2025.06.22 2025 北海道クラブマンカップRd.2 VITA-01
<公式結果>
予選 佐藤:6位/13台中、浅井:7位/13台中、工藤:8位/13台中,
決勝 佐藤:4位/13台中、浅井:DNF/13台中、工藤:3位/13台中
富士スピードウェイでの24時間の闘いを終え、札幌に帰還したKOSHIDO RACING。間髪入れず翌週末は久々となるホームコースの十勝スピードウェイに来ていた。
今回の戦いの舞台は久々の北海道クラブマンカップ VITA-01。スーパー耐久や富士チャンピオンレースシリーズ参戦によるスケジュールの都合上、今季の参戦は初となる。
久々のホームコースに今までにない新鮮味を感じつつ、KOSHIDO RACINGのドライバー陣は待ち構える若手の強豪たちにどう挑んでいくかを考えていた。
今回の搭乗者は12号機に佐藤、310号機に浅井、910号機は第1戦から出場している工藤という布陣。
■6月6日 練習走行初日
工藤は木曜日から走行を開始し、ひたすらに自らの課題と向き合っていた。そして金曜日、佐藤・浅井が合流。ここから3台での走行となる。
第1戦に出場し、練習走行を重ねてきた工藤と佐藤は1分31秒台をコンスタントにマーク。十勝で久々のVITA-01に手を焼いた浅井は1分32秒台に留まる。しかし二枠、三枠と重ねていくうちに徐々に浅井が覚醒。KOSHIDO RACING内ではトップタイムをマークし、手応えを感じ始めていた。
佐藤はセクター別ではベストタイムを叩き出すものの、全体としてはなかなかまとまらず本来の組み立てにはまだ時間を要する状況。とはいえ理論値ベストではダントツのトップタイム。今季最もマイレージを稼いでいる工藤は全体的に安定したタイムを刻んでおり、レースへの期待も大きい。
四枠目はレースを想定したチームバトルを展開。あわや接触かと思うようなシビアな駆け引きやラインの取り合いもあり、各ドライバーは実戦訓練として申し分のない内容となった。
初日は五枠あった走行枠をすべて走り切り、決勝までの短い練習期間を有意義なものとした。
■6月7日 練習走行2日目
天候は快晴。気温は20℃台半ばと北海道の初夏の気候そのものである。
一本目のセッションは佐藤・浅井が普段通りの走行、工藤が予選想定でタイヤと燃料積載量を調整し、挑んだ。この日から公式特別スポーツ走行ということでライバルチームも続々と到着し、第1戦で強さを見せた778・777号車や常に優勝候補である77号車の走行も開始。練習走行ながら決勝さながらのせめぎ合いが展開された。
二本目は各マシンベスト更新とはならなかったが、ペースは維持。続く3本目は佐藤・工藤が僅かずつながらタイムを更新。浅井はアライメントを見直して挑んだところ、約コンマ5秒も短縮することに成功。明日への良い流れを掴んだ。但しライバルチームの面々も速く、予選決勝は激戦が予想された。
■予選
前日は晴天であったがレース当日は曇り。気温は20℃を僅かに超える程度。セッション2分前、各ピットから続々とVITA-01のノーズが顔を出す。
8時58分、常連軍団がピットレーンへ一気に放たれる中、一部のチームは出るタイミングを静観している。それぞれで作戦は多様であり、コースイン時の場所も重要なファクターとなる。KOSHIDO RACINGの3台はセッション開始とともにコースへ。前方にはどのチームもおらず、工藤・佐藤・浅井の順でアタックに臨む。
予選は新品タイヤでの出走が義務づけられており、各マシン2周にわたってタイヤを仕上げ、実質3周目からのアタック開始。早速タイムを出してきたのは佐藤。1分31秒682で、この時点で2位につける。
浅井、工藤はまだマシンの動きを探っている状態。特に浅井はこのレースウィークで初めての新品タイヤ投入であり、その久々の挙動に合わせ切れていない様子が窺える。
周回を重ねていくうちにライバルチームもみるみるタイムを短縮し、ポジションキープが難しくなっていく。8周目、ようやくニュータイヤでの310号機の動きが見えてきた浅井が1分31秒802をマーク。しかしポジションは7位と振るわず。佐藤も3周目に記録したベストタイムが更新されず、最終的な順 位は6位とした。工藤は周回するごとに徐々にタイムを上げてきていたが、頭打ちとなりつつある。粘り続け、ラストアタックにて1分31秒969で辛うじて1分32秒を切ってきた。
工藤より下位はすべて1分32秒以上という構図。最終的に6・7・8位を佐藤・浅井・工藤で埋める形で予選セッションは終了となった。
予選のトップは1分30秒台。他ドライバーの誰しもが認めるほどとてつもなく速い。決勝に向けた走りの組み立てが試されることとなった。
■決勝
第1戦から若手が台頭する中、古参として一石を投じようと挑む面々は気合に満ちていた。
スタートはスタンディング方式。久々の十勝スピードウェイのシグナルタワーを見つめる佐藤と浅井。レッドシグナルがブラックアウトされるのをじっと待つ。そしてスタートの刻。佐藤・工藤は順当にダッシュを決め、ポジションキープ。唯一浅井が出遅れ、数台にパスされて1コーナーに飛び込んでいく。スタート自体はクリーンで、その後も荒れることなくレースが展開されていく。
先頭の778号車が序盤から後続を離し、独走態勢へ。2番手に北海道クラブマンカップの常連である77号車が陣取り、3番手以降はほとんど差がなく団子状態で数周にわたってもつれる状況に。
KOSHIDO RACINGの3台でもドッグファイトが展開され、12・310・910号機で1コーナーの飛び込みでスリーワイドというスリリングなバトルをみせた。それを見ていたチームメンバーは肝を冷やし ていたが、当のドライバー同士は強固な信頼関係の下に互いのラインを尊重し、スポーツマンシップ溢れるレースで観客を魅了。バトルの末、6番手に浅井、7番手に工藤、8番手に佐藤というポジションとなり、なおも3位争いに全力で挑んでいく。
拮抗していたバトルが大きく動いたのはレース後半。浅井の前を走っていた777号車が6コーナー進入で単独スピンを喫する。十勝スピードウェイの6コーナーといえば、70Rを全開で立ち上がって非常に車速がのっているところからのターンインとなる場所。目の前で進路がなくなった浅井はたまらずそのまま777号車の左後方にノーズから突っ込む形に。マシンのフロント部分は大破し、そのままリタイアを強いられてしまう。浅井ともに777号車の後方につけていた30号車も危うい状況にさらされたが、スピンで回避。ランオフエリアに出つつも何とかコース復帰を果たした。
この間に前に出たのが工藤と佐藤。それぞれ4位と5位につけていた。3位にはやや間隔を空けて55号車が走行。このマシンは先日のスーパー耐久富士24時間レースでST-5Fクラス優勝を果たした821号車をドライブしていた川福選手が搭乗。優勝の立役者ともいえる彼のドライビングは秀逸で、前に出ることは簡単ではない。それでも工藤と佐藤は諦めることなく、残り僅かな周回に望みをかけて追いすがる。しかし、ここで12周回を終えた各車が次々にチェッカーを受けた。
一見順当に終わったと思われた本レースであったが、最後に大きな動きが。なんと55号車が走路外走行を複数回繰り返したことで、フィニッシュタイムに10秒加算というペナルティが課せられる。これにより4位の工藤と5位の佐藤はそれぞれ順位が繰り上がり、3位と4位へ。工藤は自身初の表彰台を獲得。KOSHIDO RACING全体がこの結果に沸いた。
チームは310号車のトラブルもあり、悲喜こもごもといった状況ではあったものの、既に次戦に向けた意欲に満ち溢れていた。このまま若手に勝たせ続けるわけにはいかない。佐藤も2度のタイトルホルダーの意地にかけて、彼らの壁になることを決意している。工藤は7月の第3戦に再び出場するが、次にチーム全体で十勝スピードウェイに乗り込むのは9月の3時間耐久の予定。それまでに盤石の体制を築き上げ、必ず勝利すべく修練を積んでいく。