行

佐藤は他3名のドライバーに先んじて十勝入りしていた。しかしながらこのレースウィークは爆弾低気圧の接近により荒天が予想され、この時期としては低めの10.4℃という気温に見舞われていた。

幸い走行準備を整え、コースインするタイミングで雨は上がっており、路面はドライ。1本目のアタックラップから1分34秒台をコンスタントに刻み、33秒台と順調にタイムを削っていく。

そしてアタック開始5ラップ目には今期初となる1分32秒台をマークし、その後も安定して32~33秒台で周回した。給油とNewタイヤへの交換を済ませ、2本目へと突入。

タイムは33秒台前半を連続でマークするも、1本目のタイムの更新には至らなかった。

3本目はなんとか持ちこたえていた天候が崩れ、ウエット路面に。足回りの減衰を弱め、感触を確かめる程度の走行に抑え、この日の練習走行を終えた。

 

練習走行結果

佐藤元春: 1’32.755

 

鮮やかなグリーンのカラーリングが施されたエースカーの610号機。

 

<DAY2> 5月20日(土)公式特別スポーツ走行(30分間×3本)

この日も天候は不安定で雨がパラつき、8℃後半から9℃前半と、前日以上に気温が低い難しいコンディション。

10時を過ぎ、十勝スピードウェイに佐藤以外の3名のドライバーが続々と到着する。

練習走行開始までしっかりと時間をとり、入念にシートポジションを合わせる中川と大島良平。

公式レース初参戦の大島良平に、ウエット路面のセッティングやゼブラの乗り方、今期指定タイヤとなったアドバンネオバの特性についてなど、エースの佐藤よりアドバイスが飛ぶ。

1本目はハーフウエットながら、全車ドライ用セッティングで挑んだ。

佐藤はタイヤの内圧を前日値よりコンマ1のみ高めに設定した状態でコースイン。しかしマシンの挙動に悩み、アタックラップに入ってすぐスピンを喫してしまう。

後続の中川、竹谷、大島良平は慎重を期し、徐々にペースアップしていく。

2本目は依然として気温は低いものの、路面はところどころ乾き始める。全車大きなトラブルもなく、コンスタントにラップを刻んでいく。

昨年10月の練習走行で乗って以来のVITAの感触を確かめつつ、周りに引っ張られながら大島良平も順調にタイムアップしていった。

タイムアベレージも全車1分35~36秒台と上がっていき、中川・竹谷も挙動に慣れてきた様子であった。

3本目、路面はほぼドライ。2本目までの走行動画を振り返り、佐藤から他3名のドライバーにアドバイスが送られる。左コーナーへのアプローチの遅れからボトムスピードが落ちすぎていることを共通の課題として挙げ、それぞれ意識しながらの本日最後の一枠へ。

佐藤は安定して1分33秒台を刻み続け、竹谷も全周回のうち、約半分を34秒台で走行。

大島も34秒台後半~35秒台前でラップし続け、新人離れした才能を見せた。

中川も同ペースで走行し、最終コーナー攻略のポイントを掴みかけたところで痛恨のコースアウト。走行後のコメントでは「オーバーがまだ少し強く感じる。でもこのままいくか」とセッティングに課題が残る様子がうかがえた。

一方で佐藤は「このままのセットで予選アタックし、32秒台が出たらもっとオーバー寄りのセットに変更を考える」とコメントしていた。

ライバル勢は#88 OPTech☆東北海道ヤナセの坂野、#61 HDC日本平中自動車の平中が手計測で佐藤に肉薄するタイムを記録し、翌日の予選・決勝での混戦が予想される結果となっていた。

 

公式特別スポーツ走行結果

#610 佐藤 元春: 1’33.376

#310 中川 隆吾: 1’34.459

#712 竹谷 和浩: 1’34.510

#777 大島 良平: 1’34.893

#712  竹谷 和浩

#610  佐藤 元春

 

<DAY3> 5月20日(日)予選(9:35~9:55)

土曜までの荒天とは打って変わって天候は快晴。路面状況はドライ。気温も10℃を下回っていた前日よりかなり暖かく感じられ、タイヤへの熱の入りは良さそう。雨は前日夕方には完全に上がっており、コースコンディションは良好。しかし、しっかりと水を含んだグラベルは一歩飛び出せばスタックの危険性が高く、ドライバーは緊張を強いられそうだ。

予選前の#310  中川 隆吾

 

予選10分前、各ドライバーがそれぞれのコックピットへ身を沈める。

出走順は竹谷と中川がライバルチームを後追いし、その後方で佐藤がルーキーの大島良平を引っ張る形でコースインした。

アタック開始早々、1分33秒台を連発する佐藤。大島良平も離されまいと34秒台のラップを刻み、食い下がる。佐藤はそのままハイペースを維持し、7周目にベストとなる1’33.228を叩き出し、見事ポールポジション(予選1位)を獲得した。

中川は36秒台から徐々にペースアップし、中盤から後半にかけて34秒台半ばをキープ。途中で挙動を乱すこともあったが、そのまま予選7位につける。

竹谷もまた安定の走りで練習走行とほぼ変わらぬタイムにて周回。34秒台後半から35秒台前半のタイムで周回し、中川に次ぐ8番手につけた。

ルーキー大島良平は、序盤から34秒台をマークし、その後も35秒台前半で周回していたが、後半にペースの乱れがあり、35秒台後半へ。しかし、そのままペースを維持し、9位にて予選を終えた。

ライバル勢も33秒台前半から34秒台前半にひしめき、決勝の混戦が予想された。

1~9位までが1.5秒以内に収まっており、混戦が予想される。

~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~

佐藤 元春

「個人的には満足のいく内容ではなかったが、二日間しっかりテストしてセッティングが固まったことが今回の結果につながっていると思う。決勝ではポールトゥウィンしか考えていない。後方からの猛プッシュが予測されるが、自分なりの冷静な走りで勝利を収めたい」

 

中川 隆吾

「後半タイヤグリップが落ちてきつかった。1コーナーでフロントがロックするので、決勝はブレーキバランスをリア寄りにして挑む。あとは自分がひとつでも順位を上げらるように頑張るのみ」

 

竹谷 和浩

「クリアラップがとれず、唯一まとまりの良かった8周目は前走車のスピンによりチャンスを失ってしまった。残念だが、決勝では頑張りたい」

 

大島 良平

「まだブレーキロックまでの感覚がつかめない。前走車のラインに流される。全体に次のコーナーを意識し、外に逃がしながら立ち上がるイメージで行こうと思う」

 

 

5月20日(日)決勝(14:45~、12LAP)

当日並行して行われていたロードレースでのアクシデントの影響で、予定時刻を一時間ほど遅れてのスタートとなった。予選までの暖かな気候からやや冷たい風が吹くようになり、空には雲が立ち込めている。急いで気温に合わせてマシンの調整を行う。若干雨がぱらついたが、路面を濡らすほどのものではなく、ドライ路面は維持された。スタート10分前、各ドライバーがコックピットに収まる中、エースドライバーの佐藤が他の3台に歩み寄り、一言二言声をかけたのち、がっちりと握手を交わす。

決勝レースグリッドウォーク

 

各車続々とコースインしていく中、やや遅れてポールの佐藤がコースイン。入念にタイヤを温め、1番グリッドへ。

レッドシグナルが消灯し、レーススタート。直後、予選2番手につけていた#88 OPTech☆東北海道ヤナセの坂野に1コーナーでインから並びかけられるも、アウトから抑え、トップをキープする。

後方では予選3、4番手の#61 HDC日本平中自動車の平中と、#9 十勝レーシングスクールTAKUMI01の鬼塚が競り合っていた。

二台がバトルで車速がのらないことを予測していた中川は、5コーナー立ち上がりから通常より1段低いギアを選択し、6コーナーで仕掛ける。狙い通り前に出た後、2周目のホームストレートでマシンの調子が上がらない平中をパス。7位から4位に躍り出る。

竹谷もそれに続くべく猛プッシュする。しかし、8コーナーで#3さくら眼科☆OWLwithRS-a01の古井戸と中川にパスされた鬼塚が競り合う8コーナーで、竹谷の判断ミスによりブレーキングが遅れ、接触してしまう。 この影響で鬼塚は最後尾まで順位を落とし、古井戸も一度はコース復帰するものの、走行不可能となり、同周回にてリタイアとなった。

さらにその後方を走行していた大島良平は、接触で進路を塞がれる中、間一髪でかわし、竹谷の後を追う。

佐藤は二番手の坂野をけん制しつつ、トップをキープしていた。しかし執拗に迫る坂野に6周目の1コーナーで並ばれ、トップの座を明け渡してしまう。それ以後は坂野のすぐ後方で再び前に出るチャンスをうかがうも、堅実な坂野の走りには隙がなく、そのまま2位でチェッカーを受けた。

中川はオープニングラップで4位につけてから単独走行状態。安定したラップでミスなく走りきり、そのままの順位をキープしてゴール。

竹谷も序盤でこそアクシデントはあったものの、その後は走りきり、5位チェッカーとなった。

注目のルーキー大島良平もまたコンスタントに周回し、竹谷に続く6位でデビュー戦を終えた。

しかし、序盤の竹谷の接触が審議の対象となり、ゴール時の順位はあくまでも暫定結果となる。最終的に竹谷の過失となり、30秒のペナルティが課せられ、順位を五つ落とし、10位の成績となる。これにより大島良平は5位に繰り上がった。

 

 

 

勝利者のみに与えられる祝福の時間。

 

~レース後、チームオーナーコメント~

チームの代表として、まずは今回の結果を受け、ルールに則ってフェアに戦うことの大切さを今一度考えました。クラッシュは避けなければなりません。自分の技量や相手の走りを尊重することをしっかり考えて挑む必要があります。皆が気持ちよく、フェアに戦えるようにという意思をチームで統一していきます。

ドライバーとして今回のレースを振り返ると、予選は100%の結果と言えないまでも、ポールポジションをとることができました。これは普段のメンテナンスと練習の成果と考えています。決勝では2位に甘んじてしまいましたが、今後も常に全力で挑むことで良い結果につながると思います。このレースで見えた課題は、中盤のタイヤコントロールやペース配分にありました。序盤はポールスタートからレースを引っ張れただけに、油断につながったことは否めません。チェッカーを受けるまで隙を見せないことが今後のレースで求められることであると考えます。

趣味でも仕事でも、途中で投げ出したり惰性で続けてしまっている人はたくさんいます。しかし、初期の熱い気持ちを忘れず、常に全力で挑み続けることで大きな結果が出せるということを証明したいという思いのもと走っています。チームオーナーとして、会社経営者として、同じく走る仲間にも会社のスタッフにもそれが伝わるように走り続けたいですし、スポンサー様に対する思いもプロに匹敵すると自負しています。

 

スポンサー様、応援に来て下さった方々、エンジニア、メカニック、サポートスタッフと、誰一人として欠かせない存在です。一人一人がもっと自分の持ち場を意識して、結果を出すことに向かう必要があります。正式なチーム発足から三年ですが、目指すところは常に高いところにあり、そのためにもプロの動きを参考に、そしてそれをより良いものとしてアレンジしていくことで、チームとして成長していきたいと思います。

 

Koshido Racing 佐藤 元春

 

2018.01.22 素敵な贈り物が届きました♪

CAR GUY様から素敵なプレゼントを頂きました。

Super Car Race Seriesでのアルバムです!
楽しかった思い出が蘇ります♪

木村 武史様、本当にありがとうございます。

また今年も北海道を盛り上げるべく!
表彰台を目指してチーム一丸となり闘います!

今年も応援よろしくお願いいたします。