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2023.10.18 SUZUKA CLUBMAN RACE 2023  MEC120 RACE REPORT

SUZUKA CLUBMAN RACE MEC120
開催日時:2023年7月2日(日)
開催地:鈴鹿サーキット(三重県)
ドライバー:佐藤 元春/鶴田 哲平
マシン:VITA-01 15号機
参戦クラス:Ama-Ama
天候:予選/晴れ、決勝/晴れ
路面:予選/ドライ、決勝/ドライ
予選:クラス13位/25台
決勝:クラス7位/25台

鈴鹿サーキットで開催されるVITAレースに挑むのは2年ぶりとなる。そのステージはMEC120。つまり120分耐久レースである。

今回は恒志堂レーシングVITA15号機を持ち込み、オーナー兼エースドライバーの佐藤と今期シェイドレーシングからスーパー耐久に参戦している鶴田哲平の2名でのエントリー。鶴田は昨年のスーパー耐久シリーズ富士24時間レースの時の佐藤のチームメイトで、北海道クラブマンカップにもビジター参戦経歴を持つ。

 

エントリーリストに並んだドライバー名は富士チャンピオンレースシリーズでも見慣れた選手ばかり。そこに今回地元勢も加わり、戦いは激しさを増すことが容易に予測された。
鈴鹿戦は毎回練習走行本数が少なく、ビジターには厳しいレース。加えて7月上旬ということもあり、北海道の気候に慣れている佐藤には、試練となることが明白であった。

<練習走行>

練習走行は6月30日から。鈴鹿を地元とする鶴田のアドバイスのもと、佐藤は少ない走行本数をしっかりとものにすべく濃密な練習走行としたいところである。前回走行した時と大きく異なるのはやはりタイヤ。今シーズンから新たに導入された新コンパウンドのタイヤが鈴鹿サーキットではどう出るのか。細かい修正を積み重ねながら走行時間を有意義なものとしたいところであったが、佐藤が出て数周回で赤旗中断。ビジターにとっては試練が続く。

鈴鹿サーキットはランオフエリアのグラベルが深く、VITA-01程度の車速のマシンであればクラッシュすることなく止まれる一方で、逆に一度出てしまうと自力で戻るのは困難極まりない。それ故に車両改修によるセッション中断が頻発する。この日は夕方にも1セッションあり、ここでは鶴田がテスト走行に出たが、14時頃から強い雨に見舞われ、コースは完全なウェット状態になっていた。鶴田はウェット用の走行ラインを丁寧にトレースし、鈴鹿での15号機の動きを読み取る。しかし、ここでまたコース外逸脱車両が発生し、赤旗中断。早々に走行を終えることとなってしまった。

翌7月1日も予選前に練習走行枠は2枠設けられており、前日の課題をひとつひとつクリアしていく。

 

<予選>

14時5分スタート。気温は27℃前後。予選は佐藤が担当することとなった。しかし、開始前から佐藤が痛恨のミス。ファストピットレーン進入開始時間をわずかに読み間違え、予選結果から3グリッド降格のペナルティーを受ける。

純然たるタイムは2分28秒286でクラス13番手につけたが、グリッド上はクラス16番手スタートとなった。

予選タイム:2’28.286

 

<決勝>

天候が不安定であった練習走行とは対照的に決勝は快晴。とはいえども高湿度と33~34℃の高気温で、北海道育ちのドライバーには過酷なコンディションである。

1分前。スターティングドライバーの佐藤はエンジンスタートとともに静かにヘルメットのバイザーを下ろし、臨戦態勢へ。120分もの長く、暑く、熱い戦いが始まる。フォーメーションラップ、コース内は激しく混み合い、ヘアピン手前では一旦停止してしまうくらいの混雑ぶり。鈴鹿MECのVITA-01エントリー台数はPro-Ama、Ama-Amaクラスを合わせると33チームにものぼる。そこにv.Granzのエントリーも加わると総勢47チームとなり、コース上は大混雑の様相を呈していた。

さてフォーメーションラップもそろそろ終わり日立アステモシケインを抜け、全車一斉にフル加速を始める。うまく加速姿勢をつくった佐藤はすぐ前をいく47号車を1コーナーまでに捉え、イン側からパス。続く2コーナーではラインを外し、アンダー気味に飛び込でしまうが何とか順位をキープし、前を追う。
前方はVITA-01の長蛇の列。まるで盆休みの帰省渋滞のごとく車列は途切れない。2周目のスプーン、立ち上がりで79号車に並びかけアウトから130Rに並んで進入。ターンインする頃までに前に出た。序盤の混雑の中を1台1台確実にパスし、ポジションを押し上げていく佐藤。3周目にはヘアピンでインから立ち上がり重視のラインをトレースし、前車にプレッシャーを与えた。しかし、その先のスプーンコーナーで2台のVITA-01が絡み、早々のセーフティーカー(以下、SC)導入。約2周にわたるスロー走行ののちレース再開。車両は大混雑。SC明け、次の周回でのスプーンにてまたもVITA-01同士の接触。しっかりと目視していた佐藤は冷静にアウト側のランオフエリアからかわしていく。この頃になると前方だけでなく、後方から迫るv.Granzにも注意を払わなければならない。前後しっかりと見渡し、慣れぬコースで奮闘を続ける。

数周走行し、ここでまたもSC導入。例によって2周回ほどスロー走行に費やし、レース再開。再開直後に日立アステモシケインにてスピン車両がいたが、これも冷静にパス。細かいミスはあるが最終的に前との差を詰めていく。前方でバトルしていた111号車と77号車を後方から虎視眈々と狙っていたところ、77号車が一瞬失速。そこを見過ごすことなくシケイン立ち上がりで横に並びホームストレートで前へ。そのままの勢いで111号車へも襲いかかる。しかし、デグナー2個目にて痛恨のアンダーステアを誘発、再び77号車に並ばれてしまう。そのままサイドバイサイドでヘアピン、スプーン、130Rと抜け、辛うじて抑えポジションキープ。耐久でありながら魅せるバトルを展開した。V.Granzが絡むことで111号車との距離が一気に縮み、再び佐藤にチャンスが訪れる。スプーンでアンダーステアをうまく消し、裏ストレートで横に並びかけた。佐藤は130Rのイン側からパス。続いては117号車と27号車のバトルに後方から接近、130Rの侵入で大きく失速した27号車をシケインまでに捉え、横並びブレーキング勝負。きっちりと前出る。ここで再びSC導入。スプーン奥のアウト側にはらみグラベルにつかまった車両の回収にてスロー走行3周を要した。耐久レースのファーストスティントであるにもかかわらず、まるでスプリントレースのような走りを見せた佐藤。SC明をきっかけに給油とドライバーチェンジのためピットイン。鶴田へ交代となる。ピットイン時はペナルティーを誘発しないよう。チーフメカニックの藤巻と各ピット要員が綿密に打ち合わせをし、時間管理を徹底。無駄なく作業を終え、鶴田を送り出す。

鈴鹿を地元とする鶴田はピットアウト早々にダンロップコーナーで23号車を難なくパス。その後は前方クリアとなり、常に2分30秒を切るペースでコンスタントに周回を重ねていく。うまくオーバーステアを誘発し、タイトコーナーはコンパクトにまとめ、高速コーナーはコース幅いっぱいに使って車速をのせる。インアウト関係なく、マシンの動きを見ながら会心の走りを披露していく。数ラップを重ねて次第に前走車が近づき、即ロックオン。スプーンアウト側から213号車を、デグナーひとつめのインから19号車をパス。初乗りの15号機を攻め立てる。快進撃は止まらず、その後の周回ではスプーンを絶妙に立ち上がり、58号車を裏ストレートにてパス。格上クラスである5号車の中里選手・服部選手組のマシンをもデグナー進入のブレーキングで容易に仕留め、同周回のシケインのブレーキングでは4号車を、次周回のスプーン立ち上がりで47号車を、さらに次の周の同ポイントで51号車を捉える。鈴鹿は道幅が決して広いサーキットではなく、サイドバイサイドでの緊張感は必然的に高くなるが、鶴田は物怖じすることなく130Rのアウト側から17号車をオーバーテイク。S字コーナーでは25号車を、888号車はデグナー立ち上がりからヘアピンのブレーキングにてパス。v.Granzにうまくラインを開けつつもマシンを失速させることなく、怒涛のポジションアップに大きく寄与した。ピットインで前に出られた車両含め、交代後数周で11台をパスする快進撃となった。16周回したところでSCが導入され、明けるまでに3周を費やす。この時なんとクラス2位までポジションを押し上げていた。しかし、ドライバーチェンジ及び給油のため、鶴田はここでピットへ。MECのレギュレーションにてピットおよびドライバー交代は最低2回を義務付けられている。多くの台数がエントリーする今回のレースでは予期せぬSCも多く、ファーストスティントの佐藤から鶴田がセカンドスティントを長く引っ張る作戦となっており、残りわずかな時間ではあるが最後は佐藤にドライバーチェンジしてチェッカーを受ける方針となった。佐藤がピットアウトした時点での順位はクラス7位。残すところ数周とみられた佐藤であるが、最後の最後までアタックは止めない。耐久レースともなれば無事に走り切るために走りが保守的になりがちであるが、スプリントレースの如く攻め込んでいく。ピットイン中に前に出られた23号車をピットアウト直後からマークし、S字ではテールトゥノーズの状態まで詰め寄る。そしてスプーン進入のブレーキングにて前へ。まさに鶴田の勢いを佐藤がそのまま引き継がれたようであった。しかし23号車は周回遅れのため順位変動はなし。6位とは10秒余りの差があり、これを覆すには残り周回数が足りなかった。

最終的にそのままクラス7位でチェッカー。入賞まであと一歩というところであったが、チームとしては鈴鹿の地で大躍進したといえよう。

次回の鈴鹿遠征は今のところ予定はない。しかし、2年ぶりの参戦とは思えない善戦ぶりに、再び鈴鹿の地に戻って躍進する日は必ずくるであろう。