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2024.11.05 Fuji Champion Race Series 2023      FCR-VITA & KYOJO CUP Rd.4     RACE REPORT

Fuji Champion Race (以下FCR) VITA-01 Rd.1/KYOJO CUP Rd.1

開催日時:2023年11月25日(土)~11月26(日)

開催地:富士スピードウェイ レーシングコース(静岡)

ドライバー
FCR-VITA:佐藤 元春、上野 大哲、兼松 由奈
KYOJO CUP:RINA ITO、織戸 茉彩、兼松 由奈

マシン
恒志堂レーシング レブニーズVITA :佐藤 元春・RINA ITO
恒志堂レーシング CLASS VITA:上野 大哲・織戸 茉彩
恒志堂レーシング YOSHIMI VITA:兼松 由奈

参戦クラス:FCR-VITA、KYOJO CUP

天候
FCR-VITA:予選/曇り、決勝/曇り
KYOJO CUP:予選/曇り、決勝/晴れ

路面
FCR-VITA:予選/ドライ、決勝/ドライ
KYOJO CUP:予選/ドライ、決勝/ドライ

戦績
佐藤 元春(FCR-VITA) 予選:19/41位 決勝:15/40位
上野 大哲(FCR-VITA) 予選:8/41位 決勝:6/40位
兼松 由奈(FCR-VITA) 予選:28/41位 決勝:31/40位

RINA ITO(KYOJO CUP) 予選:12/23位 決勝:12/23位
織戸 茉彩(KYOJO CUP) 予選:20/23位 決勝:19/23位
兼松 由奈(KYOJO CUP) 予選:15/23位 決勝:15/23位

 

KOSHIDO RACINGにとって今シーズン最後の富士スピードウェイでのレースとなるFCR-VITAおよびKYOJO CUP第4戦。チームは水曜日に現地入りし、木曜日から練習走行を開始していた。

気温は10℃前後で天候は幸いにして雨に降られることもなく、レースウィークは比較的良好な条件の日が続く。最終戦となる今回はFCR-VITA・KYOJO CUPともに過去最多レベルのエントリー台数。またLegend Driver’s Club主催でVITA-01を使ったレースも併催されるということもあり、平日のスポーツ走行からサーキットは賑わいを見せていた。

<11月25日 FCR-VITA Rd.4>

7:55、朝の冷たい空気の中予選がスタート。ホームの北海道ほどではないが、富士山の裾に位置する富士スピードウェイは十分に寒い。路面はドライではあるものの空は厚い雲で覆われており、路温上昇は見込めない状況であった。

15号機の佐藤はアウトラップから積極的にクルマを動かし、タイヤに熱を入れる。無論1周ではアタックするだけのコンディションまで上げられず、2周目突入直後もホームストレートでウェービングするなどしていち早くアタックラップに移行できるように努めていた。マシンの挙動が安定してきたのは3周目から。しかしレコードライン上にペースが上がらない車両がおり、セクター3で数周にわたってタイムロスが生じてしまう。過度にオーバーステアを出さないよう上手くコントロールしながら13コーナーとGRスープラコーナーをクリアし、ホームストレートでサイドバイサイド、TGRコーナーブレーキングで前へ。クリアラップはとれたものの、他車のスリップストリーム活用は見込めない位置のままセッションを走り続けた佐藤は1分59秒679で19位となった。14台がひしめき合う1分59秒台だっただけに、もし上手く活用できていたらより上位に食い込めたのではないかという悔しい思いが残った。

35号機の上野も同様にアウトラップ、2周目と丁寧にタイヤに熱入れ。実質3周目からのアタック開始。しかし序盤はコカ・コーラコーナーでラインが定まらず苦労が窺える。視界前方にライバル車両を据え、スリップストリームから好タイムを狙おうというところで100Rでライバルたちが失速、隊列は団子状態となる。混雑を避けるかの如く一時ピットに滑り込み、フロントタイヤの内圧を調整のうえ再アタックへと向かう。まずは前方がクリーンな状態でワンアタックし、その後ライバル達を先行させて改めてスリップストリームを狙う。しかしすぐには間合いが取れず、結局単走状態が続いた。少し時をおいて徐々に前方との差が詰まり、絶好の位置につけた上野。ただ、ライバルたちもそう易々と恩恵を与えてはくれない。最終パナソニックコーナー立ち上がりからホームストレートに出ると、しっかりラインを外して背後にはつけさせない。それは当然のことで国内屈指の高速サーキットである富士スピードウェイは丸1周スリップストリームに入ると簡単に1秒近くタイムが短縮される。シビアにタイム争いをしている上位陣同士ならなおのこと後方への意識が高いのである。上野も佐藤同様にもっと長い時間スリップに入っていれば…と思う展開。1分58秒896で8番手となった。

610号機の兼松由奈。走行ラインは常に理想的でミスも少ない走り。地味ながら押さえるところをしっかり押さえた堅実な走りで徐々にタイムを刻んでいく。コカ・コーラコーナーではかなり攻め込んだ走りでイン側の縁石をかすめるようにクリアする場面も見られ、走り自体はアグレッシブさに溢れている。しかしながら今ひとつスピードがのってこない。それでもシーズン集大成となる今回、ベストな走りを披露。2分フラットのタイムを連続でマークするなど、FCRとKYOJO CUPのダブルエントリーで着実に前進した姿を見せた。

予選タイム

・佐藤 元春   1’59.679

・上野 大哲   1’58.896

・兼松 由奈   2’00.847

決勝は11時20分スタート。総出走台数は40台。富士スピードウェイの長いホームストレートもこれだけの台数のVITA-01が並ぶと壮観である。

選手同士が固い握手とともに健闘を誓い合い、それぞれのグリッドへ向かう。

チーム代表の佐藤のグリッドには、友人であり経営者仲間である近藤氏も応援に駆け付けた。

近藤氏とは同じチームとしてドバイ24時間耐久レースに参戦したり、ブランパンGTアジアシリーズにスポット参戦するなど、レース仲間でもある。今回はインタープロトシリーズのプロアマクラスにスープラGT4でエントリーされていた。

友人の激励を受け、グリッドウォークが終了。各ドライバーはフォーメーションラップを経てスタートの瞬間を待つ。

シグナルオールレッドからのブラックアウトで全VITA-01が一斉に咆哮を上げる。

佐藤はスタートを順当に決めたものの、4グリッド前の#36岩岡選手がスタートを切れておらず、追突を避けるべく失速しながらアウト側へ回避。即元のラインに戻ったもののリズムを狂わせてしまい、シフトミスしながらTGRコーナーへ。その間に1台にパスされてしまう。TGR進入から立ち上がりはミドル→アウト→アウトのラインを強いられ、次のコカ・コーラコーナーにはイン側からの進入を余儀なくされる。苦しい立ち上がりとなったが、100Rでは前走車に食らいつき、ダンロップコーナー進入ではオープニングラップにもかかわらずアウト側からオーバーテイクを試みるなど、果敢に攻め続けた。佐藤はこれまでもタイヤが冷えた状態でVITA-01を如何に速く走らせられるかという訓練をホームである十勝スピードウェイで繰り返していた。それが功を奏してか、走り出しから挙動を乱すことなく安定して攻め込んでいくスキルが高められている。

前方で#87山本選手と#91首藤選手が競り合ってペースが上がらない中、冷静にチャンスを待つ佐藤。2周目のコカ・コーラコーナー立ち上がりで立ち上がり加速を鈍らせた首藤選手を捉えパス。その後は数周にわたって山本選手とその前方を走行する#225富下選手を追撃する。山本選手が先に富下選手の前に出て、それに続く形で佐藤も7周目のホームストレートでがっちりと真後ろにつき、スリップストリームを最大限活かしてパス。順調にポジションを上げていたがファイナルラップのホームストレートで後方より追い上げてきた#7有村選手に背後に入られ、パスされる。最終的に15位でフィニッシュ。冷静かつしっかりとチャンスをものにする走りで4ポジションアップとなった。

実はこのレースウィーク中、体調が思わしくなかった佐藤。同月初旬にドライバーとして参戦していたスーパー耐久をピークに、今回のFCRにおいても症状を引きずっていた。現状のコンディションの中搭乗することで最悪マシンを傷めてしまうかもしれないという懸念もあり、翌日のKYOJO CUPで同マシンを使用するRINA ITOのことも考えて今回自身の参戦を見合わせることも検討していたという。鍼灸にてレース直前まで加療を続け、何とかステアリングを握るまでに調整し、臨んだ今回のFCRであった。

8番手スタートの上野は問題なくスタートを決める。スタート直後のTGRコーナー立ち上がりから#44平川選手とコカ・コーラコーナーに向けて並走。ラインを潰すことなくクリーンにバトルを展開し、辛くも前へ出て1ポジションアップ。そこからは上位陣ならではの各車ミスのない淡々としたバトルが続く。地味ではあるがいくつコーナーをクリアしてもトップから上野まで車間がほとんど変わらない。これは各マシンが常に限界領域で走り続けていることの裏付けであり、相当にハイレベルであることを物語っている。

4周目あたりからレースに動きが出る。上野の前を行く#32見島選手とトップ集団との差がわずかに開き始め、スリップストリームの恩恵が薄くなった見島選手に上野が肉薄。とはいえども富士スピードウェイのホームストレートは長く、VITA-01では最も高いギアである5速でも最高速は頭打ちになってしまう。ストレートのみで前に出ることが難しいことを悟った上野はそのまま横並びで6周目のTGRコーナーのブレーキング競争へ。アウト側の見島選手も一歩たりとも引かない執念の走り。アウト→アウト→アウトのラインで横並び状態を崩さず、そのまま立ち上がってコカ・コーラコーナーに向かっていく。今度はイン側となる見島選手が有利な展開となるが、上野もまったく引かず2台並んで進入。立ち上がりアウトのホワイトラインから車幅半分ほどはみ出しつつも粘り、100R進入までにようやく前に出た。

以後はひたすらに前を行く#1大八木選手を追う展開。ファイナルラップのセクター3では肉薄し、プレッシャーを与え続ける場面もあったが、大八木選手もまたレース巧者。まったく動じる気配はなく、上野はあと一歩のところで6位チェッカーとなった。

 

兼松は28番グリッドからのスタート。ただ、KOSHIDO RACINGの3台の中で最もスタートを成功させたといえる絶妙なタイミングとクラッチワーク。そこからTGRコーナーに向けてアウトから目一杯ブレーキングを遅らせて進入。この時には佐藤の後方まで一気にジャンプアップしていた。その後もこの勢いのまま行くかと思われたが、セクター3にて#831YOSHIMA選手に接触され痛恨のスピン。一気に最後尾まで後退してしまう。スタートが良かっただけに悔しさ滲ませる兼松。最終戦、このままでは終われまいと怒涛の追い上げが始まった。3周目のホームストレートで1台、同周回のダンロップコーナー進入にてまた1台、5周目にはアドバンヘアピンへの進入でブレーキングの一瞬の隙を突いてまた1台の前へと、アグレッシブな走行をみせる。その後も追い上げの手を緩めることはなく7周目のホームストレートで1台、同7周目のセクター3でも1台、8周目のTGRコーナー進入ブレーキング競争でも競り勝って1台パス。フィニッシュラインを越えた時には9ポジションを取り返していた。

この力強い走りを目の当たりにし、レース開始直後のアクシデントさえなければ…と無念さがこみ上げる。まだKYOJO CUP最終戦を残しているものの、今期のFCR-VITAとKYOJO CUPダブルエントリーによる走り込みの成果は如実に表れていたといえよう。

FCR-VITAは本戦をもってシリーズが終了。35号機の上野がシリーズ6位入賞という戦績を納め、2023年の戦いに幕を閉じた。

 

 

<11月26日 KYOJO CUP Rd.4>

女たちの今期最後の戦いは7時50分の予選から開始される。前日のFCR-VITAからは約半数のエントリー台数となるが、KYOJO CUPならではの華やかさと緊張感が独特の空気感を作り上げている。

まずは15号機のRINA ITOからピットアウト。それに続く形で35号機の織戸、610号機兼松と続く。11月下旬の早朝ということもあり、気温は15℃と低い。アウトラップから2周目は全車慎重に挙動を感じ取りながらマシンの動きを探る。

3周目、アタックを開始するRINA。まずは2分1秒779の滑り出し。目立ったミスをすることもなく4周、5周と周回を重ねつつラップタイムを上げていく。4周アタックした時点で2分0秒241。2分切りを目前に煮詰まり、ここでピットへ。体勢を立て直し、ベストを更新すべくリスタート。但し残りのアタックラップは実質3周程度であり、前後の間隔を上手くとって集中力を高めてタイムを刻みにいく。ピットアウト後一周を経て、ラストアタックへ。セクター1は狙い通りベストを更新できたもののセクター2ではセカンドタイムに甘んじる。しかし大きなミスはなく、その勢いのままセクター3へ突入。上手くまとめ上げ、ここでも自己セクターベスト更新。これまでKYOJO CUPで記録した予選タイムを更新し、RINAとしては初の2分切りとなる1分59秒843をマークし、予選を終えた。

35号機の織戸。参戦2年目も最終戦となったが未だに予選は緊張するとコメントしている。その緊張とは裏腹に、マークするタイムはこれまでの走行履歴の中で最も速い。VITA-01の挙動に慣れ、攻めの走りが身に付いた2023シーズン。明らかに走り方が変わった。その現れとして明らかなミスのあった周回を除き、ベースは2分2秒台を記録。全セクターでタイムのばらつきが少なく、姉貴分のRINAや兼松に迫る勢いであある。スピンもなく、周りのライバルたちに圧倒されることなく自らのペースを貫いた結果、最終的に2分1秒台中盤まで削り取り、自身の記録を大きく塗り替えた。これを受けてチームメンバーやファンをはじめ、決勝でのバトルに期待が高まる予選となった。

610号機の兼松はトライアンドエラーを繰り返す。それは意味なくマシンを消耗させるようなものではなく、コンマ一秒を削り取るために前進した結果である。その証拠に予選中に記録されたタイムはばらつきが著しい。但し、決してペースが上がっていないというわけではなく、詰めるところはきっちりと詰めているのである。

シーズンを通してFCR-VITAとのダブルエントリーであったことから他のチームメンバーに比べて乗る時間は長くとれていた兼松。故に現状を打開するために貪欲に速さを求め続けた。サーキットだけでなくラリー参戦も積極的にこなす側面を持ち合わせ、クルマとの対話は誰よりも長い。そのストイックさが今期の成長を推し進めた何よりの要因である。限界付近を探りながら上手くつないだ7度目のアタックラップで2分フラット中盤をマークし、15番手を獲得した。

 

予選タイム

・RINA ITO  1‘59.843

・織戸 茉彩  2’01.495

・兼松 由奈  2’00.429

 

 

正午を回り、決勝の刻が迫る。

長女RINAから妹たちへ檄を飛ばされ、それぞれのマシンに乗り込みグリッドへと向かう。チームオーナー佐藤からはスタート前の最後のアドバイスと激励。

 

そして12時35分にスタートが切られたわけであるが、ここでちょっとしたトラブルが発生。スタートシグナル不良である。通常、レッドシグナルが5つ順に点灯し、それらが一斉に滅灯することでスタートとなるところ、レッドシグナルが4つで滅灯。これに対しKYOJOドライバーの面々は一瞬驚きを隠せなかったものの、素早く何事もなかったかのようにマシンを前に進めた。遅れは生じたもののTGRコーナーに向けてクリーンなスタートとなった。

12番手スタートだったRINAは周りのライバルたちよりも素早くスタートに順応し、2台をパス。イン側で粘る#37金本選手に得意のTGRコーナーへのブレーキングで競り勝ち、前へ。続くコカ・コーラコーナーから100Rでは#13の高野選手と並走し、辛くも前に出る。この時点で9番手まで順位を押し上げた。

ポジションキープのまま迎えた2周目のアドバンコーナー、すぐ後方につけていた金本選手にインを刺され、ポジションは10位へ。しかしそう簡単に食い下がるまいとダンロップコーナー進入でレイトブレーキングからインを突いたところ、左フロントと金本選手の右リアが接触。金本選手はそのままスピン、コースオフしてしまう。気を取り直し、RINAは前方のライバルたちの追撃へ。

しかしここで次の刺客が現れる。スタートで前には出たものの予選のラップタイムでは後れを取っていた#86の永井選手にスリップストリームに入られ、3周目のホームストレートで先行を許した。4周目以降はやや前との距離が離れ、5周目のホームストレートでは高野選手にも前に出られてしまう。次々と襲い掛かるライバルたち。更に後方からは#213のバートン選手も襲い掛かかり、6周目のTGR進入にてイン側をとられた。立て続けに抜かれてしまったがRINAは冷静であった。先行されてからも決して差を拡げられることはなく、抜き返すチャンスを窺う。前方では高野選手とバートン選手が激しく競り合っており、ペースが上がっていない。しかしその差を詰めるまでには至らず、10番手でチェッカーを受けた。しかしながら2周目の金本選手との接触がペナルティと判定され、正式リザルトでは10秒加算にて12位となった。

予選ではベストタイムをマークし、グリッドもまた過去最高位を獲得した織戸。スタートは周りに後れをとることなく上手くまとめ、順当な滑り出しとなった。しかし1周目に痛恨のシフトミス。これが響き、序盤はスタート順位から1ポジション落とす場面もあったが、徐々に周りのバトルに挑めるペースを作り上げ、レースを戦った。

これまでKYOJO CUPに参戦するたび下位争いばかりであったが、今回は予選からの良い流れを汲んで決勝でも2分2秒台をベースとしたレースラップで走行。前を走るライバルに何度も仕掛ける姿がこれまでとの違いを印象付けた。#34井下選手の前に出て、一度は前に出られてしまった#7おぎねぇ選手にもレース終盤では果敢にバトルを仕掛ける。あと一歩というところまで迫ったものの惜しくも届かずチェッカー。スタート時より1ポジションアップし、後方に4台を従えてフィニッシュした。

リザルトもレース中のポジション取りも着実に上がっている。ベストタイムの更新だけでなくその技量は間違いなく向上し、今後も伸び続けることが期待される。普段から様々な車に触れる機会もあり、その応用力は今後ますます発展していくであろう。これからが楽しみなドライバーであることは間違いない。

兼松もまたスタートを順当に決めた。周りのライバルたちが若干もたつく中、隙を突いて2つポジションアップし、前を行くバートン選手に追いすがる。しかし、想定以上に前を行くライバルたちのペースは速く、徐々に離されていく。次第に集団がいくつかに分かれ、トップ集団、8番手9番手争い、さらにその後方集団が形成される中、13番手争いの集団の中で常にバトルを繰り広げていた。ここで競り合っていたのは#28樋渡選手、#28坂上選手と兼松。序盤からフィニッシュラインを越えるまでこの三つ巴のバトルは続いた。そこに徐々に追い付いてきた#109保井選手も加わり、4台での争いに発展。どの選手も隙あらば前に出ようと巧みにラインを変えて仕掛けるが、逆にどの選手も決定的なミスをしないという僅差の攻防。スリップストリームに入るもののブレーキングで先行車が死守し、順位の入れ替えがほとんど起こらぬまま周回を重ねていった。その中で兼松は前後方を双方気にかけながらの走り。落ち着いて相手の走行ラインを見極め、攻めつつ抜かれないような走りを組み立てていった。

拮抗したバトルの行方はあまりにも順位の変動がなく、最終的にはスタート順位とまったく同じ15位でフィニッシュすることとなる。リザルトだけを見ると平凡かつ面白みに欠けるように感じられるが、実際のレース展開は小さな駆け引きが凝集された見ごたえ溢れる戦いの連続であったといえよう。数年でレースを戦う力を培った兼松への今後への期待が高まるところだ。

 

 

レースを終え、リラックスしつつも今回の自身の走りと向き合う。これが次につながる大切な時間である。

 

KOSHIDO RACINGにおける2023年シーズンの富士スピードウェイでの戦いは幕を閉じた。来季はどのような布陣での戦いとなるのか。北海道での活躍のみならず、これまで以上に死力を尽くし、本州においてもその名を轟かせることをチームは誓う。