Fuji Champion Race VITA-01 Rd.1
Fuji Champion Race KYOJO CUP Rd.1
開催日時(FCR-VITA):2019年5月11日(土)
開催日時(KYOJO CUP):2019年5月12日(日)
開催地:富士スピードウェイ(静岡)
ドライバー(FCR-VITA):佐藤 元春、 竹谷 和浩
(KYOJO CUP):高橋 純子
マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機(佐藤・高橋)、VITA712号機(竹谷)
参戦クラス:FCR-VITA、KYOJO CUP
天候(FCR-VITA):予選/晴れ、決勝/晴れ
(KYOJO CUP):予選/晴れ、決勝/曇り
路面予選/ドライ、決勝/ドライ
佐藤 元春 予選:15/20位 決勝11/20位
竹谷 和浩 予選:16/20位 決勝13/20位
高橋 純子 予選:9/10位 決勝:7/10位
Koshido Racingの2019年初の公式戦となるFuji Champion Race(以下FCR)。
カテゴリーは昨年同様にVITA-01で戦うFCR-VITAとKYOJO CUPへのエントリーである。
今回の第1戦は、FCR-VITAにおいてレギュラー参戦している610号機の佐藤に加え、2年ぶりと
なる712号機の竹谷もエントリーしていた。竹谷は昨年、十勝クラブマンカップ最終戦での優勝
から走りに磨きがかかっており、富士スピードウェイでの活躍も期待された。
KYOJO CUPにおいては昨年同様、佐藤の610号機を高橋がシェアする形で挑んだ。
FCR-VITA 610号機 佐藤 元春
FCR-VITA 712号機 竹谷 和浩
KYOJO CUP 610号機 高橋 純子
<DAY1> 5月10日(金) 公式練習走行(30分間×4本)
昨年のこの日は雨に見舞われた富士スピードウェイであったが、今年は快晴。朝9時前で気温は
21℃、路温は33.4℃と走行のためのコンディションは良好である。
今期、Koshido Racingのエースマシンである610号機は新調され、現地保管にてセッティングが
進められていた。
3月には鈴鹿サーキットに持ち込み、南コースにてシェイクダウン。初走行のコース、セッティン
グでありながら、前年のレコードタイムに1秒程度まで肉薄する走りを見せていた。ニューマシン
はエンジンの調子が良好で、ホームストレート終速で200キロを超えることがなかった昨年までの
スピードの伸び悩みは解消されており、この練習走行では204キロ(DigSpiceデータ)をマーク
していた。
新車の足回りのセッティングを進める藤巻・奥田両メカニック
タイムは1枠目の練習走行で2分2秒531と、昨年のベストをコンマ5秒近く上回る記録をマーク。
しかし、車載映像からも見てとれるほどセクター3で思うようにクルマの向きが変わっていない。
特にGR Supraコーナーではブレーキングもスロットルを開けることもできない我慢の時間を強い
られていた。また、それが直接的に影響し、立ち上がりでのアクセルオンが遅れがちでもある。
反対に乗り方を変えると簡単にオーバーステアを誘発し、直接的なタイムロスに繋がってしまう。
現状では荷重が上手くのらないためか、試行錯誤しながら乗っている姿がセクター3の至るところ
で見受けられ、タイムも1枠目早々に記録したものがこの日のベストとなった。
公式練習走行ではKYOJO CUPに出場する高橋とマシンと走行枠をシェアする必要があったため、
この日は2本の走行で終了となった。
GR Supraコーナーでなかなか向きが変わらず、苦戦する様子がうかがえる
一方、昨年の北海道クラブマンカップから良い流れに乗っている竹谷は今回が久々の富士。
前回の走行は台風で大雨の中の走行であった。
今回は天候に恵まれそうではあるものの、これまでドライコンディションの富士では十分な走行
時間がとれていなかったため、公式練習では与えられていた4本のすべての枠を走行した。
タイムは練習1枠目のアウトラップを除いた3周目から2分4秒フラットをマーク。2年ぶりではあっ
たものの、勘を取り戻すまでにそう長い時間を要しなかったようだ。しかし竹谷自身は納得いって
おらず、その後トライアンドエラーを繰り返す。CCS-Rやインタープロトとの混走であったため
ラインの自由が利かないこともあり、同程度のタイムは安定して刻んでいたものの、そこから
伸び悩んでいた。最終走行枠においては走り慣れた十勝スピードウェイではマシンとの一体感を
感じられていたが、ここ富士では愛機との距離感を埋められず、ロガーデータを見返しながら自身
の走りを組み立て直さなければならない局面に迫られていた。
KYOJO CUPエントリーの高橋も同日朝には現地入りし、練習走行に徹していた。前述の通り、
佐藤とのマシンシェアのため、走行枠は2枠となる。高橋は佐藤同様、初のマシン及びセッティン
グでありながら、アウトラップを除く1周目から2分4秒フラットをマーク。これがこの日のベスト
タイムとなった。修正舵の多さから、シビアな挙動である様子が車載から如実に伝わってくる。
セクター3では佐藤同様に終始挙動変化に悩み、13コーナーやGR Supraコーナーではノーズが
クリップの方向を向かない、パナソニックコーナーではオーバーステアが出やすいといった状況
が続き、以後タイム更新はならなかった。
公式練習走行結果
佐藤 元春:2’02.531
竹谷 和浩:2’04.082
高橋 純子:2’04.054
<DAY2> 5月11日(土)
FCR-VITA公式予選(8:55~9:15)
天候、路面コンディションともに良好に保たれ、FCR-VITAの予選時刻を迎える。富士山も頂上
までその稜線をくっきりと見せており、天候が崩れる心配はなさそうである。
今回のエントリーは21台であったが、1台が未出走となっており、20台のマシンが次々にコース
インしていく。佐藤も竹谷も他車に続き、順次アタックを開始した。
まずは610号機佐藤。水温は70℃台で安定しており、ホームストレートも他車のスリップスト
リームにつかずして200キロを超えている。足まわりも前日の練習走行の状況がメカニックに
伝えられ、セッティング変更をして臨んでいた。
アウトラップを終えていよいよアタック1周目へ。しかし、コカ・コーラコーナーで大きく縁石に
のってしまい、バンプした車体の制御に苦しみスピン。と、そんな場面もあったが、以後の周回に
おいての挙動はいたって安定しており、前日悩まされ続けたアンダーオーバーは見られなかった。
アタック3周目で予選ベストとなる2分3秒264をマークし、以後もペースをほぼ落とすことなく
走り続けた。1周目を除くすべての周回を2分3秒台でまとめ、安定的な走りを披露。予選順位は
15位となり、決勝での堅実な走りとポジションアップが期待された。
続いて712号機竹谷。前日の走行ではマシンとコースに馴染み切れていなかった様子であるが、
予選中に徐々にタイムアップし、アタック5周目には2分3秒台へと突入した。昨シーズンを終え、
今期が始まる前にエンジンオーバーホールと慣らしを完了させていたこともあり、エンジンはきれ
いに廻っている。しかし、旧型エンジンによるパワー差は否めず、ストレートスピードは新エンジ
ン搭載車には敵わない中で上手くマシンをコントロールし、ライバルたちに食らいつく。走行ライ
ンがまだ定まっていないコーナーも見受けられたが、終始安定した挙動で走り切り、7周目には
さらタイムを縮め、ベストとなる2分3秒423をマークし、佐藤に続く予選16番手につけた。
~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~
佐藤 元春
「マシンの状態は昨年に比べて非常に良好でトラクションもかかっているため、速度もしっかり
伸びている。しかし、予選アタックの結果、セクター3で2秒強離されているということから、
そこに焦点を当てたセッティングが必要であると考える。決勝に向けて大幅にセッティングを変え
て勝負に出たい。車はコントロールできる状態に仕上がっているので、決勝では変えたセッティン
グでマシンの性能を引き出せるよう全力を尽くす」。
竹谷 和浩
「昨日の練習走行よりも落ち着いて走ることができ、自分の目標とするタイムはしっかり出せた。
決勝も引き続き落ち着いた走りで、今以下のポジションにならないよう頑張りたい。昨日の練習
走行では乗り方が全然わかっていなかったが、今日は丁寧に乗ることによってマシンに自分が
ついていけていると感じている」。
FCR-VITA決勝(12:45~ 10LAP)
午後に入り、徐々に気温も上がる中、決勝の時間を迎える。
マシンに乗り込む前、Koshido Racingの恒例儀式であるドライバー同士の堅い握手が交わされ、
互いの健闘を誓い合う。
ポールポジションは2分フラットを記録している0号車の眞田選手。上位5名が同じく2分フラット
で、1秒台・2秒台も同様に4~5台がひしめいている。3秒台の先頭に佐藤、次いで竹谷と続く。
各車コースインの時間を迎え、次々とピットからグリッドに向かう。
グリッドウォークではメカニックだけでなく、チームスタッフもドライバーのもとに向かい、
ともにスタートの時を待つ。
好天にも恵まれ、ホームストレートは各関係者で賑やかな雰囲気である。今年の公式戦の初戦で
あり、そのスタート直前であるにもかかわらず緊張を感じさせないFCR参戦3年目の佐藤、レース
を心から楽しんでいる竹谷。Koshido Racingのグリッドは穏やかな空気が流れていた。
スタート5分前、3分前と、チームスタッフやメカニックがグリッドを離れ、フォーメーション
ラップへ。いずれのドライバーもタイヤとブレーキの最後のコンディション作りに勤しむ。そして
再び自分のグリッドへ。
最後尾のグリッドが埋まり、20台のVITAが一斉にエキゾーストノートを轟かせる。シグナルが
一灯ずつ灯り、オールレッド。この瞬間はドライバーだけでなく、チーム全体にも緊張感が漂う。
そしてブラックアウト。各車一斉に飛び出す。
佐藤は順当にスタートを決め、#7小倉クラッチ・AFC VITAおぎねぇ選手の前へ。ポジションを
ひとつアップさせる。さらに前走車の前に出んばかりの勢いでTGRコーナーに向かっていき、
イン側のグリッドからそのままの走行ラインでブレーキングを我慢。刺そうと試みるもアウト側
からライバルに上手く被せられ、ポジションそのままに立ち上がっていく。
続くコカ・コーラコーナー。佐藤は、一度は前に出た#7にイン側から並ばれたものの、自らの
走行ラインを守り、立ち上がりで縁石を目いっぱい使い、ポジションをキープ。前方はまだ混み
合っているが、各車クリーンなレース運びで混乱はなく進行していく。しかし300Rからダン
ロップコーナーへの進入で1台がスピンし、コース外へ。後続車への影響はなく、セクター3を慎重
に走行し、2周目に突入する。
1周目の最終パナソニックコーナー立ち上がりで#522 佐藤工業IDI Racing福岡選手の背後につけて
いた佐藤は、スリップストリームを使い、アウト側からTGRコーナーまで真横に並ぶ格好に。
クロスラインから立ち上がりで前に出られないか伺うも、イン側を死守する#522の前には出られ
ない。そのまま順位変動なく、3周目へ。
アドバンコーナーにて2台前を走る#9 MP RacingニルズのJOE SHINDO選手がスピン。それをかわ
すべく佐藤が失速したところに後ろから#48 ワコーズEDニルズVITAの星七選手が一気に詰め、
ダンロップコーナーの進入までに前に出られる。但し、同コーナーで前方の#522のスピンにより
パスしたため、順位を戻した。
4周目のホームストレートでは#24 ENEOS☆CLA☆Pmu01の見崎選手にスリップストリームをと
られ、後退を許す。しかし、佐藤も黙ってこれを見過ごすわけにはいかない。TGRコーナーでの
ブレーキングを限界まで遅らせつつ、再び一車身前に出てアウト側からクリーンに仕掛ける。
そのまま並走する形で立ち上がろうというところであったが、イン側より縁石外にラインを押し
出され、接触を避けた佐藤はやむなくポジションをひとつダウンさせた。リズムを乱され、速度が
のらない中、同周回のダンロップコーナーブレーキングでも#87 おさきに☆どうぞVITAの山本選手
にポジションを譲ることとなる。
もうこれ以上のポジションダウンは許されない…5周目、6周目と、堅実な走りを心掛け、前を追う。
意外にも一旦前に出られたライバルとはそれほど差が開かない状況で、ラップライムも2分3秒台を
コンスタントにマークしていた。そのうちに前方の4台の差が詰まり、混雑状態に。何か起こり
そうな予感がしていたが、7周目のダンロップコーナー進入でそのうちの1台がスピン。佐藤はポジ
ションをひとつ上げた。
その後、8周目で他車とのバトルで挙動を乱し、ペースを落とした#48に肉薄。ひとつでもポジ
ションアップするべく貪欲に挑んでいく。セクター3での挙動は安定しており、初日の練習走行で
みられた乗りにくさは解消されたようであった。その分100Rではオーバーステアが顔を出し、
度々シビアなマシンコントロールを要求される場面も見受けられたが、9周目からファイナル
ラップまでテールトゥノーズの戦いを展開。最後のパナソニックコーナーまで追いすがったが、
一歩届かず11位でレースを終えた。予選順位からはポジションを4つアップさせ、また、レース
ラップながら予選でマークしたタイムをさらにコンマ2秒以上短縮し、ベストタイムは2分3秒039
とするなど健闘をみせた。
一方の竹谷はスタートで若干出遅れ、ポジションを落とす。しかし、焦ることなく周囲を見渡し、
安全にTGRコーナーをクリア。そのままポジション回復に向けて挑んでいくところであったが、
アドバンコーナー進入にて目の前で#20 ABBEY Racingの紀平選手が豪快にスピン。イン側にも
ライバルがおり、ライン変更でそれをかわすことができなかった竹谷はやむを得ず大きく減速を
強いられる。立ち上がりで大きく失速した竹谷は後方から#17 SSファクトリRS金谷VITAの花村
選手と、#28 AEON MALL VITAのRINA ITO選手の2台に一気に前に出られてしまった。また、セクター3ではオーバーステアが顕著で、さらにシフトミスも響き、前との差が少し開いてしまう。
だが、竹谷の気持ちはこのようなことでは屈しない。すぐに走りを立て直し、上手く#17のスリ
ップストリームに入っていた竹谷は、2周目のTGRコーナーにて難なくパス。その後も失った
ポジションを取り返すべく、コカ・コーラコーナーから100Rにて#28を猛プッシュ。前周同様に
スリップストリームにつけた竹谷は、3周目のホームストレートで#28の前に出てポジションを
回復させ、さらに追撃の手を緩めない。スピン車両を 1台、2台とかわし、6周目あたりから
視界にとらえていた#7との差をじわじわと詰め、8周目のホームストレートで前に出て、ポジ
ションを13番手とした。
その後も序盤に誘発させていたオーバーステアを上手く封じ、きれいな走りを披露。堅調に走り
続け、ポジションキープしたままチェッカーを受けた。
レース開始直後の混乱がなければ…と思うところであるが、レース全体を通して竹谷の執念と走り
の丁寧さが垣間見えるレースとなった。
<DAY3> 5月12日(日)
KYOJO CUP公式予選(9:00~9:20)
前日のFCR-VITA決勝の後、1枠のみ設けられた公式練習走行枠でタイムを短縮し、アドバイザー
として駆けつけた大湯都史樹選手から事前にレクチャーを受けたことで手ごたえを感じつつ、
予選に挑む高橋。
コースコンディションも練習走行時と同様に維持されており、入念にタイヤに熱を入れながら
コースイン。アタック1周目から全開で!といきたいところであったが、アウトラップの最終パナ
ソニックコーナーでアタック中のライバルにラインを譲ったため、この周は引き続きタイヤと
ブレーキの熱入れ、そしてコースコンディションの確認に徹する。しかし、その周はまだ十分に
熱入れが完了していなかったためか、100Rでスピンを喫する。即時立て直し、再び真剣アタック
へ。
2周目、全体的にきれいにまとめてコーナーをクリアしていく。しかし、100Rでは前周回のスピン
が災いしてか、かなり慎重なマシン姿勢で進入している姿がみられた。そこを除いては丁寧に
マシンの向きを変え、きれいにコーナーを立ち上がっていく。実質最初のアタックとなったこの周
のタイムは2分6秒755。練習走行のタイムからは3秒近く遅れている。
その後は大きなミスもなく、淡々と周回を重ねていく高橋。ダンロップコーナーではやや突っ込み
すぎなのか、タイヤが毎周回鳴いていたが、一周一周徐々にタイムを詰めていき、2分6秒台から
5秒台と更新していく。
高橋自身でもペダルの踏み替えが緩慢であることを課題として挙げていたが、そこを意識してか、
ラインや走らせ方を変えることなく、予選終盤に近づくにつれ安定して速くなっていく。最終的に
は6周目の2分4秒652がベストラップとなり、予選順位を9位とした。一発のタイムでは練習走行
ほど記録が伸びなかったが、予選周回全体で考えるとコンスタントに2分4~5秒台をマークできて
いたことから、決勝でのポジションアップが期待された。
KYOJO CUP決勝(13:25~ 10LAP)
気温は18℃。路面温度は35℃。この時期のこの時間としては日差しも穏やかで高くはない。
チーム全員で高橋のグリッドに集合し、スタートに向けて激励する。
日本各地に国際格式のサーキットは多数存在するが、中でも富士スピードウェイはやはり集客率が
高い。前日のFCRでも多くの人がグリッドを訪れていたが、KYOJO CUPとなるとさらに多くの
ファンが集い、フォトセッションにおいても、その人気の高さを物語っていた。
時は刻一刻とスタートに向けて動いている。エントリー台数的にはFCR-VITAよりも少ないが、
戦う女子たちの放つオーラや緊張感はそれに勝るとも劣らないただならぬ空気感をもっている。
やがてドライバー以外の人は離れ、フォーメーションラップ開始。10台と限られた台数である
ため、グリッドに再整列後間もなくシグナルが順に点灯し始める。
そしてスタートの瞬間。高橋は3000rpmにてクラッチミート。各車混乱もなく、順当な滑り出しで
KYOJO CUP決勝は幕を開ける。
そしてTGRコーナーに向かってブレーキング。タイヤが冷えた状態で突っ込む最初のこのコーナー
はどのドライバーにも緊張を強いる。すると集団の先頭の方で白煙が上がった。#33 SHOWA-SD
VITAの細川選手が痛恨のスピンを喫していた。その後方では各車避けようとラインを大きく外し、
立ち上がっていく。高橋もうまく避けることが出できたが大きく失速。その間に後方イン側から
迫っていた#11 D.D.R Vita01の粟野選手に先行を許してしまい、ポジションは9位のままレースが
続く。
その後のコカ・コーラコーナーではピタリと#11をマークし、予選では難儀していた100Rをアウト
側から丁寧に攻略し、インとアウトが逆転するアドバンコーナーにおいて再び前に出ることに成功
する。この時点でポジションは8位。決勝でもやはりダンロップコーナーでは苦労してマシンの
向きを変えている姿もみられたが、なんとか前との差を広げることなくセクター3を駆け抜ける。
しかし2周目のTGRコーナーでブレーキングが遅れ、大回りに。その間に少しずつ差を詰めてきて
いた#33に一気に間合いを詰められ、もつれたままセクター2及びセクター3へ。3周目のホーム
ストレートでスリップストリームに入られていた高橋は#33に先行を許す。9位にポジションを
落とした高橋であったが、いたって冷静に走り続ける。TGRコーナーでのオーバーステアを素早い
カウンターで上手く封じ、100Rもこれまで攻略できていなかった新たなラインをトレースし、
走りが鋭くなっていく。
6周目、急に前車に近づく。前方で混乱があったのか、その前にも数台連なっている状況。この
ままコンスタントにラップを重ねていけばチャンスは訪れると信じ、果敢に攻め続けた。そして
迎えた7周目、アドバンコーナーで前を走っていた#13 小倉クラッチVITAのおぎねぇ選手がスピ
ン。冷静に走り続けていた高橋は、自らの順位を8位に押し上げた。そんなレース中盤、トップの
#87 おさきに☆どうぞVITAの山本選手にスタートグリッド停止位置違反によりドライビング
スルーペナルティが科せられる。これによりポジションをさらに一つ上げ、7位となる。
レースラップが2分5~6秒台がベースとなっており、予選以上に安定した走りができていた高橋で
あったが、ドライビングスルーペナルティを消化し、徐々に差を詰めてきていた#87にファイナル
ラップのゴール目前にして前に出られ、レースは8位でのチェッカーとなった。しかし、レース後
車検において1台のマシンに失格処分が下され、高橋の最終リザルトは7位となった。堅実な走りで
着実に順位を上げていった高橋は、過去最高の7位で2019年初戦を終えた。
~レース後、チームオーナーコメント~
今年マシンを新調して、バランス自体は昨年のマシンより非常に良い感触を得ています。但し、
富士に合ったセッティングはまだ出ていないという現状なので、試行錯誤を繰り返しながらの予選
アタックおよび決勝となりました。練習時間がなかなか取れなかったことも要因のひとつですが、
6月中にセット出し・トレーニングのために再度富士スピードウェイに向かいます。やはりセク
ター3で他車に引き離される傾向があるため、しっかりとセッティングの方向を定め、トップ勢と
同じようなラップタイムを刻めるようにしたいと思います。手応え自体は感じているので、
しっかりと今期中にトップ争いに加われるよう、マシンづくりと自らの技術向上に努めたいと思い
ます。
Koshido Racing 佐藤 元春