2025.06.19 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.2鈴鹿サーキット-決勝-
正式結果:順位認定なし
■決勝前ピットウォーク
前日の予選前に比べて一気に来場者が増加。事前のSNS告知等を通してたくさんのファンの方々にお越しいただいた。ノベルティは前日に比べてさらに早いペースで配られ、用意していたタオルやクリアファイルも早々になくなるといった状況。
今回はメインスポンサー様や有限会社恒志堂と包括連携協定を締結している赤井川村副村長も来場され、この時間を一緒に盛り上げていただいた。
■1stスティント:Aドライバー佐藤
時刻は11:00。気温21℃、湿度40%。今回はサクセスウエイト5㎏を積んでの戦い。
総合グリッドでは40番でイン側に位置する610号機。すぐ前はトップの村上モータース88号車。
ローリングスタートで絶妙なダッシュを決めた佐藤は1コーナーまでに前に出かけるが、88号車もアウト側で粘りS字で再びポジションを戻す。開始直後からの競り合いはあったものの、大きな混乱なくポジションそのままにレースは運んでいく。
スタート直前にエンジニアから目処となる周回タイムについて佐藤に伝えられ、それを上回るタイムでラップを重ねていく。決勝本番にしてこれまでの走りとは一線を画す佐藤の走りに誰もが驚き、そして期待を寄せた。
10周目を過ぎ、ややペースは落とし気味としたところで、その後は安定的して周回。しかしその後、大きなトラブルが佐藤を襲った。14周目、日立アステモシケインのブレーキングで急に姿勢を乱し、アウト側のクラッシュパッドに激しく突っ込む。ほぼ最高速に近い状態からブレーキが抜けた状態(踏んでも制動力が正常に立ち上がらない状況)でブレーキングを開始。異常に気付いて素早く踏み直したものの、ブレーキ油圧が戻ると同時にリアタイヤがフルロックし、アウト側に飛んでしまったという状況であった。クラッシュパッドを除去したのち自走で戻ってはこられたものの、所々マシンを損傷しておりそのままピットへ。ここから精鋭揃いのメカニックによる復活への道のりが始まる。
■2ndスティント:Dドライバー山本
鈴鹿にスペアマシンを持ち込んでいたKOSHIDO RACINGは2時間弱に及ぶ修復作業の末、610号機は走行が可能な状態となった。まさに敏腕メカニックたちの技術が結集された結果である。
残り時間2時間余りでピットアウト。長い作業から目覚めた610号機が息を吹き返す。
とはいえマシンは万全というわけではない。山本は手負いのマシンでまずは2分37~38秒まで縮めたが、徐々に早いラップペースの中で状態を探る。
マシンの状況はステアフィールに違和感が感じられたものの、大きな問題はなく走行を続けられている。様子を見ながらの走行を強いられていた山本であったが、ある程度走行に問題がないことがわかるとタイムを徐々に上昇させ、2分33~34秒台での周回に。こうなると本来のレースペースと遜色ないレベルである。スーパー耐久参戦経験豊富かつロードスターマイスターとしてのプライドにかけ、山本はハイペースでラップを重ね続けていく。元々予定されていた周回集をそつなくこなし、8回目のFCY(フルコースイエロー)明けにやや遅れてのピットインとなった。
■3rdスティント:Bドライバー柴田
予定は10周程度。ST-5Rクラストップ集団と遜色ない2分32秒台というハイペースで走り続ける。変化しているマシンの動きを自らがステアリングを握ることでメカニックやエンジニアに克明に伝え、後続の浅井に向けてより具体的かつ実践的なアドバイスも伝達された。しかしながらABSにトラブルを抱えている状況で、予定より早めのピットインを強いられることとなる。通常時に比べるとやはりまだブレーキフィールはよくないというコメントを残しており、完走に向けて慎重に走らなければならないことが共有される。
■Cドライバー浅井
残り30分のところでチェンジ。ここからでは規定周回数には及ばないことが明らかとなり、確実に鈴鹿でチェッカーを受けるという使命を全うするために浅井が最後のバトンを受け取った。スーパー耐久シリーズでは各クラスの優勝者の周回数のうち70%を走破していなければならないが、この時点ではフィニッシュ時に50%をやや上回るくらいの感覚。タイヤはグリップ感が低く感じられるものの、マシン自体は乗りにくくはないと浅井。 ブレーキのフィーリングはやはり全然違うと感じていたが、2分36~38秒台で抑えめに周回したことで無理なくデータを収集しつつ、16:00無事にチェッカーを受け、帰還した。
レース序盤に不運に見舞われた今回のレース。前回のもてぎ戦が順調だっただけに今回の結果はより残念なものと感じられたが、走り続けることで得られたことがたくさんあった。今年マシン製作し、これまで時間がない中でなんとか走らせてきた610号機。実践的な戦闘力を高めるためにはまだまだマイレージが足りないのは事実である。仮に順調に走り続けていた場合、データ上表彰台圏内は間違いなかったという解析結果も得られている。今後は速さだけではない「強さ」を身につけていくことが必須である。
次戦はいよいよスーパー耐久シリーズ一の大舞台である富士24時間。今回を大きな糧とし、ポディウムに上ることを見据えてKOSHIDO RACINGは邁進する。