2024.11.12 北海道クラブマンカップレース 2024 Rd.1 VITA-01 RACE REPORT

北海道クラブマンカップレース Rd.1 VITA-01
■開催日時:2024 年 5 月 19 日(日)
■開催地:十勝スピードウェイ クラブマンコース
■ドライバー:市川 篤(#11)、佐藤 元春(#12)、上野 大哲(#310)、工藤 大祐(#910)
■マシン:恒志堂レーシング VITA 11 号機、12 号機、310 号機、910 号機
■参戦クラス:VITA-01 クラス
■天候:予選/晴れ、決勝/晴れ
■路面:予選/ドライ、決勝/ドライ
■戦績
市川 篤 予選:6/7 位 決勝:7/7 位
佐藤 元春 予選:3/7 位 決勝:3/7
上野 大哲 予選:1/7 位 決勝:1/7 位
工藤 大祐 予選:4/7 位 決勝:4/7 位
寒暖差の激しい5月の十勝スピードウェイ。花粉が飛び交う中更別村にて北海道クラブマンカップ第1戦が開催された。昨年に比べ総エントリー数7台と少ないが、うち4台はKoshido Racing車両のため表彰台独占を目指し熱い戦いが繰り広げられた。
今回Koshido Racingからは、佐藤、市川、工藤、上野による4台体制での参戦となる。
昨年惜しくもシリーズチャンピオンを逃した上野、チャンピオンである佐藤とはチームメイトでありライバルでもあるがこの2人の戦いに注目だ。チーム内のレベルが高まり、今シーズンはどのようなドラマが繰り広げられるのか期待が高まる。
<練習走行>
今シーズンより使用タイヤについて新たにレギュレーションが追加された。昨シーズンまで北海道クラブマンカップでは新品中古問わずタイヤを選定することができたが、今シーズンより予選新品スタートへ変更となりFCR-VITAと同様になった。
これにより車両は新品タイヤに合わせた新たなセッティングが必要不可欠となり、決勝までにどれだけの完成度へ運べるかが勝負のカギを握る。

5月17日の1本目は雨が降っており全車走行を見送る。2本目の走行枠には路面も渇きはじめ各車感覚を取り戻すべく練習走行スタート。各ドライバー初日という事もあり、本気のアタックというよりは人とマシンのシンクロ率上昇に時間を費やすスタートとなるかと思われたがさすがの走り。上野は1分30秒台を連発しかなりの好感触。昨シーズンから十勝でのVITAに参戦しているが常に上位に君臨しシリーズチャンピオンまで僅かという位置まで登り詰めた実力の持ち主。今年こそはシリーズチャンピオンと本人も意気込んでいる。佐藤、市川はなかなかリズムが合わず苦戦している模様。とはいえ長年十勝スピードウェイ走っている2人は3本目の走行枠にて両者とも31秒台をマークし調子を取り戻しつつあるが、リズムが合わず車と人間のシンクロ率が上がり切らないまま一日目が終了。一方工藤はセッティングの大改造中であった。今年から変わったニュータイヤ基準のセッティングを出すべく、時間をかけ緻密なセッティングを一日かけて行った。

5月18日、5月とは思えない暑さの中各車前日の公式練習に挑む。
昨シーズンシリーズチャンピオンに輝いた佐藤は時間帯気温と決勝日にかなり似ているため1本目の練習を予選、2本目の練習を決勝といった実戦形式でのプランで走行。前半31秒台を連続でマークしここからかと思われたが熱の入った新品タイヤに苦戦している模様。その後も果敢にアタックするがなかなかアジャストする事が出来ず模擬予選が終了。2本目の走行枠にて模擬決勝スタート、決勝さながらの気合の入った走りを見せるも前日に続きコーナー進入がなかなか安定しない様子。レース同様12周走り切るが車のセットが合わず不安の残る走行となった。その後メカニックと細かい打合せや車のセット修正を行い最終枠を迎えた。各調整、佐藤の修正力がともない31秒台を連発、各コーナーの進入時オーバー傾向にあったがそれも収まり舵角修正のすくないとても綺麗な佐藤本来の走りが戻り、明日の本番に向け良い状態で練習を終える。
前日とても好感触に終わった上野は変わらず絶好調の様子。前日同様30秒台を連発し1本目3本目のみと車の感触を確かめつつも、現在の良い状態を当日にもっていくべく少ない練習時間で前日を終える。走行していない枠は各ドライバーと情報共有やアドバイスをするなどチームに貢献する姿も見せた。
市川は今大会から初めて乗るマシンという事もあり探り探りで乗っている様子。とはいえ2日目も1本目から31秒台をマークするなど相性は悪くないようだ。練習途中アクセルペダルの故障があり走行を中断、メカニックの迅速な修理により走行再開するがなかなかまとまらない。最終枠にてセクター1・2で当日ベストを出すものの、全セクターなかなかつながらず32秒台にてこの日の練習が終了。練習後の重量測定にて、前年乗っていたドライバーが25㎏ほどバラストを積んでいたためとても重たい状態で走っていたことが発覚、この結果が当日吉と出るのか凶とでるのか。
工藤は前日に引き続きセッティングを中心に走行している様子。セットが収まらない中緻密なセッティングの末迎えた最終枠、31秒台を連発し当日の自己ベストを更新。長時間に及ぶセッティングが終わりセット出しが完了、翌日の本番に向け気合が入る。

<練習走行結果>
佐藤 元春:1分31秒139(5/17)
市川 篤 :1分31秒837(5/17)
工藤 大祐:1分31秒376(5/18)
上野 大哲:1分30秒086(5/18)
<公式予選>
天気は晴れ、路面はドライ。5月とは思えないかなりの暑さの中予選を迎える。
北海道クラブマンカップ第1戦目、各ドライバー気合を入れマシンに身を収める。
予選開始二分前の表示とともに各マシン一斉にピットから飛び出す。

先頭でコースに入ったのは練習から絶好調の上野。前日まで中古タイヤで走っていたが本番は新品スタート、アウトラップ含め2周でタイヤを丁寧に温める。3周目からアタック開始、計測2周目で30秒台をマークするもその後なかなか更新できない。やはり新品の特性を完全にはつかみ切れていないのか予選の中で探っている様子。そんな中一つのミスからニュータイヤの可能性に気付き予選最終ラップでベストを更新、ポールポジションでチェッカーをうけた。
2番目にコースインしたのは昨シーズンシリーズチャンピオンを獲得した佐藤。上野同様に2周目までタイヤを入念に温め、3周目からアタックスタート。初日から悩まされている進入時のオーバーステアを修正しながら順調にタイムを上げアタック開始3周目で予選ベストラップをマーク。その後も果敢にアタックを続けるが、オーバーステアが強くなり32秒前後となったため一度ピットイン。内圧の確認を行い再度コースインするもアタックしきれず3番手でチェッカー、セッティングが決まり切っていないのがここにきて響く展開となった。
3番目のコースインは工藤。前日最終枠にてセットが決まり乗り手が完全に仕上がっていない状況ではあるが、予選の中でのタイムアップに期待が高まる。他選手同様にタイヤを温め3周目からアタック開始、車の姿勢も安定しており順調に攻めていく。アタック2周目で予選ベストラップをマーク、その後も新しいセットに体をなじませながらアタックを続けるが4番手でチェッカー。
市川は4番目でのコースイン、他選手同様に2周目まででタイヤの熱入れを行いアタックの態勢を整え3周目からアタックスタート。市川はアタック最初の周で予選ベストラップをマーク、その後も果敢にアタックを続けるが初めてのニュータイヤスタートにかなり苦戦している模様。グリップ力はあるが前に転がらないというこの特性をよい方向へ調整しようとするも、6番手でチェッカーを受けた。

<決勝>
気温25.8℃と昨年8月に行われたクラブマンカップより暑い異例の気温。ニュータイヤに変更され、異例の高気温と難しいコンディションの中各選手自らのグリッドにマシンを収める。




7台すべてのマシンがフォーメーションラップを終えグリッドに着く。シグナル点灯、消灯と同時に各車スタート1コーナーへと飛び込む。

ポールポジションスタートの上野はイマイチのスタート、2番手スタートの#77村上選手が良いスタートを切り上野と並んだ状態となるがコーナーでのマシンのポテンシャルをとても高く感じていた上野は並んだ状態で1コーナーを抜ける。ここから先頭集団での攻防が繰り広げられるのかと思われたが、絶好調の上野はレース序盤から各コーナーで後ろを走る村上選手・佐藤に差をつけ早くも完全独走状態へと突入。レース中でありながらとてもリラックスしており、レースラップ30秒後半から31秒前半ととても良いペースで走り続けた。他を寄せ付けない圧倒的な走りで優勝。

一方3番手スタートの佐藤、昨年のレースの中で1番手に浮上するという勝負強さが印象的だったため期待が高まる。スタート後2番手を走行する村上選手とかなり近い状態が続いたが、2周目最終コーナーで少し挙動を乱し村上選手との差が開いてしまう。先頭から上野・村上・佐藤の3選手は等間隔があいたまま3台とも単独走行が続いている状況だ。前方を走る車両に少しでも近づき、ホームストレートでのスリップを上手く使い追いつきたいところ。セッティングが完璧でないマシンを持ち前のテクニックと経験で操るもペースが上がらず追いかけきれない、果敢に攻めるも3番手でチェッカーを受けた。レース後、佐藤は悔しさの中にも可能性を大きく感じている様子、今大会は完敗とライバルたちを称えつつもその目はすでに次戦へと向かっていた。

4番手スタートの工藤、今年こそは表彰台と4番手からの追い上げに期待が高まる。無難にスタートを決め前方を走る佐藤とかなり近い状態、佐藤に食らいつきタイミングを伺ってポジションアップを狙いたいところである。前半2周は舵角修正の少ない綺麗な走りで佐藤に食らいついていたが3周目の最終コーナー、大きくリアの挙動を乱してしまい前方との差が開いてしまう。後方からは#129梅田選手が迫るなか、2周ほどでリズムを取り戻し梅田との間にマージンを築くも表彰台には届かず4番手でチェッカーをうけた。マシンのセットには納得している様子だが、乗り手がまだ乗りきれていないと謙虚な姿勢。練習を積んで迎える次戦に期待が高まる。

6番手スタートの市川は良いスタートを切る。前方を走る梅田選手と横並びの状態で1コーナーを立ち上がりこのままインをキープすれば2コーナーでパスできるかと思われた矢先、シフトミスにより後方#61平中選手にも前を許してしまう。このまま差が開くかと思われたが市川も長年十勝を走る選手の一人、早急にリカバリーし前方平中選手を追いかける。1周目、2周目と着実に前との距離を縮め3周目の4コーナー手前で完全に射程圏内まで追い詰める。しかしストレートでは平中選手のマシンに分があり、ここから数周インフィールドで近づきホームストレートで離れるという厳しい状態が続く。途中スリップに入れる距離でストレートに突入するもなかなか追いつけない、1コーナーブレーキングで距離を詰めるなど試行錯誤を繰り返すも同じような状態が続いたまま最終ラップを迎える。11周目終盤で再びかなり近い状態に、射程圏内に収めたままストレートに入りスリップをもらうことに成功。1コーナー進入時鬼の突っ込みで平中選手のインをとるも体制を崩し接触してしまう。その後平中選手の後ろに着くもブロックされてしまい7番手でチェッカーを受けた。

2024年の第1戦目。ニュータイヤへの変更がありセッティングの完成度に違いはあったが、予選では全車近いタイムでの戦いとなり前年と比べ少ないエントリー数ではあったが今年も熱い戦いが繰り広げられる予感を感じさせた。決勝レースではマシンとドライバーの完成度が顕著に出ている様子であったが、チーム内のレベルは確実に上がってきている。今年も表彰台独占を目指しKOSHIDO RACINGのチームメイトでありライバルでもあるという強みを生かして走り続ける。




























































































































北海道クラブマンカップレースRd.2 VITA-01


8番手以降は32秒台の戦い。その先頭となったのは#910の工藤。1分32秒391で後方6台を従えてのポジションを獲得。#516市川は32秒550で10番手につけた。常に上位陣にいるはずの#61号機レジェンド平中選手はマシンの不調に悩まされ続け32秒679で11番手に甘んじている。前戦まで旧マシンで奮闘し、その速さを十分に周りに知らしめた今回唯一の女性ドライバーである関選手は1分33秒747と、こちらもチームメイトの大島選手同様にマシンが決まらず苦労している様子であった。
















鈴鹿サーキットはランオフエリアのグラベルが深く、VITA-01程度の車速のマシンであればクラッシュすることなく止まれる一方で、逆に一度出てしまうと自力で戻るのは困難極まりない。それ故に車両改修によるセッション中断が頻発する。この日は夕方にも1セッションあり、ここでは鶴田がテスト走行に出たが、14時頃から強い雨に見舞われ、コースは完全なウェット状態になっていた。鶴田はウェット用の走行ラインを丁寧にトレースし、鈴鹿での15号機の動きを読み取る。しかし、ここでまたコース外逸脱車両が発生し、赤旗中断。早々に走行を終えることとなってしまった。
<予選>

1分前。スターティングドライバーの佐藤はエンジンスタートとともに静かにヘルメットのバイザーを下ろし、臨戦態勢へ。120分もの長く、暑く、熱い戦いが始まる。フォーメーションラップ、コース内は激しく混み合い、ヘアピン手前では一旦停止してしまうくらいの混雑ぶり。鈴鹿MECのVITA-01エントリー台数はPro-Ama、Ama-Amaクラスを合わせると33チームにものぼる。そこにv.Granzのエントリーも加わると総勢47チームとなり、コース上は大混雑の様相を呈していた。
数周走行し、ここでまたもSC導入。例によって2周回ほどスロー走行に費やし、レース再開。再開直後に日立アステモシケインにてスピン車両がいたが、これも冷静にパス。細かいミスはあるが最終的に前との差を詰めていく。前方でバトルしていた111号車と77号車を後方から虎視眈々と狙っていたところ、77号車が一瞬失速。そこを見過ごすことなくシケイン立ち上がりで横に並びホームストレートで前へ。そのままの勢いで111号車へも襲いかかる。しかし、デグナー2個目にて痛恨のアンダーステアを誘発、再び77号車に並ばれてしまう。そのままサイドバイサイドでヘアピン、スプーン、130Rと抜け、辛うじて抑えポジションキープ。耐久でありながら魅せるバトルを展開した。V.Granzが絡むことで111号車との距離が一気に縮み、再び佐藤にチャンスが訪れる。スプーンでアンダーステアをうまく消し、裏ストレートで横に並びかけた。佐藤は130Rのイン側からパス。続いては117号車と27号車のバトルに後方から接近、130Rの侵入で大きく失速した27号車をシケインまでに捉え、横並びブレーキング勝負。きっちりと前出る。ここで再びSC導入。スプーン奥のアウト側にはらみグラベルにつかまった車両の回収にてスロー走行3周を要した。耐久レースのファーストスティントであるにもかかわらず、まるでスプリントレースのような走りを見せた佐藤。SC明をきっかけに給油とドライバーチェンジのためピットイン。鶴田へ交代となる。ピットイン時はペナルティーを誘発しないよう。チーフメカニックの藤巻と各ピット要員が綿密に打ち合わせをし、時間管理を徹底。無駄なく作業を終え、鶴田を送り出す。
鈴鹿を地元とする鶴田はピットアウト早々にダンロップコーナーで23号車を難なくパス。その後は前方クリアとなり、常に2分30秒を切るペースでコンスタントに周回を重ねていく。うまくオーバーステアを誘発し、タイトコーナーはコンパクトにまとめ、高速コーナーはコース幅いっぱいに使って車速をのせる。インアウト関係なく、マシンの動きを見ながら会心の走りを披露していく。数ラップを重ねて次第に前走車が近づき、即ロックオン。スプーンアウト側から213号車を、デグナーひとつめのインから19号車をパス。初乗りの15号機を攻め立てる。快進撃は止まらず、その後の周回ではスプーンを絶妙に立ち上がり、58号車を裏ストレートにてパス。格上クラスである5号車の中里選手・服部選手組のマシンをもデグナー進入のブレーキングで容易に仕留め、同周回のシケインのブレーキングでは4号車を、次周回のスプーン立ち上がりで47号車を、さらに次の周の同ポイントで51号車を捉える。鈴鹿は道幅が決して広いサーキットではなく、サイドバイサイドでの緊張感は必然的に高くなるが、鶴田は物怖じすることなく130Rのアウト側から17号車をオーバーテイク。S字コーナーでは25号車を、888号車はデグナー立ち上がりからヘアピンのブレーキングにてパス。v.Granzにうまくラインを開けつつもマシンを失速させることなく、怒涛のポジションアップに大きく寄与した。ピットインで前に出られた車両含め、交代後数周で11台をパスする快進撃となった。16周回したところでSCが導入され、明けるまでに3周を費やす。この時なんとクラス2位までポジションを押し上げていた。しかし、ドライバーチェンジ及び給油のため、鶴田はここでピットへ。MECのレギュレーションにてピットおよびドライバー交代は最低2回を義務付けられている。多くの台数がエントリーする今回のレースでは予期せぬSCも多く、ファーストスティントの佐藤から鶴田がセカンドスティントを長く引っ張る作戦となっており、残りわずかな時間ではあるが最後は佐藤にドライバーチェンジしてチェッカーを受ける方針となった。佐藤がピットアウトした時点での順位はクラス7位。残すところ数周とみられた佐藤であるが、最後の最後までアタックは止めない。耐久レースともなれば無事に走り切るために走りが保守的になりがちであるが、スプリントレースの如く攻め込んでいく。ピットイン中に前に出られた23号車をピットアウト直後からマークし、S字ではテールトゥノーズの状態まで詰め寄る。そしてスプーン進入のブレーキングにて前へ。まさに鶴田の勢いを佐藤がそのまま引き継がれたようであった。しかし23号車は周回遅れのため順位変動はなし。6位とは10秒余りの差があり、これを覆すには残り周回数が足りなかった。

#35 恒志堂レーシング CLASS VITA 上野 大哲



13時15分決勝スタートであるが、雨が止む気配はなく予選と近しい状況で迎えることを見据え、各選手予選の走行を振り返りつつ決勝に向けて準備を進める。






