Fuji Champion Race VITA-01 Rd.1
Fuji Champion Race KYOJO CUP Rd.1
開催日時(FCR-VITA):2018年6月16日(土)
開催日時(KYOJO CUP):2018年6月17日(日)
開催地:富士スピードウェイ(静岡)
ドライバー(FCR-VITA):佐藤 元春
(KYOJO CUP):高橋 純子
マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機
参戦クラス:FCR-VITA、KYOJO CUP
天候(FCR-VITA):予選/曇り、決勝/曇り
(KYOJO CUP):予選/曇り、決勝/曇り
路面予選/ドライ、決勝/ドライ
佐藤 元春 予選:15/23位 決勝13/23位
高橋 純子 予選・決勝:リタイア
富士スピードウェイで行われるFCR(Fuji Champion Race)。昨年に引き続き、恒志堂レーシングはFCR-VITAとKYOJO CUPにエントリーする。
今回の第1戦はポルシェカレラカップやインタープロトシリーズとともに、ザ・ワンメイクレース祭として開催されていた。
今回はFCR-VITAとKYOJO CUPをそれぞれ610号機1台で挑み、佐藤と高橋でマシンシェアする形でのエントリー。
練習走行の合間にマシンコンディションについて確認しあう佐藤と高橋。
<DAY1> 6月15日(金)公式練習走行(30分間×2本、20分間×1本)
この日は3本の練習走行枠がある。恒志堂レーシングの富士スピードウェイでのレースは雨が多いが、今回もその例に漏れず当面ドライ路面は見込めそうもない状況。
午前中2本の走行枠は、ハーフウエットにて11秒台が現時点でのベスト。しかし、それ以前にストレートの伸びがない。ホームストレートを疾走する他車と比べても明らかに速度が劣っている。
そして迎えた最終走行枠。ここは午前中2本の30分間よりも短く、20分間となる。午前中ぱらついていた雨も上がりかけ、路面も乾き始めていた。17日にKYOJO CUPを控えた高橋のために、前半約三分の一を佐藤が走り、残りを高橋に交代。高橋にとっては公式練習枠で今期初となるVITAでの走行が始まる。
依然としてストレートが伸びないが、ドライコンディションに近づき、周りの車速が上がることで、より自車との速度差が顕著にみられるようになる。そして20分が経過。公式練習の終了を告げるサインが表示され、各車続々とピットに戻ってくる。高橋が駆る610号機もセクター3に入り、残すところを最終コーナーとしたところで事件は起こる。
レクサスコーナーを立ち上がったところで急に白煙を吹き始める610号機。最終コーナーを回った後、程なくして一瞬炎が上がる。そのまま失速しつつピットロードに入るが、恒志堂のガレージにたどり着くことなく力尽きてしまう。
スタッフの手によってピットに戻ってきた610号機を確認すると、エンジンブロックに穴が開いており、クランクシャフトが見えている状況。
原因は何か…佐藤・高橋両ドライバーは、オーバーレブはしておらず、オーバーヒートもない。燃調の問題か…マフラーの焼け方もおかしい。今期導入の新車であるだけに甚だ懐疑的である。
ここでレースを諦めざるを得ないのか…ピット内の誰しもがこのことを頭によぎらせていた。そのような中、今回ピットガレージを共にしており、以前袖ケ浦のVITA耐久戦でお世話になったガレージBe:Flat様より、テスト走行として使用していた35号車を貸していただけることとなった。旧型のエンジンを積むマシンではあるが、これで何とかFCR-VITAのリタイアは免れることとなった。但し、KYOJO CUPは既定のエンジン搭載の車両がないため、残念ながら断念せざるを得ない状況となった。
Be:Flat様のご厚意を受けられることになり、早速外装や足回り、シートなど、限られた時間内で移植できるものを脱着していく。北嶋・藤巻両メカニックによる素早い作業により、夕方には載せ替えが無事に終了した。
因みにVITA-01というマシンは、外装のカウルを容易に交換することが可能である。
公式練習走行結果
佐藤 元春:2’06.20
高橋 純子:2’07.30
<DAY2> 6月16日(土)
公式予選(8:00~8:20)
雨がパラつく微妙なコンディションだが、路面は乾いている。気温は16.7℃、湿度66%。富士山や周辺の山々に掛かる雲が、天候を刻一刻と変化させる様相をみせている。
前日はウエット路面との対話に終始したが、最終枠でドライになりかけたことで脚まわりのセットを変更していた。本予選ではそれより一段階減衰を下げて臨む。
ドライ路面に移行する中、平中の助言を参考にセッティングを詰める北嶋・藤巻両メカニック。
前日とは異なり、エンジンはきちんと廻っている。しかし旧型エンジンによるパワー差は否めない。ストレートで置いていかれる中、佐藤はブレーキングと立ち上がりをうまくまとめ、タイムを縮めていく。
結果は2’03.887で、出走23台中15位。
予選後、間髪入れずに走行動画を振り返り、改善点を探る。
~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~
佐藤 元春
「マシンの調子は悪くない。しかし3周目から左ヘアピンコーナーでガス欠症状が出る。Be Flatさんの意向で搭載燃料を最低限に抑えた状態であった。
平中選手より、ダンロップの進入舵角を入れるタイミングについてのアドバイスがあり、決勝はそこを意識し、冷静なレース運びを心掛けたい」。
決勝(11:00~ 10LAP)
正午に近づきつつも依然として肌寒い気候。予選とほぼ変わらないコンディションのまま、決勝は始まる。
トップは2分を切るタイムをマークし、その後も2分フラット~2秒台にライバルがひしめいており、佐藤は厳しい戦いを強いられそうだ。
北海道クラブマンカップの第1戦同様に、しっかりとタイヤに熱を入れ、スタートに備える。グリッドについたのち、チームクルーに囲まれる中で精神を統一する。
シグナル点灯時刻が迫り、チームクルーはピットへ。ここからドライバーは孤独な戦いへと挑んでゆく。
レッドシグナル点灯。ブラックアウトで各車一斉にスタート。
佐藤はスタートを決め、一瞬前を行く数台に並びかける。しかし無情にも新旧エンジンのパワー差がのしかかり、せっかくのマージンも即座に削られてしまう。
それでも佐藤はブレーキングからターンイン、立ち上がりまで上手くまとめた走りで前走車に追いすがる。…が、その必死に削った差をストレート区間で消化されるという展開を繰り返す。特にホームストレートでは肉眼でも容易に確認できるほど差が開いていく。毎周ストレート1本だけで1秒半から2秒はあっさりと離される。その上300Rや上りセクションであるセクター3が容赦なく牙を剥き、苦しい戦いが続く。
前が厳しいなら、せめて後方から抜かれることだけはしたくない。そんな思いできっちりとベストな走行ラインに乗せ、ミスなく走り抜いた。今年4月に優勝した袖ケ浦の耐久戦でも、佐藤の堅実な走りは光っていた。
その間に前走車が1台スピンし、グラベルにスタック。ひとつ順位を上げる。
その後も前方グループでバトルしている最中、一台がスピン。復帰に時間を要している間にパスし、13位まで順位を上げ、そのままチェッカーを受けた。
マシンを降りるや否やライバルとのタイム差をチェックする佐藤。悔しさをにじませる。
以上の結果で2018年のFCR-VITA初戦は終わった。トラブルで思うような結果が残せなかったことに、ドライバーの佐藤も、マネージャーの中川も、チームクルーも悔しい気持ちが隠せない。次戦までにはマシンもセッティングも万全にして臨む所存である。
~レース後、チームオーナーコメント~
練習走行中に原因不明のエンジントラブルに見舞われて出走ができないような状況になったところ、Be:Flat様が快くVITAを貸して下さり、レースに出走できたことに心から感謝しています。
改めて関口代表、ドライバーの鶴賀さん、メカニックの皆さんがサポートしてくださったことに御礼を申し上げたいと思います
レースではやはり新旧エンジンでのストレートスピードの差は否めず、並走した時の速度差は大きいものでした。決勝ではスタートも上手く決まり、1周目でアウト側が空いていたので、かぶせて前に出ようと試みましたが、3-4速の伸びがなく、良いライン取りができてもかわせない状況で、コーナリングで詰めては離されるという展開が続きました。正直前に追いつくのは困難と感じておりました。
富士は直線も長く、高速コーナーも多いレイアウトなので、やはりトップスピードの差というのはタイムに直結してくるというのを痛感した次第です。
せっかく借りたVITAなので、自分の持てる力の範囲で全力を尽くして走りました。この悔しさを次戦に向けて発揮していきたいと思います。
また、KYOJO CUPも2年目となり、各ドライバーのレベルアップも著しいものでした。しかし、「北海道だから」という言い訳をするつもりはありません。現地に赴いてしっかりセッティングした上で、トップ勢と良いバトルができるように頑張ります。
Koshido Racing 佐藤 元春
Thank You for Be:Flat