2018.08.29 WAKO’S cup Rd.2 SUN耐 7時間耐久 RACE REPORT
WAKO’S cup Rd.2 SUN耐 7時間耐久
開催日時:2018年8月5日(日)
開催地:十勝スピードウェイ(北海道)
ドライバー:佐藤 元春、常松 巧、市川 篤
中川 隆吾、石崎 竜一朗、大島 良平
マシン:Koshido Racing Lair DC5(インテグラ タイプR)
Koshido Racing FD3S(RX-7) ※慣らし運転
参戦クラス:25VTECクラス(DC5)
6スタンダードクラス(FD3S)
天候:予選/曇り、決勝/曇り
路面:予選/ハーフウエット、決勝/ドライ
予選(DC5):4/47位(佐藤 元春) 決勝3/47位
8月に入り、暑さがより厳しくなる中、第1日曜日に耐久シリーズの第2戦であるWako’s SUN耐
7時間耐久レースが十勝スピードウェイにて開催された。
コースは普段ほとんど使われないグランプリコース。とは言っても、いつも走っているクラブ
マンコースに1周1,700mのジュニアコースを合わせて構成されるものである。この二つのコース
が組み合わせられることによって一周は5100mに及び、国内サーキットでは最長の部類に並ぶ。
クラブマンコースとジュニアコースの繋ぎの区間では走り慣れないコーナーも出現するため、
また新たな攻略が必要となるコースである。
今回のエントリー車両は、Lair Factory関川氏によって仕上げられた元S耐車両のDC5と、GNR
RacingによってセッティングされたフルチューンのFD3S。後者はエンジン換装後ほとんど走行
していない状態であるため、今回のレースは慣らし運転が基本となる。
ドライバーラインナップは、Koshido Racingチームオーナー兼エースドライバーである佐藤を
筆頭に、昨年11月のSUN耐でも一緒に戦った常松、恒志堂車両初乗りとなる市川がDC5を担当。
一方の慣らし運転FD3SはKoshido Racingレギュラードライバーの中川、VITA戦のゲストドライ
バーである石崎と大島良平が担当した。
慣らし運転担当のドライバー3名。左から石崎、中川、大島良平
<DAY1> 8月4日(土) 練習走行
7月末からの酷暑続きの気候とは打って変わり、この日の気温は22.5℃。時に肌寒さすら感じる。
昨年11月の耐久レースではガス欠とミッショントラブルに見舞われたDC5。練習走行1本目は市川
が走行。まずはLair Factory関川氏よりマシンの特性と注意点について説明を受け、久々のサー
キット走行に身体を慣らすべくピットアウト。初乗りとなるDC5の動きをみつつ、3速の保護と
燃費重視で設けたエンジン回転制限を守りながら徐々にペースを上げる。車は非常に扱いやすく、
デファレンシャルのおかげでグイグイ曲がる。元々S耐車両ということで、他チームの同車種より
100kgほど重いが、それを感じさせない動きに関川氏のセッティングの懐の深さを感じつつ、
周回を重ねていった。
Lair Factory関川氏よりアドバイスを受ける市川。
次は佐藤がコースイン。昨年秋の510㎞耐久レースで乗った感覚を取り戻すべく、マシンの調子を
みながら走らせていく。コースイン後の数ラップを様子見に使い、一旦ピットストップ。タイヤ
を変えて再びコースインする。練習走行の傍ら、翌日の決勝で使用するタイヤの熱入れも並行
して行っているこの日の走行。皮むきの終わっていない新品タイヤや中古タイヤを入り交えての
走行となったが、以後すべて2分26~27秒台にてコンスタントに周回を重ねていく。コンディ
ションが変化する中でのこの安定した走りは、エースドライバーならではといえよう。
佐藤に次いでは、こちらも昨年の耐久レース以来のDC5ドライブとなる常松がコースイン。
しかし給油の指示がうまく伝わっておらず、アウトラップからガス欠症状が頻発。数周我慢の
走りを続けたのち、給油を完了して再びコースへ。以前のレポートでも記載しているが、常松は
元々十勝スピードウェイのFRレコードホルダーである。車両がFFに変わってもその定評ある
マシンコントロール精度に変わりはない。佐藤に次ぐ2分26秒台のタイムを連発し、その速さを
見せつけた。
一方のGNR Racing慣らしFD3Sは中川・石崎・大島良平が順当に周回を重ね、この日トータル
28周、距離にして約143kmを走行した。3500回転縛りで最高速は90km/h足らずであるが、元々
のポテンシャルの高さでコーナーリングスピードは非常にレベルの高いところにある。ヘアピン等
の低速コーナーでは、通常アタックしている車両に肉薄する姿が度々見受けられた。
本来であればもっと走行距離を伸ばせていたはずであったが、低回転縛りに伴うリスクか、プラ
グの燃料かぶりにより急遽ピットイン。この日はそのまま走行を終えることとなった。
練習走行結果
佐藤 元春: 2’26.021
常松 巧 : 2’26.887
市川 篤 : 2’27.660
<DAY2> 8月5日(日)
予選(9:00~9:45)
この日の天候は前日に続く曇りで気温は18.2℃。連日の肌寒い気候となった。
湿度は67%で路面は間もなくドライに移行しそうな様相を呈しているが、予選開始時点では
ハーフウェットからのスタートとなった。SUN耐の予選はフリー走行も兼ねており、各チームの
全ドライバーが交代で乗らなくてはならない。
最初にコースインしたのは市川。前日とは異なる路面コンディションのうえ、47台が一気に
コース上に出たため、慎重にマシンを走らせる。クリアラップが全くとれぬまま3分を回るタイ
ムで周回し、タイヤに軽く熱を入れ2周でピットイン。早々に常松にステアリングを託す。
常松の走行枠でもコース上の混雑状況は変わらない。路面はレコードラインのみ乾いてきている。
常松も2周の走行であったが、他車を巧みにパスし、うち1周を2分28秒2までタイムを詰め、
予選ラストドライバーの佐藤へ。
予選残り時間も少なくなる中、佐藤はアグレッシヴに攻め続ける。アウトラップを終え、次の
アタックラップで2分26秒台をマークすると、次ぐ3周目には2分25秒台を記録。前日の練習走行
より悪条件ばかり揃う中で、しっかりとタイムを更新した。その後は他車に阻まれてタイムを
落としたが、最終的に総合4位の好記録を収めた。
因みにFD3Sは変わらずこの日も慣らし運転に徹していた。それでも予選では5台をおさえ、
42位につけていた。
予選結果
2’25.613(ドライバー:佐藤 元春)
決勝(11:01スタート)
天候は変わらず曇りであるが、路面コンディションはドライが維持されている。湿度は70%と
高めであるが、気温は17.9℃と長丁場を戦うドライバーには優しい気候の中、7時間の幕が開か
れる。今回ドリンクとクールスーツを導入し、熱中症対策は万全を期した。
スタートはローリング形式。スターティングドライバーは佐藤が担当した。メカニックや
スタッフが固唾を呑んで見守る中、セーフティーカーが先導を終えてピットロードへ。緊張感の
高まりとともにグリーンシグナルを待つが、動きがない。そのままシグナルが変わることなく、
スロー走行でスタートラインを超えていく各車。シグナルの不調である。結局仕切り直しとなり、
各車グリッドに整列しなおす。
予定時刻を少し遅れてスタート。グリーンシグナル点灯とともに一斉に咆哮を上げるマシンたち。
どのレースでも同様であるが、スタート直後は各車ライン取りに苦労する。それでも大きな混乱
はなく1コーナーをクリアし、順当にレースは進んでいく。
佐藤は2分25秒台と、予選と変わらぬペースで周回する。コース内には47台ものマシンが混走
しており、グランプリコースといえど決して走りやすいわけではない。そのような中、バック
マーカーを上手く処理し、安定したラップタイムを刻み続ける。スタートから21周を消化し、
セカンドドライバーの市川に交代。
市川はレース経験が浅く、混走には慎重な姿勢。長いレースであり、とにかく接触やマシントラ
ブルを避けるべく走行を続けた。特に昨年11月の耐久でミッショントラブルにより3速を失って
苦戦したという話を受け、7時間を無事に走り切れるよう慎重なシフトを心掛ける。それでも
安定して向きが変えられ、デファレンシャルのおかげで立ち上がりもアンダーステアとは無縁な
DC5に助けられながら、本レースウィークでのベストタイムを1秒ほど更新。予定では20周程度
走行してドライバー交代となっていたが、無線とサインボードのやりとりによって生じた誤解か
ら11周でピットイン。給油を済ませ、サードドライバーの常松へとチェンジする。
佐藤同様、昨年11月に同じマシンで耐久を戦っている常松。その走りは安定を極めていた。前戦
でのガス欠とミッショントラブルにより悔しさを滲ませていた常松は、とにかく車に負荷をかけ
ないよう丁寧に走らせる。しかしこのスティントもまた、コース内は大混雑。バックマーカーを
交わしながらの走行を強いられ続けていた。それでも大幅にペースを落とすことなく、給油により
総合17位まで下がった順位を元の5位まで戻し、24周で佐藤にドライバーチェンジ。
佐藤は1スティント目同様か、それ以上のペースで周回。ベストは予選タイムを上回った。決して
クリアではないコース状況の中で、どのラップも大幅にペースダウンすることなくまとめ上げる。
本スティント開始時に5周あったトップとの差は3周となり15周回で順位を4位に押し上げた。
給油を済ませ、市川にドライバーチェンジ。マシンに慣れてきたためか、1スティント目より各周
のラップタイムのばらつきは少なくなっていた。マシンはトラブルなく、依然として良好な操作
性に安心して周回を重ねる。給油の間に5周回差で5位となったが、15周のスティントで再び4周回
差に戻した。
次は佐藤の本レース最後のスティント。順当に給油を済ませてコースイン。ここではピットイン
による順位変動はなし。レース後半に突入し、マシンも人間も消耗した状態であったが、佐藤は
さらなるハイペースで周回を重ね、ベストタイムを更新。2分24秒台に叩き込む。その最中、
トップのアクアCBシビックが70Rにてクラッシュするというアクシデントにて114周でレースを
終え、これにより順位は3位に繰り上げられた。
昨年ガス欠に泣いたSUN耐。今回それだけは避けたいという思いで給油を予定していたところ、
レッドクロスにて全車スローダウン。幸運にもこのタイミングでちょうど給油に入ることが
できた。順位は落ちたが5位までで食い止められ、最終ドライバーの常松に交代する。
給油にて安全マージンを得たことで、最終スティントはエンジン回転数縛りを解除。DC5本来の
パワーが解き放たれる。前スティントに比べ、全体的に1~2秒早いペースで周回する常松。マシン
も労わりつつ、万全な状態での完走を目指してひた走る。ゴールの時間が刻一刻と迫る中、堅実
な走りで順位をキープ。懸念されたミッショントラブルにも見舞われることなく、無事に140周を
走破し、総合3位で7時間のチェッカーを受けた。
慣らし走行に徹していたRX-7は、この日トラブルなく7時間を完走。112周回にて総合29位で無事
にチェッカーを受けた。ロータリーエンジンながらあくまでも慣らしとして走行し続けていた
結果、燃費がよかったこと、またストレート区間ではゆっくりでありつつもコーナリングは
非常に高いアベレージスピードを保っていたことが大きな要因になったと考えられる。因みに
クラス別では一台のみのエントリーであったため、必然的にクラス優勝となった。
~レース後、チームオーナーコメント~
まずは、メンテナンスを担当してくださったLair Factory関川さん、サポートしてくださった皆様、
ありがとうございました。安心して車に乗ることができ、無事に完走することができました。
順位は3位表彰台という結果で、自分としては立派な結果であると考えてはおりますが、本心と
してはやはり頂点に立ちたかったという思いがあります。 そのためにはより緻密な燃費計算や
ピット作業を煮詰めていかなければならないということを痛感したレースでした。
自身の走りについては、自分のスティントで多々あったオーバーテイクシーンで、クリアであって
もそうでなくてもできる限りタイム差が出ないように走ることを意識して走行しました。コンス
タントにラップを刻むことができたのは自分の大きな成長のひとつであると思います。次回は
11月にも耐久レースがあるので、そこでは総合優勝目指し、皆で力を合わせて臨みたいと思います。
Koshido Racing 佐藤 元春