WAKO’S cup Rd.3 510km SUN耐GP Special
開催日時:2017年11月5日(日)
開催地:十勝スピードウェイ(北海道)
ドライバー:佐藤 元春、平中 克幸、常松 巧、大湯 都史樹
マシン:恒志堂レーシング Lair DC5(インテグラ タイプR)
参戦クラス:VTECクラス
リザルト:予選:3/9位 決勝1:6/9位
天候:予選/晴れ 路面:予選/ドライ
決勝/晴れ 決勝/ドライ
例年、十勝スピードウェイで行われるWAKO’S cup 510km SUN耐GPはレースシーズン終了間近の名物イベントとなっている。
また、510kmの耐久という過酷なレースでもある。
今回、恒志堂レーシングはライアファクトリーの関川秀樹氏とタッグを組み、過去にスーパー耐久に参戦したこともあるインテグラ タイプRを持込んで、このレースにスポット参戦する事となった。
ドライバーはチームオーナーの佐藤元春、SUPER GT GT300クラスで活躍中の平中克幸、佐藤とは昔からお互い顔なじみで今でもドライビングスキルを磨き合う常松巧を迎え入れた。
常松は過去に十勝スピードウェイ3コース全てのレコードホルダーでもある。
また、サポートとして参加する予定だった、Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクトからFIA-F4に参戦している大湯都史樹が、急きょ第4ドライバーとしてハンドルを握る事となった。
<DAY1> 11月4日(土)練習走行
早朝の十勝スピードウェイは水たまりも凍るほどに冷え込んでいた。それを見越して恒志堂レーシングは気温が上がってくる少し遅い時間帯から走り始めた。
最初のドライバーを務めたのは大湯都史樹。タイヤの皮むきも兼ねての走行で、まずは2:24.619という基準タイムを出す。
続いて、平中克幸がスタート。徐々に気温が上がったおかげもあり、平中は2:22.157までタイムを縮めた。
3番手は常松巧だ。恒志堂レーシングLair DC5にも柔軟に慣れていった。
徐々にブレーキングポイントを調整し、マシンの限界点を探ると同時に、コーナーリングスピードを意識して順調に周回を重ねていった。
最後は佐藤元春。翌日の予選決勝を見据えて、タイヤの空気圧や燃料の数量などセッティングを考えながらの走行だった。
午後からのテストは、各ドライバー1周のアタックラップのみで1番最速は誰かというチーム内で言われる通称「負けず嫌い選手権」が行われた。
各ドライバーはタイヤの温度と周囲のマシンとのスペースに注意を払いながら、1番時計は平中が勝ち取った。
僅差ではあるが、2位には大湯都史樹が約0.2秒差で喰らいついた。3位に常松が平中から約4秒落ちのタイムでランクイン。
最後にアタックを仕掛けた佐藤はタイヤのタレが出てきたことによって、タイムが伸びなかった。
優勝した平中は勝ち誇った笑顔を見せ、それを見た大湯はとても悔しそうにしていた。
【練習走行結果】
佐藤元春: 2’26.739
平中克幸: 2’21.248
常松巧: 2’25.567
大湯都史樹: 2’21.487
<DAY2> 11月5日(日)練習走行 & 公式予選
当日も放射冷却により朝一の冷え込みが厳しく、氷点下にもなっていた十勝スピードウェイ。
そんな中、45分間の予選がスタートする。ドライバーは平中克幸ただ一人が担当した。
序盤に2’20秒を切るタイムをライバル勢に出されてしまい、平中も奮起するが中々1番時計を塗り替える事が出来ない。
これは、スーパー耐久仕様の# 17恒志堂レーシングLair DC5は他のマシンよりも100kg以上重く、前後のタイヤも細いため、どうしてもタイムが他車よりも劣ってしまうからだ。
それでもドライバーの腕で何とか一つでもポジションを上げようと平中はアタックする。
予選も半分折り返すところで、平中はピットインし、タイヤ交換を済ませた。
FF(フロントエンジン、前輪駆動)マシンの為、暖まりにくいリヤタイヤをVentus TD Z221(ハンコック製)から発熱性の高いADVAN A050(ヨコハマタイヤ製)へスイッチし、更なるタイムアップを目指すも、赤旗中断となってしまった。
残り13分で再スタートとなり、各車続々とピットアウトしたため、ピットロードの出口付近は渋滞。更にタイミング悪く、レッドクロス(走行速度40km/h以下規制)が振られてしまい、タイムアタックが出来ないまま周回を重ねてしまう。
平中は最後の1周に全てを掛けるべく、前車との差を十二分に確保したいのだが、ライバル勢も道を譲らない。やっとの思いでアタックラップを手に入れ、暴れるマシンを抑えながら各セクターを自己ベストで繋いだ。しかしながら、エンジン排気量が多いマシンに後塵を拝してしまい、予選3番手となる。
11月5日(日)決勝(8:00~8:20)
予選が終わった後、休む間もなく決勝がスタートする。
各ドライバーやメカニックたちが慌ただしく準備する中、スタートドライバーの平中克幸がコースイン。
SUPER GTでローリングスタートに慣れている平中は、今回のレースでも上手くスタートを切った。しかし、2→3速へシフトアップする際、1発でシフトが入らず加速が鈍る。
後方から迫ってくる4位以下のマシンを抑えるべくマシンを横に移動し牽制を仕掛ける。
難なく3位のポジションをキープするも前を行く#1 AXION☆ASH☆ZEROシビックと#19 SETUP☆ライア♪DC5♪インテグラが平中よりも1秒以上早く周回を重ねていく。
平中は長いレースを見据えて虎視眈々とチャンスを狙う。そして80分も走行を重ねた平中は、セカンドドライバーの佐藤元春にスイッチする。
佐藤は燃料が少なくなるにつれてタイムも上がり、次の常松巧にバトンタッチをしようとしていた。
そんな矢先、#17 恒志堂レーシングLair DC5のミッションが悲鳴を上げた。
8コーナーヘアピンの立ち上がりに、3速にシフトアップできず4速加速となった。
佐藤は何回もシフトを3速に入れようとするもミッションは佐藤の意に反して5速へと招き入れる。そのまま佐藤はピットインを行い、常松と交代する。
常松は3速を失った状態の走行でレースを続けた。
せっかく前日の走行で慣れ始めていたのに、走りのリズムが崩されてしまったのは、本人にとっても残念で悔しいレースとなった。
終始我慢せざるを得ない常松は粘りの走りを続ける。
しかしそれでも、元レコードホルダーの意地を見せるかのように、通常より1~2秒落ちのペースで走り続けた。
そして常松から大湯都史樹へバトンタッチする。
途中、チームは燃料が足りなくなる事を懸念し、省燃費作戦を決行する。
大湯にエンジン回転数を抑えるよう指示を出す。これによって、予定していたピットインのタイミングまで引っ張る事が出来た。
しかし、全開で前のマシンに追いつきたい大湯にとっては、3速ギア無し状態とエンジン回転数のダブルパンチで歯がゆいレースとなった。
510kmの長いレースは終盤を迎え、恒志堂レーシングは残り15周で最後のピットイン。大湯から平中へハンドルを託す。
この時点でトップから2~3周遅れとなっていたが、トップ勢のピットインが予定されていた為、まだまだ勝機は残っていた。
平中は更にエンジン回転数を抑える走りを見せ、レースギリギリまで燃料を持たせる戦略となった。
上位勢はピットストップを終えるも順位に変動無し。
それどころか、後ろから迫ってきた#19 SETUP☆ライア♪DC5♪インテグラにオーバーテイクされ、2位の座を明け渡す事となった。
やはり、車体性能差まではドライバーの腕でもカバーできなかった。
このままレースを終わるかと思いきや、恒志堂レーシングを更なる悲劇が襲う。
トップが97周目に入ったところで、マシンにガス欠症状が起こってしまい、ろくに加速も出来なくなってしまった。
悪い予感は的中してしまい、やむを得ず給油作業を行うもその間に#1 AXION☆ASH☆ZEROシビックは510kmのチェッカーフラッグを受けた。
その時にコース上で走行をしていなければ、順位は当たらないという規定がある。
平中はグリーンシグナルを示していたのと、サーキットスタッフの指示によりコースインし、チェッカーを受けることが出来た。
しかし、これがペナルティーの対象となり、正式な順位は3位から6位となった。
今回は、Lair Factory様のサポートのおかげでこのWAKO’S cup Rd.3 510km SUN耐GP Specialに参戦する事が出来ました。
マシンの性能差はもちろん有りますが、燃費走行やそのほかの部分でも反省や改善点は大いにあり、前向きにとらえると、とても良い収穫となりました。
来シーズンもこのような耐久レースに参戦する機会を予定しておりますので、今回の経験を生かして次は表彰台の頂に立てるよう精進してまいります。
今回ご支援、ご声援いただきましたすべての皆様に、厚く御礼申し上げます。
Koshido Racing 佐藤 元春