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2019.01.20 北海道クラブマンカップレース2018 Rd.4 VITA-01 RACE REPORT

北海道クラブマンカップレースRd.4 VITA-01
開催日時:2018年9月30日(日)
開催地:十勝スピードウェイ(北海道)
ドライバー:佐藤 元春(#610)、石崎 竜一朗(#310)、竹谷 和浩(#712)、
大島 良平(#777)
マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機、310号機、712号機、777号機
参戦クラス:北海道クラブマンカップレース (VITA-01クラス)
天候:予選/曇り、決勝Race1/曇り、決勝Race2/雨
路面:予選/ドライ、決勝Race1/ウエット、決勝Race2/ウエット
佐藤 元春  予選:1/14位 決勝Race1:1/14位 決勝Race2:2/14位
石崎 竜一朗  予選:2/14位 決勝Race1:6/14位 Race2:7/14位
竹谷 和浩   予選:9/14位 決勝Race1:5/14位 Race2:1/14位
大島 良平   予選:10/14位 決勝Race1:8/14位 Race2:5/14位

 

日中も肌寒い日が続き、日没後は明らかに寒さが増す9月の末日、北海道クラブマンカップ最終戦
となる第4戦が開催された。本レースは1~3戦とは異なり、2レース制で争われる。1レースは10周
で、いつもより2周ほど少なく設定されており、予選は1レース目に対してのみ行われる。2レース
目のグリッドは1レース目のベストタイム順に基づいて決定される。
今回は第3戦で都合がつかず参戦できなかった竹谷が712号機に戻り、310号車には石崎、610号車
は佐藤、777号車に大島良平と、この3台はいつもと同じラインナップ。全車レギュラードライ
バーでのエントリーとなった。
今期はこのシリーズでまだ優勝がないKoshido Racing。各々最終戦で何としてでも表彰台の頂点を
ものにしておきたいという思いが強くあった。

<DAY1> 9月28日(金) 練習走行

佐藤と石崎両名はこの日から十勝入りし、フリー走行枠での練習に励んでいた。同日は他にも数名
のライバルたちが走行しており、#61 HDC 日本平中自動車の平中繁延選手や#88 OPTech☆東北海
道ヤナセの坂野選手の他、同月初旬に開催された耐久戦に続いてエントリーしている選手たちも
走行していた。
この日は11:30からの走行開始となった。天候は晴れており、正午近くになるが、気温は15.5℃と
すっかり涼しい気候となっている。湿度は58%でコンディションとしてはまずまず良好といった
ところ。北海道クラブマンの最終戦ということもあり、ドライビングアドバイザーである平中克幸
選手も駆けつけ、一本目の走行枠でマシンとコースの感触を確かめるべくVITAに乗り込んだ。

決して暑くはないが、走り出して数周で水温が90℃まで上昇。最高速の伸びにも影響し、ラジエ
ターエアインテーク部のテーピングを調整して再度コースイン。調整後の水温は82℃。1分33秒
フラットをマークし、午前の走行を終える。
午後は車高を5ミリ下げ、タイムは1分32秒5とさらに短縮。気温は17.3℃まで上昇していたが、
水温は午前の走行時と変わらなかった。
佐藤は15:30からコースイン。遅いスタートとはなったが、練習に長い時間を費やしてきた十勝と
いうこともあり、マシンのセッティングの方向を確認しつつ、15周回ほどで走行を切り上げた。
ベースのタイムを1分33秒台前半とし、所々32秒台をマークする走りをみせていた。
同日十勝入りしていた石崎は、ドリフトコースを使用し、自らが乗るエンジンオーバーホール後
の310号機の慣らし走行に徹していた。

練習走行結果

佐藤 元春:1’32.896
平中 克幸:1’31.532

 

<DAY2> 9月29日(土) 特別スポーツ走行

前日の夜に竹谷が合流し、早朝には大島良平も十勝入りとなった。これでKoshido Racingのドライ
バーが勢揃いし、ピット内のムードもより賑やかなものとなる。併催のNetz Cup VITZレースに
参戦中の清水宏保選手も訪れていた。

一枠目の走行開始は9:40から。気温もまだ上昇しておらず、エンジンには好条件であるためか、
各車ベストに近いタイムをマークしていく。その後の走行枠は11:00~、12:20~、13:40~、
15:00~と続き、次第に気温・湿度ともに上昇していたが、一枠目で佐藤が1分32秒6、大島良平が
1分33秒8でこの日のベストとし、午後からは竹谷が1分34秒4、午前中の走行枠いっぱいを慣らし
に使った石崎が1分32秒8で午後にベストラップを記録した。


惜しみない努力を重ね、技術が熟成しつつある佐藤


参戦一年目にして目覚しい成長を遂げた大島良平

どのドライバーも全走行枠を通してタイムのばらつきが少なく、安定してベストタイム近辺を刻み
続けていた。これは一年間の走行経験を通して培ってきた技術が成せる業といえる。決勝での安定
した戦いにチームの期待も高まっていた。

練習走行結果

佐藤 元春 : 1’32.673
石崎 竜一朗: 1’32.865
竹谷 和浩 : 1’34.442
大島 良平 : 1’33.811

 


長い慣らし走行を終え、一息つく石崎。エンジンコンディションに手ごたえを感じている。

 

<DAY3> 9月30日(日)
予選(8:55~9:15)

天候は曇り。予選前の気温13.9℃、湿度88%。上空を覆う雲は厚く、高い湿度と相まって今にも
雨が落ちてきそうな空模様である。

雨天に変わる前にと、各車順序コースインしていく。
まず佐藤が1分33秒6で周回し、2周目には早くも32秒台へと短縮する。続いて石崎も33秒台前半を
マーク。その後周回を重ねていく毎にコンマ数秒ずつ短縮し、32秒7とした。竹谷・大島良平の
両ドライバーは、34秒台前半をコンスタントにマークし、Koshido Racing勢が順調に上位を占めて
いくと思われた。しかし、ライバル達も手をこまねいてみているわけではない。#88 OPTech☆東
北海道ヤナセの坂野選手が1分32秒台をマークしたのをはじめ、#61 HDC 日本平中自動車の平中繁
延選手や#11 さくら眼科十勝スクールの今野選手、#9 十勝レーシングスクールTAKUMI01の鬼塚
選手、また#3さくら眼科☆OWLwithRS-α01の古井戸竜一選手も相次いで33秒台を記録し、
Koshido陣営の行く手を阻む。
最終的に1分33秒台に4台が入り込み、竹谷・大島良平はそれぞれ9・10番手につけた。32秒7を
記録していた石崎は辛うじて坂野選手の追撃を振り切る形で2番手、佐藤はその後さらにタイムを
縮め、1分32秒489でポールポジションを獲得。

予選結果

佐藤 元春 : 1’32.489
石崎 竜一朗: 1’32.730
竹谷 和浩 : 1’34.205
大島 良平 : 1’34.288

 

決勝Race1(11:25~、10LAP)

スタート時こそ降ってはいないものの、予選後からそれまで続いた雨により路面はウエット状態と
なっていた。気温は14℃、湿度89%。コンディションが悪化しているにもかかわらずKoshido
Racingの面々には緊張している様子はない。気負いというより寧ろこれからのレース展開に期待を
寄せているようにすら見える。


応援に駆け付けた家族に囲まれ、良い表情を見せる竹谷


心からレースを楽しんでいることを窺わせる大島良平

各車グリッドへ。フロントローはKoshido Racingが独占している。
気温が低く、濡れた路面でスタートは一層神経を使う。フォーメーションラップでは到底タイヤが
温まる気配はない。ファーストグリッドについた佐藤は低めの回転でクラッチミート。これが絶妙
に決まり、トップを維持したまま1コーナーへ飛び込む。しかしなおも冷えたタイヤが牙を剥き、
2周目までは温まる様子はなく、アンダーステアもオーバーステアも襲ってくる。ウエット路面に
対応すべくラインは一車幅分ずらし、アウト側は縁石にのらない程度に目一杯コース幅を使って
立ち上がる。アウト側の縁石はのった途端に足元をすくわれるため、このコンディションで使う
のはご法度である。
石崎はスタートで一瞬出遅れる。それでもホイールスピンは最小限に抑え、冷静にトラクションを
確保した。しかし時すでに遅しといった勢いで、1コーナーまでに周りのライバルたちに一気に
並ばれ、苦しいラインを迫られた石崎は一気に6位に後退。そこで焦りが出てしまったか、2コー
ナー立ち上がりで痛恨のスピンを喫してしまう。コース外に半車身飛び出してしまったが、幸い
スタックはせず、最後尾ですぐにコース復帰。そこからは覚醒したかの如く、前走車を追い上げ
る。2周目だけで3ポジション取り返し、続く3周目ではSAURUS Jr.を捉える。ラインを塞がれ、
苛立つ場面も見られたが、挙動を乱した隙を見逃さず前に出る。その後も勢い止まらず、もう一台
パスする。

竹谷は絶妙なスタートを決め、#95 幸伸建設Y’sステップの坂本選手との1コーナーでの競り合いに
勝利し、その後2コーナーでの石崎のスピンによる混乱に乗じて一気にポジションを3つ上げる。
しかし、その後に背後から再び後続車に並ばれ、行き場をなくした結果、#89 M.A.R.T STEPの
後藤選手と#95坂本選手の2台に先行を許す。その後はすぐに後藤選手を抜き返し、ポジションを
ひとつ回復させ、坂本選手に追いすがる。
ルーキーイヤーにして上位陣に食い込む健闘ぶりをみせている大島良平は、大きなミスこそない
ものの、これといった決め手に欠け、スタート直後はなかなかライバルたちの前に出られない。
しかも2周目には70Rでの痛恨のミスで最後尾にまで後退。ここからの巻き返しは相当困難で
あった。
3周目からは各車挙動も安定するが、速度はそこまで乗せられない状況。佐藤は1コーナーで3速を
使うこともあるほど。挙動を安定させるためにシフトダウンのポイントもずらすなど、随所に佐藤
の工夫が見てとれた。この積み重ねで2位との間にかなりのマージンを稼いでおり、このままいけ
ば順当にトップチェッカーを受けられる…チームの誰もがそう考えていた矢先、ライバル2台が
絡んでコース上にマシンが残ってしまい、6周目にセーフティーカーが導入された。これにより
佐藤がこれまで築いてきたマージンはゼロに。今季、様々な試練に見舞われた佐藤であったが、
最終戦においてもなお試練は重なる。2周にわたってセーフティーカーが先導する中、リスタート
に向けてタイヤ及びブレーキが冷えないようスロットルとブレーキを巧みに使う。それでも油断
するとオーバーステアが顔を覗かせるため、終始気の抜けない状況が続く。
路面が一部乾きつつある中、セーフティーカー解除。石崎は次の一台をパスするべく真後ろに
つけたところでのセーフティーカーというタイミングとなり、#89の後藤選手を視界に捉えた
ままリスタートの時を待っていた。ファーストラップではまさかのスピンから一時は絶望的な
レース展開となることも予想されたが、セーフティーカー解除後に#9 十勝レーシングスクール
TAKUMI01の鬼塚選手とのバトルも制し、最終的にポジションを7位まで上げ、フィニッシュ
した。ラップタイムでは驚異的な追い上げをみせたことから出走車中トップタイムをマーク。
Race2でのポールポジションを決めた。一方、竹谷は前を行く坂本選手に1コーナーのブレーキン
グでラインを変え、揺さぶりをかける。オーバーが強い712号機を上手くねじ伏せ、残り周回を
常に全開で攻め続けた。予選では振るわなかったが、気が付けば巧みなレース運びとマシン
コントロールで5位にてチェッカーを受けた。しかもレース周回中で2番手のタイムを記録すると
いう健闘ぶりであった。
一時は巻き返し困難と思われた大島良平であったが、2周目以降は堅実な走りでひとつずつ順位を
上げていった。ライバルたちがスピンやコースオフで遅れていく中、最初のミスを感じさせない
走りで挽回していく。

この時、ウエット路面でのVITAの動きを確実に掴んでいた。ツボに嵌れば速いが、どことなく安定
したレース運びに課題が残っていた大島良平。Koshido Racing期待のルーキーは、レースを重ねる
ごとに確実に躍進し、その結果が今回、最後尾からの追い上げ8位という結果に結びついた。
そしてトップを守っていた佐藤。ピットロードに消えていくセーフティーカーを横目に、無事に
リスタートを切る。しかもこれまでよりもブレーキングが鋭くなっている。一時はどうなることか
と思われたが、コーナーを抜ける度に再び2位との差が拡がり、佐藤は安全マージンを残した走り
に切り替える。それでも他の追随を許さず、念願のトップチェッカー。

一年間紆余曲折しながらも努力を続けてきた佐藤に、ようやく勝利の女神が微笑んだ。苦労して
手にした優勝だけに、佐藤もチームの喜びもひとしおである。


完璧なレース運びでの勝利。難コンディションでの好レースをライバルたちと称え合う

 

決勝Race2(14:35~、10LAP)

Race1を終えたドライバーやチームスタッフの面々は数時間後のレースに備え、一息ついていた。
待ちに待ったKoshido Racingの今期初勝利に酔いしれつつ、Vitzレースに参戦する清水宏保選手の
応援のため、グリッドに駆け付ける。同じ北海道出身で、日本各地を転戦する仲間として活躍を
祈るばかりである。


Netz Cup Vitzレース参戦の清水宏保選手

清水選手のレース後、程なくしてRace2の時刻を迎える。
ポールは前述の通り石崎。セカンドグリッドには竹谷がつけ、またもフロントローをKoshido
Racingが独占する形となった。Race1優勝の佐藤は3番手で、こちらもまた好ポジションが狙える
位置につけている。大島良平はRace1のスタートポジションから2つ順位を上げ、今回は8番グリッ
ドからのスタートとなった。
Race1ではぱらつく程度だった雨が本降りとなっており、路面はよりハードウエットに。完全に
濡れてしまっているという点では突如挙動が乱れることはないが、路面温度はより低くなり、滑り
やすいことに変わりはない。スタートでは今回もシビアなクラッチワークとスロットルコント
ロールが求められる。しかし、そんな過酷な状況の中でもやはりKoshido Racingの面々に緊張の
様子は見られない。


ヘビーウエットながらまったく気負いを感じさせない竹谷。同じ712号機で戦う中川が激励する

Race1でトップタイムをマークし、Race2での善戦を誓う石崎
いよいよ北海道クラブマンカップシリーズVITAレースの2018年最後の戦いが幕を開ける。
ポールの石崎はややストール気味のスタート。好スタートを切ったイン側2番手の竹谷に先行を
許す。しかし1コーナー立ち上がりですぐさまポジションを取り返した。
一方の竹谷は、トップ石崎のすぐ後ろでぴったりとマーク。守りのラインの石崎に対し、雨に臆す
ることのない一歩攻めのラインで肉薄する。
3番手の佐藤はスタートでややホイールスピンが多くなったものの、ポジションをキープしつつ
ペースを作っていく。70Rで一瞬トラクションが抜け、姿勢を乱したが即修正し、引き続き前を
追う。すぐ前方で石崎と竹谷が競り合うのを冷静に見つつ、丁寧にマシンを前に進めていった。

大島良平はミスなくスタートを決めるが、ファーストラップ中で一つ順位を落とす。しかし、
前レースである程度ウエット路面のコツを掴むことができていたためか、2周目以降の挙動は終始
安定。早々に元のポジションを取り返し、前を行くライバルたちの隙を虎視眈々と狙う。ラップ
タイムは2周目に1分54秒であったのに対し、周回を重ねるごとにコンマ3秒ずつ、あるいは1秒近く
短縮していき、レース後半には1分50秒台まで縮めてきた。その後半のペース上昇ぶりに、周りの
ライバルたちも驚きを隠せなかったはずである。残り2周のところで前方2台がスピンしている横を
冷静に通過し、ファイナルラップではさらに1台の前に出てトータルでポジションを3つ上げ、
今シーズンの最高順位である5位でフィニッシュした。

石崎はRace1でのスタート直後のスピンのこともあり、慎重にファーストラップを走り切る。
その後堅実に周回を重ねていたが、2位竹谷プッシュがやまず、ミラーに目を運ぶ回数が増える。
レースも後半になると、いよいよ竹谷が真後ろまで迫っていた。前を走る310号機によって水しぶ
きが激しく舞い上げられ、前がほとんど見えない中、7周目の2コーナーで竹谷が仕掛ける。インに
飛び込まれた石崎は、そのままトップの座を明け渡す。クロスラインでのポジション挽回を試みた
が、立ち上がり車速がうまくのらず、そのまま2位に甘んじた。そこから追撃態勢に入るが、焦り
が出たか、8周目の6コーナーで痛恨のスピン。一気に7位までポジションダウンしてしまった。
その同一周回の最終コーナーにて前の2台が姿勢を崩し、コースオフしている間にポジションを
二つ戻した後、9周目の3コーナーで前走車のインぎりぎりをかすめ、#11 さくら眼科十勝スクール
の今野選手の前へ。辛くもポジションを一つ上げ、4位まで復帰する。しかし、この路面にセッ
ティングを合わせきれなかったのか、ファイナルラップの6コーナーにてまたしてもスピン。再び
順位を落とし、7位でゴールした。
レース序盤の石崎のミスで2番手にポジションアップした佐藤は、何度か前に仕掛けにいくが、
竹谷のブレーキングに追いきれない。実際、レース後にも「どんどん離れていった。追いつく気が
しなかった」と称賛のコメントを残している。より強くなる雨脚の中、路面μはさらに低下し、
シビアな挙動に神経をすり減らす戦いが続いたが、決して追うことはやめず、アグレッシブに走り
切り、2位でのゴールとなった。
基本的にターンインで早めに向きを定め、トラクションをかけながらコーナーを脱出する竹谷。
車の姿勢は終始安定しており、大きなミスはほぼ皆無であった。7周目で石崎の前に出た竹谷は
その後さらに勢いを増す。しかし、熱くなりすぎることはなく、ひたすら冷静にマシンを前に
進める丁寧な走りに徹していた。

結果、2位の佐藤以下を徐々に引き離し、そのままゴール。悲願のトップチェッカーである。
シリーズ参戦し、初めてのポディウム中央を勝ち取った竹谷。Race1に続き、またもKoshido
Racingのピットは歓喜に沸いた。


竹谷初の表彰台、そして優勝。ピットも一層の盛り上がりを見せた


初のシャンパンファイトに歓喜の表情を見せる竹谷

 

なお、佐藤は最終戦での優勝・準優勝で一気にポイントを獲得し、シリーズ2位でクラブマン
カップを終えることとなった。
北海道クラブマンカップ最終戦は、まさにKoshido Racing Dayとなった。今期苦労を重ね、時には
辛い結果にも向き合わざるを得なかったこともあったが、努力の継続とチームワークで勝ち取った
結果といえよう。この一年間で積み上げた経験をもとに、来期以降もメンバー全員が善戦を誓った。

~レース後、チームオーナーコメント~
今年は再三再四にわたるエンジントラブル、ミッショントラブル、ECUトラブルに見舞われ、非常
に悔しい思いをしてきました。最終戦ということもあり、ここでしっかり表彰台の頂上に上って
登ってやろうという気持ちで臨みました。事前の天気予報で雨に移行する予報だったので、予選で
しっかりアタックしてポールポジションを獲得し、ポールトゥウィンで逃げ切るしかないと考えて
いました。雨になりコンディションが悪くなってくると、視界も遮られ、オーバーテイクのリスク
も高まります。そのため先行逃げ切りが最も勝利に近い戦法であると考えました。故にスタート時
のクラッチミートもいつもより回転を低めに、かつ丁寧につなぐこと、そしてタイヤが冷えた状態
でのスタートであることから、トラクションが抜けやすいことを念頭に置き、路面にパワーがしっ
かり伝わるよう早めのシフトアップを心掛けました。かつインとアウトに入られないよう、ミドル
より若干外のラインから1コーナーに進入し、きれいに立ち上がることができました。
これまでドライのみならず、セミウエット、ウエット、台風と、様々な状況下で練習を重ねてきた
ため、どのコンディションでも戦える自信はありました。やはり重要となってくるのは、オープニ
ングから2ラップ目でいかに後続車を引き離すかというところにあったので、そういった練習も
意識的に行ってきました。タイヤが冷えた状態でグリップの限界値を掴み、そこを引き出せるよう
な練習をしてきたことが功を奏し、スタートを上手く決めることにつながったと思います。1コー
ナーをトップのまま抜けられたこと、続く2,3コーナーでウエットにおけるレーシングラインを
トレースできたことで、後続が徐々に離れていく姿が確認できたことから、2周目からは若干の
マージンを残しながら少しずつ引き離すという戦法に切り替えました。ところが6周目にセーフ
ティーカーが入り、リスタートが切られる状況になったことで、築き上げてきたマージンがゼロに
なりました。セーフティーカーが先導している間、タイヤの熱が逃げないようブレーキングによる
熱入れを続けていましたが、2周スロー走行する間に想定以上の内圧低下が感じられたため、
セーフティーカーが戻った後は焦らずに1コーナーを抜けることを意識しました。予想以上に雨も
強くなり、タイヤの熱も逃げてしまったことからグリップ感がかなり低下していたため、後続車を
大きく離すことよりしっかりと自分のラインを確保して、少しずつマージンを稼ぐということに
意識を集中させました。ウエットコンディションではミスを誘発しやすくなります。ミスなく走り
切れば勝てるということがオープニングラップで体感できていたので、丁寧な走りを心掛け、その
ままチェッカーを受けることができました。
最後のレースで優勝、準優勝という好成績を残すことができたのは、北海道クラブマンカップ
レースに出場しているライバルの皆様が素晴らしい走りをしていること、自分もそれに負けじと
練習を重ね、レースバトルのスキルを向上させなければならないという意識を持つことができた
ことが大きな要因です。良きライバルの皆様に感謝いたします。

Koshido Racing 佐藤 元春