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2018.08.23 Ferrari Racing Days Fuji 2018 RACE REPORT

Ferrari challenge Trofeo Pirelli APAC Rd.4

開催日時(RACE1):2018年6月30日(土)

開催日時(RACE2):2018年7月1日(日)

開催地:富士スピードウェイ(静岡)

ドライバー:佐藤 元春

マシン:Ferrari 488 challenge

参戦クラス:shell

天候:レース1~予選/曇り、決勝/曇り   レース2~予選/曇り、決勝/曇り

路面:レース1~予選/ドライ、決勝/ドライ  レース2~予選/ドライ、決勝/ドライ

レース1~予選:クラス6位/12台(全体11位/35台)

決勝:クラス8位/12台(全体14位/35台)

レース2~予選:クラス8位/13台(全体14位/34台)

決勝:クラス6位/12台(全体10位/34台)

 

 

フェラーリ本社が公式イベントとして世界各国で開催するFerrari Racing Days。そこにワンメイクレース・シリーズフェラーリ・チャレンジ・トロフェオ・ピレリ・アジアパシフィックの第4戦も併催された。今回のレースには39台が参戦。うち日本人ドライバーは過去最多となり、盛り上がりを見せた。

会場となる富士スピードウェイでは、F1チャンピオンシップを戦い抜いた歴代マシンたちのデモ走行や、ラ フェラーリをはじめ、日本へのフェラーリ正規輸入50周年記念で日本顧客のためだけに10台のみ生産が発表されたJ50の展示など、往年のスペシャルモデル達が彩りに華を添えていた。

F40からラ フェラーリまで、歴代スペチアーレが並ぶ

 

日本顧客向け限定10台の超希少なフェラーリJ50

 

今回のレースエントリー車両は納車されて間もない488 challenge。

これまでの恒志堂にはないイエローのカラーリングに、鮮やかなブルーのアクセントデカールによって装飾された車両にて挑む。

2018年の恒志堂の記念カラーになるであろう黄色が眩しい

 

DAY1> 628日(木) オープンプラクティス(50分間×1本、60分間×2本)

 

走行枠は3本。2週間前のFCRの際もウエットコンディションであったが、今回も富士スピードウェイはウエット路面からのスタートとなった。

幸い1本目の走行時間には雨は上がっており、路面は乾きかけている。

周りのチームにはスリックタイヤを選択するところも見受けられるが、まずは慣れる目的でレインを選ぶ佐藤。

ところが、いざ出走というところで赤旗によるコース閉鎖。練習走行枠1本目は1周もできずに終了してしまう。この間にスリックへの変更し、2本目の走行枠を待つ。

 

2本目は路面がほぼドライとなる。2周走行したのち、エアチェックのためピットイン。そこからアタックラップに突入する。

他チームはプロやセミプロが運転または同乗し、直接アドバイスを受ける中、佐藤は自らの経験とセンスを頼りに孤独に戦い続ける。

 

しかし、走行を重ねていく中でステアリングセンターがややずれていることが判明。我慢の走行を強いられる。

その上出走台数が34台と多く、クリアラップがとれぬまま時間が削られていく。

そのような中でも、途中クラス4番手(13台中)、全体では6番手につける佐藤。

クラスはpirelli・shell・shell amの3つに分かれており、佐藤は当初amからスタートと思われていたが、格上のshellクラスからのエントリーとなっている。

走り込みを続ける佐藤であったが、セクター3でのアンダーステアが強く、クルマの向きが変わらない。

このスティントは終始我慢の走りのまま終えることとなる。

走行後、セッティング変更についてエンジニアに相談、アライメント調整とブレーキパッド交換を終え、プラクティス3本目に備える。

因みに本イベントでサーキット入りしているドライバーやスタッフはほとんどが日本人以外であり、

邦人は2割程度。エンジニアとメカニックの会話はすべて英語で交わされている。Koshido Racing担当のメカニックはトニー氏。

佐藤も元々の英語講師としての能力をいかんなく発揮し、走行時の状況を克明に伝えていく。

トニー氏にクルマの動きについて説明する佐藤

3本目、最終コーナーにオイル漏れがあるが、大きな問題はなく全車ラップを重ねている。

後半雨がぱらついてきたが、路面はドライが維持されていた。
アライメント調整の効果か、回頭性は良くなっている。

 

オープンプラクティス走行結果

ベスト:1’45.285(プラクティス②)

DAY2> 629日(金) 

オープンプラクティス(60分間×2本)   フリープラクティス(45分間×2本)

 

オープンプラクティス1本目の走行直前に雨が降り始め、路面はセミウエット。当初10台程度での走行開始となったが、後半になるにつれ台数が増加していく。

3周目にピットインし、ニュータイヤへ交換。相変わらずクリアは取れない状況が続くが、コカ・コーラ及びダンロップ両コーナーでは確実に前との差を詰める佐藤。

タイムを1:45.724まで縮め、1本目を終了する。

 

2本目は雨が降ったりやんだりを繰り返しているが、路面はドライ。但し湿度は90%超えであり、エンジンの伸びは今ひとつのコンディション。

今回の走行枠からプロではなく、レースエントリーしているジェントルマンのみが出走。

佐藤はユーズドタイヤでの走行だが、一時クラストップのタイムを叩き出す。

レースにエントリーしているジェントルマンのみの走行では、一時クラストップに躍り出る。

 

フリープラクティスへと移り、1本目は4周でピットイン。ニュータイヤに交換し、その後タイムを1分44秒台まで詰める。

2本目はウエット路面となり、クラス2位のタイムで全プラクティスを終えた。
フリープラクティス走行結果

ベスト:1’ 44.857(プラクティス①)

DAY3> 630日(土)  RACE1 Trofeo Pirelli 

予選(12:10~ 30分間)

 

天候は曇りながらも、路面は乾いている。前日・前々日のプラクティスでの走行をもとに、この日のマシンの感触を確かめつつコースイン。

2周にわたって自身の身体とマシンを慣らし、ピットイン。タイヤの内圧を調整し、ここ一発のタイムを狙う。ターゲットは1分43秒台。

メカニックと状況を確認し、再コースイン。前走車との間合いは十分に取れている。

アタックラップ1周目、力が入る佐藤。コカ・コーラコーナーにてオーバーステアを誘発してしまい、痛恨のタイムロス。以後は前後をうまく調節し、クリアラップをつくる。

タイヤの摩耗を抑えつつ、次の周に照準を当てる。

2周目、TGRからコカ・コーラ、100Rと、きれいにまとめていく。アドバンコーナーの立ち上がりも上々で、300Rのスピードが乗る。

プラクティスではアンダーステアに悩まされたセクター3もきれいにまとめあげ、現時点でのベストラップをマーク。

ペースはそのままに、アタックラップ3周目。2周目同様、セクター2まできれいにマシンを走らせる。前周よりも速度はのっている。

セクター3に突入し、得意のダンロップコーナーでのブレーキング。前走車との間合いが一気に縮まる。

立ち上がりで挙動を安定させ、13コーナー、レクサスコーナーと順調につなげていき、残すところは最終コーナー。

この時、前走車との距離感としてはベスト。というのもその後に待ち受けるのは日本のサーキット最長といわれるホームストレート。

ここでスリップストリームをうまく使えばタイムはグンと伸びる、そんなイメージで突入した最終コーナー。しかし前走車が侵入でミスし、失速。

後ろについていた佐藤も余儀なく減速を強いられた。大きなチャンスをはらんでいる分、失敗したときの影響もまた多大であるのが最終コーナー。

ここでの失速は痛い。結局アタック2周目がベストとなり、全体11位、クラスは6番手で予選を終える。

この予選でのセクターベストをつなぐと1’44.379と、全クラス中でも上位に食い込めるタイムになることから、決勝での活躍が期待される。
予選タイム:1’44.801

決勝(15:00~ 30分間)

 

35台のフェラーリがホームストレートに並ぶその姿は圧巻である。佐藤は予選に使用したタイヤと同じもので挑む。

本レースはローリングスタートであるが、各車フォーメーションラップから既に所狭しとひしめいている。

シグナル点灯中から前走車より前に出ようとする車両もおり、スタート直後の混乱が容易にうかがえる。

シグナルブラックアウトで一斉に咆哮をあげる488 challenge達。各車スリーワイドないしフォーワイドで1コーナーに飛び込んでいく。

予想通りの大混雑に、外から見ているだけでも恐怖を覚える。佐藤は冷静に前後左右を見極め、隙間に飛び込み、走行ラインを確保。

その後3周にわたって至るところでバトルが繰り広げられていた。

スリップストリームを抜け、前に出てはイン側の狭い間隔に後ろから飛び込んでくるライバル達。全方向に視線を向け、神経をすり減らす周回が続く。
4周目、他車が絡み合い、セーフティーカーが入る。6周にわたってスロー走行が強いられ、10周目で解除。再スタート時点でレースは残り7分。

セーフティーカーが入る前と比べるとやや前後の間隔が空き、危なげな他車とのバトルも上手く避けながらゴールを目指す。

ジャンプスタート、黄旗追い越し、ライン潰しやこじ開けが横行する中、クラッシュは避けたいという思いのもと、

クリーンなレース運びで佐藤は全体14位、クラス別8位という結果で無事にチェッカーを受けた。

出走35台、うち完走29台という荒れたレースとなった。スタート前や黄旗区間での追い越しに関してはペナルティがとり切られていない状況であった。

DAY3> 71日(日)  RACE2 Trofeo Pirelli

予選(11:00~ 30分間)

前日同様曇りではあるが路面はドライコンディション。

エントリーは38台の予定であったが、実際に出走したのは35台。

各車一斉にアタックに入る…が、予選開始直後に赤旗。この日も波乱含みのレースを思わせる滑り出しである。

8分後にリスタート。早くも予選時間の3分の1を消化している。タイムリミットに向かう限られた中で、全車ベストタイムを狙いにいく。

少々台数が減っても依然として混み合っており、クリアラップ獲得が難しい状況。

前日の結果に対して悔しい思いが募る佐藤であったが、なかなか思うような走りができずにいた。

 

本イベントの初日に488 challengeへの初乗りとなった佐藤であるが、マシンへの順応性は高く、4日目のこの日は大きなミスをすることもなかった。

ここはVITAレースでの経験も大きく活きているものと推測される。

全体をきれいにまとめ、最終的に前日のベストのコンマ3落ちで走行。予選通過は全34台で、この日は14位、クラスでは8番手につけた。

予選タイム:1’45.113

 

 

決勝(13:45~ 30分間)

 

天候は午前中の曇りから少しずつ晴れ間がさしているといった状況。

34台のマシンがスタートに備え、各グリッドにつく。ゆっくりとフォーメーションラップがスタートし、各車ホームストレートに戻ってくる。

前日同様に大変な混雑状態。

シグナルブラックアウトで慎重に周囲を確認しつつ、スロットルを開ける佐藤。

1コーナーへはまたもスリーワイドで突入していく。自車の右側には既に2列の車列ができあがっている。

アウトから抜ける走行ラインを描き、イン側の車列をブロックすることなくクリーンに仕掛けるが、容赦なく外に押し出してくるライバル達。

コカ・コーラコーナーでも立ち上がりのラインを塞がれ、車速をのせられないまま100R へ。

富士でのフェラーリレーシングデイズも最終日とあってか、どのドライバーも血気盛んに仕掛けてくる。

オーバースピードでアドバンコーナーに突っ込み、曲がり切れずに飛び出していく車両を横目に、佐藤は慎重にコーナーを立ち上がる。

そして300Rを抜け、ダンロップコーナーへのブレーキングに差し掛かった時、矢のように後方から突っ込んでくる後続車を佐藤は見逃していなかった。

佐藤が目視していたそれは、明らかなオーバースピードで曲がり切ることなく前走車のひしめくコーナーに突っ込んでいく。右サイドに激しくヒットされた車両は成す術もなくコース外にはじき飛ばされてしまった。

あのまま通常通りブレーキングでコーナーに侵入していたら、間違いなくこちらも巻き込まれていただろう。
格式高いフェラーリチャレンジレースであるが、ことアジアパシフィック戦は無謀なドライビングをする選手が多いことから、前日然り完走するだけでもかなりの集中力を要する。佐藤はこのイベントの前からしっかりとリスクマネジメントをしてきた。その結果が如実に現れる形となった。

激しいクラッシュではあったが、ここではセーフティーカーが入ることなくレースは続行された。クラッシュを機に混み合っていた隊列がやや整理され、その後はラインをクロスしながら周囲とのクリーンなバトルを展開していく。得意のダンロップコーナー侵入では、ブレーキングで一気に前走車との間合いを詰める。
ホームストレートではスリップを使い、1コーナーで並びかけるが、ブレーキングで前に出るまでには至らずそのままセクター2へと突入。セクター3で再び差を詰め、またホームストレートで並びかけるというのを繰り返す。サポートスタッフは固唾を呑んで見守る中、好バトルが続く。

こういった展開が何周かにわたって続いた8周目、アドバンコーナー手前で他車同士のクラッシュが発生し、ここでセーフティーカーが入る。

4周にわたる先導走行ののち、12周目で解除。リスタートが切られる。

全車、すっかり間合いが縮まり、再び随所でバトルが繰り広げられていく。今度は大きな混乱もなくクリーンなレースが展開され、そのまま16周を走り切ってチェッカー。
クラス12台中6位、全体では34台中10位という成績となった。因みに日本人の中では2位。荒れたレースを上手くコントロールし、ドライバーも車両も無事に帰還した。
以上の結果でFerrari Racing Days 2018 Fujiは終わった。悔しい結果ではあるが、ドライバーである佐藤もサポートスタッフの面々もよい経験となったことは間違いない。

今回はマシンのセットアップが思うように詰められなかったことと、一部のエントリードライバーの無謀な走行により、無事に走り切ることがなにより難しいレースであった。

~レース後、ドライバーコメント~

今年初めてフェラーリチャレンジレースに出場するにあたって最も意識したことは、メカニックやエンジニアが丁寧に作りこんでくれた車を、きれいな状態のままレースを終えて戻したいというところが大前提としてありました。ジェントルマンドライバーとして走行するにあたり、マナーをしっかり守り、ルールに則ったうえで一つでも上に行けるよう意識してレースを組み立てました。
事前情報として危険な運転をするドライバーがいると聞いていましたが、プラクティスからレース1の予選・決勝、レース2も同様に、動画を見てもそういったドライバーが散見されました。

自分としてはジェントルマンドライバーの見本となるように、危険行為をせずにクリーンなバトルを楽しんで、その中で上位に食い込むというのがこのレースの醍醐味であったと考えています。

ただ、上位陣のレベルは非常に高く、日本人同士のバトルもクリーンで、実戦におけるスキルは向上できたことから、非常に有意義なレースであったと感じています。
プラクティスの時間が非常に長くとれたため、今回のレースが初乗りかつシェイクダウンではありましたが、しっかり体に馴染ませることができました。

プラクティスの中ではクラス2番手までのタイムを出せるようになったので、次回参戦するまでにしっかりセッティングを決めて、トレーニングを重ねることでクラス優勝、もしくは総合での表彰台も目指すことができるという実感はあります。

今後に関しては、まずアフターメンテナンスをしっかり行い、走行動画を確認しつつセッティングを詰めて、次なる走行の準備を進めていきます。
あくまでもジェントルマンドライバーとしての見本となるような走りをすべきであるということを念頭に、次戦に臨みたいと思います。
Koshido Racing 佐藤 元春