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2025.07.31 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.4 スポーツランドSUGO-予選・決勝-

7月5日(土) 予選・決勝

 

■8:30 予選

二日間の練習走行日程を経て、いよいよレース当日を迎える。
天候が朝から不安定で、予選30分前からは雨が本降りに。


併催されていたVITAシリーズの予選はフルウエット状態で執り行われた。練習走行では一度もウエットコンディションでのセッションがなかっただけに、ドライバーは水しぶきを上げながら走行するVITA-01を見ながら不安を募らせつつも、即時に気持ちを切替え、予選に臨む。

<8:30  Q1>

SUGOは他のサーキットと異なる進め方となっており、通称「ノックダウン方式」と呼ばれる方法がとられる。このQ1でクラスごとの上位と下位が半々ずつへと振るいに掛けられ、次のQ2でAグループとBグループに分けられて最終的な決勝のグリッドが決まる。またQ1はBドライバーが出走する決まりとなっており、KOSHIDO RACINGは柴田が担当。ドライウエット関係なく、各サーキットの経験値が最も豊富な柴田はアウトラップでコースコンディションを確認し、いざアタックへ。

与えられた時間は15分。早々に1分45秒台に入れ、最終的に序盤でマークした1分45秒224がクラス2番手タイムとして記録された。Q1トップタイムは1分45秒192、3番手タイムは1分45秒288。上位三名がコンマ1秒の中にひしめくという大接戦を繰り広げた。
結果、Q2はAクラス(上位クラス)進出が決定。バトンは佐藤に託された。

<8:55  Q2A>

最終的に予選順位が決定される重役を担うのは佐藤。雨脚は若干弱くなったものの、路面は依然として濡れている。SUGOではウエットの経験がまったくない佐藤であるが、チームの思いをのせてQ2に挑む。
さすがに慎重にならざるを得ない佐藤は徐々に路面コンディションに合わせてドライビングを組み立てる。しかし猶予は10分。覚悟を決めてアタックしなければならない。しかし、路面は思いのほか早く乾き始め、佐藤はここで勝負に出る。タイヤをスリックに替えてワンアタックにかけるというもの。方針は即決定され、ピットは慌ただしく動き出す。



タイヤチェンジし、ピットアウトした時点で残り時間で可能な周回は実質3周というところ。急いでタイヤに熱を入れ、使えるタイヤにしていく。コース上のドライ部分はレコードラインのみ。ここを外すとタイヤはすぐに冷えてしまうことに加え、スリックでは一気に飛んで行ってしまうため、ここの熱入れもまた慎重なドライビングが要求される。

アウトラップを終え、アタック開始。時間は想定以上に短く、ここでアタックをかけなければ次はないという状況におかれていた。現状ではQ2進出チームのうち4番手ということから全身全霊でロトスタ号を走らせる佐藤。1分47秒398をマークし、3番手にポジションアップさせた。トップは1分46秒223、2番手は約1秒差で1分47秒250。コンマ1.5秒差での3位に、もう一周タイヤをつくる時間があればと佐藤は唇を嚙んだ。

<9:35  C・Dドライバー走行枠>

浅井がコースイン。今回は決勝が4時間でA・B・Cドライバーのみで戦うため、Dドライバーの山本は不在。浅井は自分に与えられた使命を果たすためにも、ここで決勝に向けた最終調整に入る。

タイムは1分44秒台から徐々に短縮し、42秒台へ。所々ウエット路面が残るコンディションの中で最大のパフォーマンスを発揮し、本番への体制を整えた。

■12:40 決勝

<1stスティント>

スタートドライバーは柴田が担当。スターティンググリッドはクラス3位からとなる。
グリッドウォークでは一般社団法人スーパー耐久未来機構(STMO)理事長を務めるモリゾウこと豊田章男氏も駆けつけた。

予選は雨に翻弄されたが、決勝では昨日までと同様に酷暑に晒され、容赦なくドライバーたちを消耗させる。もてぎ戦で3位、富士24時間で2位の戦績を収めたKOSHIDO RACINGはサクセスウェイト30kgが搭載され、マシン側の消耗具合も気になるところである。

柴田はスタートを順当に決め、序盤に一時4位にポジションダウンすることもあったがすぐに巻き返し、その後は3位をキープ。トラブルもなく常に1分41秒台で周回を重ね、1時間20分強・49周回というロングスティントを戦い抜いた。しかしながらやはりウエイトはここSUGOにおいて如実に響く。マシンのセットアップに何ら問題はなかったものの、とにかく周りのライバルたちに比べると圧倒的にストレートが伸びない。特にかなりの上り勾配を伴うこのコースにおいてはそれがよりはっきりと表れた。もう一台、88号車もかなりのウエイトを搭載しており、ロトスタ号同様に他チームのロードスターに比べてクラス違いかと見紛うほど明らかに車速が違っていたと柴田は語る。そのような苦労があった中、順位をキープし続けたことはさすがの一言である。

<2ndスティント>

浅井が担当するこの枠はますます気温が上昇し、一層過酷さを極めていた。
浅井もまた1分42秒台前半で順調にレースを進行させていく。ピットアウトにて2ポジションダウンとなったが、堅実な走りで4位に戻す。ラップライムは1分41秒台後半まで縮めていた。

ここにきてようやくSUGOの走り方がわかったという浅井。とはいえ実践できるまでには至っていないと自己の走りを振り返る。連日頭を抱えて徐々に走り方を確立し、特に最終コーナーとSPコーナーの攻略ができてきたとのこと。その代わりといっては何だが、レインボーコーナーで迷走するようになってしまっている。連続してハーフスピン、コースアウトとここでまた悩みが生まれてしまった。
スティントは30周をこなし、ピットに帰還。決勝レースを通して、また一段階大きく躍進した。

<3rd・4thスティント>


浅井からステアリングを託されたAドライバー佐藤がここでロトスタ号に搭乗。ラップペースは順調で1分41秒台をコンスタントに刻んでいく。しかし周りのライバルたちも同等か、より速いタイムで周回されており、差は縮まることもなければ広がることもない状況。トラブルもなく、ペースとしては安定そのもの。当初の予定では最終スティントは柴田を検討していたが、佐藤が続投することに。この暑い中、ダブルスティントとなった。容赦なく体力と集中力を削り取られていく中で、タイヤ無交換・給油のみという内容で再びコースへ。この時間もまたKOSHIDO RACINGをはじめ、ST-5Rクラスのライバルたちにも特に目立ったトラブルはなく、レースは淡々と進んでいく。順位変動はない。ラップタイムはタイヤ無交換にも関わらず3rdスティントからほとんどペースを落とさない走りを可能にしており、1分41~42秒台で安定して刻んでいく。その傍らで佐藤もまた、サクセスウエイトについての苦労を痛烈に感じていた。佐藤の場合はストレートスピードというよりコーナリング中に自身の想定よりも外側に振られる感覚に対し、自分が思い描いている走行ラインにのせられないことへのジレンマが大きかったようだ。

レースも終盤に差し掛かると各チームますます堅実な走りとなっていく。しかし、最後の最後でST-5Rクラスに動きが。ラスト3分間で2位を走っていた27号車が何らかのトラブルでピットへ。最後の思わぬ展開にピットクルーは驚いていたが、これによりロトスタ号のポジションは繰り上がり、4位でチェッカーを受けた。

結果としては表彰台に届かなかなかったことへの悔しさが残るが、次戦以降のウエイトを増やすことなくポイントを獲得できたことはKOSHIDO RACINGとしては前向きにとらえることができる。
フィニッシュ後の佐藤は、まずは自分がコンマ5秒速く走れるスキルを身につけなければならない。それでもSUGOの走り方は理解できてきた。レースの後半では大分ドライビングの組み立てができてきていて、タイヤが消耗してからもペース落とさずにラップできるようになったと振り返る。現状で最大限のパフォーマンスを発揮できたことは次への自信につながっている。

次戦は同月中のオートポリス開催。暑さも今以上となることが容易に予想される。ここもまたSUGO同様にドライバー陣のマイレージが不足傾向ではあるが、今回それぞれが得た経験や引き出しをフルに発揮しながらベストリザルトを目指して突き進むのみである。