2025.08.01 SUZUKA CLUBMAN RACE 2025 MEC120
<公式結-Pro-Amaクラス>
予選:7位/9台中
決勝:7位/9台中
KOSHIDO RACINGは先週末にスーパー耐久SUGOでの戦いを終え、間髪入れずに鈴鹿サーキット入りしていた。気温は上昇し、ドライバーもマシンも負担は増大。しかし今回のマシンはVITA-01ということで、ドライバー的にはハードトップを纏ったロードスターよりは軽減されるかといったところ。
今回のドライバーラインアップはチームオーナー兼ドライバーの佐藤とスーパー耐久でもBドライバーとして搭乗している柴田での参戦。柴田はこれまでVITA-01への搭乗歴がほとんどない中での抜擢。本人は不安を隠せない様子であったが、その卓越したドライビングとセッティング能力を持ち合わせているがゆえに活躍が期待された。
■7月11日 練習走行初日
<Session1>
まずはVITA-01に慣れている佐藤がコースインし、マシンの状態をチェック。しかしコースイン後まもなくデグナーカーブでの他車コースアウトによりレッドフラッグでセッション中断。10分ほどのピット待機ののち、再スタートが切られる。
佐藤のファーストアタックは2分30秒347。セッション自体はMEC専有枠とはいえ、v.GranzとVITA-01でコース内はかなり混雑している状態。クリアラップは一切とれぬまま終了時間が迫る。他車を縫うような走行を強いられ、レコードラインをトレースすることはかなわず走行を続ける佐藤は僅かにベストラップ更新となる2分30秒302をマークし、ピットへ帰還。柴田も走行予定であったが、このセッションは赤旗中断を挟んだこともあり、佐藤のみのドライブで終了となった。
<Session2>
この走行枠は1本目のセッションで搭乗時間が確保できなかった柴田のみの走行。いよいよ柴田のVITA初仕事である。最初のアタック…とはいえど様子見ながらのラップは2分30秒189。そこから次の周回では2分29秒256をマークし、少しずつVITAの動きを感じ取りながらドライビングを組み立てていく。しかし、セッション2でも他車同士のトラブルによりレッドフラッグが掲示され、走行は一時中断。再開後のアタックは2分30秒149。そこでチェッカーとなり、セッションは終了となった。
やはりVITAには苦戦していた様子の柴田。マシンを降りてのコメントは「よくわからないまま終わってしまった。それでも何となくこういうクルマだというのはわかってきた」とのこと。ここから翌日以降の走行をどのように変化させていくのか、チームの期待はさらに高まった。
■7月12日 練習走行二日目~予選
<特別スポーツ走行>
この日の天候は曇りで、前日よりも空気の湿り気が感じられる。MEC鈴鹿は限られた練習走行枠しかなく、残された練習走行はこの1本のみ。そのため予定されたプログラムを消化するべく、佐藤と柴田が交代で走行することとなった。
まずは佐藤がコースイン。この日最初のメニューはブレーキの当たりつけから。アタックはひとまずお預けでタイヤの熱入れと同時に丁寧なブレーキングでマシンを仕上げていく。しかし、そんな佐藤に早々にトラブルが襲う。デグナーカーブ進入で後続に追突され、グラベルにはじき出されてしまった。これがアタックラップであれば事もなくコーナーを抜けていたであろうものが、ブレーキ慣らしでペースに制約があったことにより起こった不運なアクシデントである。幸いグラベルにつかまることなく自力で脱出できたため、一旦ピットインしてマシンの状況をチェックし、ドライバーは佐藤のままリスタート。リアフレームにダメージを負い、アライメントの修正が必要な状況ではあったがそのまま走行を継続。2分28秒117を筆頭に、2分28秒台をコンスタントにマークしながら佐藤は走行を終え、柴田にチェンジ。
柴田もまた2分28秒台からのスタートで徐々にラップタイムを詰めていく。ベストは2分27秒861。VITA-01にもかなり慣れてきた様子である。しかしここでまたレッドフラッグの掲示。今レースウィークのMEC専有走行は毎回レッドフラッグが出ている。それだけコースは混雑しており、混乱も生じやすい。結局そのままセッションは終了となった。
<公式予選>
午前の走行時間から湿度は低減したものの、気温は上昇。路温も順当に上昇している。練習走行時のマシン損傷を応急的に修復し、セッション開始を待つVITA610号機。予選ドライバーは佐藤が務める。予選時間は15分と短く、実質的なアタックは5周できるかというところ。限られた時間の中、アウトラップできっちりとタイヤを仕上げ、いざ計測ラップへ。ファーストアタックは2分28秒491。そこからペースアップを図りたいところであるが、2分29~30秒台から脱却できずマシンと格闘する佐藤。アンダーステアもオーバーステアも出る状況に対して必死にドライビングで合わせようと試みるが、結果走りのリズムは乱れ、特に序盤のS字からデグナーにかけてはレスポンス遅れのハンドリングに手を焼いた。また、特別スポーツ走行で交換したブレーキパッドの効きが強めであることもマシンのピッチングを大きくし、コントロールを難しいものとした可能性がある。
ポジションはクラス7番手と苦しい結果に。ここから決勝に向けてどうマシンとドライバーをアジャストしていけるか、課題を残しつつKOSHIDO RACINGはこの日の戦いを終えた。
このレースウィークはスーパー耐久富士24hでともに戦った大宮選手が参戦するフォーミュラリージョナルのシリーズ戦が併催。ポノスレーシングからエントリーしており、現在シリーズランキング3位につけている。
この日はレース6が開催。アクシデントに乗じる形ではあったが、大宮選手は見事2位を獲得し、シリーズポイントランキングにおいても大きく躍進をみせた。
<決勝前フリー走行>
このセッションはすべての時間を柴田が搭乗。とはいえど20分間というごく限られた機会となっている。レースウィークを通してVITA-01に馴染むための時間が十分にとれなかった柴田ではあるが、セクター3がいきなりウェットというコンディションの中、ファーストアタックで2分30秒861、その後は2分31秒台で周回。デグナー2個目の立ち上がりから急にフルウェットとなり、スプーン立ち上がりからすっかりドライに戻るという路面状況を受けて周りのマシンたちが慎重になる中、柴田は速く安定した走りでセッション後半6周目には再び2分30秒台に戻した。そして7周目には2分29秒331と、このフリー走行枠のVITA-01勢トップタイムをマークして帰還。
マシンの感触的にはやはり引き出しポイントが狭く、慎重なドライビングが求められるというコメントを残しつつも、プロドライバーとしての意地をみせた。
<決勝>
10:40、v.GranzとVITA-01総勢58台ものマシンがホームストレート上に並ぶ。いや、ホームストレートでは収まりきらず、車列は最終コーナーにまで及んだ。この大混雑の中、120分間の戦いが始まろうとしている。色鮮やかなマシンが列をなし、鈴鹿は華やかな雰囲気。その裏でv.Granz・VITA-01のドライバーはPro-Ama、Ama-Ama両クラスともに闘志を燃やしていた。
11:10、ローリングスタートにてレースは幕を開ける。スタート直後は全車クリーンでトラブルなく進行…と思ったのも束の間、早速接触やスピンが所々でみられイエローフラッグが振られている。佐藤は荒れ始めたコース内を冷静に走行。ペースも2分29~30秒台を堅持し、順調に周回を重ねていった。
15周を消化し、予定通りのピットイン。燃料もほぼ予定されていた量を消費し、給油作業も滞りなく完了。ドライバーは柴田にチェンジし、さらにピットアウト直後にセーフティーカー(以下SC)導入となったことでKOSHIDO RACINGには有利な流れとなる。しかしレースはそう簡単にはいかない。タイヤの内圧が想定以上に上昇したためかオーバーステアがきつくなり、柴田はマシンの制御に苦戦。午前に見せた走りが再現できない状態となっており、何とかペースを落とさないように周回するのがいっぱいいっぱいのドライビングとなっていた。
我慢の走りを続ける柴田ではあったが、ピットアウト時のポジションは死守し、概ね予定通りに走行。残り40分の時点でクラス2番手となっていた。このままいけば表彰台も十分に見えるところに…そんな期待を込めてサードスティントを佐藤に託し、無事に送り出すはずであったVITA610号機であったが、柴田からピットイン前に異常発生の報告がメカニックに入る。それはステアリングを切ると原因不明の振動が出現するというもの。2度目の給油およびドライバーチェンジを少し早めて対応。足回りに小トラブルが発生しており、対処自体は難しいものではなかったが、ピット作業時間は通常予定していたものより長くなってしまった。この間に多くのライバルたちに前に行かれ、この時点でクラス8番手まだポジションダウンしてしまう。
ここから佐藤が巻き返しを図る!と意気揚々とピットアウトしたものの、直後にコースは再びSC導入へ。他車のガス欠による度重なるSCにより、佐藤はこの後レーシングスピードで走行できたのは実質1周のみ。残り2分強でSCイン。リスタートとともにスプリントレースのごとくしのぎを削る各車。
先導走行がひたすらに続き、終わってみればレース全体の1/3以上はSC先導という昨年の同レースを彷彿とさせる展開となってしまった。
最終的なリザルトは7位。複数回のSCとトラブルさえなければ上位も狙えただけに、今回のMEC120は消化不良のまま幕を閉じることとなった。しかしながら短い走行時間ですっかりVITA-01の力を引き出せるようになった柴田と、序盤の快活な走りでレースペースをつくった佐藤がまたタッグを組んでこのシリーズに戻ってくることは間違いない。