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2021.05.31 Fuji Champion Race Series 2020 FCR VITA & KYOJO CUP Rd.4 RACE REPORT

Fuji Champion Race  VITA-01 Rd.4/KYOJO CUP Rd.4

開催日時:2021年1月30日(土)

開催地:富士スピードウェイ レーシングコース(静岡)

ドライバー(FCR-VITA):佐藤 元春、中川 隆吾

(KYOJO CUP):高橋 純子、RINA ITO

マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機(佐藤 元春・高橋 純子)

恒志堂レーシングVITA712号機(中川 隆吾・RINA ITO)

参戦クラス:FCR-VITA、KYOJO CUP

天候(FCR-VITA):予選/晴れ、決勝/晴れ

(KYOJO CUP):予選/晴れ、決勝/晴れ

路面(FCR-VITA)予選/ドライ、決勝/ドライ

(KYOJO CUP):予選/ドライ、決勝/ドライ

佐藤 元春(FCR-VITA) 予選:14/24位 決勝:7/24位

中川 隆吾(FCR-VITA) 予選:12/24位 決勝:19/24位

高橋 純子(KYOJO CUP) 予選:10/12位 決勝:11/12位

RINA ITO(KYOJO CUP) 予選:6/12位 決勝:6/12位

 

全世界がCOVID-19による脅威にさらされ、各国でレース開催が危ぶまれた2020年シーズン。
トップカテゴリーであるFormula1ですら何戦かの中止がアナウンスされる中、無観客レースを
前提にFuji Champion Race(以下FCR)は開催される運びとなった。

参戦クラスは例年通りFCR-VITAとKYOJO CUP。Koshido Racingは今シーズンから全戦2台体制
でのエントリーとなった。ドライバーラインナップは、FCR-VITAにおいては610号機にチーム
オーナー兼ドライバーの佐藤、712号機に中川、KYOJO CUPでは610号機に高橋、712号機に
RINA ITOという布陣。

また、ドライビングアドバイザーとして、Koshido Racingの母体である有限会社恒志堂がスポン
サードしている平中克幸選手と大湯都史樹選手も駆けつけ、それぞれのドライバーの技術支援に
あたった。

FCR-VITA 610号機  佐藤 元春

FCR-VITA 712号機  中川 隆吾

KYOJO CUP 610号機  高橋 純子

KYOJO CUP 712号機  RINA ITO

 

FCR-VITA公式予選> 

 

これまでFCR-VITAとKYOJO CUPの最終戦はシーズン年内に行われていたが、今期は年明けに
ずれ込み、2021年1月の開催となった。そのため標高545~580メートルに位置する富士スピード
ウェイの外気温は常に一桁。北海道から遠征しているKoshido Racingの面々においても、長時間
外の風に当たっていれば身に染みる寒さである。

そんな寒空の中、8:25に予選がスタートする。

晴れ渡る空と富士の稜線をバックにセクター3を駆け抜ける610号機

この時の気温は4℃。前述の通り、これまでのFCRにはないほど低い気温であることから、各車
タイヤの熱入れを入念に行いつつ、アタックラップに備える。

1周のアウトラップを終え、1コーナーに飛び込んでいく610号機の佐藤。しかし、フロント
タイヤはブレーキングでいとも簡単にロックし、VITAは白煙を上げながらまっすぐに滑走を
始める。空は快晴であり、路面温度も日差しによってじわじわと上昇しているようであったが、
タイヤにはまだまだ熱が入っていないようだ。幸い、フラットスポットが形成された様子は
なく、前車との間隔に余裕があったためすぐに姿勢を立て直し、再びタイヤのコンディション
づくりに集中する。その後も何度か1コーナーへのブレーキングでタイヤロックが見られたが、
ターンインまでに挙動を回復させ、大事には至らず。如何に毎周、攻めた走りでタイムを削り
取ることに挑み続けているかということを、このブレーキングが如実に物語っている。
4輪すべての挙動が安定し始め、ターンインのステアリングの切り込みも鋭くなっていく。
オーバーステアを上手く封じられる絶妙なスロットル開度を保ち、その後はマシンの姿勢を
乱すことなく周回。2分2秒台…1秒台とラップを重ねるごとに徐々にタイムを短縮し、6周目に
予選ベストとなる2分0秒939をマークしたところで14番手につけた。日本最長のストレートを
持つ富士スピードウェイにおいて、今回は不運にもスリップストリームを使える機会が与えら
れないまま予選時間終了が迫る。この時点で610号機の周りにはたくさんのライバル車がひし
めき合い、その後はクリアラップの獲得すら難しい状況。アウトラップ及びインラップを除い
て8周回したことになるが、実質的に6周回でアタックラップは終了していた。

一方の712号機中川。こちらは富士スピードウェイの走行が今回で2度目と、まだコースその
ものへの経験が十分でなかったこともあり、佐藤以上に慎重なペースでVITAを走らせる。
アウトラップから2周目、3周目と佐藤の後ろに付けつつマシンの動きを探り、同様に2分2秒台
から1秒台へとコンスタントにタイムを削っていく。

初めて富士スピードウェイを走行した際には「どこを走ってよいのかわからない」と悩みを
吐露していたが、2度目にして早くも走行ラインは確たるものへと変貌していた。100Rでは
美しい弧を描き、ダンロップでは力強く立ち上がり、セクター3を無駄なくまとめる。この時の
中川には既にそのような走りが身についていた。

最終的な結果は2分0秒857と、エースの佐藤をも上回るタイムを刻み、9周回を経て12番手へと
付けた。

 

FCR-VITA決勝>

スタート時刻は11:00。気温は予選時から1℃だけ上昇し、5℃。天候・路面コンディションとも
に大きな変わりはない。

610号機の佐藤は路面温度の低さを考慮し、3500rpmにてクラッチミート。順当にスタートを
決め、1コーナー進入までに#47 フジタ薬局アポロ電工MT VITAの徳升選手をパス。しかし、
1コーナーへのアプローチ中に7番手スタートのペトロナスBeFlat VITAの並木選手がタイヤ
ロックにてコース外に飛び出してしまい、これによって生じた混乱に佐藤も巻き込まれ、2台
に一気に抜かれてしまう。

スタート直後の1コーナー。早くも波乱含みの様相

 

気を取り直してコカ・コーラコーナーに向けて加速するが、そこでまた3台が絡むスピンと
接触があり、減速とライン変更を強いられることとなる。

続くコカ・コーラコーナーでも3台が絡むアクシデント

 

結果、上手くすり抜けて100Rへと突き進むが、この2つの混乱によって前との差を大きく
空けられてしまった佐藤。ここから巻き返しを図るべく、周囲の状況を注視しながら1台ずつ
攻略を開始した。

712号機の中川は、レッドシグナル消灯に素早い反応を見せ、絶妙なスタートを決める。
1コーナーでの混乱の最中に幅寄せを受けるなど、少なからず影響も受けたが、順位を落とすこと
なくコカ・コーラコーナーへ。すぐ前方を走行していた#5 ワコーズEDニルズVITAのタナカ
選手が進入のブレーキング中に挙動を乱したところをすかさず捕らえ、この時点で8位に順位を
上げる。このままトップ集団に食らいついていくか…そう思ったのも束の間、続くアドバン
コーナーで#37 KeePer VITAの翁長選手と#55 RaiseUP VITA-01の小西選手が接触。スピンを
喫し、コース中央で止まっていた翁長選手を避けるべく、中川は全力で回避行動に移る。

咄嗟の判断でアウト側へステアリングを切る中川

 

コースのアウト側へスピンしながら緊急回避し、互いのテールをかすめる程度に留めたことは
まさに神業であった。ただ、これにより一気にペースを乱した中川は、続くダンロップコーナー
で並走していた#47の徳升選手と接触、ダメージは残らなかったものの、混み合うコース内で
なかなか前に出られないといった状況から脱せずにいた。セクター3で前を走る2台のライバル車
に食らいついていった中川は、メインストレートでスリップストリームに入る。1台をコント
ロールライン付近でパスし、もう1台を1コーナーのブレーキングで刺そうとイン側にラインを
変えた際、さらに前方にいた#55の小西選手に追突してしまう。小西選手は前の周回で翁長選手と
接触した際に足回りにダメージを負い、スロー走行していたのだった。直前まで前走車の
スリップストリーム圏内にいた中川は、小西選手がスロー走行していたことに気づくことができ
なかった。その結果、スロットル全開で1コーナーを立ち上がった際に55号車のテールを押す格好
となってしまった。中川はこれが原因でレース後にコントロールタワーに呼び出されることと
なったが、状況を察したオフィシャルがペナルティなしの裁定を下し、順位変動はなかった。
今回のFCR-VITAはオープニングラップからまさに波乱の連続である。

 

最初の1コーナーでの混乱にこそ巻き込まれた佐藤であったが、その後はスピン車両の間隙を
ついて徐々に順位を上げていった。荒れるレースを見据え、自分の走行ラインを確保すると
ともに、確実にチェッカーを受けるべくVITAを走らせる。アドバンコーナーにおいては、チーム
メイトの中川が緊急回避にてコースアウトする中、着実に安全なラインをトレースし、ここでの
混乱もクリア。

 

その後はしばらく#522 佐藤工業IDI Racingの福岡選手の後を追う。つかず離れずの展開に、
佐藤も福岡選手もペースが上がっていく。1コーナー進入で大きくイン側にラインを変え、揺さ
ぶりをかけるも動じない福岡選手。鉄壁の走りで佐藤を前に行かせない。コース上での駆け引き
が続く中、福岡選手の前を走っていた#11 D.D.R vita01の瀧井選手との差も次第に詰まり、三つ巴
の戦いへと変化。4周目の最終コーナー立ち上がりをきれいにまとめた福岡選手と佐藤は、2台縦
並びで瀧井選手のスリップストリームへ。1コーナーまでに揃って瀧井選手をオーバーテイクし、
ここでまたひとつ順位を上げた。

#522 福岡選手とのバトルが続く

 

その後は再び福岡選手とのバトルが数周にわたって繰り広げられたが、タイヤを温存していた
ためか、終盤福岡選手のペースが上がり、軍配。佐藤は7位でチェッカーを受けた。

 

不運に見舞われ、大きく順位を落としてしまった中川であったが、すぐに気持ちを切り替え、
前走車を追いかける。元々高速域からのフルブレーキングを得意としているが、現在はそれに
加えてテクニカルセクションであるセクター3においても速さをみせており、ここでのライバル
車への差の詰め方が著しい。結果、メインストレートではしっかりスリップストリームに入る
ことができ、1コーナーまでに難なく前に出られる。2周にわたって#24 ENEOS☆CLA☆PMUの
見崎選手とのバトルを演じてきたが、5周目の1コーナー進入ブレーキングにてクリーンにパス。
続く6周目には前を行く#61 BBR VITA-01の山崎選手の一瞬の隙を突き、コカ・コーラコーナー
でインをかすめ、11番手までポジション回復を果たした。

#24 見崎選手との1コーナーブレーキングバトルを制す中川

 

ところが9周目のGR Supraコーナー。一瞬油断からステアリングとブレーキング操作を誤り、
単独スピン。これにより再び順位を落とし、19番手でチェッカーを受けた。

このレースで最も悔やまれるスピン

 

大波乱のFCR-VITA最終戦であったが、Koshido Racingの2名のドライバーは無事に完走する
ことができた。佐藤に至っては、その冷静なレース運びから予選順位を大きく上回る成績を
残し、今後に期待を寄せる走りを披露した。中川もトップ集団に十分加われるだけのラップ
タイムを刻んでおり、経験の少なさを感じさせない見事な走りだったといえよう。

 

 

610号機 佐藤元春 車載
https://www.youtube.com/watch?v=y1xazE9D5DQ

 

712号機 中川隆吾 車載
https://www.youtube.com/watch?v=X2ahwtHTLuM

 

 

 

 

 

KYOJO CUP公式予選>

FCR-VITAが幕を閉じ、間髪入れず女同士の熱いバトルが始まる。短いインターバルであった
が、メカニックたちは全力でマシンのコンディションを整え、出撃に備える。

 

KYOJO CUPは午後からのレースプログラムとなっているが、気温は依然として低く、午前中
のレース時とコンディションはほとんど変わらない。レース前々日の練習走行時には北海道を
彷彿とさせるような降雪がみられ、KYOJO CUPが始まる今まさにこの時においても、コース脇
に雪が残っていたほどである。

 

610号機の高橋は本レースでKYOJO CUPへの参戦から一旦離れることになっていた。
悔いを残すまいと、気合十分でコースイン。とはいえど、慎重なレース運びを信条としている
高橋は決して無理をせず、確実にタイヤのコンディションを作っていく。アウトラップを終え、
2分5秒台での周回から徐々に詰めていく。特にタイヤに大きな入力がかかるセクター1において、
最終的にはそこだけで1秒以上も短縮していた。時折シフトミスをする場面もあったが、大きな
ミスもなく予選時間を走り切る。スピンすることもなく、一見攻めていないような走りにも見受
けられるが、セクター2や3においても着実にタイムを詰めており、自己ベストを更新する
2分3秒220というタイムで結果は12台中10番手。決勝では変わらずミスなく走り切り、上位を
狙うことが期待された。

712号機のRINA ITOはピットアウト前、マシンをシェアする中川と新品タイヤでの走り方につい
て入念に確認し合っていた。

712号機の動きについて互いの経験からベストなドライビングを探るRINA ITOと中川

 

アウトラップではマシンを小刻みに左右に振り、動きを確かめつつ、深いブレーキングでタイヤ
に熱を入れていく。路面の状態を探り、アタックラップ2周目からは一気にVITAを攻め立てた。
元々全日本ラリーへの参戦も多数経験してきたRINA ITOは、悪路走破においても高い能力を
発揮する。現に、2020年のKYOJO CUP初戦では大雨の中2位表彰台を獲得。多少滑りやすい路面
でもものともしない走りを披露する。
肝心なタイムの方も、序盤から2分1秒台を連発。しかし、ドライブするVITAは驚くほどに姿勢が
安定しており、走りに余裕さえ感じられた。Koshido Racingからエントリーする以前より他の
エントラントにて参戦していたこともあり、富士スピードウェイをVITA-01で走行することは
かなり慣れている彼女ならではといえよう。さらにアタックをかけたRINA ITOは、タイヤの美味
しいところを使い終わっているであろうアタックラップ7周目に2分0秒918をマーク。6番手で予選
を終えた。

 

 

KYOJO CUP決勝>

時計は15時をまわり、日も少しずつ傾き始め、西日が眩しい時間帯となった富士スピードウェイ。
予選後もドライバー・サポート人員の皆に余念がなく、全力で決勝レースの準備に勤しむ。
ドライビングアドバイザーの大湯都史樹選手も、予選での走行データを解析し、高橋、RINA ITO
両ドライバーにアドバイスを送る。

AIMによるロガー解析から、わかりやすくアドバイスする大湯選手

 

そして迎えた決勝時刻。スターティンググリッドでは恒例のドライバー激励。


北海道代表として、佐藤とともに610号機で富士を走り続けてきた高橋純子選手

 

速さと走りの力強さを兼ね備えた712号機 RINA ITO選手

 

フォーメーションラップを終え、改めてそれぞれのスターティンググリッドにつく面々。12人の
競女たちによる戦いの火蓋が切られた。
610号機の高橋は、ややホイールスピン気味のスタートで11番手スタートの#7 ORCワコーズ
AFC・VITAに先行を許す形となる。その後のコカ・コーラコーナーでは、進入のブレーキング時
にややシフトロック気味となり、痛恨のスピン。
エンジンの再始動に時間を要してしまったこともあり、前との差はかなり開いてしまう。
しかし、この体たらくで終わるわけにはいかない。高橋は自分との戦いに切り替え、自己が持つ
タイムの更新と向き合い続ける。
決して諦めず、同じミスはしない。何かを吹っ切ったようにアグレッシヴなドライビングを見せる。
スロットル全開率は明らかにこれまでよりも上がっていた。

痛恨のスピン。この後再スタートまで時間を要してしまう

 

それでもドライビングそのものはラフなものではなく、タイヤの感触をしっかりと確かめながら
マシンを前に進める繊細さを失っていない。踏めるところは踏み抜き、抑えるところは抑える。
メリハリのある操作で、タイムは狙い通りに更新されていった。

ひとつでも高みに上がるべく、攻め続ける高橋

 

どのセクターも均等に詰めていき、8周目には自己ベストとなる2分2秒903をマーク。順位は
最後尾となったが、ここまで走り続けてきた成果は自己ベストの更新という形で証明した。

一方の712号機RINA ITOは、タイヤが冷えていることを考慮し、スタートは低めの回転で
クラッチミート。

これが功を奏し、1コーナー進入までに#522 佐藤工業 IDI Racingの岩岡選手の前に出る。大荒れ
に荒れたFCR-VITAの決勝レースとは異なり、 オープニングラップは各車トラブルなく周回。
この時点で5位のRINA ITOは、4位の#86 Dr. DRY VITAの猪爪選手を射程に捉え、追いすがる。
1位から4位まではほとんど差がなく、数珠繋ぎ状態。それに追随するべくVITAに鞭を入れるが、
猪爪選手との差は徐々に開き始める。
しかしある一定のところからは差が開かない。トップ集団の4台がもつれていることでラップタイ
ムがそれほど伸びていなかったためである。これを見たRINA ITOは俄然猛追。予選時と同等の
ペースで走り続けた。しかし、前走者がいないためスリップストリームが使えず、その差はなか
なか埋まらない。逆に後方から追い上げてきた岩岡選手が徐々に迫り、6周目のメインストレート
でスリップストリームに入られてしまう。7周目の1コーナー進入で真横に並びかけられるが、
ここはイン側でポジションを死守。ブレーキングでは一歩も引かない。立ち上がりからラインを
クロスし、コカ・コーラコーナーでアウトから再度仕掛けてくるが、ここでも辛うじて抑え
切った。100Rからアドバンコーナーでは速度を保ち、300Rからセクター3にかけても上手く
処理し、再びメインストレートへ。依然として後方にピタリと貼りつかれている状態であったが、
岩岡選手自身のミスもあり、8周目は抑え切った。

1コーナーで並びかけられながらも、ブレーキングで順位を死守するRINA ITO

 

9周目、急に712号機のリアタイヤがタレ始める。立ち上がり加速が一気に鈍り、最終パナソニッ
クコーナーで一瞬もたつく。その隙に一気に間合いを詰めてきた岩岡選手はスリップストリーム
を利用し、メインストレートで前へ。このまま行かせてなるものかと、RINA ITOは1コーナーの
ブレーキング競争でアウト側からしっかり並びかける。クロスラインで立ち上がり、コカ・コーラ
コーナーにむかって再度真横に並ぶが、アウト側にいたため、踏ん張り切れず岩岡選手に先行を
許した。しかし、続く100Rではテールトゥノーズでプレッシャーをかけ続け、ダンロップ
コーナーにおいても522号車の懐に飛び込むブレーキングを見せる。

1コーナーをクロスラインで立ち上がり、前に出るチャンスをうかがう

コカ・コーラコーナーにてイン側から再度仕掛けるRINA ITO

100Rではピタリと522号車をマークし、プレッシャーをかける

 

ただ、ここからは下ってきた分を一気に駆け上がる登り区間のセクター3。リアタイヤを消耗した
712号機には苦しい展開が待っていた。最終コーナーでミスなく立ち上がっても、次の1コーナー
でブレーキング競争に持ち込めるまでのストレートスピードは稼げない。岩岡選手のミスを誘う
べく、厳しい条件下で必死にプッシュを続けるが、一歩及ばず0.082秒差で6位でフィニッシュとなった。

惜しいという言葉だけでは括れない僅差の6位

高橋はベストラップでは8番手のタイムをマークし、RINA ITOは最後の最後まで手に汗握る展開
の白熱したレースを魅せてくれた。

今回のKYOJO CUPにて一旦参戦を休止する高橋純子選手

610号機 高橋純子 車載
https://www.youtube.com/watch?v=wiW8sG-4fT4

712号機 RINA ITO 車載
https://www.youtube.com/watch?v=c8jtTXMIogY&t=2s

 

~レース後、チームオーナーコメント~

予選はうまく前車のスリップを使うことができず、思うようなアタックができなかったため、
結果的に24台中14番手という結果で終わりました。1秒以内に10台以上がひしめき合っている
状況だったので、チャンスは必ずあると考え、決勝は気持ちを切り替えてひとつでも順位を
上げようという意識で臨みました。
決勝はスタート時のクラッチミートもミスなく、1コーナーで前走車集団が団子状態となって
いるところをアウトからかぶせていこうとしたところ、インから2台に先行されてしまいま
した。1コーナーの攻め方としては課題が残る形となりましたが、寧ろそこからは冷静になり、
いつもより集中力が研ぎ澄まされ、周りがよく見えるようになりました。コカ・コーラ、100R、
アドバンコーナーと、コースアウトやスピン、クラッシュする車両を見極め、自分は安全・
確実に順位をジャンプアップさせることができました。
おそらくオープニングラップで10位以内には上がっていたと思います。レースラップも前走車を
見る限り自分のペースの方が早かったため、無理にオーバーテイクを仕掛けるのではなく、
メインストレートでスリップストリームを使って確実に前に出ようという作戦をとりました。
しかし、1コーナーでイエローフラッグが出てしまったことでそれが適わなかったり、タイミ
ングよくオーバーテイクポイントが使えなかったことが残念であったとともに、もっと早くに
仕掛けておくべきだったと痛感しました。
ただ、イエローフラッグはいずれ解除されるわけで、それまでにしっかりと前走車の動きを
見て、どのタイミングで仕掛けようかと考えていました。やはりセクター3でチャンスが到来し、
前走車がオーバーステアを出した瞬間に大きく距離を縮めることができたので、スリップスト
リームを使って前に出ようと考えていたところ、その作戦が功を奏し、次周の1コーナーでオー
バーテイク、7番手までポジションアップすることができました。
6番手を走行していた522号車の福岡選手が、これまで温存していたのか最後の2~3周でペース
を上げたため、ついていくのがやっとの状況でした。ただ、いつ相手がミスするかもわからない
ため、最後まで虎視眈々と狙っていましたが、最終的にはとどかず7位でチェッカーを受けました。
レースラップや全体的なレース運びを通し、トップ集団とバトルできるようなレベルになってきた
ので、次戦では表彰台目指して頑張っていきたいと思います。

Koshido Racing 佐藤 元春