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2025.06.20 2025 FCR-VITA Rd.2 富士スピードウェイ

KOSHIDO RACINGは搭乗機をロードスターからVITA-01に替え、5月8日のスーパー耐久公式テストから引き続き富士スピードウェイにて走行を重ねていた。

今期は昨年までVITA-01でのレースであったKYOJO CUPがフォーミュラ(F4)に車両変更され、FCR-VITAの台数は減少。とはいえ常に30台オーバーということもあり、変わらず激戦が繰り広げられているカテゴリーである。

この第2戦は15号機に佐藤元春選手、35号機に清水愛選手、610号機に三輪英則選手がエントリー。

佐藤を筆頭にいずれも富士でのレース経験は豊富である。

■予選

前日の公式スポーツ走行までは曇天ながらドライコンディションが維持されていたものの、レース当日は未明から激しい雨に襲われた富士スピードウェイ。いわずもがな路面はヘビーウエットである。

8時ちょうどからの予選には総勢32台のマシンたちが一斉にピットアウト。このコンディションになるとメインストレートからTGRコーナーは霧で一切見えなくなる。そこにきて前走者が巻き上げるスプラッシュによりさらに視界は悪化。経験とスキルが一気に要求される状況となる。

そのような中、佐藤がまず2分22秒702で全体の7番手タイムをマーク。清水、三輪はマシンの状態とコンディションの把握でともに34秒台からのスタートとなった。ここから各車ペースアップし、計測2周目といった矢先、降雨量増加によるコースコンディション悪化のため赤旗中断。状況が回復するまで一旦ピットで待機を強いられる。

残り5分でのタイミングで再度のコースオープンを迎える。計測ラップとして与えられた周回は2周のみ。佐藤はタイヤと路面状況に全集中し、まず1周目で2分21秒961。アタックを継続し、続く2周目には2分20秒433をマーク。過去最高位となる5番手を獲得した。

清水もまた赤旗前のタイムから一気に8秒更新の2分26秒240。全体の23番手でKYOJO枠としてのポジションは8番手とした。

もうひとり気を吐いたのは三輪。VITA-01搭乗経験は実質昨年からで、しかもスポット参戦という状況の中、赤旗再開後のたった1周で2分22秒489というタイムを叩き出し、10番手につけた。前日の会話の中では「雨も強いから無理せず様子見で」などと話していたが、いざフタを開けてみればこれまでのレース経験をフルに発揮した優れた状況判断とマシンコントロールでその意地をみせた。
悪コンディションをそれぞれ味方につけた予選セッション。決勝での争いにチーム全体の期待が高まっていった。

■決勝

予選時に降り続いた雨は霧雨程度となり、レース中に路面コンディションが変わることは必至。しかしドライとまではいかず、依然スリッピーな路面との戦いは避けられない状況である。

スタートは佐藤、清水、三輪と順当に決め、FCR-VITAではありがちなオープニングラップでの大きなトラブルもなくレースは展開されていく。

15号機の佐藤はスタート直後からトップ集団に食らい付く。そのトップ集団は1位から5位の佐藤までを含めた塊となっており、それぞれ前走者を追うという状況が続いた。しばらく膠着状態が続いていたが、トップ3台が周回ごとに入れ替わる中、コンマ数秒の間隔をあけて4位争いが繰り広げられる。佐藤の前を行くのはゼッケン12番の大野選手。つかず離れずの展開から若干佐藤が遅れたものの、一切のミスなく周回を重ねていく中で大野選手がミスにより後退。堅実に走り続けていた佐藤が4位に浮上した。ここからは単独走行となったが、元々1台で淡々と練習走行をこなすスタイルというだけあり、それ以降もミスなく、しかもウエット路面を比較的得意としていることもあり、タイムも落とすことなく走破。FCR-VITA(MEC120除く)における自己最高順位を塗り替え、4位フィニッシュとなった。

初ウエットレースの35号機清水はスタートを上手く決め、一時は16番手に浮上。しかし焦りが出たか、序盤で2回のスピンを喫し29番手までポジションを落としてしまう。雨での練習量が足りない、難しいと嘆いていたが、VITA-01+フルウエット路面という境遇は想定以上にシビアだったようだ。それでも気持ちを切り替えて3周目には2台の前に出て27番手、その後も1台ずつパスして徐々に元のポジションまで戻していった。終わってみればラスト3周は毎周1ポジションアップを果たしており、最終的には24番手までのし上がってレースを終えた。本人は悔しい気持ちでいっぱいだったようであるが、これから練習を重ねることで今後の走りは激変するであろうことを確証付けた。

610号機の三輪は3台の中で最もスタートを決めたといえる。そこからの勢いそのままにオープニングラップで3台を抜き去り、7番手へと浮上。トップに次ぐ第2集団の中で熾烈なポジション争いを演じた。2周目には1台に先行を許したが、話されることなく食らい付いていく。そして4周目、悲劇は訪れた。コカ・コーラコーナー進入から立ち上がりにかけて前走者がアウト側ランオフエリアにコースアウト。その後スピンモーションに入りながら610号機の右前面に向かってコースインしてきたのである。たまらず三輪は左に回避行動をとるが相手もコントロールを失っており、そのまま接触。弾かれた三輪は反時計回りにスピンしながらイン側のウォールにクラッシュした。アライメントのずれはあったものの自走可能と判断し、すぐさま体勢を立て直してコースに復帰。幸いこの時点では10番手と2ポジション落としただけでレースを続行することができた。しかし、結構な速度域でのクラッシュであったことからボディ右後部を大きく破損し、リアウイングが激しく起こされた状態になってしまったため空気抵抗が倍増。ストレートスピードが全く伸びなくなっていた。

富士スピードウェイにおいてこれは致命的ともいえる。コーナーでは前走車との差が詰まるもののメインストレートでごぼう抜きされるという状況にさらされ、6周目以降はほぼ毎ラップ1台ずつ先行を許してしまうことに。チェッカーを受けたときは15位となっていた。それでもあれほどのアクシデントに巻き込まれながら15位完走というのはもはや快挙である。ここ2シーズンでレース経験が一気に増えた三輪の強さが光ったレースであった。

今回のFCR-VITAはKOSHIDO RACINGとしては悲喜交々といった感じにはなったが、後ろ向きな要素は何ひとつなく、寧ろスーパー耐久に続き、今回も強いチームであることを実証できた。今期は本州レースに主眼をおいて戦っていることもあり、今後の富士や鈴鹿でのVITAレースもますます見逃せない。