RACING

北海道から全国へ、そして世界へ!
子供たちへ「希望」と「勇気」を与えるために走り続けたい。

2025.06.22 2025 北海道クラブマンカップRd.2 VITA-01

<公式結果>

予選 佐藤:6位/13台中、浅井:7位/13台中、工藤:8位/13台中,
決勝 佐藤:4位/13台中、浅井:DNF/13台中、工藤:3位/13台中

富士スピードウェイでの24時間の闘いを終え、札幌に帰還したKOSHIDO RACING。間髪入れず翌週末は久々となるホームコースの十勝スピードウェイに来ていた。

今回の戦いの舞台は久々の北海道クラブマンカップ VITA-01。スーパー耐久や富士チャンピオンレースシリーズ参戦によるスケジュールの都合上、今季の参戦は初となる。
久々のホームコースに今までにない新鮮味を感じつつ、KOSHIDO RACINGのドライバー陣は待ち構える若手の強豪たちにどう挑んでいくかを考えていた。
今回の搭乗者は12号機に佐藤、310号機に浅井、910号機は第1戦から出場している工藤という布陣。

■6月6日 練習走行初日

工藤は木曜日から走行を開始し、ひたすらに自らの課題と向き合っていた。そして金曜日、佐藤・浅井が合流。ここから3台での走行となる。
第1戦に出場し、練習走行を重ねてきた工藤と佐藤は1分31秒台をコンスタントにマーク。十勝で久々のVITA-01に手を焼いた浅井は1分32秒台に留まる。しかし二枠、三枠と重ねていくうちに徐々に浅井が覚醒。KOSHIDO RACING内ではトップタイムをマークし、手応えを感じ始めていた。
佐藤はセクター別ではベストタイムを叩き出すものの、全体としてはなかなかまとまらず本来の組み立てにはまだ時間を要する状況。とはいえ理論値ベストではダントツのトップタイム。今季最もマイレージを稼いでいる工藤は全体的に安定したタイムを刻んでおり、レースへの期待も大きい。
四枠目はレースを想定したチームバトルを展開。あわや接触かと思うようなシビアな駆け引きやラインの取り合いもあり、各ドライバーは実戦訓練として申し分のない内容となった。

初日は五枠あった走行枠をすべて走り切り、決勝までの短い練習期間を有意義なものとした。

■6月7日 練習走行2日目

天候は快晴。気温は20℃台半ばと北海道の初夏の気候そのものである。
一本目のセッションは佐藤・浅井が普段通りの走行、工藤が予選想定でタイヤと燃料積載量を調整し、挑んだ。この日から公式特別スポーツ走行ということでライバルチームも続々と到着し、第1戦で強さを見せた778・777号車や常に優勝候補である77号車の走行も開始。練習走行ながら決勝さながらのせめぎ合いが展開された。


二本目は各マシンベスト更新とはならなかったが、ペースは維持。続く3本目は佐藤・工藤が僅かずつながらタイムを更新。浅井はアライメントを見直して挑んだところ、約コンマ5秒も短縮することに成功。明日への良い流れを掴んだ。但しライバルチームの面々も速く、予選決勝は激戦が予想された。

■予選

前日は晴天であったがレース当日は曇り。気温は20℃を僅かに超える程度。セッション2分前、各ピットから続々とVITA-01のノーズが顔を出す。
8時58分、常連軍団がピットレーンへ一気に放たれる中、一部のチームは出るタイミングを静観している。それぞれで作戦は多様であり、コースイン時の場所も重要なファクターとなる。KOSHIDO RACINGの3台はセッション開始とともにコースへ。前方にはどのチームもおらず、工藤・佐藤・浅井の順でアタックに臨む。
予選は新品タイヤでの出走が義務づけられており、各マシン2周にわたってタイヤを仕上げ、実質3周目からのアタック開始。早速タイムを出してきたのは佐藤。1分31秒682で、この時点で2位につける。

浅井、工藤はまだマシンの動きを探っている状態。特に浅井はこのレースウィークで初めての新品タイヤ投入であり、その久々の挙動に合わせ切れていない様子が窺える。

周回を重ねていくうちにライバルチームもみるみるタイムを短縮し、ポジションキープが難しくなっていく。8周目、ようやくニュータイヤでの310号機の動きが見えてきた浅井が1分31秒802をマーク。しかしポジションは7位と振るわず。佐藤も3周目に記録したベストタイムが更新されず、最終的な順 位は6位とした。工藤は周回するごとに徐々にタイムを上げてきていたが、頭打ちとなりつつある。粘り続け、ラストアタックにて1分31秒969で辛うじて1分32秒を切ってきた。

工藤より下位はすべて1分32秒以上という構図。最終的に6・7・8位を佐藤・浅井・工藤で埋める形で予選セッションは終了となった。
予選のトップは1分30秒台。他ドライバーの誰しもが認めるほどとてつもなく速い。決勝に向けた走りの組み立てが試されることとなった。

■決勝

第1戦から若手が台頭する中、古参として一石を投じようと挑む面々は気合に満ちていた。
スタートはスタンディング方式。久々の十勝スピードウェイのシグナルタワーを見つめる佐藤と浅井。レッドシグナルがブラックアウトされるのをじっと待つ。そしてスタートの刻。佐藤・工藤は順当にダッシュを決め、ポジションキープ。唯一浅井が出遅れ、数台にパスされて1コーナーに飛び込んでいく。スタート自体はクリーンで、その後も荒れることなくレースが展開されていく。

先頭の778号車が序盤から後続を離し、独走態勢へ。2番手に北海道クラブマンカップの常連である77号車が陣取り、3番手以降はほとんど差がなく団子状態で数周にわたってもつれる状況に。

KOSHIDO RACINGの3台でもドッグファイトが展開され、12・310・910号機で1コーナーの飛び込みでスリーワイドというスリリングなバトルをみせた。それを見ていたチームメンバーは肝を冷やし ていたが、当のドライバー同士は強固な信頼関係の下に互いのラインを尊重し、スポーツマンシップ溢れるレースで観客を魅了。バトルの末、6番手に浅井、7番手に工藤、8番手に佐藤というポジションとなり、なおも3位争いに全力で挑んでいく。

拮抗していたバトルが大きく動いたのはレース後半。浅井の前を走っていた777号車が6コーナー進入で単独スピンを喫する。十勝スピードウェイの6コーナーといえば、70Rを全開で立ち上がって非常に車速がのっているところからのターンインとなる場所。目の前で進路がなくなった浅井はたまらずそのまま777号車の左後方にノーズから突っ込む形に。マシンのフロント部分は大破し、そのままリタイアを強いられてしまう。浅井ともに777号車の後方につけていた30号車も危うい状況にさらされたが、スピンで回避。ランオフエリアに出つつも何とかコース復帰を果たした。

この間に前に出たのが工藤と佐藤。それぞれ4位と5位につけていた。3位にはやや間隔を空けて55号車が走行。このマシンは先日のスーパー耐久富士24時間レースでST-5Fクラス優勝を果たした821号車をドライブしていた川福選手が搭乗。優勝の立役者ともいえる彼のドライビングは秀逸で、前に出ることは簡単ではない。それでも工藤と佐藤は諦めることなく、残り僅かな周回に望みをかけて追いすがる。しかし、ここで12周回を終えた各車が次々にチェッカーを受けた。

一見順当に終わったと思われた本レースであったが、最後に大きな動きが。なんと55号車が走路外走行を複数回繰り返したことで、フィニッシュタイムに10秒加算というペナルティが課せられる。これにより4位の工藤と5位の佐藤はそれぞれ順位が繰り上がり、3位と4位へ。工藤は自身初の表彰台を獲得。KOSHIDO RACING全体がこの結果に沸いた。

チームは310号車のトラブルもあり、悲喜こもごもといった状況ではあったものの、既に次戦に向けた意欲に満ち溢れていた。このまま若手に勝たせ続けるわけにはいかない。佐藤も2度のタイトルホルダーの意地にかけて、彼らの壁になることを決意している。工藤は7月の第3戦に再び出場するが、次にチーム全体で十勝スピードウェイに乗り込むのは9月の3時間耐久の予定。それまでに盤石の体制を築き上げ、必ず勝利すべく修練を積んでいく。

 

2025.06.22 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.3富士24時間-決勝②-

公式リザルト:ST-5Rクラス 2位完走!

6月1日(日)決勝

■第7スティント

濃霧により度々セーフティーカー(以下、SC)が導入されるこの日。それも一度出されるとなかなか解除されない。このスティントを担う佐藤もまた、全開走行できる時間は極端に削られていた。3:15にドライバーチェンジし、3:40には再度のSCに阻まれる。そして4:50までその先導は続き、挙句そのまま赤旗中断となってしまった。トップとの差は6周。このまま中断時間が長引けばその分逆転のハードルも上昇する。ここまで天候に翻弄される24時間レースもまた珍しい。

レースが再開となったのはなんと7:30。辺りはすっかり明るくなっているが、霧はまだ晴れていない状況でのリスタート。佐藤は一周のみ回ってピットへ帰還し、柴田へステアリングを託した。

■第8スティント

7:35、柴田がコースイン。SC解除と同時に猛プッシュを開始する。これまで搭乗したドライバーのベストタイムを一周目から更新し、なおも2分6秒前半で2位の120号車を追う。
しかし120号車も柴田とほぼ同タイムで付かず離れずの展開。差にして1分40秒程度。捉えるにはそう簡単にはいかない様子である。

トータル周回数が300周を超えたところで前との差は1分20秒を切った。柴田は追撃の手を緩めない。317周目にはその差は1分を切るまでに短縮。その後も1秒ずつ削っていく。
324周を終えたところでルーティーンのピットイン。大宮にバトンを渡した。

■第9スティント

9:25、大宮がピットアウト。チームは速さ溢れる若手に託し、引き続き追撃態勢をとる。

レースも終盤に差し掛かっており、コース上はピックアップ(タイヤかすや路上に落下している細かいパーツの破片等)でコンディションが低下する中、344周回でいよいよ120号車 との差を30秒未満にまで縮めてきた。大凡一周ごとに1~2秒速いペースで追い続けており、このままの状況を維持できれば大宮のスティント中でのポジションアップも現実的なものとなる。しかしながら相手マシンも追撃を振り切ろうと必死にペースを上げ、そう簡単にはいかない。
11:10にピットイン時間を迎え、この時点で12秒の差となった。

■第10スティント

山本にドライバー交代。大宮のペースを継ぐ形で少しずつ120号車との差を縮めていく。

互いのピットインの影響で差は12秒台となったが、一周あたり0.8~1秒ずつコンスタントに詰めていく山本。しかし後方からの他チームマシンをパスさせることに手を焼く周回もあり、想定通りとはいかない。残り3秒程度まで詰めたが、そこからがなかなか縮まらず、拮抗し始めたところでピットイン。最後の二枠は柴田と大宮に託された。

■第11スティント

12:20、柴田にバトンが渡される。

ポジションアップを期待され、送り出された柴田はそれに応えるべく2分7秒台をコンスタントにマークしていく。120号車と比較して一周あたり2秒近く早いペースで、差はみるみる縮まり時間の問題かと思われたところで120号車がピットイン。ここでロトスタ号はクラス2番手にのし上がった。この時点で残り2時間程度であるが、24時間レースは何が起こるかわからない。各々が有事に備えてすぐに対応できる体制をとっており、万全の体制を維持してチェッカーを待った。

■第12スティント

13:35。24時間レースの最後のスティントを担うのは大宮。相変わらず期待通りのタイムを連発し、こちらがピットイン中に前に行かれてしまった120号車の追撃に入る。

ここからの猛追、そして最後までトップに立つという望みをかけた気迫の走りは5名のKOSHIDO RACINGドライバーの中でもひときわ目立っていた。ST-5Rクラスの他チームマシンはもとより、昨年まで同一クラスだったST-5Fクラスのマシンたちにも容赦なく挑んでいく。

そして気が付けばST-5クラス全体で前を行くのは88号車のみというところまで登り詰めていた。しかしながら88号車の村上モータースロードスターもまたドライバー陣が全員マイスター揃いの布陣でなかなか差が詰まらない状況。それでも最終的には当初6周あった差を3周差まで縮めるという驚異の追い上げを見せ、24時間の闘いは終焉を迎えた。

■チェッカー~フィナーレ

最終的にST-5Rクラス2位、ST-5クラス全体においても2位という輝かしい成績でレースを終えたロトスタ号。それだけでなく24時間ノーペナルティというクリーンなレース運びもまたその価値をより一層押し上げた。役目を終えてチームメンバーやスポンサー様に迎えられたその姿は皆に大きな感動を与えた。


今シーズン新規参入でありながら24時間レースでここまでの戦績を残せたことは誇らしい限り。これもひとえにチームメンバー全員の力と、お力添えいただいているスポンサーの 皆様、また支えてくださっているファンの方々からのエネルギーの賜物である。
しかし、ここはあくまでも通過点。より大きな目標に向けてKOSHIDO RACINGは邁進していく。

2025.06.22 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.3富士24時間-決勝①-

■ウォームアップ走行

昨日出現していたエンジンが吹けなくなる症状は見られず、ロトスタ号は元のポテンシャルを取り戻していた。但し根本的な原因究明という点では、やや決勝に不安が残るところではある。この症状が出現するとホームストレートのトップスピードで30km/hほどの差が出ることから、同クラスの他チームに対して大きなハンデを背負うことになる。課題は抱えていたがまずはこのままスタートを切ることとなった。

■ピットウォーク

朝から午後イチくらいまで雨の予報となっていたが、ちょうどこの時間は雨が上がり、参加者には嬉しい誤算。良いタイミングに恵まれ、多くの来場者で賑わった。

やはり富士24時間レースはスーパー耐久シリーズの他レースの中でも別格の盛況ぶり。多量に準備していたノベルティはすっかりなくなってしまうほどであった。また、前戦に続き北海道イエロースターズの三選手も駆けつけ、花を添えた。
今回はトートバッグやマフラータオルのほかに、今回新たに作成したクリアファイルやミニフラッグを用意。それだけではなくスポンサーであるノース・メディコ様も来場され、さらに充実したノベルティを引っ提げてのピットウォークで多くの来場者に認知される結果となった。

■富士チャンピオンレースシリーズロードスターカップ

Dドライバー山本はこの24時間耐久レース以外にも自身の車両でロードスターカップにもダブルエントリーしていた。予選・決勝ともに午前中に行われたが、雨でセーフティーカースタートを強いられる中、荒れるレースをミスなく走り切る。表彰台には一歩届かなかったが、良い流れを掴んでレースを終えた。

■スタートセレモニー~第1スティント

15:00スタートの予定であったが、強雨により順延となり16:00スタートと一時間のディレイ。加えてセーフティーカー(以下、SC)スタートとなった。第1スティントはAドライバー佐藤。路面は無論フルウエットにてレインタイヤでのスタート。数周にわたってSC先導となり、その間にタイヤを良い状態に仕上げるべく余念がない。そもそも雨が得意と自負する佐藤はタイヤが冷えた状態でも抜群の安定感を発揮する。

ラップタイムは2分14~17秒台のペースで周回を続けるが、ここで昨日のエンジンが吹けなくなるトラブルが顔を覗かせる。これにより3~4秒ペースを落とさざるを得ず、2分17~20秒前後のペースでの周回を強いられた。早々のトラブルに頭をかける佐藤であったが、それでもポジションを死守するべく何とか後続を抑えようと走行。必死にロトスタ号で格闘していたところ、症状は途中で消失。息を吹き返したロトスタ号は再び元のペースを取り戻した。

28周を消化し、路面は徐々にドライに。ここでピットインとなる。

 

■第2スティント

Bドライバー柴田へチェンジ。路面は乾きつつあり、タイヤをスリックにチェンジしてペースアップを狙う。第1スティントで出ていた症状は出現なく、順調にペースを維持。路面状況の変化とともに2分9秒台、8秒台へとラップタイムを短縮していく。完全にドライ路面となってからは2分7~8秒台にて安定して周回。この安定性もまた柴田の持ち味である。

路面コンディションも徐々に回復し、2分8秒台で安定してラップ。本スティントも後半に差し掛かると空は暗くなり、ナイトセッションへと突入していく。
19時前、きっちりと仕事をこなした柴田が帰還。予定通り大宮にステアリングが託された。

■第3スティント

Eドライバー大宮が搭乗。練習走行でロードスターというクルマを理解できたと話していたその言葉通り、ピットアウト後まもなくペースを上げていく。


暗い時間帯にも関わらず2分7秒台を連発。24時間名物の打ち上げ花火とともに完全に覚醒した。
残り19時間28分。ST-5Rクラストップを走行していた76号車にトラブル発生。これにより1ポジションアップのクラス2位となる。
スロー走行車発生によるFull Course Yellow(以下、FCY)ののち、その後6周回のSCランをはさむこととなったが、その間の20:26にピットインした。

 

■第4スティント

非常にペースよく走行できていた大宮は急遽ダブルスティント決行となる。SC中にピットアウトし、トップの88号車とは10秒強の差。SC中であるため、この差は正しいものとはいえないが、ラップタイムを上げてきている大宮はこの差をいかに縮めていけるかという最初の正念場にきていた。しかしここで88号車のFCY中のピットインによるペナルティが確定。ピットストップ60秒との内容。前後のピットレーン走行時間を踏まえると逆転するには十分な時間である。という計算をしていた傍ら、大宮は自身の走りで88号車の前に出てみせる。

ここでさらに88号車がペナルティ消化。大きなマージンを確保することに成功する。そして大宮のラップタイムは2分6秒台をマークし始め、その差をしっかりとキープ。再びSC導入となり、ここでピットへ帰還した。3時間のロングスティントを戦い抜いた。若さ溢れる大宮であるが、さすがに疲労は隠せない様子であった。

 

■第5スティント

21:52。Dドライバー山本に交代し、ピットアウトというところでロトスタ号に日中以来のトラブルが襲う。左のリアタイヤが外れないという状況。ひとまず一旦ピットアウトさせるが、SC中に再度ピットイン。規則上設定されているメンテナンスタイムの10分間を充てる形でアームごとハブ交換を実施した。


SCは一度解除されたものの、その数周後に霧による視界不良で再度SC導入。しかしこれはKOSHIDO RACINGにとってプラスに働くこととなった。しかしながら霧が晴れずSC先導時間は延々と続く。時間も深くなり、ツーリングスピードを強いられるこの状況はドライバーに睡魔を与えてしまうのではないかと心配になるほど。結局SCは解除されぬまま、山本のピットイン時間を迎えてしまう。

山本によると、SCとSCの合間の短い全開時間の中で、再びエンジンが吹けなくなったと報告があった。やはり手負いの状態は変わらない状況での戦いは続く。

■第6スティント

0:40。Cドライバー浅井にチェンジ。SCはまだ解除されず、我慢の走行が続く。数周後、SCがピットに戻り、ようやくレーシングスピードへ復帰。実質的な浅井のファーストスティントが開始された。しかしながらほどなくしてTGRコーナー立ち上がりで他クラスの大きなクラッシュがあり、FCYが適用される。車両回収後はクラッシュによるガードレールの修復のため1時19分に赤旗中断となる。

レースは2:00に再開。徐々にラップタイムを短縮していく浅井は2分11秒台、10秒台、9秒台と順当に詰めていく。この時点でクラスポジションは3位。ハブ交換が痛手となり、一度は1位を走行していたが、何とか表彰台圏内をとらえるべく順位をキープした。

2025.06.22 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.3富士24時間-予選-

【公式結果:Position4】

 

■Aドライバー:佐藤 元春

オーガナイザーよりウエット宣言が公示される。ホームストレート上はほぼドライ路面に見えるが、スタート時点でTGRコーナーのクリップ付近がやや濡れている様子が窺える。富士スピードウェイの敷地は広大。急にウエット路面に変化するところもあるため、アタックラップでは細心の注意が必要となる。とはいえどコンディション的にはスリックタイヤが必須の状態。佐藤は慎重にコース内を確認しつつ、冷えたタイヤをしっかり温めてアタックに臨む。マシン自体はバランスよく、動きは良好。しかしながらコース内は多くの他クラスマシンで激しく混み合っており、厳しい状況下でのアタックが開始された。
まずはファーストアタック、2分6秒8。その後のセカンドアタックは佐藤自身が無線で叫んでしまうほどラインが交錯。結果2分7秒8に留まる。サードアタックは2分8秒0。次のアタックではセクター1で全体ベストをマークしたものの、13コーナーで後方から他クラス車両をパスさせることとなり、2分8秒9に甘んじた。ラストアタックの5周目では2分6秒7へとわずかに縮めたが、前には届かずクラス5位となった。

<走行後インタビュー>
コースインの際に位置取りを完全に失敗し、アタックラップとしてはすべてトラフィックの影響を受ける形となり、不甲斐なく終わってしまった。マシンの状態は良いので1秒以上は余裕で縮められる感触を得ている。
決勝は自分がスターティングドライバーを務めることになるためガンガンオーバーテイクして、さらに引き離したい。天候にも左右されるかもしれないが、しっかりと走り切ってドライバー全員でうまくバトンを渡して勝利したいと思う。
今回はスポンサー様も多く来場されるので、しっかりとアピールできるように努めたい。

■Bドライバー:柴田  優作

路面はドライ。空模様は不安定ながら雨は今のところ止んでいる。気温は16℃。ファーストアタックに向けてタイヤを仕上げていく。ところがその矢先、アドバンコーナーにてトラブル車両発生。回収のため赤旗中断となる。
コースクリアは13:03。再開後、ここから改めて13:18まで15分間の走行が開始された。柴田のファーストアタック。まずは2分4秒5にて全体の3番手につける。その後の周回は混雑を避けつつ間を空けながら2分4秒8、2分5秒3と続くが、最初にマークしたタイムは更新ならず。しかしクラス3番手はキープし、予選を終えた。

<走行後インタビュー>
現状自分の出せる力は出したが、ちょっと届かなかったのは残念。今までのレースと違って予選の出走台数が多い。アタックのタイミングでタイヤの良い状態をもってくるのがこの予選の肝であるが、特にST-5クラスに対しては他のクラスが入っていて間合いをとるのがとにかく難しい。
結果では暫定でFF勢の前に出られる見込みではあるが、速いところと遅いところが違うためできれば5Rクラス同士で走られればと考えている。
決勝のペースには自信があるので、全員で力を合わせて優勝を目指したい。

■Cドライバー:浅井 康児

予選という括りではあるが、スーパー耐久シリーズにおいてC・D・Eドライバーは走行タイムを残す必要があり、出走が義務付けられている。
浅井はマシンを温存する方向でコースイン。気温は前セッション時と変わらない。本人はワンラップアタックと決めて臨んだこの一枠。2分7秒3でクラス3番手のポジションを獲得し、翌周回はインラップでピットに帰還。元々Attack筑波でのワンラップアタックには慣れており、極限集中で臨んだこのセッションはしっかりと結果を出してきた。決勝想定では燃費とのバランスを考えた好タイムといえる。

<走行後インタビュー>
一周のみアタックと決めてコールドタイヤスタート。熱入れに思ったより時間がかかり、100Rではアンダーステア気味であったが、アタックラップ中にようやく温まってきたという印象。しかし、昨日と近い感じでイメージ通りにクルマを動かすことができたと感じている。タイムも2分7秒台には入ったが、もう少し詰めたいという気持ちはある。ただ、このペースで大きな失敗なく24時間を淡々と走れれば結果は出せるのではないかと思っている。C・Dドライバーも強敵ぞろいで甘くはない。今回過去一の出走台数ということで、そこでのロスを最小限に抑えられるよう努めていきたい。練習走行から意識はしていたが、横並びの状況もシミュレーションして臨まなくてはならないと考えている。
Cドライバーの務めとして、ぶつけない、燃料も無駄に使わない、縁石に乗らず車も傷めないということを第一に、タイムよりそちらを優先した走りを堅実にこなしていこうと思っている。その中でも2分7~8秒台を安定して出せるようにしていきたい。

■Dドライバー:山本 謙悟

セッション開始後から少し間をおいてコースイン。山本もまたワンラップアタックを敢行する運びとなっていた。ただ、エンジンの調子が今ひとつよくなく、ストレートスピードも伸びないという状態。タイヤも徐々にコンディションが落ちる中、それでも2分8秒6をマークし、決勝への足掛かりを掴んで帰還。前日までの練習走行でより速いペースで周回できていたことから、この走行枠でイレギュラーが起こっていたことは明らかであった。ドライバーとしてのポテンシャルの高さはハンデを負った状態ながらレースペースくらいのラップタイムを刻んでいたことで証明されている。

<走行後インタビュー>
走行中に車のご機嫌が悪かったようで、計測1周して戻ってくるつもりがそれ自体もままならない状況だった。今はただただ本戦までにクルマのご機嫌が直ってくれないかなという思い。
24時間は生き残りのレース。トラブルに見舞われても直してくれるクルーがいることはとても心強いし、頼りにしている。自身の走りとしては、他のライバルチームが速いので生き残りをかけて車を壊さないように走り切りたい。良いドライバーが揃っているので、皆が力を合わせればトップでゴールすることもできると思っている。

■Eドライバー:大宮 賢人

大宮もまた元々はワンアタックで終了の予定を立てていたが、山本の走行中に不調が出現したことでトラブルシュートの意味も含めて30分間しっかり走行。しかし根本的な特定には至らず。走行し続けることは可能であるが、やはりストレートでは期待しているような加速感は得られておらず、走行後は即メカニックの手が掛けられ始めていた。

<走行後インタビュー>
大宮もまた元々はワンアタックで終了の予定を立てていたが、山本の走行中に不調が出現したことでトラブルシュートの意味も含めて30分間しっかり走行。しかし根本的な特定には至らず。走行し続けることは可能であるが、やはりストレートでは期待しているような加速感は得られていない。
自身の走り的には昨日ようやくロードスターの特性を掴めたことで、それを確認するという意味でも内容はよかった。トップとは少し差があるが、24時間レースなので明日に向けてしっかり準備して、みんなで力を合わせてフィニッシュを迎えたい。
雨でのロードスターの挙動には不安なところはあるが。逆に楽しみでもある。みんなと力を合わせて自分のスティントはノーペナルティ・ノーダメージで終えたい。

2025.06.22 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.3富士24時間-練習走行-

■5月27日(火)

レースウィークでの走行練習はこの日が初日。チームオーナー兼Aドライバーの佐藤は他のドライバー陣よりも一日早く現地入りし、実戦機ではなくスペアマシンのND5ロードスターにて富士スピードウェイに来ていた。

スペアマシンといえど内装は最低限でロールケージが張り巡らされたレース仕様車両。スリックタイヤに交換し、この日は4本の走行枠に挑んだ。
1本目から感触は良好で、タイヤ内圧が安定してからはコンスタントに周回を重ねていく。タイムは2分5秒前半から6秒台を刻むようになったところでガス欠症状が出始め、走行を終えたが、佐藤は2分4秒台はみえるところまできているとコメントしている。
給油をはさみ、タイヤが冷えて内圧が低下した状態でも決勝でのドライバーチェンジ直後を想定した走行訓練に臨んだ。
佐藤はこの一日でND5ロードスターの理解を深め、レースへの良い足掛かりをつかんだ。

■5月28日(水)

<搬入>

今回は24時間レースということもあり、大量のスペアパーツが必要となる。スペアマシンは前日までに自走で搬入させ、可能な限り積み込めるスペアパーツと復活を遂げた610号機(通称ロトスタ号)をトランスポーターに積み込んでKOSHIDO RACING一行は富士スピードウェイに乗り込んだ。
到着と同時に積み込まれた荷物を手際よく降ろすメカニックやスタッフ。2時間ほどで大凡のピット設営は完了し、午後からの走行に備えた。

<練習走行>

佐藤に加え、佐藤、浅井、山本、大宮と各ドライバーが到着。この日のメニューはタイム出しというよりもマシンチェック、ブレーキの焼き入れとタイヤライフ測定、燃費計算に費やされた。走行枠は50分間×3本。あとは柴田によるマシンセッティング。そしてその後に各ドライバーが搭乗し、フィーリングを確認するという流れ。
走行前にはドライバーとエンジニアによるミーティングが行われ、決勝の周回ペースの目処が伝えられる。上記の作業をこなしつつドライバー全員が指標タイムに合わせていくという形となった。

走行はユーズドタイヤにてスタート。このタイヤは前日の5月27日にAドライバーの佐藤が練習走行に使用したものをそのまま履いてスタートした。柴田が2分7秒台をマークし、各ドライバーもそれに続く形で2分8秒台をマークしていく。マシンはまた少し動きに変化がみられるようであったが、概ねトラブルなく走行を終了した。

■5月29日(木)

レースウィーク三日目の走行枠は、一本あたり90分の長丁場を二枠と、夜間練習走行60分の一枠の行程。日中の二本の走行枠はスーパー耐久専有として設けられており、コース内の状況は一変。前日までの少ない台数での走行枠とは異なり、一気に混走車両が増えた。しかしターゲットタイムは前日と変わることはない。いかに後続の他クラスを上手くパスさせ、タイムを落とさない走りをキープできるかが肝となる。

<Session1>

佐藤、浅井、柴田、大宮の順で搭乗。それぞれ決勝想定テストとし、柴田はいつも通りマシンのバランスチェックも任された。マシンの動きにはまだ課題が残っており、全ドライバーが同様の考えでセット変更を望んだ。柴田と佐藤でその方向性をエンジニア・チーフメカニックに伝え、決勝に向けたセッティングが進められる。

そのような状況下ではあるものの、大宮は何かを掴んだか順調にタイムを短縮し始める。5月8日の夜間走行練習で初めてロトスタ号に触れ、ドライビングの組み立てを強いられたものの少ない時間でそれを見事に形にしてきた。

<Session2>

まずは柴田がマシンチェックで10分間ほど走行。やや鋭くターンインするとイン側のリアが浮き気味でロックしやすいが、動きとしては悪くないという印象。2分7秒台半ばで周回し一通りのチェックを終え、浅井に交代。浅井はこれまでタイヤが厳しい状況での走行機会が多かったが、今回は新品のセットでロトスタ号本来の性能と向き合う機会となった。タイムを徐々に短縮し、2分7秒フラットまで詰める。その後も同7秒台半ばで安定して周回し、ドライバーとしてのポテンシャルの高さを見せつけた。次は山本が搭乗の予定であったが、現状のマシンの動きを把握するという目的で急遽佐藤が搭乗。ひとしきりチェックを終え、良い方向にきていると好感触の様子。満を持して山本へ交代。山本はこのレースウィークに自身の所有車両でロードスターカップにもエントリーしており、双方の走行ラインの違いやマシンの動きの違いに翻弄されながらの走行。とはいえどもロードスターマイスターとしてどの車両においてもベストな走りを可能とする山本は2分6秒台を叩き出す。それも一周限りということではなく、複数周回にわたっての6秒台。実力の高さをうかがわせた。
このセッション最後の搭乗者は大宮。一枠目で開眼した現役フォーミュラドライバーはコースイン後早々に2分6秒530をマーク。残り時間が少ない中で数周回しか許されなかったものの、短時間ながら助っ人の域を超えた走りに誰もが期待を抱いた。

<Night Session>

夜間走行。この走行枠は佐藤と柴田が担当。

まずは柴田が搭乗。ミッション交換後の慣らしを目的とした走行でもあるため軽く流す程度の走行ながら、ことのほかタイム的には2分7秒台と好ペースでの周回となり、クラストップのタイムをマークしていた。FCY訓練をはさみ、佐藤にチェンジ。2分10秒台前後のペースでミッションの調子を確かめつつ、丁寧に仕上げていく。残り30分を残してピットに帰還。セッティング変更の最終チェックを以てこの日の走り収めとした。

■走行後ドライバーコメント

Aドライバー:佐藤元春

24時間の耐久なので一発よりもコンスタントに想定タイムを刻んでいくことが重要と考えている。一日目はバッドコンディションでいかにペースを落とさず安定した走りができることを、二日目は決勝を想定した燃料満タン、ニュータイヤ装着からのスタートでの練習ということをそれぞれ主眼において走行した。決勝を想定したトレーニングを全ドライバーで意思疎通を図りながら行えた結果は期待ができるものだった。
各ドライバーは大凡チームが考えている目標値をクリアしているので、ノーペナルティかつ想定されたラップタイムを刻んでしっかりバトンをつないでいければ優勝できると信じている。

Bドライバー:柴田優作

24時間レースということで他のレースに比べてより車の準備が必要となるが、それを水曜日から順調に進められており、セットアップも良い方向に仕上がっている。ほぼ予定通りに進行できていたと思う。最後の夜間走行でも問題なく、決勝に十分期待できる状態。チームとして初の24時間ではあるが、およそのプランはできているので、チーム全員で確実に遂行できれば勝てると考えている。

Cドライバー:浅井康児

一日目、タイヤの状態もマシンのセットも自分の想定していたものとはずれていて、それをアジャストさせるまでにかなり苦労した。
二日目までに頭を整理し、挑もうとしたところセットが変更されており、その方向性がイメージ通りになっていてアクセルで車を前に進められるようになっていた。
決勝では車を壊さずみんなでゴールを目指して価値を目指したい。

Dドライバー:山本謙悟

一日目は持ち込みのセットの確認と計測4周、タイヤもマイルオーバーでフィーリングが良くない状態であったため、クルマのチェック走行に集中した。結果としては問題なく終えられた。
二日目、A・Bドライバーが車のセットアップを進めてくれて、良い状態に仕上がっていたので24時間は安心して挑めると思う。
24時間レースの燃費、燃費5クラス特有の作戦、1ピット減らす。壊さないこと前提に速さと燃費のバランスよいところを見つけて貢献したい。

Eドライバー:大宮賢人

先日の夜間テストの際に初めてロードスターに乗り、ドライビングの修正点が課題として多く出た。一日目はそのような中で挑んだが、上手く修正しきれなかった。タイヤのコンディションもあったとは思うが、もう少し早い時間で合わせられたらと思っていた。
二日目は理想の走りのイメージができてきて実践できたことがよかった。まだ燃費やタイヤの使い方という点で課題は残っているが、スプリントではなく24時間レースということを改めて認識し、ひとつひとつクリアしてロスなく走ることに集中したい。

2025.06.20 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE 富士スピードウェイ公式テスト

スーパー耐久シリーズの山場となる富士24時間レースを月末に控え、チームは事前テストにて富士スピードウェイに来ていた。

今回のレースは以前にVITA-01の耐久レースでAドライバーの佐藤とタッグを組んだ経験もある大宮賢人選手をEドライバーとして起用し、5名体制で臨む。

富士スピードウェイは各ドライバーとも比較的走行経験が豊富なサーキットであるが、スーパー耐久用のロードスターで走行するのはあくまでも今回が初めて。参戦初年度というだけあり、手探りの状態からのスタートである。まして今回は鈴鹿でのクラッシュ後に応急対応にて乗り入れており、走行の目的はセッティングおよびトラブルシューティングが主なものとなった。

■Daytime Session

午前の1本目の走行枠は最終調整の時間に充て、走行は午後から。まずは柴田がファーストドライバーを務め、マシンの状態を見極める。
動きとしては特定のコーナーにおけるアンダーステアと何らかの原因によって起こる振動が悩ましい状況。しかしセッティングではない別の試みでマシンの動きは改善されており、寧ろそれがエビデンス取得を難儀させる要因となっていた。

車体自体は走行に問題ないレベルの状態であり、以降のセッションに向けてよい滑り出しとなっている。
2本目は1本目の走行枠で解明しきれていない問題を解決すべく、急遽スーパー耐久専有走行枠以外にも一般走行枠への出走を決行。このセッションも前半まずは柴田が搭乗し、1本目で試みたことを確証に変えるべく走行を重ねるが結論には至らなかった。しかしながらマシンの状態は問題なく、続いて搭乗の佐藤も良いペースで計測ラップへ。今回初めてこの車両に触れる大宮も、手探りの状態から徐々に自身の走りを組み立て、他ドライバーと遜色ないタイムをマークしていく。浅井・山本は消耗したタイヤながらレース本番を想定したようなペースを維持し、依然として不足していたマシンの走行データの取得にひと役買う形となった。

■Night Session

 

 今回のテストはこの夜間走行がメインとなる。日没とともに一気に肌寒さが感じられる富士の夜。本セッションは18:30から2時間弱にわたって執り行われた。走行開始直後はマシンたちもまだ夕日に照らされていたが、ほんの数周回のうちに辺りは一気に暗くなっていく。
ドライバーは柴田からスタート。ピットアウト後早々に無線でエンジンが吹けないと連絡が入る。ピットではエンジニアがマシンの状態を常に確認しており、即時原因を特定。次第にマシンは元々の状態を取り戻し、柴田は本来のペースでの走行が可能に。常に2分6秒台のハイペースで周回していた。
続いての搭乗ドライバーは佐藤。ピットアウト後ほどなくして赤旗が降られ、計測できない状態となる。ほどなくしてコースオープンとはなったが、燃料満タンでタイヤもずるずるの状態ながら2分6秒台をマークし、本番想定としては十分すぎる結果となった。佐藤は前戦鈴鹿から好タイムを刻み続けており、今回もその良い流れを汲んでいる。24時間は長丁場なだけに油断はできないが、チームオーナー自ら勝ちに行く姿勢を見せることにチーム全体の士気が高まる。

次の搭乗者は大宮。この日初めて乗ったマシンでありながらかなり短い時間でマシンに順応していく。現役若手ドライバーならではの吸収の速さとセンスで周回するたびにタイムを短縮。最終的に佐藤、柴田に並ぶ2分6秒台とし、24時間レースの助っ人という枠を超える卓越した走りに皆が期待を寄せた。本人は最高速こそ高くはないものの、軽くてよく止まり、よく曲がるマシンにかなりの好感触を得ていた様子。ただ、それだけではなく普段搭乗しているF4にはない動きと速度域に合わせたドライビングを組み立てるなど、走りへの追及にも余念がない。何より初めての夜間走行が楽しいと口にする大宮。普通のドライバーであれば夜間の走行は疲労度合いも格段に上がる。そこを楽しいと話してしまうあたり、大物の片鱗を見せつけられたような気分である。
続く5人目は山本。ラップタイムは問題ないが、左のリアで異音を感じ取り、様子を見ながらの走行を強いられる。計測ラップはとれず、一旦ピットイン。マシンチェックの後、改めて2周の計測へと突入する。ピックアップ(タイヤかす)を回収したか、挙動にも影響が出ている様子。2分9秒フラットから7秒台へと押し上げ、限られた計測の中でしっかりと役割を果たした。
6人目は浅井。今シーズン初めて経験するS耐という空気の中、初戦から常に不安を訴えている浅井であるが、蓋を開けてみれば2分8秒台半ば~9秒台をコンスタントにマーク。やはりもてぎや鈴鹿よりは格段に走り慣れたステージということもあり、他クラス車両が入り乱れる、しかもナイトセッションという環境でありながら予想以上の結果を刻んでいく。

最後の搭乗は再び柴田。マシンの状態をチェックしつつ、余裕をもっての周回。このテストが終了後にはマシンのフルメンテナンスを控えており、それに向けての問題の洗い出しとメカニックへのフィードバックを以て走行を終了した。
本テストでは新たに参入した大宮を含めたドライバーチェンジの訓練も行われた。その分一人一人のスティントは短縮されてしまうが、ここも耐久レースで勝ち上がるためには非常に重要なファクターであり、その精度はレースやテストを経るごとに上がっている。

こうして富士のテストは幕を閉じた。マシンのチェック、課題の洗い出し、レース本番想定での安定したペースの獲得、現役若手選手の初走行と、非常に濃密な行程を修了できた。ここから3週間後、再びこの地で耐久の頂点ともいえる24時間の闘いが繰り広げられる。チームは全力で勝ちを取りに行くべく、それぞれに課された役割に対峙していく。

2025.06.20 2025 FCR-VITA Rd.2 富士スピードウェイ

KOSHIDO RACINGは搭乗機をロードスターからVITA-01に替え、5月8日のスーパー耐久公式テストから引き続き富士スピードウェイにて走行を重ねていた。

今期は昨年までVITA-01でのレースであったKYOJO CUPがフォーミュラ(F4)に車両変更され、FCR-VITAの台数は減少。とはいえ常に30台オーバーということもあり、変わらず激戦が繰り広げられているカテゴリーである。

この第2戦は15号機に佐藤元春選手、35号機に清水愛選手、610号機に三輪英則選手がエントリー。

佐藤を筆頭にいずれも富士でのレース経験は豊富である。

■予選

前日の公式スポーツ走行までは曇天ながらドライコンディションが維持されていたものの、レース当日は未明から激しい雨に襲われた富士スピードウェイ。いわずもがな路面はヘビーウエットである。

8時ちょうどからの予選には総勢32台のマシンたちが一斉にピットアウト。このコンディションになるとメインストレートからTGRコーナーは霧で一切見えなくなる。そこにきて前走者が巻き上げるスプラッシュによりさらに視界は悪化。経験とスキルが一気に要求される状況となる。

そのような中、佐藤がまず2分22秒702で全体の7番手タイムをマーク。清水、三輪はマシンの状態とコンディションの把握でともに34秒台からのスタートとなった。ここから各車ペースアップし、計測2周目といった矢先、降雨量増加によるコースコンディション悪化のため赤旗中断。状況が回復するまで一旦ピットで待機を強いられる。

残り5分でのタイミングで再度のコースオープンを迎える。計測ラップとして与えられた周回は2周のみ。佐藤はタイヤと路面状況に全集中し、まず1周目で2分21秒961。アタックを継続し、続く2周目には2分20秒433をマーク。過去最高位となる5番手を獲得した。

清水もまた赤旗前のタイムから一気に8秒更新の2分26秒240。全体の23番手でKYOJO枠としてのポジションは8番手とした。

もうひとり気を吐いたのは三輪。VITA-01搭乗経験は実質昨年からで、しかもスポット参戦という状況の中、赤旗再開後のたった1周で2分22秒489というタイムを叩き出し、10番手につけた。前日の会話の中では「雨も強いから無理せず様子見で」などと話していたが、いざフタを開けてみればこれまでのレース経験をフルに発揮した優れた状況判断とマシンコントロールでその意地をみせた。
悪コンディションをそれぞれ味方につけた予選セッション。決勝での争いにチーム全体の期待が高まっていった。

■決勝

予選時に降り続いた雨は霧雨程度となり、レース中に路面コンディションが変わることは必至。しかしドライとまではいかず、依然スリッピーな路面との戦いは避けられない状況である。

スタートは佐藤、清水、三輪と順当に決め、FCR-VITAではありがちなオープニングラップでの大きなトラブルもなくレースは展開されていく。

15号機の佐藤はスタート直後からトップ集団に食らい付く。そのトップ集団は1位から5位の佐藤までを含めた塊となっており、それぞれ前走者を追うという状況が続いた。しばらく膠着状態が続いていたが、トップ3台が周回ごとに入れ替わる中、コンマ数秒の間隔をあけて4位争いが繰り広げられる。佐藤の前を行くのはゼッケン12番の大野選手。つかず離れずの展開から若干佐藤が遅れたものの、一切のミスなく周回を重ねていく中で大野選手がミスにより後退。堅実に走り続けていた佐藤が4位に浮上した。ここからは単独走行となったが、元々1台で淡々と練習走行をこなすスタイルというだけあり、それ以降もミスなく、しかもウエット路面を比較的得意としていることもあり、タイムも落とすことなく走破。FCR-VITA(MEC120除く)における自己最高順位を塗り替え、4位フィニッシュとなった。

初ウエットレースの35号機清水はスタートを上手く決め、一時は16番手に浮上。しかし焦りが出たか、序盤で2回のスピンを喫し29番手までポジションを落としてしまう。雨での練習量が足りない、難しいと嘆いていたが、VITA-01+フルウエット路面という境遇は想定以上にシビアだったようだ。それでも気持ちを切り替えて3周目には2台の前に出て27番手、その後も1台ずつパスして徐々に元のポジションまで戻していった。終わってみればラスト3周は毎周1ポジションアップを果たしており、最終的には24番手までのし上がってレースを終えた。本人は悔しい気持ちでいっぱいだったようであるが、これから練習を重ねることで今後の走りは激変するであろうことを確証付けた。

610号機の三輪は3台の中で最もスタートを決めたといえる。そこからの勢いそのままにオープニングラップで3台を抜き去り、7番手へと浮上。トップに次ぐ第2集団の中で熾烈なポジション争いを演じた。2周目には1台に先行を許したが、話されることなく食らい付いていく。そして4周目、悲劇は訪れた。コカ・コーラコーナー進入から立ち上がりにかけて前走者がアウト側ランオフエリアにコースアウト。その後スピンモーションに入りながら610号機の右前面に向かってコースインしてきたのである。たまらず三輪は左に回避行動をとるが相手もコントロールを失っており、そのまま接触。弾かれた三輪は反時計回りにスピンしながらイン側のウォールにクラッシュした。アライメントのずれはあったものの自走可能と判断し、すぐさま体勢を立て直してコースに復帰。幸いこの時点では10番手と2ポジション落としただけでレースを続行することができた。しかし、結構な速度域でのクラッシュであったことからボディ右後部を大きく破損し、リアウイングが激しく起こされた状態になってしまったため空気抵抗が倍増。ストレートスピードが全く伸びなくなっていた。

富士スピードウェイにおいてこれは致命的ともいえる。コーナーでは前走車との差が詰まるもののメインストレートでごぼう抜きされるという状況にさらされ、6周目以降はほぼ毎ラップ1台ずつ先行を許してしまうことに。チェッカーを受けたときは15位となっていた。それでもあれほどのアクシデントに巻き込まれながら15位完走というのはもはや快挙である。ここ2シーズンでレース経験が一気に増えた三輪の強さが光ったレースであった。

今回のFCR-VITAはKOSHIDO RACINGとしては悲喜交々といった感じにはなったが、後ろ向きな要素は何ひとつなく、寧ろスーパー耐久に続き、今回も強いチームであることを実証できた。今期は本州レースに主眼をおいて戦っていることもあり、今後の富士や鈴鹿でのVITAレースもますます見逃せない。

2025.06.19 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.2鈴鹿サーキット-決勝-

正式結果:順位認定なし

 

■決勝前ピットウォーク

前日の予選前に比べて一気に来場者が増加。事前のSNS告知等を通してたくさんのファンの方々にお越しいただいた。ノベルティは前日に比べてさらに早いペースで配られ、用意していたタオルやクリアファイルも早々になくなるといった状況。
今回はメインスポンサー様や有限会社恒志堂と包括連携協定を締結している赤井川村副村長も来場され、この時間を一緒に盛り上げていただいた。

■1stスティント:Aドライバー佐藤

時刻は11:00。気温21℃、湿度40%。今回はサクセスウエイト5㎏を積んでの戦い。
総合グリッドでは40番でイン側に位置する610号機。すぐ前はトップの村上モータース88号車。

ローリングスタートで絶妙なダッシュを決めた佐藤は1コーナーまでに前に出かけるが、88号車もアウト側で粘りS字で再びポジションを戻す。開始直後からの競り合いはあったものの、大きな混乱なくポジションそのままにレースは運んでいく。

スタート直前にエンジニアから目処となる周回タイムについて佐藤に伝えられ、それを上回るタイムでラップを重ねていく。決勝本番にしてこれまでの走りとは一線を画す佐藤の走りに誰もが驚き、そして期待を寄せた。

10周目を過ぎ、ややペースは落とし気味としたところで、その後は安定的して周回。しかしその後、大きなトラブルが佐藤を襲った。14周目、日立アステモシケインのブレーキングで急に姿勢を乱し、アウト側のクラッシュパッドに激しく突っ込む。ほぼ最高速に近い状態からブレーキが抜けた状態(踏んでも制動力が正常に立ち上がらない状況)でブレーキングを開始。異常に気付いて素早く踏み直したものの、ブレーキ油圧が戻ると同時にリアタイヤがフルロックし、アウト側に飛んでしまったという状況であった。クラッシュパッドを除去したのち自走で戻ってはこられたものの、所々マシンを損傷しておりそのままピットへ。ここから精鋭揃いのメカニックによる復活への道のりが始まる。

■2ndスティント:Dドライバー山本


鈴鹿にスペアマシンを持ち込んでいたKOSHIDO RACINGは2時間弱に及ぶ修復作業の末、610号機は走行が可能な状態となった。まさに敏腕メカニックたちの技術が結集された結果である。
残り時間2時間余りでピットアウト。長い作業から目覚めた610号機が息を吹き返す。
とはいえマシンは万全というわけではない。山本は手負いのマシンでまずは2分37~38秒まで縮めたが、徐々に早いラップペースの中で状態を探る。

マシンの状況はステアフィールに違和感が感じられたものの、大きな問題はなく走行を続けられている。様子を見ながらの走行を強いられていた山本であったが、ある程度走行に問題がないことがわかるとタイムを徐々に上昇させ、2分33~34秒台での周回に。こうなると本来のレースペースと遜色ないレベルである。スーパー耐久参戦経験豊富かつロードスターマイスターとしてのプライドにかけ、山本はハイペースでラップを重ね続けていく。元々予定されていた周回集をそつなくこなし、8回目のFCY(フルコースイエロー)明けにやや遅れてのピットインとなった。

■3rdスティント:Bドライバー柴田

予定は10周程度。ST-5Rクラストップ集団と遜色ない2分32秒台というハイペースで走り続ける。変化しているマシンの動きを自らがステアリングを握ることでメカニックやエンジニアに克明に伝え、後続の浅井に向けてより具体的かつ実践的なアドバイスも伝達された。しかしながらABSにトラブルを抱えている状況で、予定より早めのピットインを強いられることとなる。通常時に比べるとやはりまだブレーキフィールはよくないというコメントを残しており、完走に向けて慎重に走らなければならないことが共有される。

■Cドライバー浅井

残り30分のところでチェンジ。ここからでは規定周回数には及ばないことが明らかとなり、確実に鈴鹿でチェッカーを受けるという使命を全うするために浅井が最後のバトンを受け取った。スーパー耐久シリーズでは各クラスの優勝者の周回数のうち70%を走破していなければならないが、この時点ではフィニッシュ時に50%をやや上回るくらいの感覚。タイヤはグリップ感が低く感じられるものの、マシン自体は乗りにくくはないと浅井。 ブレーキのフィーリングはやはり全然違うと感じていたが、2分36~38秒台で抑えめに周回したことで無理なくデータを収集しつつ、16:00無事にチェッカーを受け、帰還した。

レース序盤に不運に見舞われた今回のレース。前回のもてぎ戦が順調だっただけに今回の結果はより残念なものと感じられたが、走り続けることで得られたことがたくさんあった。今年マシン製作し、これまで時間がない中でなんとか走らせてきた610号機。実践的な戦闘力を高めるためにはまだまだマイレージが足りないのは事実である。仮に順調に走り続けていた場合、データ上表彰台圏内は間違いなかったという解析結果も得られている。今後は速さだけではない「強さ」を身につけていくことが必須である。

次戦はいよいよスーパー耐久シリーズ一の大舞台である富士24時間。今回を大きな糧とし、ポディウムに上ることを見据えてKOSHIDO RACINGは邁進する。

2025.06.19 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.2鈴鹿サーキット-予選-

正式結果:ST-5Rクラス2位

■Aドライバー佐藤

時刻は14:00。気温21℃、湿度21%。

スーパー耐久シリーズの予選はA、Bドライバーのタイムの合算でスターティングポジションが決定されるため、チームの勢いをつけるためにもこの時間は非常に重要なファクターである。

早々にタイヤに熱を入れ、アタックラップ一周目から照準を合わせていく佐藤。計測ラップ1周目、2分31秒290と上々の滑り出し。その後も3周にわたって良好なペースをマークし続けるが、タイヤの消耗とともに徐々にタイムも厳しくなる。とはいえすべての周回を31秒台でまとめ、決勝に向けた走りのパッケージとしては良い感触を維持していた。

ここでAドライバー枠では3番手。その後のタイムはどうかといったところでなんとコース上でマシンが失速。不測のトラブルにより余儀なくランオフエリアにマシンを停め、佐藤の予選はここで終了となってしまう。
ポジション的には3番手をキープし、Bドライバーの柴田に託す形となった。

■Bドライバー柴田

15:00。気温は22℃。湿度は20%を切っている。

前セッションでのトラブル回収のため、遅れてピットに戻ってきた610号車。メカニックたちが全力で走行準備にあたり、車両は息を吹き返す。残り7分のところでようやくピットアウト。与えられた周回数は実質2周。昨日よりも特定のコーナーでアンダーステアが強く出ている中、2分29秒670をマークし2番手につける。しかしトラックリミット違反によりこちらのタイムは採択されず、続く周回でマークしたセカンドベストの2分29秒997がリザルトとして残された。

ポジションは変わらず2番手だったが、そのまま後続のタイム更新はなく、そのままのポジションで予選終了。前戦のもてぎではBドライバー枠で辛くもポールポジションだっただけに悔しさは残るが、短時間での対応と限られたアタックラップの中でやれることを最大限にし尽くした結果の2番手。チームの総合力の高さを証明した。

■Cドライバー浅井/Dドライバー山本

16:20スタート。19.8℃。湿度22%

この走行枠は決勝のスターティングポジションを決定するものではないが、各ドライバーがタイムを記録することを目的とされている。まずはCドライバーの浅井がコースイン。初回計測周は2分34秒215。浅井はマシンの状態を確認しつつ、徐々にペースを上げていく。2周目には2分32秒918と練習時のベストタイムに肉薄する記録をマークし、ここでガス欠症状が出始めたためピットイン。10分間想定の走行時間は予定通りとなった。


残り時間は山本の走行時間。とはいえども5分で、計測周として扱えるのは1周程度となる。アウトラップからペースをつくり、唯一の計測ラップである2周目へ。セクター2では浅井以上のタイムを記録し、2分32秒830をマークする。たった一周のラップをまとめ上げた山本の集中力の高さが窺える。

■ピットウォーク

北海道イエロースターズの選手3名も駆けつけたこの時間は多くのファンが来場し、サイン待ちで長蛇の列となっていた。ノベルティ配布も500を超える数があっという間になくなってしまうほどの盛況ぶり。KOSHIDO RACINGのノベルティも開始早々に配布予定数を上回り、モータースポーツ人口が多い鈴鹿ならではの熱量を強く感じられる結果となった。

本日は全ドライバーが平均して安定したタイムを刻むことができており、翌日の決勝に向けてよい流れが確立されたセッションとなった。マシントラブルはあったものの、レースウィークとしての流れは悪くはなく、それぞれがよい方向へと邁進できている。

明日はいよいよ決勝。万全の体制で挑み、初戦もてぎに続く連続表彰台を目指してチームはひた走る。

2025.06.19 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.2鈴鹿サーキット-4月25日練習走行-

■Session1

本日の走行は8時からと少し早めのスタート。天候は曇りで気温は15~16℃といったところ。スタートはいつも通り柴田から。今回はニュータイヤで予選を想定したアタックの練習である。アウトラップでのタイヤウォームを少し失敗したと本人は話していたが、計測ラップ2周目で昨年の鈴鹿予選ベストを上回る最高のタイムを早々に叩き出し、ピットへ戻る。本人もまだ余裕があるようで、明日の予選本番のアタックはますます目が離せなくなった。ピットイン後は佐藤にドライバーチェンジ、佐藤も柴田同様に予選を想定したアタック練習。コースイン後まもなくは少しマシン特性に悩まされているかと思われたが、計測3ラップ目あたりから本日のコンディションに順応し、タイムが縮まっていく。130Rのボトムスピードが昨日よりも高い領域で安定しており、2分31秒前半をマーク。30秒台も視野に入れた状態で1枠目の走行を終える。

続いて浅井が搭乗。昨日から限られた走行時間しかとれなかった中で、ようやくまとまった練習ができるようになった今回。浅井も例にもれずこの流れに乗じ、2分32秒7までタイムアップさせる。日に日に目に見える速さを身につけていったことで本人の中でもよい流れを掴んでいる様子が伺えた。

■Session2

この走行枠は他クラスとの混走。試験的にリアウイングを変更し、富士24時間に向けたテストも兼ねての走行。

まずは柴田が搭乗し、マシンの様子を見ながら走行を開始する。他クラス車両をパスさせつつの走行ながら、計測周では安定して2分31秒台をマーク。普段スーパーGT300クラスで戦っているドライバーでもあり、クラス違いの混走は手慣れたもの。パスのさせどころが絶妙である。KOSHIDO RACINGのドライバー陣を引っ張る存在として実力を遺憾なく発揮。

柴田に続いては浅井がコースイン。今回は山本の走行時間をしっかり確保するために短時間での搭乗となったが、後続の処理にまだ慣れない様子でSession1のような走行はできず、混走における課題が明確となった。一方で山本は劇的に速いタイムはでの周回はないものの、2分33秒台をコンスタントに重ねる堅実なドライビングでレースペースづくりの基礎を作り上げる。ミスのないドライビングでマシンにも負担の少ない走行を披露し、練習走行のセッションを有効に活用した。

■Session3

この走行枠はグループ2専有となり、ST-Q、4、5F・5Rクラスの車両がコースへ。ドライバーは佐藤からスタート。本戦用ロードスターでのマイレージが少ない中、確実に走りの精度を上げており、柴田と遜色のない2分31秒台のペースでの周回を可能とした。早々に走行を切り上げ、本日走行時間が十分に取れていない山本にステアリングを譲る。

山本はタイヤのグリップが低下しつつある中で、ライン取りの工夫やセクター1・2を4速ホールドでボトムスピードをキープする走りを試みるなど、様々な走り方を追求。その中で2分32秒台をマークし、レース本番に向けた走りを組み立てつつあった。

■Session4

本日の最終枠。天候は午前中より曇りの状況が続き、気温・路面温度ともに上昇はなし。この走行枠では柴田は搭乗せず、佐藤・山本・浅井が走行した。柴田はオンボード(車載)映像を確認しながらアドバイザーに徹し、3名のドライビングを見守る。

最初の搭乗は佐藤。最終枠かつ全クラス混走ということもあり、クリアラップの獲得にはなかなか至らない。それでもこれまで取得時間が限られていた走行データを少しでも多く収集し、マシンセッティングをより詰めるべく各ドライバーがそれぞれの仕事をする。 2時間の走行枠をしっかりと走り切り、二日目の走行日を有意義なものとした。

■走行後ドライバーコメント

・佐藤

柴田選手の加入でセッティングをつめる速度が大幅に早くなり、自分を含めた他のドライバーの平均タイムの底上げにもなった。予選が楽しみになっている。
ライバルたちが皆速いことはわかっているが、やるからにはAドライバーとして一番時計を出せるように全力で走ってくる所存。
スポンサーの皆様も観戦にお越しになるので、表彰台のてっぺんに上がることを目指して全力で挑む。

・柴田

走行時間がたくさんあったので明日に備えた予選のシミュレーションからログの走行テストもできたので良い一日になった。
明日は決勝スタートを少しでも優位に運ぶために全開でポールポジションを獲得できるように頑張りたい。

・浅井

本日の走行は午前一本と午後一本。午前はマシンの状態もタイヤのコンディションも良好で、やはり条件が良いと自分の想定以上に良いタイムが出せて操作もイメージの通りで、いけるという感触が得られた。
午後はロングスティントで使用したタイヤを履いて燃料も軽めの状態で走行したが、自分の課題はやはりそこにあり、グリップの低いタイヤでどうタイムを稼いでいくのか、また多くの他クラスとの混走の中でロスなく走らせるにはどうすべきなのかというところを考えたい。
明日の予選はおそらく計測2周しかできないと思われるため、無理せず今まで培ってきたものを惜しみなく出して挑みたい。

・山本

本戦を想定して念入りにタイヤのグリップ力低下などをみながらロングスティントを乗ったが、比較的ペースもよく感触は良好だった。良いデータも取れたと思う。但しほかのチームもペースが良いのでそこを警戒しつつ、夜に解析されているであろうデータに基づいて決勝で勝つというストラテジーに向けて走りを組み立てたい。
明日は予選ということでできることが限られてくるが、時間の経過とともに変化する路面にセットアップをどのように調整できるかというところが肝になってくるはずなので、そのあたりを念頭に走らせたい。

2025.06.17 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.2鈴鹿サーキット-4月24日練習走行-

■搬入

KOSHIDO RACINGのメンバーは8時にサーキット到着。到着と同時に先入りしていたトラックから荷物を下ろし搬入がスタート。ラウンドを重ねた今回は前回に比べ、チームスタッフやメカニックの手により荷物がスマートにまとまり始めスムーズなものへとなりつつある。


レースといっても準備からスタートしており、搬入搬出でいかにストレスをなくすかがチームの雰囲気につながる。1時間ほどで搬入とピット設営を終え、午後からの走行に向けマシンとホスピタリティの準備が開始。

■Session1

Rd.1からダンパーが変更となったマシン。暖機を終え柴田がマシンへと乗り込む、
アウトインを繰り返し、セッティングを進める中1コーナーでクラッシュが発生し赤旗となる。マシンは一度ピットインし、柴田が藤巻へマシンのフィーリングをフィードバック。


残り20分のところで赤旗が解除され再びコースイン、トップとコンマ5差まで近づき車の方向性が見えたため一度佐藤へとドライバーチェンジ。10分強の走行終了とほぼ同刻に赤旗となりSession1が終了した。

■Session2

Session1を終えて、スプリングを前回鈴鹿でテストしたバネレートのものに交換。柴田がマシンに乗り込み、再びセッティングへと繰り出す。

チェックを終え佐藤にドライバーチェンジ。練習走行の段階から本番に向けたドライバーチェンジの練習も行い、佐藤がコースイン。変更後の足回りのフィーリングがとても良く、ペースも良好で無事走行完了。ピットインし、今回の鈴鹿戦から参戦の山本にドライバーチェンジ。初めてのマシンながらさすがの一言、とても良好なペースで走行を重ね15分ほどでピットイン。ここで浅井へとドライバーチェンジ。 鈴鹿での初レースとなる浅井は前週にチームメイト佐藤・柴田・山本と人生初の鈴鹿走行練習に来ていた。マイカーのロードスターで丸一日走行したものの本番用車両かつスリックタイヤでの走行は今回が初めてである。走行開始後そろそろ慣れてきたかというタイミングだったが、マシンのガス欠テストも兼ねていたためピットインを余儀なくされそのままSession2が終了となった。

■走行後ドライバーコメント

Aドライバー:佐藤 元春

1本目の走行枠ではリアの挙動がシビアでセットを変更した。その後挙動は落ち着き、状況は改善された。内容としてはスプリング交換でリアがブレイクするような感触はなくなり、急なオーバーステアもなくなった。4名のドライバーが安定してタイムを刻めるようになったことから、このまま金曜・土曜と練習を重ねれば必ず良い結果につながると思う。
多くの方からご協賛いただいているので、このパワーを受け取ってしっかり結果として残せるよう挑みたい。

Bドライバー:柴田 優作

S耐車両での鈴鹿初走行となったが、初戦のもてぎからバランスよく仕上がっている。ここから鈴鹿に向けて煮詰めていく。
鈴鹿のコース特性を想定したところ多少合わないところがあったため、エンジニアに相談し、リアのスプリングを交換した。この調整で2回目のセッションではうまくマッチしたと感じている。
明日の課題は、調子自体は良いためそれをキープすることと、チーム全体のレベルアップを図ってゴールを目指せるようにしたい。

Cドライバー:浅井  康児

燃料残量テストも含めて数周回してきた。燃料が少ないため軽くて動きはよかったが、自分のロードスターとはまったく違う動きに戸惑いが生じ、思うような走りは到底できなかった。明日、明後日の練習走行枠を使ってしっかりアジャストさせたい。

Dドライバー:山本 謙悟

計測3周ほどしてきた。初めてS耐用のロードスターに乗ったが、クルマはよく曲がる印象で調子が良い。
マシン自体の完成度は高いと思う。ただ、鈴鹿は難しいため走行においての改善点はたくさんある。明日以降徐々に詰めていきたい。