2025.03.29 ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE Rd.1もてぎ RACE REPORT
ENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE
開催日時:2025年3月22日(土)~3月23日(日)
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県)
ドライバー:佐藤 元春/柴田 優作/浅井 康児
マシン:KOSHIDO RACING Roadster
参戦クラス:ST-5R
天候:予選/晴れ、決勝/晴れ
路面:予選/ドライ、決勝/ドライ
予選:クラス3位
決勝:クラス3位
■3月20日
搬入
7時半サーキットに到着し、10tトレーラーに納められたマシンと機材をピットに搬入するところからレースウィークは開始する。
上段にはレースマシンとスペアマシンを積載し、下段に機材がある。ドライバー、スタッフ、メカニック総動員で搬入作業を行い、Session1走行準備へと移る。
・Session1
柴田がマシンに乗り込み、3月頭のテストに続くブレーキパッドの感触確認とマシンのセットアップを行う。1時間の走行時間中45分を走行しピットインを繰り返したのちセットアップが整う、この段階で同クラスST-5Rの中では2番手のタイムをマーク。
柴田がピットインし、佐藤にドライバーチェンジ。佐藤は15分間走行を続けマシンの状態を確認しながら走行し、マイレージを積み重ねる。車にはまだまだ不慣れなはずだが、ライバル車に劣らないタイムをたたき出し午前の走行枠を終えた。
・Session2
Session1走行後ドライバーのフィーリングをもとにメカニックが車のセットアップを変更。セットアップを担当している柴田が走行を行い車の方向性を確認する。20分ほど走行し同クラス2番手のタイムをマーク、柴田から佐藤へドライバーチェンジ、ピットエリアで初となるドライバーチェンジの練習も伴い無事佐藤がコースイン。柴田からのフィードバックをエンジニアから佐藤に伝え、走行しながらマシンのフィーリングを確かめる。
20分ほど走行した佐藤はピットリミッターの動作確認も含めピットイン、浅井へとドライバーチェンジ。
浅井は3月頭のテストでは天候が優れずウェット路面のみの走行だったため、初のドライタイヤ走行。エンジニアから無線でフィードバックを聞き走行に挑む、ドライタイヤの特性に若干苦戦するも20分ほどの走行時間ではあったがラップタイムも他車に近づく。1時間の走行枠を浅井が締め、この日の走行を終えた。
■3月21日
・Session1
今日の走行からはメカニックも耐火装備を身に着け、本番前日という緊張感がチーム内を漂う。
柴田がマシンに身を収め走行が開始する。前日のユーズドタイヤからのスタートとなり、燃費の計算やセットアップを進める。車のセットがよい方向となりここでピットイン、ユーズドタイヤからニュータイヤへとタイヤ交換を行い初めての予選さながらであるアタックテストを行う。今回使用するマシンでセットアップを担当しいちばんマイレージを稼いでいる柴田は、このアタックでST-5RとST-5Fを合わせた同クラストップタイムをマーク。
ライバル車たちも燃費走行や、実践を見据えた練習を行っているため各車トップタイムとは限らないもののポテンシャルの高さを見せつけることは充分にできたであろう。
アタックテストを終えた柴田は、ピットインし浅井へとドライバーチェンジ。
前日ドライ初乗りの浅井はマイレージを稼ぎたいところである。浅井は周回を重ねるたびに変化するタイヤの状態をしっかりと感じ取りながら、着実に走行を重ねる。前日は車両やタイヤの特性に苦戦を見せる様子もあったが、走行を重ねるごとにペースも安定してきている。前日からは相当気温も上がっているにもかかわらず、2秒前後速いペースで周回し1本目の走行を終えた。
・Session2
本日2本目の走行は浅井からのスタート。この走行枠では走行開始から10分ほどでFCY(Full Course Yellow)訓練が行われる。各車無線やディスプレイ、マシンの動作を確認し再度走行がスタート。
Session1から車に慣れ始めた浅井だが、ST-5クラスが当たる壁の一つ、上位クラスをいかにうまくパスさせるかというところに苦戦中。下手にラインを外すとピックアップ(タイヤカス)を拾ってしまいその後のペースを完全に乱されてしまう。ピックアップの配慮とペースの安定を加味したうえで上位クラスにパスさせるのがとても重要である。約30分の走行を終え佐藤にドライバーチェンジ。
本日初走行となる佐藤は明日の決勝をイメージしたペースでの走行をテスト、エンジニアとリアルタイムで状況を確認しあいながら安定したペースでの走行を練習する。決勝前日最終枠ということもあり、台数はここ二日間で一番多くピックアップ配慮と上位クラスのパス対応がとても忙しい。佐藤は昨年までもST-5クラスで走行していたため落ち着いて対応。とはいえミラーを見る時間がとても増える中、自分のペースもある程度維持する必要があるため耐久レースならではの体力の消耗が激しい。残りの時間をしっかりとこなしこの日の走行を終えた。
■3月22日
KOSHIDO RACINGスーパー耐久シリーズ参戦、第1章が始まる。記念すべきこの日はチームオーナー佐藤元春の生誕50周年と重なり、チームにとってもよりメモリアルな一日となった。
・予選
気温は6~7℃。思ったより上昇は見込めず、前日の走行からはまたコンディションが変化している。
Aドライバーは佐藤。実は練習走行初日から体調が思わしくなかったが、直前まで調整を続けて挑んだ予選。路面温度が上がらない中フィーリングを確かめつつ、まずは2分21秒533をマーク。そこから順当にタイムを削っていく。アタックの旬は3~4周目。ここに照準を合わせて走行するが、コーナー進入でのフロントの入りが甘く、アンダーステア気味のマシンに手を焼く。最終的なタイムは2分20秒658でAドライバー枠の5番手につけた。
Bドライバーは柴田。アタックラップ一周目から2分17秒台をマークし、トップタイムを刻む。この時点で2位とはコンマ2秒の差をつけている。この予選で使用したタイヤは決勝のスタート時に使用することになっており、その点を考慮して柴田はもう一周のみアタックを敢行。わずかにタイム更新し、セッションの最終的なタイムは2分17秒254。そのままトップを明け渡すことなくBドライバー枠を終えた。
Cドライバー予選は浅井。
この走行枠ともなるとタイヤカス(以降、ピックアップ)の散乱が目立ち始め、コース内は限られたラインでの走行を強いられる。ST-5クラスは後続にパスさせる技術も非常に重要となる中、少しずつ自身のペースを作り上げていく。コース状況とマシンの調子を見ながら徐々にタイムを更新し、決勝レースを意識したペースづくりを展開。コンスタントに2分22秒台をマークしていった。その中でのベストタイムは2分22秒129。これまで浅井の走行時間は限られたものでしかなかったが、決勝に向けて走りを見事に確立させた。
予選全セッションを終了し、全体のベストタイムは柴田がマークしたタイムとなる。
スーパー耐久はA・Bドライバーの合算タイムによりポジションが決定されることから、スターティングポジションは3番手となった。
・決勝
13:00から4時間の戦いが繰り広げられる。初日の練習走行日から日に日に気温が上昇し、スタート時には21℃にまで達している。但し日差しも強くなっており、数値以上の暑さが感じられた。
各ドライバーともロードスターの車内は暑いと口を揃える。北海道では初夏をイメージさせる気候で、ドライバー陣は暑さとの闘いでもあった。
スターティングドライバーは柴田。レース展開はクリーンなスタートで、610号車は3位をキープしたまま周回を重ねていく。序盤の時点で周回タイムで上回る76号車をとらえ前へ。好調なペースを維持する柴田はそのままトップの88号車を追撃。その差を徐々に詰め、数周回にも及ぶ競り合いの後、ついにクラストップに躍り出る。その後もコンスタントに差を広げ、5秒近くギャップを得たところで88号車がピットイン。柴田のペースは落ちることなく第1スティントは29周を走破。2位以下に約10秒のマージンを稼いで佐藤にステアリングを託した。
柴田から第2スティントドライバーの佐藤へドライバーチェンジを確実にこなし、タイヤは左2本のみの交換。
ピットアウト時点でのポジションはクラス3番手となっていた。佐藤はペースを維持し、3番手以内を保持。その後もライバルチームのピットインのタイミングで順位はトップ~3位の中で常時変動していたが、前後のギャップはほとんど変わらずに安定したレース運びをみせる。
しかし、52周を終えたところで燃料残量の問題が佐藤を襲った。Aドライバー登録している佐藤は今回のレースで60分間以上の走行が義務とされているが、それを待たずして燃料補給のためにピットインせざるを得なくなったのだ。ルーティーンのピットインまであと少し引っ張りたかったところであったが、やむなく一旦ピットへ。燃料のみ補給し、ドライバーチェンジしないまま再びコースイン。58周を終えたところで再びピットに戻り、浅井へ交代となった。
交代自体は訓練の賜物でそつなくこなされ、4輪タイヤ交換もメカニックの作業精度が光り、迅速に完了。トップから18秒の遅れでコースに戻る。しかしながらここで再びKOSHIDO RACINGに試練が襲った。佐藤のピットストップ時にストップボードを飛ばしてしまったため、ピット作業安全義務違反でドライブスルーペナルティが課されてしまう。ペナルティを消化し、浅井の走行は予選時に引き続き安定のペースを刻む。普段から慣れないマシンやサーキットの場合、走り始めこそゆっくりであるが、ひとたび順応すると急速に早くなっていくのが浅井の走り。コースインするまで緊張を隠せない様子が見られたが、今回も定石通りの展開でレースペースは後半になると周りのライバルたちと遜色ないレベルとなっていた。
最終スティントはスターティングドライバーを務めた柴田が再び搭乗。コースに戻った時点での前車とのタイム差は約40秒。ポジションは4位。しかし柴田はあきらめることなく毎周回アタックをみせ、40秒以上あったタイム差は最終的に約27秒まで短縮。アンカーとしての意地をみせる。前方3位を走行しているのは76号車。残り15分を切ったところでなんとこちらもガソリン残量が少なくなっていたようで、ゴール直前でのピットインを強いられた。
一時は表彰台を諦めかけたが、最後の最後でチャンスが訪れたことにチームメンバー全員の期待は一気に高まる。そしてゴールまで残り僅かとなったその時、76号車の前へ…ついに表彰台圏内に返り咲いた。
柴田はそのままハイペースを維持し、さらに少しずつ差を広げて3位でチェッカー。チームメンバー全員が歓喜に沸いた。普段あまり感情を表出しないメンバーまでもが涙を流し、初参戦3位表彰台という偉業を讃えあった。
このレースシリーズ参戦までの道のりは険しく、準備も大変だった。ドライバー、メカニック、スタッフ全員が苦労を重ね、ようやくここにたどり着いたのだ。この結果はチームメンバーだけでなく、スポンサーの皆様のご支援や応援してくれた方々のご声援あってこそ生み出せたもの。KOSHIDO RACINGに関与していただいたすべての方に心からの感謝をしつつ、第2戦以降も全力で戦っていく。