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2025.08.01 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.5 オートポリス-予選・決勝-

正式結果 予選:クラス3位  決勝:クラス優勝

予選~決勝


梅雨明けの爽やかな夏空が広がる中、スーパー耐久シリーズは第5戦を迎える。
今回はST-Zクラス以外の8クラスでの開催となっている。

■予選前練習走行

午後からの予選に備え、30分間のフリー走行枠が設けられている。また、ここではFCY(Full Course Yellow)訓練も実施される。
最初の搭乗は柴田。前日に引き続きブレーキの焼き入れとマシンチェックを担当。数ラップし、2分14秒台で周回。佐藤に代わる。佐藤はあくまでも予選前の状態確認に徹し、2分17秒台で走行し、トラブルなくピットに帰還した。

■予選Aドライバー

シミュレータ訓練から始まったオートポリス攻略を終え、満を持してコースインする佐藤。
アウトラップ翌周回に2分14秒414をマークし、その後のアタック継続はタイムが更新できそうな感触が得られず、ワンアタックにてピットに戻った。

オートポリスは元々タイヤに相当負担が掛かるコースといわれているが、それに加えて真夏の路温が容赦なく襲い掛かり、グリップ力のピークはごく限られた間しか発揮できない。ドライバーはその点を見極め、かつコースに送り出されるタイミングも重要であり、他のサーキットに比べても条件はシビアである。このセッションで佐藤はクラス3番手につけた。

■予選Bドライバー

タイヤのベストコンディションは一度のアタックでしか訪れない。それが結論付けられている状況で柴田はコースインのタイミングを慎重に見計らっていた。しかしながらライバルチームも考えは同じ。予選開始から半分の時間を過ぎても6台中5台がピットレーンから動き出そうとしない。残り7分を切ったところで柴田が動き出す。それにつられるように他4台も同時にピットアウト。見事なまでに互いの手の内を探り合っていることが見てとれる。アウトラップから5台は接近したまま周回し、そのままアタックラップへ突入。柴田は2分12秒781という驚異的なタイムを叩き出すが、他3台はさらにそれを上回るタイムをマークし、柴田は4番手タイムとなった。上位4台に2分12秒台がひしめく大接戦。Bドライバーの意地のぶつかり合いが他クラスにも見劣りしない熱い戦いを繰り広げた。

A・Bドライバーのタイムの合算で順位が決定されるオートポリス戦の予選はクラス3位のポジションを獲得。しっかりと上位が狙える位置につけた。

■Cドライバーフリー走行

予選ポジションには関わらないものの、全ドライバーラップタイムを記録しておかなければならないというシリーズ通じての規則により浅井がコースイン。マシンとタイヤの消耗を考え、浅井もまたワンアタックのみとした。タイムは建前上の記録として2分18秒867という結果を残し、このセッションを終了する。同クラスのライバルたちも同程度のタイムで、程なくして掲示されたレッドフラッグにより早々に走行を切り上げた。

■Dドライバーフリー走行

山本も浅井同様にタイム計測が必要であり、コースイン。山本はアタックラップを複数周とり、3ラップを計測に充てる。ファーストアタックで2分17秒530、次いで2分15秒863と大幅に短縮し、その翌周回も2分16秒081と安定したペースを刻む。決勝に向けて手応えを感じつつ、全員が予選セッションを終えた。

■ドライバーチェンジ訓練

目標タイムを25秒に設定し、タイヤ交換や給油作業も想定した動線での訓練を実施。前々日に実施した訓練時からさらにまたアップデートを重ね、各々が各持ち場においてより無駄のない動きや装備品配置を追求した。
レース運びにおいて重要な位置を占めるドライバーチェンジ。この訓練は目標が達せられるまで繰り返され、絶対にミスをしないという気概がピット内に漂っていた。

■ピットウォーク

オートポリス戦は予選前後(予選後はキッズウォーク)と決勝前の3回行われた。

両日どの時間帯も来場者は多く、西日本のモータースポーツに対する熱気が伝わる。鈴鹿や富士スピードウェイに引けを取らない盛り上がりで、ノベルティも想定より早くなくなってしまうという状況。遠い蝦夷の地から遠征してきたチームに関心を寄せてくれるレースファンは多く、たくさんの交流やスポンサー様のアピールの場となった。

■決勝

ピットウォークの時間帯から雲が怪しい動きをしていたが、スタート進行を前に小雨がパラつき始める。メカニックは路面状況の変化に備えてレインタイヤをグリッドに持ち込み、万全の対応をとりつつスタートの時を待つ。幸い路面を濡らすまでの雨足には至らず、スリックタイヤでのスタートとなった。

スタートドライバーは柴田が務める。周りのライバルチームも速いドライバーばかりで、ここからの5時間は過酷な戦いとなることは必至。11:00、ローリングスタートでレースは始まる。スタートはクリーンでポジション変更なく各車1コーナーに飛び込んでいく。ST-5Rクラスは6台のエントリーであるが、予選ではその上位4台のタイムがコンマ7秒以内にひしめき、レース開始直後からスプリントレースを彷彿とさせるようなテールトゥノーズ、サイドバイサイドの展開。

柴田はオープニングラップで早くも1台をパスし、1ポジションアップ。その後もトップの88号車をピタリとマークし、4周目に前へ。88号車はサクセスウエイトを55kg積んでおり、燃費のセーブか、はたまたタイヤ摩耗を抑えるためか、寧ろ若干ペースを落としたような格好である。ここでクラストップに立った柴田は後続の引き離しにかかり、2分15~17秒台でコンスタントに周回を重ねていった。33周回で2番手との差をなんと20秒以上確保。素晴らしい状態で佐藤にバトンを渡すべく、ピットへ帰還した。

セカンドドライバーの佐藤。ドライバーチェンジも迅速かつ確実にこなし、ロトスタ号とともにコースに戻っていく。

この時点で2番手は65号車。それぞれが初回のピット作業を終え、佐藤のピットアウト時には3秒程度まで差が縮まってしまっていた。しかしそこから佐藤は再び後続をじわじわと離していく。一周あたりコンマ5秒ずつ差を拡げ、65号車はピットへ。代わりにここで2番手に浮上してきたのはスタート後まもなくペースを落としていた88号車。これまでよりも明らかに速いタイムで周回し、ハイペースの追い上げをみせる。しかもここで追い打ちをかけるかのごとくロトスタ号に試練が襲いかかった。燃料系トラブルにより急にエンジンが吹けなくなってしまったのである。最高速で170数キロは出るはずが、160キロにも満たない状況。佐藤は苦しいドライビングを強いられることとなった。その間に一周あたり10秒近い速いタイムで後続に追い上げられ、これまで築いてきたマージンはほぼない状態となってしまう。

それでも佐藤は自分のスティントで最善を尽くすべく、持てる技術をフルに引き出しクラストップの位置をキープし続けた。そのような中、67周目に第3コーナーで他クラスのクラッシュによりFCYへ。そのままセーフティーカー(以降SC)導入となり、このタイミングで佐藤はピットへ。この時点で69周を消化。ドライバーはCドライバー浅井へとチェンジとなる。一度イグニッションをオフにし、祈りを込めて再びエンジンに火を入れたロトスタ号は元通りの状態に。一時は苦境に立たされたが息を吹き返し、浅井は2分17秒台で逃げる。バックマーカーもうまく利用し、88号車に背後まで詰められたその差を再び徐々に拡大していく。しかし88号車もST-5Rクラスシリーズトップの意地にかけて食らい付き、再びロトスタ号の背後へ。この展開を繰り返し、動きが出たのは90周目。第4コーナーのヘアピンアプローチでブレーキトラブルにより、浅井は成す術なくそのままグラベルへ。

何とか自力で脱出はしたものの大きくタイムロスし、88号車の先行を許した。一度でもミスを犯せば即先行を許す状況で浅井は懸命に走り、ここまでポジションをキープした。それも強豪の88号車相手にである。まったく走行経験のなかったオートポリスにおいて、覚醒したかのような浅井の走りはまさに鬼神の走りであった。

そして浅井は92周でピットイン。フィニッシュドライバーとなる山本にチェンジし、ピットアウト。この時点で65号車にも前に出られ、3位にポジションダウンしていた。しかしロードスター職人の山本は状況に左右されることなく2分15~16秒台というハイペースで淡々と周回し続け、確実に前との差を縮めていく。

そしてきたる100周目の1コーナー進入。メインストレートのスリップストリームから出て65号車を捉え、2位へ浮上。その後もペースを落とすことなく走り続け、後続との差をじりじりと拡げていく。前を行くのはトップ1台のみ。ししそれは常勝チームの88号車であり、ラップペースはもちろん作戦も完璧で付け入る隙がない。106周を終えたところで給油のためピットインするが、それでも差は22秒弱あった。ただ、山本はあくまでもペースを変えず猛追。88号車に対し、一周あたり1~1.5秒ずつ差を縮めていく。

一瞬たりとも追撃の手を緩めなかった山本であるが、燃料残量は限界に達していた。やむを得ず残り15分の段階で必要量を給油のためピットイン。ドライバーは山本のままコースに戻り、順位は2位のまま変わりはない。このまま表彰台は堅いか…そのような思いをチームの誰しもが抱いていたところ劇的な展開が訪れる。残り3分を切ったところで、総合トップの23号車とST-5Rクラストップの88号車がまさかの接触。23号車は自力でレースに復帰したものの、88号車は不運にもグラベルに足元をすくわれ身動きできない状況に。トラブルに見舞われながらも堅実に走り続けてきたロトスタ号がここでクラストップに立った。5時間の耐久で4時間57分経過時点で起こった衝撃の展開。レースは最後まで何が起こるかわからない。解説も観客もサーキット中がこのアクシデントに驚愕した。なによりドライブ中の山本自身が驚いていたはずであるが、残り2周回を冷静に走り切り、仲間たちが待つホームストレートへ。感動のチェッカーを受ける。



スタート後まもなくクラストップに躍り出て、圧倒的な速さで後続を引き離した柴田。突如のエンジントラブルに見舞われながらも経験とスキルの総動員でトップでマシンを帰還させた佐藤、オートポリス初走行ながらST-5Rクラス絶対王者の88号車の追撃をものともせず、強く粘りの走りで走り切った浅井、タイヤの消耗を抑えつつ最後まで勝利の可能性を信じてハイペースでトップを追い続けたロードスターマイスター山本。決して順風満帆ではなかったロトスタ号をここまで導いたエンジニアとメカニック、チームスタッフ全員を支え続けたスタッフ。そして全国各地からパワーを送っていただいたスポンサーやファンの方々。今回の勝利はKOSHIDO RACINGの総意で築き上げた強さが引き寄せたものと確信している。

次戦は少し間を空けての岡山国際サーキット戦。勝利の余韻に浸りつつも、KOSHIDO RACINGは既に次戦に向けて動き出している。シリーズタイトル獲得に向けて淀みなく前へと進み続ける。


2025.08.01 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.5 オートポリス-練習走行-

搬入~練習走行初日

オートポリス戦は5時間で争われる。KOSHIDO RACINGのドライバーラインナップは 4名体制となり、佐藤・柴田・浅井・山本という布陣で挑む。 

■搬入

今回のレースウィークのピットはガレージではなく、テントガレージが与えられた。テントはピットガレージに比べて広く、設営の手間は増えるものの自由度は増え、作業スペースは拡大するというメリットがある。


■Session1

午前中にピット設営を終え、走行は午後から開始。

オートポリスは各ドライバーのマイレージが少ないこともあり、地元九州マツダ様より走行会向けロードスターを一台レンタルのうえ2台体制での練習走行となった。
本番用マシンはいつも通りまず柴田が搭乗し、マシンの状態把握と最初のセット出しに勤しむ。タイヤはユーズド。そこから佐藤、浅井、山本が交代に乗っていく。一方で柴田がマシンセッティングを担っている間、他3名はレンタル車両にてコース攻略を組み立てていった。

 

■Session2

セッション1で使用したタイヤをそのまま使用し、各ドライバーが順に搭乗。しかし3時間以上走行したタイヤは既に摩耗が進んでおり、アウトラップから計測1周目で出たタイムがベストとなったところから顕著に落ちていく。フロントもリアもすっかりグリップが弱くなったタイヤで、リアウイングの角度の変更やドライバー側でどう走らせるかを模索し続けたものの、あまりにも限界が低い状態で全ドライバーお手上げの状態。チームの中では最も経験が豊富な柴田をもってしても2分16~17秒台が限界で、そこから各ドライバーにチェンジするものの2分20秒台前後がマスト。車載映像で確認している限り、コーナーによって常にアンダーステアかオーバーステアが出続けており、ライントレースは疎かコース内に留まることで精いっぱいという状況であった。

練習走行2日目

■Session1

この日も午後からのスタート。

まず搭乗するのは佐藤。前日、タイヤが限界まで摩耗した状態で走行し、この日はニュータイヤ投入でマシンの動きがどう変わるかをチェック。計測1周目に2分16秒122をマークし、その後は2分18~19秒台で周回。クラス2番手のタイムで淡々とラップを重ねていく。

ST-5Rクラスはどのチームも軒並み同程度のタイムで周回している。

 

レッドフラッグにてピットに戻ってきたタイミングでドライバーを浅井にチェンジ。

2分20~21秒台での周回を続ける。タイヤの性能もかなり低下してきたであろうセッション開始後22周目に2分19秒916をマーク。シミュレーターではかなりの周回をトレーニングしてきたという浅井。実車とのすり合わせで走り方のヒントを得ていった。佐藤・浅井で34周回を終え、本セッションの走行を終了する。

 

■Session2


この日二枠目の走行は柴田からスタート。この走行枠でもタイヤは新品を投入し、昨日のマシンとの動きの違いを確認。アウトラップから次の周回をアタックラップとし、いきなりの2分13秒645というクラストップタイムをマークする。その後も2分15秒台で安定して周回し、ピットに帰還。

山本に交代し、まずは2分17秒013をマーク。山本もまた前日の走行では消耗しきったタイヤで悪戦苦闘しており、2分20秒を切るタイムは出せていなかったが、今回は比較的摩耗していないタイヤでのアタックということもあり、その結果がそのまま反映される形となった。次の計測周には2分16秒912、18周目には2分16秒475と持ち前の速さを発揮。ロトスタ号本来の性能を改めて引き出し、スティントを終えた。

レッドフラッグをはさんで残り20分間。ドライバーは再び浅井へとチェンジ。2分19~20秒台で周回していく中で徐々にオートポリスを攻略し始め、31周目に2分17秒751と大きくタイム更新してみせた。思うようなタイムが出せず悩んでいた浅井であったが、走行二日目にして何とか自身のドライビングとのすり合わせに成功。翌日以降、またここからどのくらい走りの精度を上げていけるか、チームメンバーは期待を寄せた。

 

■ドライバーチェンジ訓練


レースでのラップタイムはもとより、ピット作業やトラブルの有無などリザルトに関与するファクターは多数あるが、その中でも作業に数十秒を要するドライバー交代もまた重要な要素といえる。前回のSUGOに引き続き真夏のレースということでクールスーツシステムが運用され、ドライバー交代時にはひと手間増える形である。

コース上でコンマ1秒を削り取るのにかなりの苦労を伴うことから無論ドライバー交代作業も最短で行う必要があり、いま一度訓練を実施することとなった。

ドライバーの組み合わせを変えつつ、繰り返し実施。その都度新たな課題や改善点も見え、かなり有意義なものとなった。当初設定した目標タイムには達しているものの、毎回どの組み合わせでも安定してクリアできるまでには更なる修練が必要であり、翌日以降も訓練は実施されることとなった。

練習走行3日目

■Session1

 

ファーストスティントは佐藤。これまでの走行枠とは異なり、走行グループが時間で仕切られている。KOSHIDO RACINGがエントリーしているクラスはST-5Rであり、このグループ分けではST-4とST-5Fクラスとの混走。

タイヤは新品で燃料もフルに積んだ状態でのスタート。まずはこの条件でどのくらいのタイムをマークできるのかを確認すべくピットアウトしていく。セクター1、セクター2と好タイムを記録していくが、残るセクター3で他チームの車両に詰まってしまい、余儀なくスロットルを戻す佐藤。このたびのオートポリスでは最もタイムが出ると踏んでいるアウトラップ翌周回に万全のアタックとはならず、2分15秒台前半となった。その後の計測周も2分15秒台をコンスタントにマークし、ロトスタ号にもトラブルはなし。12周回したところでドライバーを浅井へとチェンジし、残り時間はすべて搭乗。前日の練習走行後半で何かを掴んだ浅井は2分18秒台からのスタートで、17秒台も視野に入る位置でラップし続けた。決勝想定ではよい流れを汲んでいる。このセッションは24周回し、ピットに帰還した。

 

■Session2

本日二枠目のセッション。ブレーキの焼き入れも兼ねた本枠であったが、まずは浅井をファーストスティントドライバーとしてアタックへ。計測一周目から2分18秒台で、ほどなくして前日ベストに近い2分17秒787を、5周目にはこのレースウィークで初の16秒台となる2分16秒338をマーク。浅井自身のドライビングも完成してきたところで柴田にステアリングを渡した。

しばらくピットアウト・インを繰り返し、マシンの状態を確かめながら決勝に向けてブレーキをつくっていく。12周を終えたところでスタック車両発生によるレッドフラッグ掲示。この間に山本にドライバーチェンジし、2分16秒597。続くアタックラップ2周目には2分15秒234をマーク。ライバルチームは17~18秒台で周回していることを考えるとペースとしては十分に速い。

ここで再び浅井がステアリングを握り、予選・決勝前最後の調整として2分18秒台前半~後半で周回。そして本セッション最後のドライバーである佐藤へチェンジ。滑り出しは2分17秒台から。次いで18秒台へと若干ペースを落としつつも、最終計測周では2分16秒885と走りをまとめ上げ、この日のすべてのセッションを完了した。

マシンには目立ったトラブルも発生せず流れとしては順調。このまま翌日の予選、翌々日の決勝と戦い抜くべくドライバー陣は自らの走りを振り返り、更なる高みを目指す。

2025.08.01 SUZUKA CLUBMAN RACE 2025 MEC120

<公式結-Pro-Amaクラス>

予選:7位/9台中
決勝:7位/9台中

KOSHIDO RACINGは先週末にスーパー耐久SUGOでの戦いを終え、間髪入れずに鈴鹿サーキット入りしていた。気温は上昇し、ドライバーもマシンも負担は増大。しかし今回のマシンはVITA-01ということで、ドライバー的にはハードトップを纏ったロードスターよりは軽減されるかといったところ。

今回のドライバーラインアップはチームオーナー兼ドライバーの佐藤とスーパー耐久でもBドライバーとして搭乗している柴田での参戦。柴田はこれまでVITA-01への搭乗歴がほとんどない中での抜擢。本人は不安を隠せない様子であったが、その卓越したドライビングとセッティング能力を持ち合わせているがゆえに活躍が期待された。

■7月11日 練習走行初日

<Session1>

まずはVITA-01に慣れている佐藤がコースインし、マシンの状態をチェック。しかしコースイン後まもなくデグナーカーブでの他車コースアウトによりレッドフラッグでセッション中断。10分ほどのピット待機ののち、再スタートが切られる。

佐藤のファーストアタックは2分30秒347。セッション自体はMEC専有枠とはいえ、v.GranzとVITA-01でコース内はかなり混雑している状態。クリアラップは一切とれぬまま終了時間が迫る。他車を縫うような走行を強いられ、レコードラインをトレースすることはかなわず走行を続ける佐藤は僅かにベストラップ更新となる2分30秒302をマークし、ピットへ帰還。柴田も走行予定であったが、このセッションは赤旗中断を挟んだこともあり、佐藤のみのドライブで終了となった。

 

<Session2>


この走行枠は1本目のセッションで搭乗時間が確保できなかった柴田のみの走行。いよいよ柴田のVITA初仕事である。最初のアタック…とはいえど様子見ながらのラップは2分30秒189。そこから次の周回では2分29秒256をマークし、少しずつVITAの動きを感じ取りながらドライビングを組み立てていく。しかし、セッション2でも他車同士のトラブルによりレッドフラッグが掲示され、走行は一時中断。再開後のアタックは2分30秒149。そこでチェッカーとなり、セッションは終了となった。

やはりVITAには苦戦していた様子の柴田。マシンを降りてのコメントは「よくわからないまま終わってしまった。それでも何となくこういうクルマだというのはわかってきた」とのこと。ここから翌日以降の走行をどのように変化させていくのか、チームの期待はさらに高まった。

 

■7月12日 練習走行二日目~予選

<特別スポーツ走行>

この日の天候は曇りで、前日よりも空気の湿り気が感じられる。MEC鈴鹿は限られた練習走行枠しかなく、残された練習走行はこの1本のみ。そのため予定されたプログラムを消化するべく、佐藤と柴田が交代で走行することとなった。

まずは佐藤がコースイン。この日最初のメニューはブレーキの当たりつけから。アタックはひとまずお預けでタイヤの熱入れと同時に丁寧なブレーキングでマシンを仕上げていく。しかし、そんな佐藤に早々にトラブルが襲う。デグナーカーブ進入で後続に追突され、グラベルにはじき出されてしまった。これがアタックラップであれば事もなくコーナーを抜けていたであろうものが、ブレーキ慣らしでペースに制約があったことにより起こった不運なアクシデントである。幸いグラベルにつかまることなく自力で脱出できたため、一旦ピットインしてマシンの状況をチェックし、ドライバーは佐藤のままリスタート。リアフレームにダメージを負い、アライメントの修正が必要な状況ではあったがそのまま走行を継続。2分28秒117を筆頭に、2分28秒台をコンスタントにマークしながら佐藤は走行を終え、柴田にチェンジ。

柴田もまた2分28秒台からのスタートで徐々にラップタイムを詰めていく。ベストは2分27秒861。VITA-01にもかなり慣れてきた様子である。しかしここでまたレッドフラッグの掲示。今レースウィークのMEC専有走行は毎回レッドフラッグが出ている。それだけコースは混雑しており、混乱も生じやすい。結局そのままセッションは終了となった。

<公式予選>


午前の走行時間から湿度は低減したものの、気温は上昇。路温も順当に上昇している。練習走行時のマシン損傷を応急的に修復し、セッション開始を待つVITA610号機。予選ドライバーは佐藤が務める。予選時間は15分と短く、実質的なアタックは5周できるかというところ。限られた時間の中、アウトラップできっちりとタイヤを仕上げ、いざ計測ラップへ。ファーストアタックは2分28秒491。そこからペースアップを図りたいところであるが、2分29~30秒台から脱却できずマシンと格闘する佐藤。アンダーステアもオーバーステアも出る状況に対して必死にドライビングで合わせようと試みるが、結果走りのリズムは乱れ、特に序盤のS字からデグナーにかけてはレスポンス遅れのハンドリングに手を焼いた。また、特別スポーツ走行で交換したブレーキパッドの効きが強めであることもマシンのピッチングを大きくし、コントロールを難しいものとした可能性がある。
ポジションはクラス7番手と苦しい結果に。ここから決勝に向けてどうマシンとドライバーをアジャストしていけるか、課題を残しつつKOSHIDO RACINGはこの日の戦いを終えた。

このレースウィークはスーパー耐久富士24hでともに戦った大宮選手が参戦するフォーミュラリージョナルのシリーズ戦が併催。ポノスレーシングからエントリーしており、現在シリーズランキング3位につけている。

この日はレース6が開催。アクシデントに乗じる形ではあったが、大宮選手は見事2位を獲得し、シリーズポイントランキングにおいても大きく躍進をみせた。

<決勝前フリー走行>


このセッションはすべての時間を柴田が搭乗。とはいえど20分間というごく限られた機会となっている。レースウィークを通してVITA-01に馴染むための時間が十分にとれなかった柴田ではあるが、セクター3がいきなりウェットというコンディションの中、ファーストアタックで2分30秒861、その後は2分31秒台で周回。デグナー2個目の立ち上がりから急にフルウェットとなり、スプーン立ち上がりからすっかりドライに戻るという路面状況を受けて周りのマシンたちが慎重になる中、柴田は速く安定した走りでセッション後半6周目には再び2分30秒台に戻した。そして7周目には2分29秒331と、このフリー走行枠のVITA-01勢トップタイムをマークして帰還。

マシンの感触的にはやはり引き出しポイントが狭く、慎重なドライビングが求められるというコメントを残しつつも、プロドライバーとしての意地をみせた。

 

<決勝>

10:40、v.GranzとVITA-01総勢58台ものマシンがホームストレート上に並ぶ。いや、ホームストレートでは収まりきらず、車列は最終コーナーにまで及んだ。この大混雑の中、120分間の戦いが始まろうとしている。色鮮やかなマシンが列をなし、鈴鹿は華やかな雰囲気。その裏でv.Granz・VITA-01のドライバーはPro-Ama、Ama-Ama両クラスともに闘志を燃やしていた。

11:10、ローリングスタートにてレースは幕を開ける。スタート直後は全車クリーンでトラブルなく進行…と思ったのも束の間、早速接触やスピンが所々でみられイエローフラッグが振られている。佐藤は荒れ始めたコース内を冷静に走行。ペースも2分29~30秒台を堅持し、順調に周回を重ねていった。

15周を消化し、予定通りのピットイン。燃料もほぼ予定されていた量を消費し、給油作業も滞りなく完了。ドライバーは柴田にチェンジし、さらにピットアウト直後にセーフティーカー(以下SC)導入となったことでKOSHIDO RACINGには有利な流れとなる。しかしレースはそう簡単にはいかない。タイヤの内圧が想定以上に上昇したためかオーバーステアがきつくなり、柴田はマシンの制御に苦戦。午前に見せた走りが再現できない状態となっており、何とかペースを落とさないように周回するのがいっぱいいっぱいのドライビングとなっていた。

我慢の走りを続ける柴田ではあったが、ピットアウト時のポジションは死守し、概ね予定通りに走行。残り40分の時点でクラス2番手となっていた。このままいけば表彰台も十分に見えるところに…そんな期待を込めてサードスティントを佐藤に託し、無事に送り出すはずであったVITA610号機であったが、柴田からピットイン前に異常発生の報告がメカニックに入る。それはステアリングを切ると原因不明の振動が出現するというもの。2度目の給油およびドライバーチェンジを少し早めて対応。足回りに小トラブルが発生しており、対処自体は難しいものではなかったが、ピット作業時間は通常予定していたものより長くなってしまった。この間に多くのライバルたちに前に行かれ、この時点でクラス8番手まだポジションダウンしてしまう。

ここから佐藤が巻き返しを図る!と意気揚々とピットアウトしたものの、直後にコースは再びSC導入へ。他車のガス欠による度重なるSCにより、佐藤はこの後レーシングスピードで走行できたのは実質1周のみ。残り2分強でSCイン。リスタートとともにスプリントレースのごとくしのぎを削る各車。

先導走行がひたすらに続き、終わってみればレース全体の1/3以上はSC先導という昨年の同レースを彷彿とさせる展開となってしまった。

最終的なリザルトは7位。複数回のSCとトラブルさえなければ上位も狙えただけに、今回のMEC120は消化不良のまま幕を閉じることとなった。しかしながら短い走行時間ですっかりVITA-01の力を引き出せるようになった柴田と、序盤の快活な走りでレースペースをつくった佐藤がまたタッグを組んでこのシリーズに戻ってくることは間違いない。