2017.10.24 CARGUY SUPER CAR RACE Rd.3,4 RACE REPORT
開催日時:2017年9月16~17日 開催地:富士スピードウェイ(静岡県)
ドライバー:佐藤 元春 / 平中 克幸
大湯 都史樹
マシン:KSD RACING SLS GT3(Mercedes SLS AMG GT3)
KSD RACING 458 CHP(Ferrari 458 Challenge)
参戦クラス:CARGUY SUPER CAR RACE SERIES (GT3クラス)
CARGUY SUPER CAR RACE SERIES (CUP1クラス)
天候:予選/雨 決勝/雨
路面:予選/ウェット 決勝/ウェット
KSD RACING SLS GT3 予選:総合6位(1;53,872)
KSD RACING 458 CHP 予選:総合7位(1;54,633)
KSD RACING SLS GT3 決勝:Rd.3優勝、Rd.4準優勝
KSD RACING 458 CHP 決勝:Rd.3優勝、Rd.4リタイア
スーパーカーによる究極のエンターテインメント集団「CARGUY」が主催する、CARGUY SUPERCAR RACE SERIESでの今シーズンラストレースを迎える。
Koshido Racingからは前大会で準優勝になったコンビ、チームオーナーである佐藤元春と、SUPER GT300で活躍する平中克幸が引き続きシートに座る。
又、この第3,4戦にはFIA-F4選手権シリーズでHondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクトから出場し、
ポイント争いを繰り広げている新進気鋭のドライバー大湯都史樹を458 Challengeのドライバーとして迎え入れた。
大湯は佐藤や平中と同じ札幌出身であり平中のドライビングレッスンを受けていたこともある旧知の仲であり、
チーム内では笑いも混ざりつつ仲間意識も十分に強まり2台体制で結果を求めて戦うこととなった。
<DAY1> 9月14日(木)練習走行
この日のドライブは平中が担当し、車両の感触を確認した。3コーナー(100R)進入時にかなり強いアンダーステアが発生しており、
リアウイングを調整して対策を施したが、タイヤのグリップが低かったせいであまり効果は得られなかった。
そのバランスを整えるために以下の3点のセッティング変更を行った。
- タイヤへの荷重アップを狙い、フロントスプリングを1レンジ柔らかくした。
- アンダーステア対策でフロントトーを0からアウトへ30’に変更
- 立ち上がりでのグリップ改善の為、リヤのトーをインへ30’に変更
このセッティングで走行を開始。
セッティングが功を奏しバランスは改善されたが、タイヤへの負担が強くなったためか平中がリヤタイヤのバイブレーションを訴える。その為、走行は終了となった。
これを見てリヤタイヤへの負担軽減のためキャンバー角を3°→2°へ変更し、接地面積を増やすこととした。伴い、トーを改めて補正した。走行は僅か2本で終了であったため翌日に向けて小笠原エンジニアが中心となりセッティングを煮詰めていく。
<DAY2> 9月15日(金)練習走行
この日から佐藤が練習走行に加わり、平中と協力してSLS AMG GT3のセッティングを進めていく。そして、大湯もこの日から458 Challengeのハンドルを握ることとなる。
大湯は以前、十勝スピードウェイで同車両を走らせた経験も有るが、同車両でのマイレージは不足しており、尚且つ富士スピードウェイでの走行は初めてである。まずはフィーリングを確認することとなる。
この日の練習走行は、シルビア・アルテッツァ・ロードスターやFCR-VITA、インタープロトなどの混走となっていたため、コース内は常に遅い車両を上手くかわす技量も必要でありかなり危険な走行枠となっていた。
コースアウトによる砂埃が至る所で舞い上がっていたが、Koshido Racingには特にトラブルは無く走行を重ねた。
午前中は曇りで、路面はドライでセッティングを詰めていくことが出来た。
しかし台風18号が近づいており予選と本戦は大雨が予想されていたため、セッティングもウェットに合わせて行っていく。
<DAY3> 9月16日(土)公式予選(10:15~10:30)
当日は大方の予想通り、ウェットコンディションで天候は雨。
SLS AMG GT3は、過去にSUPER GT300で走ったデータを参考にウェット仕様でコースイン。
15分という短い予選時間ということも有り、チームはオーナードライバーの佐藤にこの過酷なコンディションに慣れて貰うことを優先し、平中によるアタックは行わないことを選択。
周りでは現役プロドライバーが続々とタイムを出していく中、佐藤はGT3クラスでは最下位ながらヘビーウェットの路面にも関わらずトップとのタイム差が3秒以内、かつ他クラスには前を走ることを許さない健闘。これにより決勝レースの作戦を練りやすくなった。
458 Challengeの大湯はCUP1クラスのトップタイムをマークする。
2台しかエントリーしていないクラスではあるが、GT3クラスに肉薄するタイムで走行しており、周囲の関係者を驚かせていた。
■9月16日(土)第3戦 決勝(16:05~16:50)
この日のメインレースとなるのが、CARGUY SUPER CAR RACE。
台風の影響による雨にも関わらず大勢の観客で盛り上がっている。
朝から降り続く雨は夕方までも続き、あたりも薄暗くなってきた。
SLS AMG GT3のスタートドライバーは佐藤が担当。各車続々とピットから離れ、スターティンググリッドへと向かう。
ここでポールポジションスタートだったCARGUY RUF HURACAN GT3がフォーメーションラップ中に急遽ストップ。
車両回収となりピットまで運ばれECUのリセットにより辛うじてエンジンオン。ピットスタートとなった。
いよいよ始まる決勝は降り続く雨の影響で安全性を考えセーフティーカー先導のスタートとなった。
セーフティーカーがいつ外れるかチームスタッフがモニターを見つめる。そして5LAP目のダンロップコーナーでセーフティーカーのランプが消える。
そして各車が最終コーナーを立ち上がる頃に雨音がかき消されるようにエキゾーストサウンドが響き渡った。レースがスタートする。
佐藤は前を行く#5 HOJUST HURACANへ必死に食らいついていく。
今にもスピンしそうなマシンを何とか落ち着かせながら、真後ろに居るチームメイトの大湯から逃げる。そしてチームの指示により6周目にピットイン。
練習を重ねていたドライバーチェンジの成果を発揮し、決められているピットストップ45秒以内に全てを終えエンジニアの手信号で水しぶきを上げながらコースへ復帰する。
ドライバーが平中に交代する。そして一息付く間もなくピット内ではざわめきが起きる。
すぐにファステストラップを更新し、2週目にはそのタイムを更に更新していく。9周目には全体のファステストラップとなる1;52.143を記録。ライバル達が続々とピットインする間に直ぐ様トップへと躍り出る。
最大で38秒のギャップを築いた平中はチームの指示によりペースをダウン。これは先日の練習走行でもタイヤのバイブレーションが発生していたため、タイヤを労る措置であった。
そのペースを保ちチェッカーを受ける。佐藤・平中ペアでは先日の十勝3時間耐久に続き連勝となった。
大湯が操る458 ChallengeはSLS AMG GT3のすぐ後ろの8番手スタートであった。大湯はピッタリと佐藤の後ろにつける。
この時、458 Challengeのフロントガラスは曇りで視界を完全に失っており、僅かに見える視界で必死にドライブしていた。
視界不良のままピットストップを消化。その際のメカニックのおかげでフロントガラスの視界が回復するも、後方からやってくる3番手の#5 HOJUST HURACANにヘアピン立ち上がりからのバックストレートで車体性能を活かしたオーバーテイクをされてしまう。
しかし猛追してくるライバル達から逃げ切るどころかGT3クラスを追いかけ回し、なんと予選から4つ順位を上げることに成功。
格上のGT3クラスさえも押しのけ総合3位、CUP1クラス優勝と素晴らしい結果を手にした。
これについてはドライバーである大湯もレース中は気付いておらず、ヘルメットを外した瞬間から笑みが溢れた。
大湯の所謂 ”ハコ車” としてのデビューレースは非常に華やかな結果で幕を閉じた。
<DAY4> 9月17日(日)第4戦 決勝(16:10~17:05)
前日の第3戦に続き、天候は雨。台風18号はより接近しレース開催が危ぶまれる天候での第4戦となった。
スターティンググリッドは第3戦のベストラップ順に決まる。ポールポジションは先日優勝した#11 KSD Racing SLS GT3佐藤/平中ペアである。
ヘビーウェットでスタートすると思いきや、奇跡的にレーススタート前に雨量が激減。小雨となり路面はヘビーウェットからウェットへと変化する。
その影響も有り決勝スタートは通常のローリングスタートとなった。スタートドライバーの平中。
1コーナーをトップで死守。後続ではクラス入り混じっての激しいバトルが繰り広げられトップの平中を脅かす。
その後のダンロップコーナーでは#5 HOJUST HURACANに一瞬イン側に飛び込まれるが冷静にクロスラインを取り、前に出すことはさせない。
だが平中から叫び声で無線が入る。
「マシンのバランスが悪すぎる」
セッティングもタイヤも同じだが、タイヤが同じ物とは思えない動きをしており、平中は苦戦しながらマシンを抑えて逃げ切りを図る。
しかし最終コーナーで#5 YJHD HURACAN STを駆るKei Cozzolinoが平中のすぐ背後に迫りロックオン。
ストレート速度では劣るKSD Racing SLS GT3のスリップストリームを目一杯使い、1コーナーでイン側へ飛び込み、そのままオーバーテイクされてしまう。
しかしその状況でも冷静な平中は11周目のヘアピン立ち上がりでトップに返り咲くことに成功する。
そのままマシンバランスが悪い中、2番手とのギャップを築き15周目にトップのまま佐藤へとバトンタッチをする。
佐藤は苦労しながらもピットアウト後も順位はトップをキープ。第3戦に続く連勝を誰もが期待していた。
がしかし、2位の#1 CARGUY RUF HURACAN GT3と3位の#5 HOJUST HURACANは佐藤を凌駕するペースで追い上げる。
佐藤を猛追していた#1 CARGUY RUF HURACAN GT3にレース終盤、
まさかのドライブスルーペナルティが出され、3位に陥落してしまう。
そして、残り5分、23LAP目。
佐藤は大雨で後ろに気付いていない周回遅れのマシンを抜くのにやや時間がかかった際に、最終コーナーで#5 HOJUST HURACANにトップの座を明け渡してしまう。
もつれてバトルを繰り広げていた#1 CARGUY RUF HURACAN GT3も佐藤を抜き、2番手となった。
このままレースが終わるかと誰もが思ったがファイナルラップの最終コーナーで誰もがモニターを見て固まった。
神様のいたずらであろうか。2番手を走る#1 CARGUY RUF HURACAN GT3がガス欠でストップした。
最後まで諦めずに追いかけていた佐藤はゴール手前300mで2位へ浮上。
そのままチェッカーを受け準優勝となった。
佐藤はトップを守る事は叶わなかったが過酷なウェットコンディションの中、純粋にレースを楽しみ、悔しさも残ってはいたが爽やかな笑顔を見せていた。
そしてこのレースで全ての日程を消化したCARGUY SUPERCAR RACE SERIESのポイントランキングではCARGUY RUF HURACAN GT3と同ポイントではあったが、
プラチナドライバーが組み合わされていないペアが順位を優遇される事となるため、佐藤/平中チームがシリーズ準優勝という結果となった。
458 Challengeは、スタート前からギヤトラブルを抱えていた。マシンに熱が加わってくるとギヤがおかしくなりまともにシフトチェンジ出来なくなってしまっていた。
レースがスタートし順調に周回を重ね、またGT3クラスの車両を追いかけ回し始めたが、急遽スローダウン。
6周目のダンロップコーナーで突如症状が悪化し、ギヤが4速しか使えなくなってしまった。
無線で懸命にメカニックと連絡を取り合い試行錯誤するも、運は大湯に味方してくれなかった。
努力むなしく7周を終えた所でピットイン。チームはそのままリタイアという決断を下した。
順当にレース運びをしていれば、この第4戦も良い結果を残せただけに悔しいリザルトとなった。
佐藤/平中ペアは参戦初年度にしてシリーズランキング2位という非常に輝かしい結果を勝ち取ることが出来ました。
しかしシリーズ優勝の可能性があった事を考えると悔しさも残る結果ではありました。更なる戦績を求めて戦って参ります。
今回も遠路遥々応援に来てくださった皆様、応援のご連絡をくださる皆様、誠にありがとうございます。改めましてご支援、ご声援頂きました事に感謝申し上げます。
Koshido Racing 佐藤 元春