Fuji Champion Race VITA-01 Rd.2
Fuji Champion Race KYOJO CUP Rd.2
開催日時(FCR-VITA):2018年8月25日(土)
開催日時(KYOJO CUP):2018年8月26日(日)
開催地:富士スピードウェイ(静岡)
ドライバー(FCR-VITA):佐藤 元春
(KYOJO CUP):高橋 純子
マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機
参戦クラス:FCR-VITA、KYOJO CUP
天候(FCR-VITA):予選/曇り、決勝/曇り
(KYOJO CUP):予選/曇り、決勝/晴れ
路面予選/ドライ、決勝/ドライ–
佐藤 元春 予選:17/20位 決勝15/20位
高橋 純子 予選:11/11位 決勝11/11位
6月の第1戦から2か月、FCR(Fuji Champion Race)は2戦目を迎えた。VITA-01で参戦している
このレース、第1戦の時と同様に翌日にはKYOJO CUPの第2戦も開催された。Koshido Racingから
はFCRにエースドライバーの佐藤が、KYOJO CUPには高橋純子がエントリー。今回も双方を
610号機で挑む。
公式練習日の朝。マネージャーの中川とエンジニアの北嶋・藤巻がセットアップに励む。
<DAY1> 8月24日(金)
公式練習走行(30分間×3本)
この日は午前に2本、午後からは1本練習走行枠が設けられている。天候は雨。 第1戦の公式練習
のときも雨に見舞われたが、今回は強風も吹き荒れ、雨は強くコース上を叩きつけている。
VITAを走らせるには最も過酷な状況である。
強風と大雨に見舞われる富士スピードウェイ
早々に練習走行に入りたい気持ちはあるが、610号機にはすべきことがあった。北海道クラブマン
カップの第3戦の時に抱えていたミッショントラブルを治す時間が与えられないままここに来て
いたため、まずはそれを解決する必要があった。
基本的にエンジンやミッションは各チームで分解することはきないレギュレーションになっており、
第3戦の直後、あらかじめこの日に富士スピードウェイにミッションケースごと届くようオーダー。
午前中に届くことになっていたため、早速ピット内で作業が開始される。
練習走行3枠目を前に作業は完了。ようやく走行できる状態となった。しかし、天候は相変わらず
大雨。それでもサーキット入りしている以上、時間は無駄にはできない。コンディションに捉わ
れることなく、佐藤はいつもと同じようにピットアウトしていく。
全身びしょ濡れになりながら視界も十分に確保されない中、シビアな挙動と戦う。2分25秒弱の
タイムで7周回し、換装されたミッションの感触を確かめ、この日の走行を終える。
公式練習走行結果
佐藤 元春:2’24.91
<DAY2> 8月25日(土)
公式予選(8:45~9:05)
FCR-VITA本戦の日を迎える。前日までの大雨は夜のうちに上がり、路面は一部にセミウエットの
状態を残すが、ほぼドライコンディション。気温は27℃。
特に目立ったトラブルもなく、予定通りにピットアウトし、ミスなく周回を重ねる佐藤。順当に
走行できていれば想定されるタイムに届くはずであったが、タイムに反映されてこない。乗り方の
問題か、確かに前荷重がのっていないと自身で振り返る。もしこのセッティングやドライビング
スタイルのままで走るのであれば、ラインをコンパクトにまとめる必要があったが、ここは
ブレーキを残すことを意識してコーナーに進入することを課題におき、決勝に臨む。
しかし、最もな要因といえるのはストレートスピードに明らかな差があったことであろう。ライ
バルたちがホームストレートにおけるトップスピードで200km/h前後をマークしていたのに対し、
610号機は最速時で195km/h。最速の車両との単純比較で8~10km/hの差がついていた。
富士スピードウェイにおいてこの速度差はもはや致命的である。また、ストレートだけでなく、
セクター1~2で駆け下った高低差を一気に上るセクター3でもトップ集団との差は2秒以上に及び、
大きな差となって現れた。実際、佐藤の感覚としても3、4、5速のエンジンの伸びがないと体感
しており、トルク不足は明白である。KYOJO CUPにも参戦している以上、レギュレーションで
エンジンを各自で分解することはできず、原因が不明であるが故になおさら歯がゆい思いを強い
られていた。最終的なタイムは2分5秒台に留まり、予選アタックを終える。
~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~
佐藤 元春
「今回のセッティングが初乗りで、特にコカ・コーラコーナーで余裕がまだある。ヒール
トゥーで減速しすぎてしまっているかもしれない。決勝はすべてのコーナーにおいて詰めて
いきたい」。
決勝(12:30~ 10LAP)
予選時とほぼ同様のコンディションが維持されている。路面は完全にドライ。各車スターティング
グリッドにつき、レース開始の時を待つ。
FCR決勝直前、後方からの巻き返しを狙う佐藤。
藤は今回、予選17番手でアウト側のポジション。レースは各車トラブルなくスタートする。佐藤は
上手くクラッチを繋ぎ、絶妙にトラクションをかけるが、2速から3速へのシフトアップに若干
手間取り、ポジションアップはならず。そのまま前走車に1コーナーでアウトから並びかけるが、
ここでも前に出るには至らない。スタート直後の渋滞にのまれ、なかなか自分のラインにのせられ
ず、最初の周は中盤まで我慢の走りを強いられた。
アドバンコーナーにて1台ライバルがスピンし、ポジションをひとつ上げる。その後ダンロップ
コーナーでも同様にひとつポジションを上げ、この時点で15位。レクサスコーナーに差し掛かる
くらいでようやく自身のラインにのせることができ、スムーズな走行が可能となった。
1周目の最終コーナーをきれいに脱出し、ホームストレートへ。出口で前走車に食らいつくように
立ち上がる。しかし、スリップストリームに入る体勢を整えていながら、前走者に置いていかれる。
やはりエンジン本来の性能が発揮されていない様子である。
2周目、コカ・コーラコーナーにて1台がスピン。それを回避しようとした直後の1台も姿勢を乱して
いる間にその2台をパス。しかし、佐藤もこれらをかわす際に走行ラインを外す形となり、後方の
1台にパスされた。目まぐるしく順位が入れ替わる今回のレースは常に予断を許さぬ状況が続く。
3周目においてもなおストレートスピードの違いに泣かされる610号機。スリップストリームに入れ
ないとますます前に置いていかれる。それでもインフィールドではポジションを死守する佐藤。
13コーナーで1台スピンしているライバルの横をすり抜け、13位にポジションを上げる。続く4周目
では最終コーナーでインに飛び込まれ、再び14位にダウン。
ストレートで苦渋を飲まされ続けていたが、5周目のホームストレートでも後続に前を行かれて
しまい、ポジション15位となる。パワー差がそれほど影響しないところでは差は開かない。特に
100Rからアドバンコーナーへのアプローチは非常にきれいにまとめており、前走車に確実に
近づいている。7~8周目に入るとタイヤがやや熱ダレを始めたか、リアの粘りがなくなり、
オーバーステアが頻発するようになる。それでも大きく姿勢を乱すことはなく、ポジションを
キープ。スタート時より2つポジションを上げ、15位でフィニッシュした。
以上の結果をもってFCR-VITA第2戦は幕を閉じた。今回は初戦のような大きなトラブルは起こら
なかったものの、マシンコンディションに恵まれず思うような結果が残せずに終了となった。
FCRが終了したのち、夕方に1枠のみKYOJO CUPの練習枠が設けられており、高橋がドライブ。
前戦ではこの練習走行終了間際のエンジンブローにて本戦をリタイアしているため、今シーズン
はほとんど乗れていない状況であった。佐藤のレースを見ていたため、610号機の状態について
把握した上での走行。20分間で9周走行したが、やはり明らかにパワーがなく、タイムは伸びない。
公式練習走行結果
高橋 純子:2’08.08
<DAY3> 8月26日(日)
公式予選(8:50~9:10)
天候は晴れ、路面もドライ。コンディションは良い。しかし肝心なマシンの方は前日の練習走行と
状態は変わっておらず、エンジンは依然としてパワーがない。スリップストリームに入り、抜き
去ってくライバルたちはあっという間に消えていく。また挙動も若干安定しておらず、高橋の
修正舵も多くなる。それでも佐藤同様100Rでは前走車との間合いを一気に詰める姿もあった。
4周回したころから挙動も安定し、オーバーステアは見られなくなる。エンジンをミッドシップに
搭載するVITAは、コーナリング中の横Gを適切に処理しなければあっという間にスピンモードに
陥る。高橋は姿勢を大きく変化させないよう絶妙にカウンターステアを当て、横Gをためないよう
にコントロールしていた。逆に、フロント荷重が抜けてしまうと即アンダーステアが顔をのぞか
せる。時折、第3セクターで上手く向きが変わらずステアリングを大きく切り込むこともあり、
その時々で表情を変えるマシンと戦い続けていた。最終的には9周回し、前日の練習走行から1秒半
短縮したところで、予選を終了する。
決勝(13:10~ 10LAP)
予選に引き続き天候は晴れている。今回大きなトラブルこそなかったものの、エンジンの調子が
今ひとつで悔しい最後尾スタート。それでも全力を尽くして戦うことに変わりはない。チーム
オーナーの佐藤から激励を受け、スタートの時を待つ高橋。
そしてシグナル点灯、ブラックアウト。ホイールスピンを抑え、絶妙なスタートをみせる高橋。
しかし、前を行くライバルたちもスタートを上手く決め、ポジションはそのままに1コーナーへと
飛び込んでいく。冷えたタイヤと混み合うコースに神経を使いつつ、ひとつひとつコーナーを
クリアしていく。
1周目は第3セクターに入って間もないダンロップコーナーの立ち上がり。前方で競り合う
#10チームテツヤRn-S VITAのYuri Hayashi選手と#13小倉クラッチVITAのおぎねぇ選手が絡み、
10号車がスピン。高橋は間一髪でかわし、ポジションを1つ上げる。しかし、その際にかなりの
減速を強いられ、前との差は大きく開いてしまう。
何とか前との距離を詰めようと2周目以降も攻めた走りを見せる高橋であるが、無理をすれば
するほどオーバーステアを誘発。素早いカウンターステアで毎回スピンギリギリのところを
クリアしていく。100Rのアプローチを変えるなど走行ラインの工夫を試みるが、無理をすれば
挙動が乱れ、前走車との差は開く一方であった。富士スピードウェイでは決定的な打撃となる
エンジンパワー不足が尾を引き、4周目のホームストレートでは一度は前に出た13号車にも前に
行かれてしまう。
その後も歯がゆい思いでレースを続ける高橋であったが、無事に完走しチェッカーを受けた。
予選と順位は変わらず、前との差は17秒という悔しい結果となったが、決して最後まであきらめる
ことなく全力を尽くし、久々のレースを充実したものとした。
~レース後、チームオーナーコメント~
今年2戦目の富士スピードウェイでのレースになりますが、残念なことにマシンの調子が悪い状態
でのアタックになりました。明らかに4速高回転での伸び、ストレート速度が他のVITAと異なり、
メインストレートや高速コーナーの多い富士スピードウェイでは苦戦を強いられる結果となりま
した。しかし、せっかく遠征してきたこともあり、マシンがどんな状態であれ、その中で最善を
尽くすべくレースに臨みました。予選も決勝も自身としては不本意な結果に終わりましたが、
しっかりと完走し、ジェントルマンドライバーとして相応しい走りができたことは非常に有意義
だったと感じています。
第3戦は10月に行われますが、マシンを最高の状態にもっていき、かつ自分の技術を磨いて富士でも
表彰台を獲得したいと思います。
Koshido Racing 佐藤 元春