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2018.09.18 北海道クラブマンカップレース2018 Rd.3 VITA-01 RACE REPORT

北海道クラブマンカップレースRd.3 VITA-01

開催日時:2018年8月19日(日)

開催地:十勝スピードウェイ(北海道)

ドライバー:佐藤 元春(#610)、石崎 竜一朗(#310)、中川 隆吾(#712)、
大島 良平(#777)

マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機、310号機、712号機、777号機

参戦クラス:北海道クラブマンカップレース (VITA-01クラス)

天候:予選/晴れ、決勝/雨⇒曇り

路面:予選/ドライ、決勝/セミウエット⇒ドライ

佐藤 元春  予選:2/14位 決勝9/14位
石崎 竜一朗  予選:1/14位 決勝2/14位
中川 隆吾  予選:8/14位 決勝:5/14位
大島 良平   予選:5/14位 決勝:7/16位

 

真夏の強い日差しも和らぎ、徐々に涼しくなりつつある中、北海道クラブマンカップ 第3戦が
開催された。
本戦も310号車、610号車、777号車のドライバーは第2戦同様であるが、712号車レギュラー
ドライバーの竹谷が今回は参戦できず、代わりに中川がドライブした。

前戦で悔しい結果となった佐藤。今回はセッティングを詰めて臨む。石崎はVITAに大分慣れ、
今回上位入賞が期待される存在となっている。中川は馴染みの712号車であるが、このマシン
では昨年以来の参戦となるため、今回どのように走りを組み立ててくるのかがポイントとなる。
大島良平は、ここ一発のタイムでは上位陣を脅かす存在となってきており、決勝での安定した
走りがきれば表彰台も十分に狙えるところにいる。

<DAY1> 8月15日(水) 練習走行

佐藤は第2戦での走り込み不足とセッティングが詰められていなかったことを受け、レース4日前
から十勝入りしていた。
この日は10時からの走行が可能であったが、当日は雨。セッティングも思うように進まない。
それでも佐藤は黙々と75周にも及ぶ走り込みを終え、ウエットでのVITAの感触を確かめていた。
昨年までのウエットでのタイムと比較すると、確実に縮められている。ドライ・ウエットにかか
わらず、マシンコントロールの幅が広がっていることがわかる。

練習走行結果
佐藤 元春: 1’38.978

<DAY2> 8月16日(木) 練習走行

この日も天候は雨。しかも前日にも増して雨脚は強まっている。マシンコントロールがよりシビ
アになるとともに、オープントップのレーシングカーであるVITAには酷な天候が続く。
前日同様に早い時間からのコースインにて天候を見ながら走行開始としたものの、さすがに
ヘビーウエット路面ではまともに走ることができず、この日は17周で走行を中止した。

練習走行結果
佐藤 元春: 1’49.879

<DAY3> 8月17日(金) 練習走行

この日からは石崎も合流し、練習に挑む。天候はようやく持ち直し、曇り。路面はドライ。気温は
16.6℃で湿度60%。この週末は TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceも併催され、17日はその
練習走行枠も組み込まれる。VITAの走行枠は午後からの2本のみとなる。

 

今回先んじて持ち込んだマシンは310号機と610号機。佐藤・石崎両ドライバーで双方をドライブ
した。セッティングが異なる2台ではあるが、二人ともVITAの動きをよく掴んでおり、どちらの
マシンでも大幅なタイム差はない。

2本目からは水温も上昇して適正値となり、タイムアップしていた。それでもやはり普段乗り慣れ
ている方がタイムの出しやすさに繋がったのか、610号機では佐藤が、310号機では石崎が速い
タイムをマークしていた。

練習走行結果
佐藤 元春 : 1’34.773
石崎 竜一朗: 1’35.205

<DAY4> 8月18日(土) 公式特別スポーツ走行(30分間×3本)

公式練習日を迎える。設定される走行枠はいつも同様に3本。天候は晴れ。気温は21.4℃。
湿度50%台。路面はドライ。
佐藤はこの日、310号機に610号のカウルを換装し、コースイン。前日もドライブしているが、
「面白いセッティング」と感触は良好。まだオーバーに振ってもいける。但し直線は伸びないと
本人。
そして310号の外装を纏った610号機には石崎が搭乗。最初の走行枠では「新品タイヤで食わない」
と手探りでの走行であった。また、4速に入れるときに異音と抵抗があり、いくら丁寧にシフト
しても鳴るとのことで、壊れるのではないかというプレッシャーとの戦いを強いられた。
それでも堅実に1分34秒台をマークしてくるあたりはさすがである。
712号機の中川は、コーナー進入は良いが、スロットル開けたと同時に強いアンダーステアが出る
とのこと。2枠目以降はリアのダンパーを5段硬くして臨む。
777号機を駆る大島良平は、事前にメカニックの熊崎との打ち合わせの上、セッティングを変更
してコースイン。しかし今ひとつプッシュアンダーが消えず、なかなか思うようにタイムが詰め
られない。結果、1分35秒2で頭打ちとなった。悩みながら走り続けていた大島良平であったが、
3本目に4人中唯一タイムを更新。レース当日に向けてよい流れを掴みかけていた。

練習走行結果
佐藤 元春 : 1’34.015
石崎 竜一朗: 1’34.817
中川 隆吾 : 1’35.273
大島 良平 : 1’35.192

<DAY5> 8月19日
予選(9:15~9:35)

天候は曇り。予選前は気温18度、湿度70%。アタックラップ2周目、まず初めに大島良平が
1分33秒台をマーク。その後間髪入れず佐藤も33秒台に叩き込む。続いて石崎が33秒台フラット
でトップタイム。気候的には決してコンディション良好とはいえないが、各ドライバーから
いつもよりタイヤがグリップするとのインプレッションが聞かれた。

各車のタイムアップの背景として、この日併催された86/BRZレースが絡んでいることが関係して
いたのではないかと考えられる。同日に本戦を迎えており、予選走行でコース上に各車のタイヤの
ラバーがのったことで、グリップが増したコースが形成されたと思われる。このレースは車両自体
に差がなく、タイヤ性能が如実に現れる競技だけに、各タイヤメーカーがしのぎを削っている。
それ故にアスファルトに刻まれたラバーもまた強烈にグリップを発揮し、クラブマンカップを走る
車両に大いなる恩恵をもたらしてくれた。最終的に石崎がポールポジションを獲得。佐藤が
2番手で、Koshido Racingがフロントローを独占した。

中川もブレーキングやコーナリングでは躍進を見せるが、ストレートスピードが伸びなかった。
水温63度と低く、本来のエンジンパワーが引き出せていなかったようである。それもそのはず、
予選走行終了後にラジエターのエアインテーク部分が破損していることが判明。VITAは走行風を
まともに受けると、ラジエターにあたる風量が増えてオーバークールになってしまうため、真夏
でもテープ等でマスキングをして調整している。中川の712号機はこの部分の破損によりマスキ
ングの効果が薄れ、ローパワーの状態での走行続けていた。途中普段使わない2速なども使いなが
ら水温上昇を試みたようであったが、状況は改善せず34秒台に留まった。

 

予選結果
佐藤 元春 : 1’33.248
石崎 竜一朗: 1’33.074
中川 隆吾 : 1’34.427
大島 良平 : 1’33.536

 

~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~

佐藤 元春
「自分なりにうまく決めることができた。昨日からリアタイヤの荷重をしっかり意識して練習
して来た。それに合わせたセッティングとし、自分の乗り方も上手くマッチングしたこと予選
の結果を出すことができた。 決勝はチームメイトとのバトルにもなると思うが、トップを目指
して頑張りたい」。

石崎 竜一朗
「路面コンディションが良く、コーナリングスピードが伸びた。その分エンジンの良さを使えた
ことがタイムにつながったと思う。しかしまだ100%の走りではなく、まだまだ伸び代はあるの
で、決勝はその伸び代を生かしてトップで帰ってきたいと思う」。

中川 隆吾
「マシンセッティングはいい方向にきており、前日より乗りやすくなったが、まだ少し減衰を
調整する必要がある。 フロントのインテーク破損により水温が上がらず、パワーがまったく
出ていない。ストレートで前走車のスリップに入っても置いていかれる。それが直れば33秒台
は固いと思う」。

大島 良平
「セッティングが自分に合っている。向きが変わるようになり、コーナリング中の我慢の時間
(空走時間)が減った。昨日に比べて特に上手く走れているという感覚はないが、車速は伸びる。
その分ブレーキングポイントが決まりやすくなったのかもしれない」。

このレースウィークは86/BRZレースとの併催であるが、Koshido Racingのアドバイザーである
平中克幸選手もシリーズ参戦しており、 プロ同士のしのぎを削る争いが観客を魅了した。

VITZレースには清水宏保選手も参戦しており、ピットに訪問された。Koshido Racingの雰囲気も
ひときわ賑やかになる。

決勝(13:30~、12LAP)

予選での好ポジションに胸を躍らせていたのも束の間。決勝コースイン時刻が迫る。
どのレースにおいても同じであるが、ドライバー・エンジニア・メカニック・スタッフ皆が緊張の
面持ちで迎えるこの時間。


決勝コースイン。メカニックやスタッフが真剣な眼差しで各車を見守る。

各車がコースインし始めると同時に、雨がパラパラと落ち始める。公式練習から予選までドライ
路面が維持されていた中での急なコンディションの変化に、関係者たちの不安がよぎる。完全な
ウエット路面に移行しそうな雨の強さではないが、マシンコントロールがシビアになることは
十分に予想できる。そのような中、エンジニアの熊崎より中川にブレーキバランスについてアド
バイスがとぶ。しかし、どの程度の調整幅とするかは本人の感覚次第。これまでの走行経験を
もとに、中川はVITAに備え付けられているバランサーに手をかける。

各車グリッドにつく。佐藤のもとに平中選手も駆けつけてくれた。そして波乱が予想される決勝
レースが幕を開ける。


スタート前の佐藤に、平中選手よりエールが贈られる


決勝前、エンジニアよりアドバイスを受ける中川。

フロントローの2台はいずれもスタートが決まらず、それぞれポジションを2つずつ落とす。路面は
濡れはじめの状態でμが低下。さらに縁石にのると一気に姿勢変化を招いてしまう。

スタートで若干出遅れた佐藤は1周目の2コーナーでイン側についていたものの、アウト側より前を
しめられ、内側にコースアウト。その間に1台にパスされる。その後も6コーナーでアウト側に押し
出され、接触を避けたい一心で後退を余儀なくされる。常に自分の車両を大切に扱う佐藤。他車の
ブロックを前に自分のラインを守れず、そこでリズムを崩し、そのまま失速していく。予選までに
組み立てた自らの走りと詰めてきたセッティングが、スタート直前の雨で裏目に出ていた。
スピン車両の回避や自らもスピンを喫し、7~8位に後退し、最終的に9位でチェッカーを受ける
こととなった。

同じくスタートでライバルの先行を許した石崎は、1周目から#88 OPTech☆東北海道ヤナセの
坂野選手と競り合い、2位のポジションを奪い合う。


坂野・鬼塚両選手をおさえ、前に出る石崎。

ブレーキングでは度々肉薄し、特に1コーナー進入では強烈に間合いを詰め、プレッシャーを与え
続けた。 5周目の1コーナー脱出後にインに並びかけた石崎は、2コーナーで前へ。滑りやすい
路面でも車体を安定させ、その後も前との差を徐々に詰めていく。しかしここで前日練習走行時
から出現していたミッショントラブルが顔をのぞかせる。4速への入れづらさがあり、シフト
アップにもたつく。その影響を受け、トップのさくら眼科十勝スクール 今野選手にストレートで
離される。それでもインフィールドでは空いた差を詰め、チャンスをうかがう。
そんな石崎の懸命な走りとは裏腹に状況はますます悪化。4速へのシフトが困難となってゆく。
最後まで前との距離を詰めていったが届かず、2位でチェッカーを受けた。

予選で5位につけた大島良平は、スタート自体は上手く決めたものの、直後のシフトミスにより
一気に3台に抜かれてしまう。また、1周目の最終コーナーにて雨に濡れたアウト側の縁石に足を
すくわれスピン。最後尾まで順位を落としてしまう。幸いコース内にとどまったためすぐに
復帰し、前走車の追走にかかった。
他車も低μ路に悪戦苦闘しており、前との差はそれほど開いていない。2周目の2コーナーで1台を
パスし、その後も慎重にマシンを走らせる。挙動はシビアで少しでもラフな操作をすると狙った
ラインから外れてしまう。5周目くらいより路面が乾燥し始め、各コーナーの縁石にのっても挙動
を乱すことはなくなった。6周目には前を行く1台がスピンし、さらにポジションを1つ上げる。
残り周回は同じくスピンでポジションを下げた#88の坂野選手に追いつき、バトルが続いた。
しかし抜くまでには至らない。
10周目、再び前走車の1台がスピンを喫している間に前に出てポジションを7位とし、チェッカー
を受けた。

予選をマシントラブルで振るわぬ結果に終わった中川は、決勝レースで健闘をみせる。元々雨に
対して苦手意識のない中川であるが、決勝直前に降った雨に期待を寄せていた。
スタートできれいにトラクションを掛け、上手く車速をのせる。しかし走行ラインを塞がれ、
その間に1台の先行を許した。その後はチームメイトのスピンによりポジションを元に戻す。
周りが滑る路面に挙動を乱す中、中川はきれいにマシン姿勢を保ち、安定したラップを重ねて
いく。ここは出走直前の熊崎のアドバイスの結果が如実に現れる結果となった。3周目には
1コーナーで1台パスし、ポジションを7位にアップ。その後、#3さくら眼科☆OWLwithRS-α01
の古井戸竜一選手と数周にわたり6位をかけて好バトルを演じる。


#3 古井戸竜一選手にコーナー進入で肉薄する中川。

6周目に他車のスピンでポジションをさらにひとつ上げ、7周目からは3周にわたる#61HDC日本平
中自動車の平中繁延選手とのバトルを制し、5位でレースを終えた。

全体を振り返ると、エースドライバーである佐藤の失速や予選時の712号機のトラブルなど、天候
とマシンコンディションに大きく左右される結果となった。石崎の2位表彰台や中川の決勝での
ポジションアップという結果も踏まえると、ここは強みでもあり、今後の課題とすべきところ
でもある。これからのそれぞれの走り込みと各マシンのメンテナンスを万全にしていくことで、
結果を確実なものとしていかなくてはならない。


2位表彰台を獲得した#310 石崎竜一朗。

~レース後、チームオーナーコメント~

レースは決勝の結果がすべてであり、自分としては大変不甲斐ないリザルトで、サポートしてくだ
さった皆様、スポンサー各位、担当してくださったメカニックの皆様に大変申し訳ない気持ちで
いっぱいです。
第2戦の走りがいろいろな意味でうまくいかなかったので、今回はそれを払拭すべく徹底的に練習
しました。自分の走り方を進化させること、またその進化に伴ったセッティングをするという、
この二点を意識してレースウィークを過ごしました。その結果が予選2位という結果につながった
のは非常に嬉しく思います。しかし、決勝のスタートで出遅れ2台の車に先行を許したこと、
バトル中に自分のラインを確保できずに納得いく走りができなかったこと、スピンした車両を
交わすときにアクセルを緩めてしまったこと、それがすべて1ラップ目に起きてしまい、悪い流れ
を引き寄せてしまったことが大きな敗因であると考えます。
予選で一発のタイムを出すことはある程度できるようになってきたので、あとは安定した決勝の
スタート、そして自分のレーシングラインをできる限り確保できるよう意図的に走ること、
これらを意識して次の耐久戦および最終戦を、優勝目指して頑張りたいと思います。

Koshido Racing 佐藤 元春