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2019.01.20 Fuji Champion Race Series 2018 FCR VITA Rd.4 RACE REPORT

Fuji Champion Race  VITA-01 Rd.4
開催日時(FCR-VITA):2018年11月17日(土)
開催地:富士スピードウェイ(静岡)
ドライバー(FCR-VITA):佐藤 元春
マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機
参戦クラス:FCR-VITA
天候(FCR-VITA):予選/曇り、決勝/晴れ
路面予選(FCR-VITA):予選/ドライ、決勝/ドライ
佐藤 元春  予選:23/29位  決勝:17/27位

2018年のFuji Champion Race(FCR)もいよいよ最終戦。佐藤はいつも通りVITA-01クラスにエン
トリーしていた。北海道民とはいえ、この時期ともなると冠雪した富士山から吹き降ろす風が冷た
く感じられ、シーズンの終わりを肌で感じさせられる。空気も澄んでおり、富士山もくっきりと
その姿を見せていた。そんな凛とした11月の空気の中、VITA-01での今年最後の決戦の火蓋が切ら
れた。

<DAY1> 11月16日(金)
公式練習走行(30分×4本)

いつも通りであればレースウィークの木曜日には現地入りし、フリーでのスポーツ走行枠を使って
練習走行に励んでいるが、今回は専有イベントが入っていたために金曜の公式練習からの走行と
なった。
この日の1枠目は8:30からのスタート。第3戦に引き続きKoshido Racingドライビングアドバイザー
である平中選手がまずステアリングを握る。限られた時間で走りを組み立てていく必要がある
ため、最初のこの時間を平中選手がドライブし、セッティングの方向性を打ち出していく。

天候は快晴。冒頭でも述べたとおり空気は冷たく、エンジンの伸びには一役買いそうな気候である。
しかし実際に走り出してみると、今期常に悩まされ続けていたエンジンパワー不足に苛まれる。
コーナー進入では鋭く間合いを詰めていく平中選手。そのままの勢いでコーナーを立ち上がるが、
あっさりと他のVITAに離されていく。特に1(TGR)コーナー、アドバンコーナー、最終パナソ
ニックコーナーなど、低速まで減速した後に長いストレート区間を有する場所で顕著にみられて
いた。また、立ち上がりで上り勾配になっていくダンロップコーナーでもパワー不足がはっきりと
現れていた。

それでもタイム的には2分2秒340と、今期610号機で記録した富士スピードウェイでのタイムの中
では最も速かった。
9:50からの2枠目は佐藤がコースイン。やはりパワー不足は否めないが、挙動は安定している。
最終戦ということもあり、佐藤は今回悔いなく走り切りたいと練習走行より気合が入っていた。
燃料は満タンかほぼそれに近い状態での走行。ライバルのVITAと一緒にコーナーに飛び込むと
アンダーステアが顔を覗かせることもある。しかし、そんなトライ&エラーを繰り返しながら自ら
の走りを組み立てていく。
インタープロトやCCS-Rとの混走で、なかなか自分のラインに乗せて走ることができなかったが、
2分3秒930をマーク。続く3枠目では3秒フラットまで縮めた。

最終枠も時間いっぱい走り切り、ライバル車との駆け引きやマシンの動きのチェックに勤しんだ
佐藤。タイヤが喰いすぎることで100Rが失速気味といった状況ではあったが、3秒台半ばをコンス
タントにマークし、練習走行を終えた。

練習走行結果

佐藤 元春:2’03.050(AIM計測)

 

<DAY2> 11月17日(土)
公式予選(8:35~8:55)

上空にはところどころ雲がみられるものの、天候は前日に引き続き概ね晴れている。気温は前日
同様低く推移しており、水温管理には気を使う。他車にストレートで大きく水をあけられるという
現状を打開できないまま最終戦にもつれ込んだ今シーズン、オーバークールによるパワーロスを
最小限にとどめるべく、エアインテークのテーピングを入念に行う。

車両の準備が終わったところで、佐藤はしっかりとタイヤに熱を入れながらコースインする。練習
走行で走りの組み立てができていた佐藤は、2周目より即アタックを開始。最初のアタックラップ
で2分5秒507を記録したのち、周回を重ねるごとにコンマ数秒ずつ短縮していく。水温はコース
イン前にテーピングしたにもかかわらず最高で66.8℃と低めであった。参考までに、今年の610号
車の富士スピードウェイでのベストタイム記録時の水温に比べると5~10℃ほど低く、パワーが
潤沢に出ている状況ではないことが予測される。挙動を大きく乱すこともなく、すべてにおいて
まとまった走りではあったが、タイムは2分4秒1と伸び悩んだ。やはり今シーズンの富士スピード
ウェイでの戦いを象徴するストレートでの多大なる遅れが最後まで足枷となり、23番手という
順位で予選を終えた。

公式予選結果

佐藤 元春:2’04.129

この日はスーパーFJの最終戦も併催されており、北海道クラブマンカップシリーズVITA-01で
Koshido Racingから参戦していた石崎竜一朗が出場。今期シリーズ参戦しており、年間チャンピ
オンをかける重要なレースである。

予選2位からのスタートとなり、ポイントランキング2位の選手との僅差のバトルが続いたが、
ライバルより前でチェッカーを受け、見事シリーズチャンピオンを決めた。

 

決勝(12:30~ 10LAP)

天候は快晴となり、気温は少し上昇。予選ではなかなか期待通りの値に達しなかった水温も上昇が
見込まれる。いつもと同じようにピットロードを出たところから丁寧にタイヤを温め、自らの
スターティンググリッドに向かう。
サインボードの見落としのないよう、改めてピットの位置をチェックする佐藤。

今回のFCR-VITAは最終戦ということもあってか、エントリー台数がこれまでのレースに比べて
2割ほど多く、一層賑やかな様相を見せている。
グリッドについた佐藤は、緊張のスタートを待つ周囲の喧騒に流されることもなく、最後の戦いを
前に心頭を滅却する。悔いを残さないために。

いよいよスタートの時。
ここ最近のレースでのスタンディングスタートは安定の速さを見せる佐藤。今回は富士スピード
ウェイでのドライ路面ということもあり、4000rpmからのクラッチミート。これが絶妙なトラク
ションを生み、スタートから1コーナーで1台をパスする。そのままの勢いでさらにポジション
アップしたいところではあったが、タイヤはまだ冷えた状態であり、100Rではアンダーステアも
オーバーステアも出る。ここは素早い修正舵でマシンを抑え込み、ポジションをキープした。
タイヤも温まりつつある2周目は挙動が安定し、コカ・コーラコーナーでコースアウトしている
車両を横目にスムーズなステアワークでコーナーをクリアしていく。同一周回の最終コーナーでは
アンダーステアを出した前走車を立ち上がりでパスし、そのままイン側をキープ。ストレート
スピードに勝るライバルを相手に1コーナーで何とか前に出る。
インフィールドに入ってしまえば、ミスをしない限りほとんど抜かれることはない。次のストレー
トまでにマージンを稼ぐべく、アグレッシブに攻め続ける佐藤。これまでのレースより細かなカウ
ンターを何度も当てている姿が見受けられた。

レースは4周目。ダンロップコーナーでスピンしているライバル車両を冷静にかわし、それ以降は
単独走行が続く。レースラップも6周目に突入し、13コーナーで失速しているライバル1台をパス。
そのまま最終コーナーまで速度を維持し、スリップにつかれないようにホームストレートでは
ラインをずらす。


今年最後のレースを戦う佐藤を、チームスタッフ全員が見守る

7周目、100Rでアンダーステアを誘発し、アドバンコーナーでの進入スピードが落ちる。久々の
ドライビングミスに一瞬リズムが崩れかけたが、即修正。しかし、その周の最終コーナー立ち上が
りから後ろに張り付かれ、スリップストリームから抜け出た1台に1コーナーで再び前に出られる。
その後、ホームストレートで差を拡げられてはインフィールドで詰めるといった状況を繰り返し、
そのままフィニッシュ。最終的に17位まで順位を上げてのゴールとなった。

シーズン中、マシンを労わりながら走り続けてきた佐藤であったが、今回の最終戦では後悔しない
ためにも遠慮することなく、全力を出し切って走り切りたいとレース前より話していた。結果、
マシン性能のハンディを背負いながらもポジションを6つ上げたことは、来シーズンへの手応えと
なったはずである。

 

~レース後、チームオーナーコメント~

1年間全戦参戦したうえで、自分が考えていることすべてをお話ししたいと思います。 それは
マシンに個体差がありすぎるということです。これはプロドライバーに乗ってもらい、他のサー
キットでコースレコードを持っている若手ドライバーも乗せましたが、明らかに他のマシンより
3〜4秒遅かった。同じようなセッティング、同じようなエンジン・ミッション、同じような水温・
油温管理で臨んでもそれだけの差がありました。こればかりはどうしても覆すことができません
でした。セッティングと自分の実力で1秒は覆すことができても、3〜4秒という差は不可能です。
我々の見解としては、おそらくフレーム自体の個体差が大きいのではないかという判断になりま
した。来季に向けては新しい車両を購入して、それが皆と戦えるマシンであることを信じて、
本当の意味でのイコールコンディションで戦いたいと思います。それが実現した時にはしっかりと
結果を残し、メカニック、エンジニア、ドライバー、チーム全員の成果を見せたいと思います。

Koshido Racing 佐藤 元春