2018.08.25 北海道クラブマンカップレース2018 Rd.2 VITA-01 RACE REPORT
北海道クラブマンカップレースRd.2 VITA-01
開催日時:2018年7月22日(日)
開催地:十勝スピードウェイ(北海道)
ドライバー:佐藤 元春(#610)、石崎 竜一朗 (#310)、竹谷 和浩 (#712)、
大島 良平(#777)
マシン:恒志堂レーシングVITA 610号機、310号機、712号機、777号機
参戦クラス:北海道クラブマンカップレース (VITA-01クラス)
天候:予選/晴れ、決勝/晴れ
路面:予選/ドライ、決勝/ドライ
佐藤 元春 予選:8/16位 決勝8/16位
石崎 竜一朗 予選:6/16位 決勝5/16位
竹谷 和浩 予選:9/16位 決勝:7/16位
大島 良平 予選:7/16位 決勝:9/16位
初夏の肌寒い日々も過ぎ、北海道はいよいよ本格的な夏季シーズンを迎えた。
今回の北海道クラブマンカップ第2戦は、そんな真夏の酷暑の中で開催された。
今年より4台体制で参戦しているKoshido Racingであるが、310号車のドライバーである大島
雄一郎が前戦に引き続き参戦できず、今回は石崎竜一朗を登用した。
石崎は昨年からレースを始めたルーキーではあるが、今シーズンはスーパーFJの富士シリーズと
茂木シリーズにスポット参戦している。富士シリーズは2戦2勝、茂木シリーズは2戦で2位・3位
それぞれ1回ずつという経歴で、今後が期待される存在である。
310号車をドライブする石崎竜一朗。今後の活躍が期待される。
610号車にはいつも通りチームオーナーの佐藤元春、712号車は前戦同様、竹谷和浩が搭乗。
777号にはデビュー2戦目となる大島良平がドライブ。
<DAY1> 7月20日(金)練習走行
佐藤は第1戦の時と同様に公式練習の前日から十勝入りし、マシンセッティング及び練習走行に
励む。今回はまだVITAに慣れていない石崎も同行し、共に練習走行に臨んだ。
この日の走行は13:30からの3枠。天候は晴れだが、昼過ぎということもあり、気温は27度前後で
空気もやや重め。コンディションとしては決して良好とはいえない。
第1戦の練習の際、佐藤はベストで1分32秒台をマークしていたが、この日は40周回し、1分35秒
台後半にとどまる。一方で石崎は、45周する中でVITAの特性を掴み始める。最終的に初回の練習
走行から順調にタイムを縮め、1分35秒台前半まで詰めた。双方、大きなトラブルもなく、練習
走行を終えた。
徐々にVITAに慣れ、思い描いたラインをトレースすべく奮闘する石崎。
練習走行結果
佐藤 元春: 1’35.902
石崎 竜一朗: 1’35.288
<DAY2> 7月21日(土) 公式特別スポーツ走行(30分間×3本)
この日設定された走行枠は3本。午前中より雲が広がっている。更別の午後は太陽が出てきてい
たが、前日同様空気が重く、湿度68%で気温は28℃。路面はドライ。
今回はメカニック4名体制でサポートスタッフは6名。蒸し暑い中、各々が淡々と準備を進めて
いく。
路温は太陽の熱を吸収し、上昇し続けている。タイヤにもエンジンにもドライバーにも過酷なコン
ディションへと変わっていった。
1本目、石崎が唯一の1分34秒台をマーク。それに続く形で佐藤が1分35秒1、竹谷・大島良平は
1分35秒6。今回2戦目となる大島良平は、佐藤や竹谷の走りやアドバイスを参考に自らの課題を
あげ、それをクリアするべく走行データを解析しながら練習に挑んでいた。コーナー進入のブレー
キリリースを丁寧にすることで、タイヤグリップの縦横比をうまく使うことを意識しながらVITAを
走らせる。しかし、上手く走れている感じはあっても決定的なものは掴めていないという本人の
感触。「上手く走れたと思っていても、単にそれは車速が落ちてきれいなライン取りで曲がれて
いるだけだった」と振り返る。
ロガーデータはドライビングの良し悪しをはっきり映し出してくれる。特にタイヤの使い方を筆頭
に、VITAの走らせ方は実に奥深いものがある。今回777号車を担当するメカニックの熊崎より、
車にどんどんリクエストしないとセッティングの方向性が出てこない。積極的に問いかけていって
ほしいとアドバイスを受け、リアの減衰を調整し、その後に挑んだ。
風はあり、体感上やや涼しげに感じるが、気温はさらに上昇している。一時は70%を超える高湿度
にさらされる中、最終枠はN- ONEやVitzとの混走となる。
改めて外から見比べてみると、VITAとN-ONEやVitzなどのいわゆるハコ車とのコーナリング
スピードの違いは歴然である。一つのコーナーの進入から立ち上がりまでの様子を見ていると、
容易に実感できる。
気温も路面温度も上昇する中、石崎・竹谷・大島良平は相次いでタイムを短縮してくる。唯一
佐藤は1本目のタイムがベストとなったが、自らの走りとセッティングがかみ合わないのか、迷走
している様子がうかがえた。
公式練習走行結果
佐藤 元春 :1’35.105
石崎 竜一朗:1’34.736
竹谷 和浩 :1’35.233
大島 良平 :1’35.391
<DAY3> 7月22日(日)
予選(9:50~10:10)
天候は曇り。気温は25.5℃。湿度72%。雲は更別上空から流れてなくなりそうな様相を見せている
が、前日以上に空気が重く感じる。
前日の走行データを入念にチェックし、予選の走りを組み立てる佐藤。
予選前の#610 佐藤 元春
石崎は前日の感触をもとに33秒台を狙う。ライン取りは定まってきたため、あとはVITAの特性に
合わせた走り方を模索するべくメカの藤巻にセッティングについて確認。走り方を再構築して
予選に臨む。
石崎は前日の練習走行でのタイムをコンマ1秒短縮し、1分34秒621。自身が思うようには詰められ
なかったが、チーム内ではトップタイムをマークした。
大島良平は、前日就寝前までデータを入念にチェックしていた成果か、石崎に次ぐタイムで
1分34秒657を記録。僅差でチーム二番手となった。急遽応援に駆けつけてくれた久保氏のアド
バイスと、予選前から課題に向き合う姿勢が結果として結びついている。
竹谷は終始安定した走りで、前日とほぼ同タイムにて予選を終えた。しかし、思い描いていた走り
はできていなかった様子。大きなミスこそないものの、ここ一番でタイムを伸ばす一手が打てず、
本人としては納得できていない。走行ラインを見る限り、コンマ1秒を削りにいく勢いが感じられ
る。決勝では堅実な走りとともに、いつもの竹谷らしい攻めの走りに期待が寄せられた。
左コーナーを限界まで攻める#712 竹谷 和浩
佐藤は前戦のポールポジション獲得時の好調に陰りが生じており、タイムはわずかに短縮したも
のの、伸びが今ひとつ。チーム内では3番手、全体では8番手に甘んじる結果となった。上手く
マッチしない610号車との溝を組めるべく、最後まで自身の走りに向き合い、現状でできる打開策
を考える。
予選結果
佐藤 元春 :1’35.078
石崎 竜一朗:1’34.621
竹谷 和浩 :1’35.225
大島 良平 :1’34.657
一方ライバル勢は、61号車のHDC日本平中自動車の平中選手がエントリー中で唯一1分33秒台を
叩き出し、ポールポジションを獲得。第1戦優勝の88号車 OPTech☆東北海道ヤナセの坂野選手も
それに次ぐ1分34秒フラットを記録し、予選2位につけた。
今回ライバル勢は33秒台から34秒台前半に集中し、激戦が予想される。
~以下、公式予選終了後ドライバーコメント~
佐藤 元春
「練習からいろいろと試行錯誤の連続。迷いがそのまま予選に出てしまった。決勝までに車載
動画で振り返りをしながら、冷静に本来の走りができるように整えたい」。
石崎 竜一朗
「全体的に昨日、一昨日よりも路面温度が低いのでタイヤグリップの感触は良い。しかしステア
リングもブレーキもまだ改善の余地はあり、決勝では意識的に詰めていく」。
竹谷 和浩
「ストレートが遅い。水温(冷却水温度)が低すぎたか。インフィールドはそこそこ上手くまと
められたが、ストレートで帳消しになる感じ。1コーナーの景色がいつもと違う」。
大島 良平
「左コーナーに課題が残るが、デジスパイスのデータを基に修正をかけてきた。これまでは
自覚できるほど4・5コーナーが遅かったが、いろいろとアドバイスを受けてようやく立ち上がり
のスピードものるようになってきた。決勝では堅実に予選順位以上を目指して走りたい」。
決勝(14:55~、12LAP)
第1戦同様、レーシングアクシデントにて時間がずれ込み、数十分遅れてのコースインとなった。
気温・路面温度ともに予選時より上昇しており、水温管理に悩む監督とメカニック。
スタート前、いつも通りチームオーナーの佐藤がKoshodo Racingの他3名のVITAに歩み寄る。
互いの無事と健闘を約束すべく声をかけ、がっちりと握手を交わす。
一度コースに出てしまえばライバル同士ではあるが、チーム内での結束は強い。
悔いなく戦うべく互いの意識を高め合う。レースの度に見られるKoshido Racingの儀式である
グリッドに整列したマシンたちは各車きれいにスタートを決めた。本レース最初の1コーナーへは
皆、慎重に飛び込んでいく。VITAもSAURUS Jr.もトラブルなくレースが展開されていく。
佐藤の610号車はスタートでやや失速気味。また他車に比べて向きが変えにくいためか、いつも
より立ち上がりのスロットルを開け始めるポイントが遅い。随所でいつもより一段低いギアを
選択し、前走車についていこうと試みるが、コーナーひとつ抜けるごとに少しずつ間を空けられ
る。レース後半の1コーナーでは、竹谷のインを刺そうと試みるも追い切れず引く場面もあった。
竹谷も後ろを確認しつつ、クリーンなラインで好バトルを見せている。今回佐藤はセッティングが
的中しなかったのか、本レースウィーク全体的に乗れている印象がない。
一方、竹谷は絶妙にスタートを決め、最終コーナー立ち上がりの姿勢もよく、ストレートへも
上手くマシンを前に進めている印象。時期的な要素もあるため車速はそれほど伸びないが、
アグレッシヴにインをうかがいつつ、一周一周をスムーズな走りで繋いでいく。チーム内の他の
VITAに比べてオーバー気味のセッティングであるが、向きが変わらずアクセルオンを待つ佐藤に
対し、立ち上がりはスムーズである。前回の接触で接近戦への苦手意識を吐露していたが、それを
微塵も感じさせないバトルを展開した。
数周目以降は皆ライン取りがシビアになっていく。各コーナーのクリップや立ち上がりでところ
どころ土煙が上がっていた。今回、予選で好調の#61 HDC日本平中自動車の平中選手は、決勝で
は今ひとつマシンに乗れていない印象であった。トラブルを抱えており、特に左コーナーでライ
バル達と比べて明らかに車速が落ちる姿が度々みられており、苦戦している様子が垣間見えた。
普段から安定して速い平中選手の今回の状況から、予選から決勝までトータルで速く走れるコン
ディションをつくることは容易ではないということがわかる。
石崎はスタート直後、慎重に前後の間隔をうかがいながらポジションをキープするも、3周目の
1コーナー進入で竹谷に先行を許す。しかし、5周目の同じく1コーナーにて取り返す。一見すると
4名中最も地味なドライビングで、車載映像でも変化が少なく見えるが、コース幅はいっぱいに
使っており、無駄がないドライビング。挙動は終始安定しており、タイムロスにつながりそうな
動きはない。一、二度ミスはするものの、このあたりはさすが現役ドライバーである。7周目には
大島良平を抜いてチームトップに躍り出る。最後は単独5位でチェッカーを受けた。
大島良平は2周目の8コーナーで一時チーム内トップに躍り出る。マシンの動きもよく、きれいな
ラインをトレースしている。
その後も石崎とサイドバイサイド、テールトゥノーズの好バトルを展開。5周目、前で競り合う
平中選手と鬼塚選手の中に割って入る。6周目の後半で後方の石崎もバトルに加わり、サイドバイ
サイドに。7周目に突入した2コーナー立ち上がりで、大島良平が痛恨のコースアウト。その後の
4コーナーで自身のタイヤについた土に足を取られ、オーバーステアと格闘しているうちに後方の
竹谷に先行を許す。このオーバーステアを最終コーナーまで引きずり、最終コーナーの立ち上がり
で踏めない大島良平は、続く8周目のホームストレートでも佐藤に先行されてしまう。そのまま
9番手でのチェッカーとなった。
今回のレース自体は#11 さくら眼科十勝スクールVITAの今野選手や#3さくら眼科☆OWLwithRS-
a01の古井戸竜一選手、前回優勝の#88 OPTech☆東北海道ヤナセの坂野選手に完全に水をあけられ
る結果となった。チーム内では常に接戦が繰り広げられていたことから、各々のバトルに対する
経験値は大いに獲得できたと思われる。次戦に向けてまた一から出直す姿勢で、上位に食い込める
よう努力を重ねていきたい。
~レース後、チームオーナーコメント~
今回、予選・決勝ともに8位という結果を受け、敗因を考察した結果、車と自分の波長が合わな
かったということが原因の一つと考えています。第1戦の時の乗り味や結果がよかったため、その
まま惰性でセッティングしてしまったこと、つまり気温も湿度も路面状況も異なる状況でセッティ
ングに時間を割くことなく、不完全な状態で予選・決勝に挑んでしまったことが最も大きな要因で
あると思います。第1戦では走り込みに十分な時間をとり、メカニックとよく対話して車を仕上げ
たことが成果として表れていました。本来であれば一から車をつくり上げるくらいの気持ちで臨む
べきであったところを今回怠ってしまったことが大きな敗因であり、結果的に前も走れていたから
今回もどうかなるだろうという自分の油断と慢心が大きな差をもたらしたと痛感しています。
第3戦に向けてはより時間をかけて走り込み、車をつくり込んで頂点をとるべく走り込みを重ねて
いきたいと思います。
Koshido Racing 佐藤 元春