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2024.11.06 Fuji Champion Race Series 2024      FCR VITA Rd.1 RACE REPORT

Fuji Champion Race (以下FCR) VITA-01 Rd.1

開催日時:2024年5月11日(土)

開催地:富士スピードウェイ レーシングコース(静岡)

ドライバー   佐藤 元春、  浅井 康児、 三輪 英則

マシン
恒志堂レーシング CLASS VITA :佐藤 元春
恒志堂レーシング レブニーズVITA:浅井 康児
恒志堂レーシング 三光不動産VITA:三輪 英則

参戦クラス:FCR-VITA

天候  予選/晴れ、決勝/晴れ

路面  予選/ドライ、決勝/ドライ

戦績
佐藤 元春  予選:6/42位 決勝:12/42位
浅井 康児  予選:18/42位 決勝:17/42位
三輪 英則  予選:36/42位 決勝:31/42位
※ジェントルマンクラス 予選:7/8位 決勝:6/8位

2024年もレースシーズンが開幕。KOSHIDO RACINGの初陣は富士スピードウェイからとなる。

例年通りFCR-VITAとKYOJO CUPにシリーズ参戦する今シーズン、FCRは15号機にチームオーナーでありエースドライバーでもある佐藤を筆頭に、昨年北海道クラブマンカップVITA-01で度々優勝争いを繰り広げた浅井が35号機に、実質的なVITA-01デビューを果たす三輪が610号機という布陣。一方のKYOJOは昨年から引き続きRINA ITOが15号機に搭乗する。

第1戦と第2・3戦は残念ながらRINA ITOの都合がつけられずKYOJOは休戦。第4戦からのエントリーを予定している。


<練習走行>

土曜日のレースに向けてチームはレースウィークの水曜日に現地入りし、練習走行開始は木曜日から。しかしながら初日はあいにくのフルウェット。佐藤と浅井は3月、4月とテスト走行に来ていたが、3月もウェットかつ降雪というコンディションであり、ドライに恵まれない日々が続く。VITA-01デビューの三輪に限っては実質的な初走行がウェットという厳しい状況からのスタートとなった。

初日のフリー走行は夕方になって少しずつ路面は乾き始め、ようやくドライコンディションでの走行。佐藤はコンスタントに1分59秒台を刻んでいく。調子は上々のようだ。浅井も2分フラットまでこぎつけ、ひとつの壁である2分切りまであと一歩というところまで迫る勢いを見せた。三輪は慣れないVITA-01の挙動をたった数枠の走行時間で見事に掴み、ドライコンデションとなった最終枠では2分3秒台半ばまで詰めてみせた。

2日目の公式スポーツ走行日は走行枠が2枠のみという厳しい状況。加えて今回のエントリー台数である42台に限りなく近い台数が一斉にコースインし、さらにインタープロトも混相するという混雑ぶり。クリアラップを取ることは至難の業であった。初日に比べて大幅に気温が上昇したこともあり、各マシンベストタイム更新は難しい状況。 そのような中、順当にコースに習熟していった三輪は前日から1秒短縮し、2分2秒台半ばを連続でマークしていた。本人もここまで詰められるとは想定していなかったようで、一筋縄ではいかないVITA-01の操り方を短期間で身につけたことに手応えを感じていた。

<予選>

42台という他のサーキットでは類を見ないエントリー台数。ピットレーンへの進入が可能となる2分前、全ピットガレージから一斉にVITA-01が咆哮を上げ、我こそは先にと飛び出していく。

15号機の佐藤。練習走行で新品タイヤのグリップ感を体に叩き込み、アウトラップの翌周から全開で攻めていく。アタックラップ1周目で2分フラット、そして早くも2周目にはこれまでの自己ベストとなる1分59秒07をマークし、5位という好ポジションにつける。この周、ほとんどスリップストリームの恩恵を受けられない位置ながら、自らの走りに徹した佐藤。タイヤの限界付近をうまく引き出し、走りをまとめ上げた。スリップストリームは富士スピードウェイの場合、フルで恩恵を受けると1秒近くタイムは変わることもある。それがない状況で叩き出した今回のタイムは紛れもなくこれまでの努力の積み重ねの証明。寧静致遠とはまさにこのことである。最終的に1台にポジションを譲ったものの、過去最高位となる予選6番手という戦績にKOSHIDO RACINGのピット内は大いに沸いた。

35号機の浅井もまた、前日までの壁を越えようと2分切りに向け闘志を燃やしていた。 ホームコースである十勝スピードウェイの路面と大きく異なる富士スピードウェイにおいて、新品タイヤでのアタックは初。発熱のタイミングも最もグリップを発揮する瞬間も未経験の中で予選アタックに臨む。2分1秒台前半からの順調な滑り出しから一番ベストタイムが狙える3~4周目に照準を合わせ、集中。しかしながら出走台数の多さがその行く手を阻み、2分切りまであとコンマ2.4秒というところまで迫ったものの目標としていた1分59秒台には届かなかった。一旦クーリングラップを置き、ラストチャンスとばかりに予選時間終了ぎりぎりを狙うも、2分フラット半ばでアタックは終了となった。

着実にタイムを伸ばしてきている610号機の三輪は予選においてもなお進化を遂げ続けていた。練習走行までの状況から一変してクリアラップなど易々ととれない42台がひしめくコース上で、じっとその機会を窺っていた。とはいえどもそれまでのベストラップである2分2秒台を安定して重ね、周回アベレージは間違いなく上がっている。そして迎えたアタックラップ4周目、初の2分1秒台をマーク。ここまでこれた昨日までの自分自身を信じられないと話していた三輪であったが、予選ではさらに超えてくるというハイパフォーマンスぶりを披露。これまで数々のマシンに乗って積み上げてきた経験値は間違いないものであったと自らの力で証明し、VITAデビュー戦とは思えない爪痕を残した。

予選タイム

・佐藤 元春   1:59.098
・浅井 康児   2:00.234
・三輪 英則   2:01.998

 

<決勝>

雲ひとつない晴天のもと、各ピットからVITA-01が次々とコースインしていく。年々増えているFCR-VITAの参加台数は今回42台にまで達した。全台ホームストレートに並ぶ姿は圧巻である。

予選過去最高順位の6位からスタートする佐藤、何としてもシングルポジションを獲りにいくと意気込む浅井、とんでもないところに来てしまったと口にしつつも着実に結果を残していく三輪。それぞれに強い思いを秘めて挑む決勝の幕がいよいよ切って落とされた。

まずは最も期待がかかる15号機。スタートはほぼ順当に決めた佐藤であったが、好スタートを切った後方の#86下野選手と#32武村選手に先行を許す。しかしその後のコカ・コーラコーナーでは前走車を凌駕する飛び込みを見せ、100Rに向けて一気に差を詰めた。ここで勝負をかけるべく、すぐ前を走る武村選手のオーバーテイクを狙って素早くアウトにラインを振る佐藤。そのまま100Rを並んで立ち上がり、続くアドバンヘアピンでインを刺す作戦であったが、32号車の後方から飛び出す瞬間のリアタイヤのグリップが想定していた以上に抜けており、弾かれるようにコース外に飛び出していった。100Rは路面のカントも十分にあり、コース内に留まっている間はリアのグリップが絶大で安定して抜けられるが、飛び出せば一転してフラットとなるため一気に姿勢を乱してしまう。スピンは免れたものの、コース内に復帰するまでに時間を要することとなり、4台ものライバルに先行を許す形となった。

レース序盤で手痛いミスとなったもののその後はひたすらにポジションを取り返すべく集中。しかし一度リズムが狂うとなかなか本来の走りに戻れないのが常であり、ダンロップコーナー進入のブレーキングで#2イノウエケイイチ選手にインを明け渡し、さらにポジションを下げてしまった。

2周目を迎えて佐藤は一旦冷静になり、ミスのない走りを見せる。前を行くイノウエ選手と#779大島選手のバトルが勃発し、ペースが上がらない中、虎視眈々と前に出るチャンスを窺う。イノウエ選手に先行を許した大島選手が佐藤のすぐ前に現れ、ここからは北海道勢同士のバトルへ。互いに信頼できる相手だけにラインを潰し合うことはなく、しかし一歩も引かないという北海道クラブマンカップさながらの展開。コカ・コーラコーナーでの飛び込みでは佐藤が前へ、その後のホームストレートからのTGRコーナー進入ブレーキングでは大島選手が抜き返す。そのバトルの隙をぬって#38佐々木選手が前に出るといった三つ巴の戦いに発展。そこにペースが上がらないイノウエ選手も加わって4台でのバトルへと移行する。この展開が続くかと思われた6周目のGRスープラコーナー、後方からインに切れ込んできた#87山本選手と15号機が接触。佐藤は盛大に弾かれ、アウト側のランオフエリアに飛び出した。

幸い走行不能となるようなダメージは残らなかったがこれで大きく後退。近接バトルをしていたライバルたちからは数秒離されてしまった。その後は山本選手とのバトルへ。アドバンコーナー進入で一旦は先行されたものの、テールトゥノーズの状態で追い続けていたところGRスープラコーナー立ち上がりで86号車のリアのトラクションが抜け単独スピン。そこを冷静に交わしてポジションを取り戻した。その頃ちょうど離されかけていたライバルたちとの距離も縮まっており、再び4台のバトルへ。この時点で残り2周。しかし15号機のリアタイヤは相応にグリップが落ちている状態。コーナー進入でも立ち上がりでも簡単にオーバーステアが出てしまう。そこを何とかねじ伏せる佐藤であったが、ファイナルラップのTGRコーナー進入にて下野選手に前に出られてしまう。この時ブレーキング競争に勝つだけのタイヤの余力が残っていなかったことを悟っていた佐藤は、先行を許すほかなかった。

100Rでのミスや複数回のトラブルに見舞われた佐藤であったが、都度気持ちをリセットしてレースに臨んだ結果ポジションダウンを最小限に留め、12番手でフィニッシュとなった。

次いで35号機の浅井。スタートを上手く決め、TGRコーナーまでに一気に2台の前へ。進入のブレーキングでは前方の数台が激しく競り合ってラインが交錯しているところを静観し、レース開始早々の混乱を回避。

しかしイン側から仕掛けてきた2号車に先行を許す。前方後方ともライバルたちがひしめくコース上でしっかりと走行ラインを確保し、危なげない走りとしながらもアグレッシブなバトルを展開。序盤は#36の荻原選手との競り合い。コカ・コーラコーナーで前に出られたものの遅れをとることなく追随し、2周目のホームストレートでスリップストリームに入る。前に出られるかと思ったもののコントロールラインを越えるあたりで横並びとなり、イン側を死守していた荻原選手がTGRコーナーでのブレーキング競争を制した。

バトルはまだまだこれから。ミスなく各コーナーを走り切り、3周目のホームストレートもまた同様に36号車のスリップを狙う。但し今回はそのさらに前方にも隊列ができており、荻原選手もスリップの恩恵を受けていたことから前に出るには至らず順位変動はなし。するとそこにアウト側から鋭いブレーキングで仕掛けてきたのは#87山本選手。1ポジションダウンしたもののその後に前走車のスピンもあり、順位変動はなし。後方からも迫りくるライバルたちを牽制しつつ、前を追う浅井。走り慣れていない富士スピードウェイとは思えないくらい器用なドライビングである。

一度は前に出た86号車にダンロップコーナーでのブレーキングで先行され、前との差も少しずつ開きつつある中盤ではあるが、決してあきらめることはなく走り続ける。次に襲い掛かってきたのは#213バートン選手。以前北海道に遠征してきたことがあり一度は戦っている相手ではあったが、その際は浅井の敵ではなかった。今回はコースに慣れている分、バートン選手に軍配が上がる形となった。少しずつタイヤがタレ始め、100Rでテールが流れるなど挙動変化が見られ始めた7周目、ダンロップコーナーの進入でイン側からブレーキング競争を仕掛けてきた#761の岩岡選手が目の前でスピン。ラインを交錯させる形で目の前に現れたため、フルブレーキングでも車速が落としきれなかった浅井のフロントと接触。ここでまた順位を2つ落としてしまうこととなった。

トラブルに見舞われながらも素早く戦線に復帰。残りは2周。挽回のチャンスはまだ残されている。現にすぐ前方を走るライバルたちに比べ、走行ラインは一枚上手。じわりじわりと差を詰め、迎えたファイナルラップ。あと1、2周あればというところまで迫ったものの、届かず予選から1ポジションアップの17位でチェッカーを受けた。

佐藤、浅井が荒れたレース展開となる中、堅実な走りで順位を上げたのが三輪。

絶好のスタートを決め、TGRコーナーまでに2台を軽々とパスし、目前で団子状態になっているライバルたちを大外いっぱいから仕掛けた。コカ・コーラコーナーから100Rにかけてはレコードラインを保持し、ダンロップコーナー進入ではコースアウトしていく1台を冷静にパス。オープニングラップから2周目までの間にポジションを3つ押し上げた。続く3周目のホームストレートでは後方につけていた#248Kuma.g.san選手にスリップストリームに入られ先行を許したが、コカ・コーラコーナーでは一気に間合いを詰め、プレッシャーを与える。セクター3ではオーバーステアを出しつつも上手く処理し、隙あらば前に出るという強い気概が感じられる走りを披露。後方から迫る#977関家選手にはTGRコーナーのブレーキングで仕掛けられるものの、自身の走りに集中し丁寧なブレーキングで応戦。結果、977号車はスピンアウトしていき、三輪は何事もなかったかのように抜けていった。その後しばらくは単走が続くが、コースアウトしていた#7村松選手を100R手前でパス。背後につけられ、翌周のホームストレートではスリップにつかれ先行を許す。サイドスリップで粘る三輪であったがTGRコーナー進入で前に出られ、ここでは1ポジションダウン。そのまま7号車に食らいついていくと徐々に前を走る数台のライバルたちに追いつき、再びバトルモードへ。走行ラインも周回を重ねるごとに理想的なものへと変化していく。決勝レースにおいてもなお進化を遂げていく。前方との間合いも詰まり、いよいよ競り合いかと思われた矢先のダンロップコーナー進入。248号車と7号車が接触しスピン。動きをしっかりと捉えていた三輪は焦ることなくイン側をしっかりとトレースし、前に出た。

残り周回数は2周となり、後方との距離も空いたことから再び単走状態へ。しかし慢心することなく走行精度を高め続け、チェッカーを受けた。FCR-VITAデビュー戦は36番グリッドからのスタートから5ポジションアップの31位というリザルトを残した。

 

 

<AIM Legend‘s Club CUP>

今回のFCRは往年の名ドライバーたちが熱いレースを魅せるレジェンドクラブカップも併催された。

KOSHIDO RACINGからは610号機がエントリー。搭乗するレジェンドドライバーはかつての日本トップカテゴリーであるF3000をはじめ、全日本GT選手権や全日本ツーリングカー選手権で活躍した黒澤琢弥氏。

現在もVITA-01のドライビングアドバイザーを担っているだけあり、他のドライバーに比べて抜きん出たタイムを刻む。前日の予選兼練習走行では文句なしのトップタイムをマーク。 悠々とポールポジションを獲得した。

無論レースにおいても最速であることに変わりはなく、関谷正徳選手からは予選の他に設けられていたフリー走行への出走を禁じられるほど。裏打ちされた速さは決勝レースにおいても如実に発揮され、しっかりとポールトゥウィンを決めた。レースウィークの最後でKOSHIDO RACINGに嬉しい結果をもたらしてくれた。

今回、それぞれのドライバーが未経験の領域でレースに挑むこととなった。

佐藤は予選最高位を獲得し、決勝でポジションこそ落としたもののかなりの手ごたえは感じられたはずである。いよいよ目標としている表彰台に大きく近づいたと誰もが確信している。

浅井も北海道クラブマンカップでの経験を活かし、富士スピードウェイに戻ってきた。実は2年前にもFCR-VITAに参戦しており、その時はほろ苦い思いでこの地を後にしたが、今回はしっかりと結果を残すことができた。浅井の本当の戦いはこれからが正念場である。

三輪は想像以上のパフォーマンスをみせ、チームの皆を圧倒させた。タイム・ポジション双方において富士スピードウェイとVITA-01でデビューとは思えないほどの結果である。次戦も参戦し、その先を見てみたくなったのは筆者だけではないだろう。ビジターレースへの期待が高まるKOSHIDO RACINGにこれからもご注目いただきたい。