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2024.10.30 Fuji Champion Race Series 2023       FCR VITA & KYOJO CUP Rd.3     RACE REPORT

Fuji Champion Race (以下FCR) VITA-01 Rd.3/KYOJO CUP Rd.3

開催日時:2023年9月23日(土)~9月24日(日)

開催地:富士スピードウェイ レーシングコース(静岡)

ドライバー
FCR-VITA:佐藤 元春、上野 大哲、兼松 由奈
KYOJO CUP:RINA ITO、後藤 玲香、兼松 由奈

マシン
恒志堂レーシング レブニーズVITA :佐藤 元春・RINA ITO
恒志堂レーシング CLASS VITA:上野 大哲・後藤 玲香
恒志堂レーシング YOSHIMI VITA:兼松 由奈

参戦クラス:FCR-VITA、KYOJO CUP

天候
FCR-VITA:予選/雨、決勝/雨
KYOJO CUP:予選/晴れ、決勝/晴れ

路面
FCR-VITA:予選/ウェット、決勝/ウェット
KYOJO CUP:予選/ドライ、決勝/ドライ

戦績
佐藤 元春(FCR-VITA) 予選:17/41位 決勝:17/40位
上野 大哲(FCR-VITA) 予選:12/41位 決勝:8/40位
兼松 由奈(FCR-VITA) 予選:31/41位 決勝:27/40位

RINA ITO(KYOJO CUP) 予選:12/20位 決勝:9/21位
後藤 玲香(KYOJO CUP) 予選:20/20位 決勝:21/21位
兼松 由奈(KYOJO CUP) 予選:16/20位 決勝:15/21位

北海道クラブマンカップを終えたわずか4日後、KOSHIDO RACINGの面々は早くも次の戦いの場である富士スピードウェイに来ていた。

天候は雨。降ったり止んだりではあるものの午後には雨が強まり、練習走行初日はセッティングに時間を割きたいところではあったが、切り上げることとなった。

9月22日金曜日は走行枠によりコースイン可能なカテゴリが分けられている公式練習日。前半3本はFCR-VITA、後半2本がKYOJO CUPの走行枠となっていた。

この日も天候が安定せず、雨天は避けられたように思えたが、最後の1本は初日に引き続き雨で走行は見合わせることとなった。

 

<FCR-VITA予選>

レース当日となる9月23日は朝からコース上に濃霧が立ち込めていた。天候は目まぐるしく変わる予報で先が読めない一日。8時55分よりウェット路面の中、予選がスタートした。ところがセクター3から雨脚が強まり、実質的なタイムアタックができたのはわずか1、2周目のみ。35号機の上野は早々に切り上げ、ピットに戻る。35号機の佐藤、610号機の兼松もこれ以上のタイムアップは困難と判断し、早々にピットに戻ることとなった。予選は如何に序盤でアタックをかけられたかが明暗を分け、雨が強まったタイミングと計測ラップが重なってしまった選手は下位に沈む形となる。

最終的に上野が12位、佐藤が17位、兼松が31位とチームとしては悔やまれるリザルトとなった。

予選タイム

・佐藤 2’05.828
・上野 2’05.287
・兼松 2’08.945

 

<FCR-VITA決勝>

コースインは12時05分。雨が降りしきる中でのグリッドウォークとなる。

12時20分フォーメーションラップを終え、決勝レーススタート。

完全なウェット路面でのレーススタート。佐藤は回転抑えめでクラッチミート。しかし路面は想像以上にグリップする状態であったためか、周りの車はしっかりとスタートダッシュを決め、群衆に呑まれる。TGRコーナーまでに一気に差が開いていくが、進入からターンインで大混雑の様相。アウトいっぱいからそのままアウト側をキープし、前方集団に遅れをとることなく立ち上がってコカ・コーラコーナーへ。ここでも各マシンひしめき合い、ラインの自由度はなし。イン側進入からそのままインキープで立ち上がり順位変動はなくレースは進行。各ドライバーは慎重なドライビングでペースこそあげられないものの、トラブルなくオープニングラップを走りきる。佐藤はホームストレートで13号車高野選手のスリップストリームから前に出て、ポジションを一つ上げる。

2周目、オープニングラップに引き続きコース内は大混雑。ホームストレートはウォータースクリーンにより視界ゼロの状態。それでも佐藤は37号車金本選手の後方にピタリと付け、ポジションを上げる。しかし、TGRコーナーのブレーキングにて再び先行許す。各車ウェットでの走行ラインでは自由度がなく、簡単には抜けない膠着状態が続いた。100 Rの進入からターンイン直後に前走車がアウト側からコースオフ。直後を走っていた佐藤も連なるようにコースを外しかけたが最小限で止め、半車身ほどランオフエリアに出るのみでコースに復帰。

3周目、隊列が少しずつバラけ始め、タイヤに熱が入ったこともあり、各車に動きが出始める。積極的に仕掛けていく中で、佐藤がダンロップコーナー進入で痛恨のハーフスピン。進行方向に向いていたため、リカバリーは素早かったがエンジンストールからの復帰に少々時間がかかり、数台のライバルに抜かれる。雨脚はますます強くなっており、コース各所でスピンやコースアウトが見られる中、ミスを繰り返すことなくポジション回復に集中。しかし、ドライビングはさながら雪上を走るかのようなシビアさが要求された。常にアンダーステアとオーバーステアとの戦い。ドライコンディションとはまったく異なる走り方でとにかく挙動を安定させることを優先。TGRコーナーで止まりきれずランオフに消えていくもの、コカ・コーラコーナーで姿勢を激しく乱し、アウトに飛んでいくもの、ダンロップコーナーで止まりきれずシケインをカットするもの…ライバルたちがミスでコースから外れていくところを冷静にパスしていった。

安定してラップを刻むようになった頃、前との差も少しずつ詰まり、再びバトルの様相。しかし一台、また一台とスピンして消えていく。後半の佐藤の走りは安定そのもの。かといって決して攻めていないわけではなく、タイヤの限界付近を探りながら走っていることが見てとれる。レースは18番手でチェッカー。最終的には他車のペナルティにより、正式結果は佐藤が順位をひとつ上げることとなった。

予選では出走のタイミングを見誤り思うような結果が出せなかった上野。スタートは丁寧なクラッチミートできっちりと決めた。前方1台をTGRコーナーまでにパスし、続くブレーキングでアウト側から二台をパス。しかしすぐ前に行った車両が思いの外慎重なブレーキングであったため、危うく追突しそうになる展開。しかし上野は冷静にさらにアウト側へとラインをずらし、無駄のないブレーキングでオーバーランを最小限に収め、すぐにコースに復帰。しかし結局ポジションを2つ落とすこととなり、スタート順位からはワンポジションアップの展開となった。アドバンコーナーの進入でもアグレッシブにアウトから仕掛け、1台をパス。続くダンロップコーナーの進入に向け、前走車の背後につけて隙を伺う。前方がバトルでもみ合う中、ペースが落ちた好機を見逃さずラインを変えて前へ。オープニングラップの最終コーナーでは他車とラインが交錯し、ヒヤリとした場面もあったが、そこは冷静な上野の判断でトラブルを回避。続く2周目のTGRコーナー進入でもウェットの非常に悪いコンディションの中。スリーワイドでブレーキング競争。アウトいっぱいで粘り、簡単にライバルを前に出させることはしない。マシンが暴れてもそれをうまくトラクション方向に変え、マシンを前に進める上野のドライビングが光る。3周目のホームストレートで18号車大野選手にスリップストリームに入られ先行を許したが、ダンロップコーナー進入でインから刺し、再びポジションを戻す。その後2号車イノウエ選手との激しいバトルが勃発。各コーナー、ブレーキングで追突するのではないかという勢いで一気に差を詰め、左右から揺さぶりをかける。軽い接触はあるが、ハイレベルなドライバー同士の戦いは挙動を乱すことなくテールトゥーノーズの膠着状態が続いた。すぐ後方には18号車の大野選手もくらいついている。この三つ巴のバトルが何周にもわたって続いた。

今回と同じ大雨のFCR第1戦で2位表彰台を獲得している上野。その過酷なコンディションでのマシンコントロールは、目を見張るものがある。そして6周目、上野にチャンスが訪れる。最終パナソニックコーナーでイノウエ選手の間横に並ぶ形で立ち上がった。上野はサイドスリップを駆使し、ホームストレートを横並びの状態でTGRコーナーに飛び込んでいく。ここはブレーキング勝負。その直前にブレーキバランサーに手を掛け一段階フロント寄りへ。この判断が功を奏し、長きにわたって続いたバトルの末、辛くもイノウエ選手の前へ。コカ・コーラコーナーでクロスラインから一瞬前に出られかけるが、100Rで粘りを見せ、再び上野が前へ。その後も後続から追撃の手が止まない状況であるが、ギリギリのブレーキングと巧みなライン取りでポジションをキープ。前方に47号車を捉え、少しずつ差を詰めつつあったが、残り周回数が足りず8位でチェッカーを受けた。

610号機の兼松。スタートは無難に決める。しかし前には何台ものマシンが連なり、ファーストコーナーに向かってウォータースクリーンで一切前が見えない状況。それでも落ち着いて周りを見ながら慎重にマシンをコントロールし、群衆の中を抜けていく。オープニングラップは兼松も周囲のライバルたちもトラブルなく走り切り、順位の大きな変動はなし。2周目の時点で前方には同じKYOJOドライバーの24号車藤島選手。パナソニックコーナーを上手く立ち上がり、しっかりとスリップストリームに入る。もちろん水飛沫で前は見えない。繊細なブレーキタッチでTGRコーナーに進入し、24号車を確実に仕留めた。勢いづいた兼松は続く321号車横山選手の後方に付け、隙を窺う。しかし、後方からくるマシンも常に兼松を狙っている。17号車西濱選手には、3周目のTGRコーナーでインを刺され、再びポジションをひとつ落とした。ただ、そこから離れていくことはなく、続く4周目に向けて今度は兼松が西濱選手のスリップストリームへ。しかし前に出るには至らず、バトルは続く。そうこうしている間に、前方の差が少しづつ開き隊列へと変化。ベビーウェットで走行ラインに自由度がなく、各選手抜きあぐねている状況。これまでミスなく巧みにマシンをコントロールしてきた兼松であったが、6周目のTGRコーナー立ち上がりでトラクションを失い、スピン。しかし後方のライバルたちとの差も大きく、ポジションダウンすることなく戦線復帰する。その後はとにかく後方から迫るマシンを牽制しながら守りの走りへ。前を走るライバルがスピン・コースアウトで復帰に手間取る中、堅実な走りでひとつずつポジションを上げていく。最後のバトルの相手は38号車佐々木選手。それぞれに速いコーナーが異なり、付かず離れずの展開で3周に渡ってのドッグファイト。ファイナルラップのホームストレートでは、スリップストリームでピタリと後に付けてプレッシャーをかけ、ブレーキングでもインを窺い隙あらば抜きにいくという姿勢を見せる兼松。しかし佐々木選手も必死に応戦し、セクター3に至るまでその差は全く変わらず。微妙にラインを変えて抜きどころを探るが、どうしても立ち上がりでのトラクションの弱さから前に出ることができずにもつれ込み、そのままフィニッシュとなった。順位こそ27位と中段に落ち着いたが、ファイナルラップの最終コーナーで計測機器が外れるというトラブルに見舞われながらも冷静に元に戻してシフトチェンジするという場面もあり、非常に悪いコンディションの中でも落ち着いて対処できるくらいにレベルアップした姿が見られた。

 

 

<KYOJO CUP予選>

レースウィーク中降り続いていた雨がようやく止み、気持ちよく晴れた中でレース当日を迎えた。今回のレースウィークは金曜日からの合流で1本しか練習走行ができていないRINA。初参戦で緊張を隠せない後藤。前日、豪雨のFCR-VITAにも参戦していた兼松。それぞれどんな走りをするのか注目が集まる。

8時25分にスタート。まずはRINA。アウトラップでタイヤに熱入れし、前後の間合いを見つつアタックに入ったものの、ペースを上手く作れないと判断。後方からくるライバルたちを先行させ、ベストな周回を探る。やみくもに走り続けてマシンを消耗させることのないよう、来たるそのタイミングに備えて温存していた。結果的に単走の周回が多くなり、スリップストリームを有効に活用できぬままアタックは終了。12番手とRINAとしてはやや振るわぬ結果となった。

レース初参戦となる後藤は練習から徐々にタイムを上げてきていたものの、やはり強豪ひしめくKYOJO CUPにおいて結果を出すことの厳しさを目の当たりにしていた。それでも走行ラインやコースへの慣熟度を高め、決勝に向けて自身のコンディションづくりを進めた。何より周りの先輩ドライバーたちが全開アタックするところを間近で見られたことは大きかったであろう。リザルトとしてタイムが刻まれた選手の中では最後尾となったが、予選の20分間でさらに成長できたことは間違いない。

FCRとのダブルエントリーである兼松は前日までのウェットコンディションに慣れた身体をドライにアジャスト。ブレーキバランスも調整し、いざアタックへ。このレースウィークで最もVITA-01に乗っているだけあり、その走りはアグレッシブ。ライバルのスリップストリームも上手く使ってチャンスを窺う。しかし、RINA同様になかなか他車との間合いを取れず、時にTGRコーナーのブレーキングで詰まってしまったり、或いは空力が及ばないほどの間合いに拡大してしまったりと苦労が続く。走り自体にミスはなく、アグレッシブなドライビングの中にもマシンコントロールはいたって丁寧。タイムは長女RINAのコンマ5秒落ちに肉薄し、リザルトは16番手となった。

予選タイム

・RINA 2’01.267
・後藤 2’09.125
・兼松 2’01.795

 

<KYOJO CUP決勝>

予選に引き続き快晴に恵まれた第3戦の決勝。

レース中のバトルはかなり緊張感が高まるが、グリッドウォークは一転して和やかかつ華やかな雰囲気である。

 

レーススタートは13時50分。

スタートは順当に決めたRINA。そこから得意のオープニングラップのファーストコーナー進入。アウト側いっぱいにマシンを寄せ、一気に2台をパス。毎戦TGRコーナーの飛び込みには定評があるRINA。スタート直後の冷えたタイヤでも繊細にグリップをつかみ、ハードブレーキングでも絶対に破綻させない走りをみせる。そのまま縦一列で並びコカ・コーラコーナー、100R、アドバンコーナーと進んでいく。前方でライバルたちが右に左にと走行ラインを変える中、RINAもそれに応戦し、相手の隙をつくべく巧みにVITA-01を操る。オープニングラップは最終パナソニックコーナーを抜け、しっかりと前走車のスリップストリームに入った。225・38号車とダブルスリップとなり、38号車佐々木選手を難なくパス。TGRコーナー進入までに225号車富下選手の右横に並びかけ、得意のブレーキングでインから刺した。この時点で上がったポジションは4つ。2周目は逆に追われる立場となったRINAであるが、ミスをすることなくひとつひとつ丁寧にコーナーをクリアしていく。3周目のホームストレートではスリップストリームに入られつつも、守りのラインでミドルからTGRコーナーに進入し、ポジションをキープ。その後も追われる展開が続き、4周目に入った直後、追撃の手を緩めない富下選手がスリップストリームから出てRINAのイン側へ。TGRコーナーで前に出られてしまう。

再び追う側となったRINA。その走りにミスはない。しかし後方の佐々木選手も追い続けていた。5周目のTGRコーナーにて1度は並びかけられるものの、コカ・コーラコーナー飛び込みにて我慢比べを制したRINAはポジションをキープ。6周目までもつれ込み、TGRコーナーのブレーキングにて再び隣に並ばれた。佐々木選手が若干アンダーステアで外に膨れる中、なんとかアウト側で持ちこたえコース内に留まる。しかしこれにより立ち上がり加速が鈍り、前に出られた後は少し離されてしまう。7周目に差し掛かるとさらに後続のマシンが襲いかかった。しかし、RINAも抜かれっぱなしでいるわけにはいかない。ブレーキングを目一杯遅らせ、TGRコーナーでは前に出させない走り。後方とのバトルもしつつ前方との差も一気に縮め、佐々木選手とのバトルが再び勃発。しかし8周目のTGRコーナー進入にて 13号車高野にも前に出られてしまう。ギリギリまでアウト側で粘り、クロスラインを狙うが高野選手の巧みなライン取りに後退を余儀なくされる。しかし、アドバンコーナーへの進入でミスをした高野選手は失速。300Rで並びかけたのちアウト側からダンロップ進入にて仕掛け、辛くも前へ。高速域からのブレーキングがとにかく得意なRINAの勝負どころである。依然として直後につけている13号車は9周目のホームストレートで再びRINAの前に出る。今度はイン側でTGRコーナー進入のブレーキング勝負。コカ・コーラコーナーまで並走が続きここも我慢比べを制したRINAが再び前へ。10周目も同様の展開が続く。残りは2周。ポジションを守り切れるかといった我慢の展開。11周目も一時は前に出られるがブレーキングで刺し、コカ・コーラコーナーもミドルラインからの飛び込みで高野選手を前に出させない。アドバンコーナーで周回遅れを安全にパスした後は再び後方に集中。セクター3はタイヤの限界付近を使い、見事な走りで鉄壁の走行ラインを描く。ファイナルラップでも展開は同様で、前周と同じ光景が繰り返されるがTGRのブレーキングで一旦は前に出られたところを差し返し、絶対に前に出させない。そのままミスなく走り切り、ポジションを死守したままチェッカー。12周すべてを常にバトルし続けたその強さと集中力の高さは特筆ものである。

初のKYOJO CUP参戦となる後藤。VITA-01には各地のサーキットで何度か走行を重ね、少しずつ慣れてきたところであるが、富士スピードウェイは初の走行となる。サーキットライセンスもこの日のために取得するというフレッシュさと気合の入りよう。緊張のスタートはシグナルブラックアウトとともにダッシュを決める。やはり初のKYOJO CUPということで、勝負どころのオープニングラップ、TGRコーナーでは少し引いたところからの進入。前方の混雑をしっかりと見極めながら食らいついていこうとペースを上げる。走行ラインは悪くないが、徐々にライバルたちから離されていく。ミスはなく練習そこで身に付けたことは着実に実践し、走り始めより大幅なレベルアップを果たしていることがわかる。

ラップタイムもこのレースウィークだけで大幅に短縮してきており、富士スピードウェイ初走行としては申し分ない結果と言えよう。しかし近年のKYOJO CUPのレベルは凄まじい早さで上昇しているだけに初レース、そして女性たちの中で戦うことの厳しさを味わった。

そして兼松。前日のFCRでは、非常に滑りやすい路面で散々苦労してからのこの舞台。スタートは難なく決める。TGRコーナーへの進入はイン側から。オープニングラップで混雑する中でも周りをしっかりと確認し、マシンを着実に前へと進める。2周目のTGRコーナーは後方を牽制し、ミドルラインからの進入。ポジションをキープし、そのままコカ・コーラコーナー、100R、アドバンコーナーをクリア。ダンロップコーナー進入ではしっかりと前との差を詰める兼松。長女RINA譲りの高速域からの鋭いブレーキングをみせる。3周目、前との差がやや開いた状態。コカ・コーラコーナーでは上手くオーバーステアを使い、理想的なラインと脱出速度を確保。高速域からのブレーキングでは一気に前をゆくライバルに迫る。4周目は前走車のスリップストリームをしっかりと使い、セクター3までもつれ込む。差は変わらないまま5周目突入。前方では、順位変動が目まぐるしく起こっている。前走者達がバトルを展開する中でペースが上がらないところを兼松は見逃さずキッチリと距離を詰め、抜くチャンスを待つ。6周目18号車坂上選手のスリップストリームを最大限に活用し、コントロールタワーを過ぎる頃には前へ。続く28号車樋渡選手とのバトルでは競り合いで失速した隙を見逃さず、本来であれば抜きどころとはいえない13コーナーでアウト側から前に出る。続いてのターゲットは24号車藤島選手。スリップストリームからしっかりと前に出てポジションを上げたと思われたが、そこに新たな刺客である213号車バートンハナ選手が現れ、TGRコーナー進入のブレーキングから一気に二台を抜き、前に出られる。今回のレースでは特に周りがよく見えている兼松。ライバルに抜かれる結果となったとしても、その巧みなラインで失速を最小限に抑え、食らいついていく。その後も藤島選手とのバトルは続き、7周目では一旦前に出られたものの後方に食らいつき離れない。その傍ら37号車金本選手が後方から迫り、スリップストリームに入られる。一瞬前に出られたものの落ち着いてブレーキング勝負に競り勝ち、ポジションキープ。守りのラインをトレースしながらその後も37号車を前に出さない走り。続く周回も同様にホームストレートで横に並びかけられるが、TGRコーナーでイン側を死守し、そのまま激しく競り合い続けた。横並びのままセクター3へ突入。しかし、13コーナーでインを開けてしまった隙を突かれポジションダウン。その続く最終コーナーでは大きくラインを外し差が開いてしまう。ホームストレートではスリップストリームの恩恵もあり食らいついていくが、その差は埋まらず15位でフィニッシュとなった。

ポジション的にはまだまだ課題が残るところではあるが、FCRに続きKYOJO CUPでも魅せる走りと見事なバトル展開を披露した兼松。レースを重ねる度に強い走りが身に付いてきていることから、今後も目が離せない存在である。

毎回ハイレベルな戦いとなるKYOJO CUP。その中でKOSHIDO RACINGのKYOJOドライバーは悔しい思いをしたレースだったといえる。この悔しさをバネに今後はトップ集団に加わるバトルが見られることを期待する。

 

 

 

 

 

2024.10.30 Fuji Champion Race Series 2023 FCR-VITA MEC120/KYOJO CUP Rd.2 RACE REPORT

Fuji Champion Race (以下FCR) -VITA MEC120/KYOJO CUP Rd.2

開催日時:2023年7月22日(土)~7月23(日)

開催地:富士スピードウェイ レーシングコース(静岡)

FCR-VITA MEC120ドライバー:
佐藤 元春・鶴田 哲平、RINA ITO・織戸 茉彩、兼松 由奈・工藤 大祐

KYOJO CUPドライバー:RINA ITO、織戸 茉彩、兼松 由奈

マシン
恒志堂レーシング レブニーズVITA
恒志堂レーシング CLASS VITA
恒志堂レーシング YOSHIMI VITA

参戦クラス:FCR-VITA MEC120、KYOJO CUP

天候
FCR-VITA MEC120:予選/晴れ、決勝/曇り
KYOJO CUP:予選/晴れ、決勝/晴れ

路面
FCR-VITA NEC120:予選/ドライ、決勝/ドライ
KYOJO CUP:予選/ドライ、決勝/ドライ

戦績(FCR-VITA MEC120)
佐藤 元春・鶴田 哲平   予選:10/27位 決勝:6/31位
RINA ITO・織戸 茉彩    予選:25/27位 決勝:16/31位
兼松 由奈・工藤 大祐   予選:19/27位 決勝:22/31位

戦績(KYOJO CUP)
RINA ITO   予選:10/22位 決勝:7/21位
織戸 茉彩  予選:20/22位 決勝:17/21位
兼松 由奈  予選:17/22位 決勝:16/21位

昨年に引き続き、KOSHIDO RACINGは今年も富士スピードウェイ(以下、FSW)で開催されるFCR-VITA MECに参戦。レースの正式名はMEC120と称され120分、すなわち2時間の耐久レースとなる。7月には鈴鹿でも開催され、KOSHIDO RACINGからは15号機がエントリー。年に一度の走行にも関わらず15号機が入賞目前の成績をおさめている。

今回のFSWにはシーズン参戦している15号機、35号機、610号機3台全てのエントリーとなった。

ドライバーは15号機にチームオーナーの佐藤元春と、その相方には鈴鹿に引き続き鶴田哲平を起用。35号機は女性タッグとしてKYOJO CUP参戦中のRINA ITOと織戸茉彩が搭乗。610号機は今季FCRとKYOJO CUPにダブルエントリーしている兼松と、北海道クラブマンカップレギュラー参戦中の工藤大祐が参戦となった。

<FCR-VITA MEC120予選>

予選は9時5分から、各車新品タイヤでのスタート。

15号機は佐藤が1人で担当。鶴田は出走せずピットから佐藤の走りを見守る。

アウトラップを終え、前車のスリップストリームからスタートする絶好のアタックラップ。TGRコーナーにて若干ブレーキングでの深追いがあり、オーバーを出しつつもきれいなラインで立ち上がる。その後もアグレッシブな走りを展開する佐藤。タイヤの熱入れが済んでグリップが安定してきたためか挙動の乱れは次第になくなり、本腰を入れてアタックラップ2周目へと突入。セクター3はわずかなスリップアングルをうまく使いロスなく立ち上がる。

良いペースでアタックを続けていたが、コカ・コーラコーナー上にストップしてしまった他車の影響によりレッドフラッグ掲示。余儀なくピットに戻る。その後予選が再開。エントリー台数が51台にも及ぶ富士のMECだけあり、リスタート後のコース上は大混雑。前方も勿論詰まるが後方から迫るvGranzにも注意を払わなくてはならないため、なかなかペースを上げるに至らない。群衆が少し掃けてきたところでアタックを再開するが、気温の上昇もあってかタイムは伸び悩む。最終的なタイムは3周目に記録した2分00秒963でクラス10番手につけた。

35号機は先にRINA ITOがコースイン。姿勢を破綻させることもなく、きれいにマシンを走らせる。操作が非常に丁寧でコース幅も目一杯使い、目立ったミスなく走行を続けた。2周目に2分3秒508をマークし、3周目には2分2秒875と順当に削っていく。最終的なタイムは2:02.770でクラス25番手となり、レッドフラッグのためピットへ帰還。予選再開時に残り12分ということもあり、ここで織戸にドライバーチェンジとなる。

織戸は冷静に周りを見つつ、アウトラップを慎重に走る。参戦2年目でVITA-01の動きにも慣れてきた織戸。最終コーナーで一瞬乱れかけた姿勢をすばやく適正な量のカウンターでリカバリーし、ホームストレートに向かって立ち上がる。この辺は父親譲りのドライビングセンスであろう。走行開始から12分間という限られた中でのアタックで2分5秒296をマーク。全体的には概ねミスのない走りでまとめ上げ、予選終了間にはベストを若干短縮。2分4秒648を記録した。

610号機は兼松が担当。積極的にシミュレーターを活用し、VITA-01を乗りこなすべく精進し続けている。2周目に2分3秒692をマークした後は 6周目に2分3秒164、

7周目には2分2秒437と着実に記録を削っていった。最終的にはこのタイムがベストとなり、先輩ドライバーであるRINA ITOを上回る成果をみせた。

工藤は予選では出走せず、ピットで兼松のアタックを見守る。FSWでの公式戦が初となる工藤は今年の3月に仕様変更されたタイヤテストに合流して以来の走行となることから、やはり地元十勝スピードウェイ同様に攻め込むには時間が短すぎ、兼松に託す形となった。

予選タイム

・佐藤 元春   2’00.963
・RINA ITO    2’02.770
・兼松 由奈   2’02.437

 

<FCR-VITA MEC120決勝>

正午近くの炎天下の中、2時間の戦いはスタートする。

ホームストレートに並ぶ佐藤が搭乗する15号機はクラス10番手からのスタート。すぐ前のグリッドには兄弟チームの32号機ビーフラット号がいる。

11時45分、レース開始。ゆっくりとフォーメーションラップがスタートする。総勢何台ものマシンが連なりコース上は大混雑の様相。ホームストレートに戻った各マシンが一斉にスタート。TGRコーナーの飛び込みまで特に混乱もなく、順当なローリングスタートと言える。やはりスタート直後は混み合い、順位が目まぐるしく変わる。さながらスプリントレースのような展開を見せる。レース序盤、群衆に呑まれつつも隙を見て前車をパスする機会を伺う。3周目あたりから少しずつ隊列がばらけ、少し前との間隔が開くが、TGRコーナーのブレーキングで一気に詰めると言う展開。1周トータルではほぼ差が変わらないまま全開走行が続く。

数周を重ねても依然としてテールトゥーノーズのスプリントレース同様の展開。ホームストレートでスリップストリームに入り、14号車をパス。後方から来るvGranzをパスさせると同時にTGRコーナー進入のブレーキングで前車に並びかけ、プレッシャーを与える。但しパスさせる際はタイミングが重要で、そこを見誤るとライバルたちに簡単に抜かれてしまう。

後半にもなると、佐藤の走りは磨きがかかっていく。これまでアンダー気味で進入していたコカ・コーラコーナーもレコードラインを毎周正確にトレースするようになり、セクター3での挙動の乱れもほぼ見られなくなる。他車がvGranzと絡み大きくラインを外す中、的確なタイミングとベストラインをトレースしながら少しずつ順位を上げていく。

レースは1/4ほどを消化し、各チームピット作業が始まる。この頃佐藤は16周を終え、9位につけていた。23周を終え、鶴田にドライバーチェンジ。

鶴田は危なげない走りでvGranzをパスさせつつ、淡々とラップを重ねていく。一旦は前に出られた880号車をピタリとマークし、長きにわたってバトルが繰り広げられる。耐久でありながらもはやスプリントと言える走りを見せる鶴田。とにかくCS2クラスをパスさせるタイミングが絶妙で、それをうまく利用しながら前との距離を詰めていく。ここは多種多様なクラスが混走するスーパー耐久のドライバーとして参戦していることもあり、センスに長けている。安定の走りで第2スティントを引っ張り、第3スティントは再び佐藤へ。ピットアウト後まもなく数台のVITA-01とvGranz1台との絡み。そのvGranzのコーナリングスピードが遅く、ストレートで前に出られてはコーナーで詰まるという展開に手を焼く佐藤。そして、2周ほどが経過したところでのTGRコーナー進入。ブレーキングにて車速も十分に落ち、ターンインを始めた佐藤のイン側に明らかなオーバースピードで飛び込んできたvGranzは15号機の右サイドに接触。幸い15号機に大きな損傷はなかったが、飛び込んできたvGranzのカウルはコーナー立ち上がりで宙を舞い、コース上に散乱した影響でSC導入となる。

MECほどのエントリー台数ともなるとPro・Ama様々なドライバーが参戦しており、技術の差はまちまち。FCRをはじめGTワールドチャレンジやフェラーリチャレンジなど、FSWでの参戦歴も長くなった佐藤であったが、今回のようなトラブルは初めてである。

それにしてもSC中は大混雑。出走台数が50台も超えてくると隊列は長くなり、所々で止まってしまうことも。さながら東名高速の渋滞のようであった。落下したパーツの回収は長引き、SCも解除されることなく、佐藤はそのままフィニッシュを迎えることとなる。佐藤・鶴田組はクラス6位でレースを終えることとなった。

35号機のスタートはRINA ITOが担当。クラス25番手からの巻き返しを図るべく前走車のペースにうまく合わせてアクセルコントロールし、コントロールラインを越えると同時に一台パスするという絶妙なスタートを決める。

その後はRINAが得意とするスタート直後のTGRコーナー進入。臆することなくブレーキングで飛び込み、あっさりともう一台をパスした。

その後もVITA-01とvGranzが入り混じる周回の中、前と後を冷静に見極め、確実に1台ずつパスしていく。その後は同じKYOJOドライバーである213号機バートンハナ選手とのバトル。ストレートが速い213号機にベストな走行ラインで応対するRINA。しかし日本一ストレートが長いFSWでは最高速に勝るマシンが絶対的な強さを持ち、先行を許す。

数周の単独走行を挟み、さらに一台をパス。次のバトル相手となったのはチームメイト610号車の兼松。姉妹バトルが展開される。35号機がスリップストリームから出てTGRコーナー進入のブレーキングで前へ、その後610号機がクロスラインでTGRを立ち上がり前に出るという展開を繰り返す。vGranzも絡みはじめ、後方を警戒しながらつつも姉妹同士のバトルは続く。しかし、勝敗を決する瞬間はいきなり訪れた。610の兼松が最終パナソニックコーナーを前にブレーキングしつつアウト側へマシンを寄せた際、マシン左側をコース外に出してしまい芝に足元をすくわれスピン。背後につけていたRINAは余儀なくさらに左のランオフへとマシンを寄せてパス。好バトルを魅せた姉妹の戦いはあっけなくその幕を下ろした。

ここからまたしばらくの単独走行に入る35号機。順位変動もなく、耐久ならではの淡々とラップを刻む走りに徹しするRINA。26周を終え、織戸にドライバーチェンジ。

KYOJO CUPレギュラードライバー2年目でVITA-01ドライブにも慣れた彼女であるが、この日のマシンの動きを確かめつつ慎重にコースイン。完走することが前提の耐久レースではこの慎重さが最も重要である。ピットアウト後すぐに後方から何台も迫りくるCS2クラスに的確に進路を譲り、確実に周回を重ねていく織戸。そのドライビングはマシンに負担をかけないやさしい走り。ここも耐久レースを戦い抜く上では非常に重要なポイントとなる。

コカ・コーラコーナーでスピンすることはあったが、冷静に周りを見て問題なくコース復帰。その後は単走が続き、ミスやトラブルなく着実にラップを重ね、再びRINAへとマシンを託した。

ピットアウト時、なかなかエンジンスタートしない小トラブルはあったが、大きなロスには至らずRINAがコース復帰。アウトラップのダンロップコーナーで鶴田が乗る15号機に前を譲り、その後は追走へ。しかし、程なくしてそのままSCが入り、長いスロー走行の末にRINAがチェッカーを受けることとなる。RINA・織戸のKYOJOコンビはクラス16位でレースを終えた。

610号機はスタートに兼松を起用。クラス19番手からのスタートで危なげなく、かつアグレッシブな走りで前を行くライバルに食らいつく。予選タイムに対し、1~2秒ほどのマージンでレースペースをつくっていく。ただ、普段はここまでのエントリー台数の中で走ることはなかった兼松。混雑するコース内でやや群衆に呑まれつつあり、少しずつ順位を下げる展開に。走行しているうちに姉貴分のRINAが後方から迫り、身内同士のバトルへ突入。兼松も良いペースで走っていたが、ここはレース経験に勝るRINAに軍配が上がった。

工藤は序盤のラップ平均が2分5秒前半というペースでレースを展開。しかしベースにVITA-01の経験がしっかりと敷かれており、FSW走行もこのレースを通して経験値が蓄積されていくことによりラップを追うごとに走りの精度が増していく。それは数字として如実に現れ、スティントの後半には序盤のペースから1秒ほど速くなっている。元々VITA-01の動きを理解しているだけに、今回のMEC120への参戦を通しただけでも大躍進したといえる。610号機は兼松が経験の少ない工藤を引っ張る形となったが、完走車両の中では最も後方でのゴールとなった。最終スティントでは再び工藤にステアリングが託されたが、コースインと同時にSC導入。思うような活躍ができないままチェッカーを受けることとなってしまった。ただ、それぞれの走りから経験値に基づく速さは実証されている。あとは実戦の蓄積とミスのない走りでまとめ上げることができればおのずと成果はついてくるであろう。

 

<KYOJO CUP Rd.2 予選>

前日のMECに引き続き好天に恵まれたKYOJO CUP当日。ドライバーは日頃よりFCR-VITAにもダブル参戦しているケースも多く、新人からベテランまでめきめきとその頭角を現し、並み居る男性ドライバーの中に交じってもその存在感を増している。

15号機はベテランRINA ITOが搭乗。コースイン後、彼女にしては珍しく慎重な滑り出し。しかしその勘が当たってか、アタックラップ1周目は前を走る数台がTGRコーナーで早くもオーバーランやアンダーステアでラインを外す事態。これを無理なく冷静にパスし、徐々にペースを上げていく。最初のアタックは2分2秒154 。

35号機の織戸は相変わらず慎重な走り出しであるが、前日にかなりの時間走行していたこともあり、これまでのKYOJO CUPの予選よりも早い段階でタイムアップを果たす。序盤で2分4秒340をマークした。

610号機の兼松は最初のアタックラップで2分4秒706からのスタート。上位勢3台は2周目で2分フラットをマークしてくる。この時点で強豪三浦選手、翁長選手はまだ出走していない状況。

4周終わってRINAが2分1秒945で7番手。5周目で少し縮めて2分1分654へ。

兼松は2分3秒019。織戸も2分3秒889と縮めてくる。

5周終わって平川選手が1分59秒777でトップに躍り出る。次いで三浦選手の1分59秒896、翁長選手は1分59秒966と、ここまでが1分59秒台で以降より2分フラットのタイムが続く。兼松は少しづつタイムを削り取り、2秒台へ。ここで2分2秒486の17番手。織戸は2分3秒889からタイム短縮ならず21番手で予選を終える(他車の失格により織戸は正式リザルトで20番手へ)。

8周終わってRINAは2分1秒509と若干短縮したが、周りのライバルたちのタイムアップが顕著で10番手となる。その後ラストアタックを試みたが、RINAとしては珍しくダンロップコーナーでスピンを喫し、そのままピットへ。直後にここでレッドフラッグが掲示され、予選時間残り20秒でセッションはそのまま終了となった。

 

<KYOJO CUP Rd.2 決勝>

年々エントリー台数が増えているKYOJO CUPは今回21台がスターティンググリッドに並んだ。KOSHIDO RACINGは10番グリッドにRINA ITO、17番に兼松、20番手に織戸という布陣。天候は晴天で、前日のMEC120よりも気温は上昇しており、ドライバーにもマシンにも過酷さが増している。

緊張感高まるスタートも全車クリーンスタートでトラブルなくTGRコーナーへ飛び込んでいく。

RINAは無難にスタートを決め、得意のオープニングラップTGR進入。早速ブレーキングで109号車金本選手をイン側からパスし、9番手へ。続いてのターゲットは225号車の富下選手。仕掛けたのはダンロップコーナー進入のまたしてもブレーキング競争。辛くも前へ出てポジションを8番手とした。2周目のホームストレートではスリップストリームにつかれ、並びかけられるもやはりTGRのブレーキングでポジションを死守。立ち上がり、クロスラインで一旦前に出られるがイン側をキープし、コカ・コーラコーナーに向けて並走状態。そのままイン側で再び前に出た。そのままアドバンコーナーにもつれ込むが、前方をゆく車両同士が接触し1台がランオフエリアに弾かれる。これを横目にさらに1ポジションアップし7番手となる。続く300R後のブレーキングでは36号車岩岡選手に並びかけ、ダンロップS字2個目の左で前へ。ここで6番手と順調にポジションを上げていく。しかし抜かれたライバルたちも黙ってはいない。3周目ホームストレートでダブルスリップから富下選手が抜け出し、一気にRINAの前へ。同周のダンロップコーナー進入では岩岡選手にイン側を陣取られ、前に出られたことで8番手に後退してしまう。その後ミスなく走り続けていたが前との差が詰まることなく、他車のペナルティ消化の間にワンポジションアップしたことで7番手へ。87号車の山本龍選手がすぐ後方にまで迫ってきていたが何とか逃げ切り、7位でフィニッシュした。

兼松はスタートで回転数を抑え気味にしてクラッチミート。これが上手くかみ合い、TGRコーナー進入までに前方集団を抜ける間合いに捉える。そしてブレーキングでは肝の据わった飛び込みを見せ、スリーワイドの状態からアウト側の213号車バートン選手をパス。しかしコカ・コーラコーナーまで並走のままもつれ、一瞬前に出られるも再び100Rで前へ。序盤から力強い走りを披露する兼松。その後も前後を介して激しいバトルが続き、34号車井下選手、28号車樋渡選手、24号車藤島選手、38号車佐々木選手とポジション争いを展開する。その中でラインの自由度を度々制限されたことでライバルたちから一歩引けを取ってしまった兼松はずるずると後退し、ポジションは6周目終了時点で16番手に。途中、86号車にドライビングスルーペナルティが科せられたことにより一時的にポジションアップしたが、永井選手の猛烈な追い上げにより8周目にパスされ、ワンポジションダウンの17番手となった。久しくすぐ前を走行するライバルがおらず単走状態が続いていたが、18号車坂上選手のマシンにトラブルが発生し、その間に16 番手へ上昇。チェッカーを受けた。

織戸はスタート直後より混み合う前方の集団をやや後方から様子を見るように走り、隙を狙う。オープニングラップの最終コーナーで7号車おぎねぇ選手が上手くスピードを乗せられなかったところを見逃さず、すかさずスリップストリームから前に出てワンポジションアップ。その後また少し前との間隔が空いていたものの、激しいバトルが展開されていることを見ていた織戸は焦らず自身のドライビングに集中。するとほどなくして容易に前方集団のすぐ後ろにつけた。しかしそこからなかなか差が詰まらない。TGRコーナー進入でのブレーキングから立ち上がりにおいては前との差を詰めるものの、トータルではほぼ前と変わらぬラップタイムを刻んでいた。途中、86号車のドライビングスルーペナルティにより一時は18番手に上がったが、永井選手の猛烈な追い上げにより7周目に再び19番手となる。しかしその次の周で18号車坂上選手のスローダウンにより再び18番手、さらにその次の周回ではホームストレートで28号車樋渡選手のスリップストリームからアウト側へ、そこから得意のTGR進入ハードブレーキングにて一気に抜き去り17番手へとポジションを押し上げた。

1レースを通してのミスなく且つアグレッシブな走りは織戸の成長の証。そのままポジションキープで過去最高順位でのフィニッシュとなった。

昨~今シーズンにかけて上位陣の顔ぶれが固定されつつあるKYOJO CUPであるが、過去に2位表彰台を獲得しているRINA、一発のラップタイムでは上位陣に十分食い込める兼松、この第2戦において目覚ましい成長を遂げた織戸と、KOSHIDO RACINGの三姉妹にはこれから期待と希望に溢れている。さらなる躍進を見せてくれることは間違いないだろう。